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くゝ
ふりがな文庫
“
括
(
くゝ
)” の例文
「
俺
(
お
)
ら
云
(
ゆ
)
はんねえでも
藥
(
くすり
)
は
氣
(
きい
)
ついてたのよ」
勘次
(
かんじ
)
はおつぎのいふのを
迎
(
むか
)
へて
聞
(
き
)
いた。
彼
(
かれ
)
の三
尺帶
(
じやくおび
)
には
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
もぎつと
括
(
くゝ
)
つた
塊
(
かたまり
)
があつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
何も
申
(
さる
)
の歳だからとて、視ざる聴かざる言はざるを
尚
(
たつと
)
ぶわけでは無いが、
嚢
(
なう
)
を
括
(
くゝ
)
れば
咎
(
とが
)
無しといふのは
古
(
いにしへ
)
からの通り文句である。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
と云われ心細いから惣吉は帰って観音堂へ
駈上
(
かけあが
)
って見ると情ないかな母親は、
咽喉
(
のど
)
を
二巻
(
ふたまき
)
程丸ぐけで
括
(
くゝ
)
られて、虚空を掴んで死んで居る。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
家へ廻つて来る若い男が、これから市場へ買ひ出しに行くのだと見えて、店先へ下ろした荷車の下へ這入つて、心棒へ何かを
括
(
くゝ
)
りつけてゐた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
如何
(
いか
)
にせんと此時また忽然と鶴的鞍に
傍
(
そ
)
ひて歩み
來
(
きた
)
る見れば馬の
沓
(
くつ
)
を十足ほど
彼
(
か
)
の竹杖に
括
(
くゝ
)
し付けて肩にしたり
我馬士
(
わがまご
)
問ふて曰く鶴さん大層
沓
(
くつ
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
▼ もっと見る
立ち話をする奴か、往來の人へ合圖をする者があつたら、構はねえから邪魔をするんだ。時と場合ぢや引つ
括
(
くゝ
)
つても宜い
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
衣類をくるくると円めて、帯でひつ
括
(
くゝ
)
るなり、ぽんと手前にはふり出して、いきなりざぶざぶと河の中に入つて行つた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
俺
(
わし
)
は女などと云ふものは、酒や煙草などと同じに、我々男子の事業の疲れを慰めるために存在して居る者に過ぎないとまで高を
括
(
くゝ
)
つてゐたのです。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
彌次郎
(
やじらう
)
が
其
(
そ
)
の
時代
(
じだい
)
には
夢
(
ゆめ
)
にも
室氣枕
(
くうきまくら
)
の
事
(
こと
)
などは
思
(
おも
)
ふまい、と
其處等
(
そこいら
)
を
眗
(
みまは
)
すと、
又
(
また
)
一人々々
(
ひとり/\
)
が、
風船
(
ふうせん
)
を
頭
(
あたま
)
に
括
(
くゝ
)
つて、ふはり/\と
浮
(
う
)
いて
居
(
ゐ
)
る
形
(
かたち
)
もある。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
とりわけ
廉
(
やす
)
い俸給で脚を
括
(
くゝ
)
られてゐる下級吏員が苦しい。何故といつて、お役人といふ者は、腹が減つても
饑
(
ひも
)
じう無い顔をしなければならないから。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
こゝに彼、かの翁の心に從ひ、わが腰を
括
(
くゝ
)
れるに、奇なる哉謙遜の草、彼えらびてこれを採るや 一三三—一三五
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
何
(
なに
)
二ヶ月や三ヶ月は、書物か衣類を売り払つても
何
(
ど
)
うかなると
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
で
高
(
たか
)
