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木戸
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きど
ふりがな文庫
“
木戸
(
きど
)” の例文
生身
(
いきみ
)
では渡られない。
霊魂
(
たましい
)
だけなら乗れようものを。あの、
樹立
(
こだち
)
に包まれた
木戸
(
きど
)
の中には、その人が、と足を
爪立
(
つまだ
)
ったりなんぞして。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、私はよく勝手を知っていたので、庭の目隠しの下から手を差し込んで
木戸
(
きど
)
の
鍵
(
かぎ
)
を外し、便所の
手洗鉢
(
てあらいばち
)
の
傍
(
わき
)
から家の中に
這入
(
はい
)
った。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
庭の
木戸
(
きど
)
をおして
細君
(
さいくん
)
が顔をだした。細君は
年
(
とし
)
三十五、六、色の
浅黒
(
あさぐろ
)
い、顔がまえのしっかりとした、気むつかしそうな人である。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「
庭
(
にわ
)
の
木戸
(
きど
)
も
通用口
(
つうようぐち
)
のドアも、みんなしめるのをわすれていたんだ。そのうえ、庭の木戸はあけっぱなしになっていたんだが……」
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
垣だとばかり思っていたものは垣のように出来た
木戸
(
きど
)
だったのであろう。そのまた木戸から出て来たのを見れば、
口髭
(
くちひげ
)
を
蓄
(
たくわ
)
えた男である。
文章
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
「
残
(
のこ
)
ったものは
殿
(
との
)
のご
寝所
(
しんじょ
)
のほうを
守
(
まも
)
れ、もう
木戸
(
きど
)
や
多門
(
たもん
)
の
固
(
かた
)
めにはじゅうぶん人数がそろったから、よも、やぶれをとるおそれはあるまい」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男気
(
おとこけ
)
のない
奥庭
(
おくにわ
)
に、
次第
(
しだい
)
に
数
(
かず
)
を
増
(
ま
)
した
女中達
(
じょちゅうたち
)
は、お
蓮
(
れん
)
の
姿
(
すがた
)
を
見失
(
みうしな
)
っては一
大事
(
だいじ
)
と
思
(
おも
)
ったのであろう。
老
(
おい
)
も
若
(
わか
)
きもおしなべて、
庭
(
にわ
)
の
木戸
(
きど
)
へと
歩
(
ほ
)
を
乱
(
みだ
)
した。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
日々
(
ひび
)
得意先を回る
魚屋
(
さかなや
)
、
八百屋
(
やおや
)
、
豆腐屋
(
とうふや
)
の人々の中に裏門を通用する際、かく
粗末
(
そまつ
)
なる
木戸
(
きど
)
をくぐらすは我々を
侮辱
(
ぶじょく
)
するなりと
憤
(
いきどお
)
る民主主義の人もあるまい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そこいらにはもう
誰
(
だれ
)
も
人
(
ひと
)
の
居
(
ゐ
)
ない
頃
(
ころ
)
で、
木戸
(
きど
)
に
近
(
ちか
)
いお
稻荷
(
いなり
)
さまの
小
(
ちひ
)
さな
社
(
やしろ
)
から、お
家
(
うち
)
の
裏手
(
うらて
)
にある
深
(
ふか
)
い
竹籔
(
たけやぶ
)
の
方
(
はう
)
へかけて、
何
(
なに
)
もかも、ひつそりとして
居
(
ゐ
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ヘイ・レインの𢌞り
木戸
(
きど
)
の上に、私は靜かな小さな姿が一つぽつんと立つてゐるのを見た。私はそれをまるで向う側にあつた刈り込んだ柳と同じに見過して了つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
前後三年近く政治に関係したけれども、あまり政治にはその力が現れずにしまった。これに対して
木戸
(
きど
)
〔
孝允
(
たかよし
)
〕、
大久保
(
おおくぼ
)
〔
利通
(
としみち
)
〕は武人ではなく、純粋の政治家である。
勢力の中心を議会に移すべし
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「ふん、
木戸
(
きど
)
さん、心配なしだよ。おれがそんなへまをやると思いますか。射撃にかけては——」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大使
岩倉
(
いわくら
)
右大臣、副使
木戸
(
きど
)
参議、大久保内務卿、伊藤工部大輔以下七十名。開拓使女子留学生たちもまじっている。駐日公使デ・ロング夫妻が、晴れの
嚮導
(
きょうどう
)
役となって、同船している。
黒田清隆の方針
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
光子
(
みつこ
)
さんは
勇
(
いさむ
)
ちゃんと
肩
(
かた
)
をならべて、
木戸
(
きど
)
をあけて、きらきらと
日
(
ひ
)
が
草木
(
くさき
)
の
葉
(
は
)
にかがやいている
往来
(
おうらい
)
の
方
(
ほう
)
へと
出
(
で
)
ていきました。あちらには、
年
(
とし
)
ちゃんやよし
子
(
こ
)
さんたちが
遊
(
あそ
)
んでいました。
はちの巣
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
さうとしか思へませんよ。
木戸
(
きど
)
は締つてゐるが、お組はもと、踊りの師匠を
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
道中
(
だうちう
)
つかひ
古
(
ふる
)
しの
蟹目
(
かにめ
)
のゆるんだ
扇子
(
あふぎ
)
では
峠下
(
たふげした
)
の
木戸
(
きど
)
へ
踞
(
しやが
)
んで、
秋田口
(
あきたぐち
)
の
観光客
(
くわんくわうきやく
)
を——
入
(
い
)
らはい、と
口上
(
こうじやう
)
を
言
(
い
)
ひさうで、
照覧
(
せうらん
)
あれは
事
(
こと
)
をかしい。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
江口君又論ずらく、「創作壇の一の
木戸
(
きど
)
、二の木戸、本丸も何時かは落城の
憂目
(
うきめ
)
を見ん」と。何ぞその悠悠たる。
八宝飯
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こういうときには、みょうにものに
驚
(
おどろ
)
きやすい、主人は耳をそばだてて、
牛舎
(
ぎゅうしゃ
)
に
荒
(
あら
)
あらしきののしりの声を聞きつけた。やがて
細君
(
さいくん
)
も
木戸
(
きど
)
へ顔をだして、きてくれという。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
何
(
なん
)
の
氣
(
き
)
なしに
父
(
とう
)
さんはその
蝶々
(
てふ/\
)
を
打
(
う
)
ち
落
(
おと
)
すつもりで、
木戸
(
きど
)
の
内
(
うち
)
の
方
(
はう
)
から
長
(
なが
)
い
竹竿
(
たけざを
)
を
探
(
さが
)
して
來
(
き
)
ました。ほら、
枳殼
(
からたち
)
といふやつは、あの
通
(
とほ
)
りトゲの
出
(
で
)
た、
枝
(
えだ
)
の
込
(
こ
)
んだ
木
(
き
)
でせう。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
どこにどんな
裏切
(
うらぎ
)
り者が鳴りをしずめているかも知れず、そいつらが、
他
(
ほか
)
の
柵
(
さく
)
や
木戸
(
きど
)
の
出丸
(
でまる
)
をやぶって、いっせいにさわぎだすと、いよいよ手におえなくなってしまいます
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男は身をかがめて、落ちてきたテーブルクロスに
包
(
つつ
)
んだ大きな包みと、三
冊
(
さつ
)
のノートを、小わきにかかえこむとみると、うさぎのようなすばやさで
木戸
(
きど
)
から
大通
(
おおどお
)
りへ走りでた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