を
括
(
くゝ
)
つて落ち
付
(
つ
)
いてゐた。
事
(
こと
)
の落着次第
緩
(
ゆつ
)
くり職業を
探
(
さが
)
すと云ふ分別もあつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そんな處に我れは
括
(
くゝ
)
られて、面白くもない仕事に追はれて、逢ひたい人には逢はれず、見たい土地はふみ難く、
兀々
(
こつ/\
)
として月日を送らねばならぬかと思に
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
こつちを溜池へぶち込む前に、そつちが山王の
括
(
くゝ
)
り猿、御子供衆のお土産にならねえやうに覚悟をしなせえ。
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
掴
(
つか
)
んで十兵衞が其の儘息は
絶
(
たえ
)
にけり長庵刀の血を
拭
(
ぬぐ
)
ひて
鞘
(
さや
)
に納め
懷中
(
くわいちう
)
の
胴卷
(
どうまき
)
を取だし四十二兩は
福
(
ふく
)
の
神
(
かみ
)
弟
(
おとゝ
)
の身には
死神
(
しにがみ
)
と
己
(
おの
)
れが
胴
(
どう
)
にしつかり
括
(
くゝ
)
り雨も
止
(
やま
)
ぬに
傘
(
からかさ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
少女
(
をとめ
)
は若き男の
許嫁
(
いひなづけ
)
の
婦
(
よめ
)
なりしならん。顏ばせつやゝかに、目なざし涼しかりき。男をば木に
括
(
くゝ
)
りたり。女は猶處子なりき。われはサヱルリ侯に扮することを得たり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「何と云つてもまだあの青二才で」と
高
(
たか
)
を
括
(
くゝ
)
つて見てゐるらしく思はれた諸侯達を、就職のとつ
始
(
ぱじ
)
めから度胆を抜いてくれようと思つてゐた若将軍の切支丹に対する処置の酷烈さと
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
「昔は五百石の
御朱印
(
ごしゆいん
)
で」なぞと言つても、「
乃公
(
われ
)
の家の
糊米
(
のりまい
)
だ」と京子の父は高を
括
(
くゝ
)
つて道臣を見下げた。腹が
妾
(
めかけ
)
だといふので、長女には生れてゐても、京子は弟や妹ほど父に重んぜられなかつた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
低
(
ひく
)
い
粟幹
(
あはがら
)
の
屋根
(
やね
)
から
其
(
その
)
括
(
くゝ
)
りつけた
萱
(
かや
)
や
篠
(
しの
)
の
葉
(
は
)
には
冴
(
さ
)
えた
耳
(
みゝ
)
に
漸
(
やつ
)
と
聞
(
きゝ
)
とれるやうなさら/\と
微
(
かす
)
かに
何
(
なに
)
かを
打
(
う
)
ちつけるやうな
響
(
ひゞき
)
が
止
(
や
)
まない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
平次の指摘したのは飴色になつた
篠竹
(
しのだけ
)
に上下二ヶ所、明かに紐か何にかで、額に
括
(
くゝ
)
つた跡が、印されてあるのでした。
銭形平次捕物控:195 若党の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
書生が玄関へ出て、教へられた通りにさう言ふと坊さんは
背
(
せな
)
に
括
(
くゝ
)
りつけた編笠の紐でも解くやうな真似をして、その儘出て往つた。書生は鼻を鳴らして感じた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一人
(
ひとり
)
は
妻
(
つま
)
なるべし
對
(
つゐ
)
するほどの
年輩
(
ねんぱい
)
にてこれは
實法
(
じつぱふ
)
に
小
(
ちひ
)
さき
丸髷
(
まるまげ
)
をぞ
結
(
ゆ
)
ひける、
病
(
や
)
みたる
人
(
ひと
)
は
來
(
く
)
るよりやがて
奧深
(
おくふか
)
に
床
(
とこ
)
を
敷
(
し
)
かせて、
括
(
くゝ
)
り
枕
(
まくら
)
に
頭
(
つむり
)
を
落
(
おち
)
つかせけるが
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
雨