仙場や波立二たちと話をしていると、そこへ
木戸
(
きど
)
という男がいそぎ足でとびだしてきた。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
西郷以下の武断派を代表した人はまず亡くなり、次いで文治派の人も、即ち
大久保
(
おおくぼ
)
、
木戸
(
きど
)
というが如き人々もすでに三十年前に亡くなり、これを
輔
(
たす
)
けた人々もまた多数は亡くなっている。
勢力の中心を議会に移すべし
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「
庭
(
にわ
)
の
木戸
(
きど
)
は、しめておくのですよ。」と、
姉
(
ねえ
)
さんが
注意
(
ちゅうい
)
されたのです。
北の少女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
が、
必死
(
ひっし
)
に
駆
(
か
)
け
着
(
つ
)
けた
庭
(
にわ
)
の
木戸
(
きど
)
には、もはやお
蓮
(
れん
)
の
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
られなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
……
去年
(
きよねん
)
の
春
(
はる
)
ごろまでは、
樹蔭
(
こかげ
)
の
徑
(
みち
)
で、
戸田街道
(
とだかいだう
)
の
表通
(
おもてどほ
)
りへ
土地
(
とち
)
の
人
(
ひと
)
たちも
勝手
(
かつて
)
に
通行
(
つうかう
)
したのだけれども、いまは
橋際
(
はしぎは
)
に
木戸
(
きど
)
が
出來
(
でき
)
て、
館
(
くわん
)
の
構内
(
こうない
)
に
成
(
な
)
つた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
破
(
や
)
れ
木戸
(
きど
)
を押すと、非番とみえて、
糸瓜棚
(
へちまだな
)
の下で手造りの竹笠に
漆
(
うるし
)
を塗っていた乙若が
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父
(
とう
)
さんはお
家
(
うち
)
の
裏木戸
(
うらきど
)
の
外
(
そと
)
をさん/″\
遊
(
あそ
)
び
廻
(
まは
)
りまして、
木戸
(
きど
)
のところまで
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
ますと、
高
(
たか
)
い
枳殼
(
からたち
)
の
木
(
き
)
の
上
(
うへ
)
の
方
(
はう
)
に
卵
(
たまご
)
でも
産
(
う
)
みつけようとして
居
(
ゐ
)
るやうな
大
(
おほ
)
きな
黒
(
くろ
)
い
蝶々
(
てふ/\
)
を
見
(
み
)
つけました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
との一
言
(
ごん
)
をのこして、また
木戸
(
きど
)
から細君はでていった。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と
黒
(
くろ
)
い
呼吸
(
いき
)
を
吐掛
(
はきか
)
けて
居
(
ゐ
)
たんださうです……
釣臺
(
つりだい
)
が
摺違
(
すれちが
)
つて
入
(
はひ
)
ります
時
(
とき
)
、びたりと、
木戸
(
きど
)
の
柱
(
はしら
)
にはつて、
上
(
うへ
)
を
一
(
ひと
)
つ
蒼黄色
(
あをきいろ
)
い、むくんだ
掌
(
てのひら
)
で
撫
(
な
)
でましたつて……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
木戸
(
きど
)
の
番小屋
(
ばんごや
)
の前に、七人の
部下
(
ぶか
)
が
槍
(
やり
)
をつかんだまま
悶々
(
もんもん
)
とのた打っている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四五本
(
しごほん
)
曲
(
まが
)
つたり
倒
(
たふ
)
れたりだが、
竹垣
(
たけがき
)
を
根岸流
(
ねぎしりう
)
に
取
(
とり
)
まはした、
木戸
(
きど
)
の
内
(
うち
)
には、
梅
(
うめ
)
の
樹
(
き
)
の
枝振
(
えだぶ
)
りの
佳
(
い