(
あめ
)
は本当に
降
(
ふ
)
つて来た。
雨滴
(
あまだれ
)
が樋に
集
(
あつ
)
まつて、流れる
音
(
おと
)
がざあと
聞
(
きこ
)
えた。代助は椅子から立ち
上
(
あ
)
がつた。
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
にある百合の
束
(
たば
)
を取り
上
(
あ
)
げて、
根元
(
ねもと
)
を
括
(
くゝ
)
つた
濡藁
(
ぬれわら
)
を
挘
(
むし
)
り
切
(
き
)
つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
拿破里
(
ナポリ
)
の夫人は心もとながりて、頻りに車窓を覗き、賊の來りて、行李を
括
(
くゝ
)
り付けたる
索
(
さく
)
を
截
(
き
)
らんを恐るゝさまなり。われ等は
纔
(
わづか
)
に前面に火光あるを認めて、互に相慶したり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
どか/\下りる奴らは忽ちに御用/\と造作もなく縛られましたが、
多勢
(
おおぜい
)
ですから一人
宛
(
ずつ
)
は縛られない、五六人ぐらいずつ首っ玉を
括
(
くゝ
)
して、
宛
(
まる
)
で酒屋の御用が
空徳利
(
あきどくり
)
を縛るようで
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
間もなく根だけを
括
(
くゝ
)
ると、半ば髪を前に
被
(
かぶ
)
つたまゝ、油手を拭いて封を切つた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
事
(
こと
)
新
(
あた
)
らしく今更に道十郎が後家に
告口
(
つげぐち
)
なし此長庵が
命
(
いのち
)
を
縮
(
ちゞ
)
めさせたるは忝け
無
(
ない
)
共
(
とも
)
嬉
(
うれ
)
しいとも
禮
(
れい
)
が
言盡
(
いひつく
)
されぬ故今は
括
(
くゝ
)
られた身の
自由
(
じいう
)
成
(
なら
)
ねば
孰
(
いづ
)
れ
黄泉
(
あのよ
)
から
汝
(
おのれ
)
も直に取殺し共に
冥土
(
めいど
)
へ
連
(
つれ
)
て
行
(
ゆき
)
禮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
括
(
くゝ
)
られてふくらんだ袖口からは気持のいゝ白い腕が露はれてゐた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
庭
(
には
)
から
偸
(
ぬす
)
むやうに
視
(
み
)
ては
卯平
(
うへい
)
がおつたへ
威勢
(
ゐせい
)
をつけて
居
(
ゐ
)
るやうに
思
(
おも
)
つた。
彼
(
かれ
)
は
解
(
と
)
いて
打
(
う
)
つて
更
(
さら
)
に
藁
(
わら
)
で
括
(
くゝ
)
つた
蕎麥
(
そば
)
の
束
(
たば
)
をどさりと
遠
(
とほ
)
くへ
擲
(
はふ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
吐かせるなり、次第によつては、
引
(
ひ
)
つ
括
(
くゝ
)
つて來やがれ。着物へ血でも附いて居たら、
辯解
(
いひわけ
)
させるんぢやねえぞ
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
実をいふと、氏はその日川の
容子
(
ようす
)
を見に出掛けたので、
魚籠
(
びく
)
の用意だけはしてゐなかつた。で、
兵児
(
へこ
)
帯を縦に
割
(
さ
)
いて
魚
(
うを
)
の
鰓
(
あぎと
)
を
引
(
ひ
)
つ
括
(
くゝ
)
つて、その儘水に
游
(
およ
)
がせておいた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それは
隨分
(
ずいぶん
)
不便利
(
ふべんり
)
にて
不潔
(
ふけつ
)
にて、
東京
(
とうけう
)
より
歸
(
かへ
)
りたる
夏分
(
なつぶん
)
などは
我
(
が
)
まんのなりがたき
事
(
こと
)
もあり、そんな
處
(
ところ
)
に
我
(
わ
)
れは
括
(
くゝ
)
られて、
面白
(
おもしろ
)
くもない
仕事
(
しごと
)
に
追
(
お
)
はれて、
逢
(
あ
)
ひたい
人
(
ひと
)
には
逢
(
あ
)
はれず