)
いのもあるし、
何處
(
どこ
)
から
散
(
ち
)
つたか、
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
に
柳
(
やなぎ
)
の
枯葉
(
かれは
)
も
風情
(
ふぜい
)
がある。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
米價
(
べいか
)
はその
頃
(
ころ
)
も
高値
(
たかね
)
だつたが、
敢
(
あへ
)
て
夜討
(
よう
)
ちを
掛
(
か
)
ける
繪圖面
(
ゑづめん
)
ではないのであるが、
町
(
まち
)
に
向
(
むか
)
つて
檜
(
ひのき
)
の
木戸
(
きど
)
、
右
(
みぎ
)
に
忍返
(
しのびがへ
)
しの
塀
(
へい
)
、
向
(
むか
)
つて
本磨
(
ほんみが
)
きの
千本格子
(
せんぼんがうし
)
が
奧深
(
おくふか
)
く
靜
(
しづ
)
まつて
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
それ
)
を、
四五軒
(
しごけん
)
行
(
い
)
つた
向
(
むか
)
う
側
(
がは
)
に、
幅
(
はゞ
)
の
廣
(
ひろ
)
い
橋
(
はし
)
を
前
(
まへ
)
にして、
木戸
(
きど
)
に
貸屋札
(
かしやふだ
)
として
二階家
(
にかいや
)
があつた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
尤
(
もつと
)
も、二
時
(
じ
)
過
(
す
)
ぎに
參
(
まゐ
)
つたんですから、
門
(
もん
)
も
潛
(
くゞ
)
りも
閉
(
しま
)
つて
居
(
ゐ
)
て、
裏
(
うら
)
へ
𢌞
(
まは
)
つたも
分
(
わか
)
りましたが、
後
(
のち
)
に
聞
(
き
)
けば
何
(
ど
)
うでせう……
其
(
そ
)
の
木戸
(
きど
)
は、
病院
(
びやうゐん
)
で、
死
(
し
)
にました
死骸
(
しがい
)
ばかりを、
密
(
そつ
)
と
内證
(
ないしよう
)
で
出
(
だ
)
します
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
表
(
おもて
)
からは、
木戸
(
きど
)
を
一
(
ひと
)
つ
丁字形
(
ちやうじがた
)
に
入組
(
いりく
)
んだ
細
(
ほそ
)
い
露地
(
ろぢ
)
で、
家
(
いへ
)
と
家
(
いへ
)
と、
屋根
(
やね
)
と
屋根
(
やね
)
と
附着
(
くツつ
)
いて
居
(
ゐ
)
る
處
(
ところ
)
だから、
珊瑚
(
さんご
)
の
流
(
なが
)
れは、
壁
(
かべ
)
、
廂
(
ひさし
)
にしがらんで、
堰
(
せ
)
かるゝと
見
(
み
)
えて、
表欄干
(
おもてらんかん
)
から
見
(
み
)
たのと
較
(
くら
)
べては
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の
盲人
(
めくら
)
こそ、
其
(
そ
)
の
婦
(
をんな
)
に
思
(
おも
)
ひを
懸
(
か
)
けて、
影
(
かげ
)
のやうに
附絡
(
つきまと
)
うて、それこそ、
婦
(
をんな
)
の
家
(
いへ
)
の
居
(
ゐ
)
まはりの
瓦斯燈
(
がすとう
)
のあかりで
見
(
み
)
れば、
守宮
(
やもり
)
か、と
思
(
おも
)
ふ
形體
(
ぎやうたい
)
で、
裏板塀
(
うらいたべい
)
、
木戸
(
きど
)
、
垣根
(
かきね
)
に、いつも
目
(
め
)
を
赤
(
あか
)
く、
面
(
つら
)
を
蒼
(
あを
)
く
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わたし
)
は
町
(
まち
)
のさまを
見
(
み
)
るために、この
木戸
(
きど
)
を
通過
(
とほりす
)
ぎた
事
(
こと
)
がある。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その時
木戸
(
きど
)
に立った
多勢
(
おおぜい
)
の方を見向いて
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
“木戸”で始まる語句
木戸口
木戸銭
木戸番
木戸錢
木戸孝允
木戸内
木戸前
木戸際
木戸信之
木戸現象