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ある
夏
(
なつ
)
の
日盛
(
ひざか
)
りに、
二人
(
ふたり
)
して、
長
(
なが
)
い
竿
(
さを
)
のさきへ
菓子袋
(
くわしぶくろ
)
を
括
(
くゝ
)
り
付
(
つ
)
けて、
大
(
おほ
)
きな
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
の
下
(
した
)
で
蝉
(
せみ
)
の
捕
(
と
)
りくらをしてゐるのを、
宗助
(
そうすけ
)
が
見
(
み
)
て、
兼坊
(
けんばう
)
そんなに
頭
(
あたま
)
を
日
(
ひ
)
に
照
(
て
)
らし
付
(
つ
)
けると
霍亂
(
くわくらん
)
になるよ
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
山羊は二頭づゝの列をなして洞より出で、山の上に登りゆけり。
殿
(
しんがり
)
には一人の童子あり。尖りたる帽を紐もて結び、
褐色
(
かちいろ
)
の短き外套を纏ひ、足には汚れたる
韈
(
くつした
)
はきて、
鞋
(
わらぢ
)
を
括
(
くゝ
)
り付けたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
木綿の薄ッぺらな
五布布団
(
いつのぶとん
)
が二つに折って敷いて有ります上に、勘藏は横になり、枕に坐布団をぐる/\巻いて、
胴中
(
どうなか
)
から
独楽
(
こま
)
の紐で縛って、
括
(
くゝ
)
り枕の代りにして、
寝衣
(
ねまき
)
の
単物
(
ひとえもの
)
にぼろ
袷
(
あわせ
)
を重ね
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
でも
天網恢々
(
てんまうくわい/\
)
でも、何處かに
緊
(
し
)
め
括
(
くゝ
)
りがあつたのでせう、その晩、鍵屋の息子半次郎が、手代の伊與之助に刺し殺され、伊與之助は神妙に其場から自訴しました。
銭形平次捕物控:295 万両息子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お目に懸つたのは外でもありません。
何
(
なに
)
か一つ書いて戴きたくつて。」坊主は
真田紐
(
さなだひも
)
で
括
(
くゝ
)
つた荷物のなかから、画箋紙のまるめたのを取り出して無雑作に前に置いた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
いま
先方
(
さきがた
)
門
(
かど
)
野を
呼
(
よ
)
んで
括
(
くゝ
)
り
枕
(
まくら
)
を
取
(
と
)
り
寄
(
よ
)
せて、
午寐
(
ひるね
)
を
貪
(
むさ
)
ぼつた時は、あまりに溌溂たる宇宙の刺激に堪えなくなつた
頭
(
あたま
)
を、
出来
(
でき
)
るならば、
蒼
(
あを
)
い
色
(
いろ
)
の
付
(
つ
)
いた、
深
(
ふか
)
い
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
に
沈
(
しづ
)
めたい位に思つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と残りの大金を
懐中
(
ふところ
)
へ
括
(
くゝ
)
し附けまして
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「大變り、お篠の傳で、三尺で絞められてゐるんだ。今度は眞田紐ぢやねえが、水の中でふやけて居るから、
瓢箪
(
へうたん
)
のやうに
括
(
くゝ
)
れて居やがる。見られた圖ぢやあねエ」
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
どんな
難
(
むつか
)
しい事を
訊
(
と
)
ひかけられるだらうと、胸をどきどきさせてゐた青年は、
漸
(
やつ
)
と安心したやうに綺麗に
櫛
(
くし
)
の目の立つた頭を二三度下げた。そして叮嚀に小包の
括
(
くゝ
)
り
紐
(
ひも
)
を切つて、紙包みを
解
(
ほど
)
いた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「いや
藁
(
わら
)
か綿を卷いたんだ、多分、着物や
褞袍
(
どてら
)
を何枚か卷いて——
尖端
(
さき
)
の方だけで宜い、帶か紐で
括
(
くゝ
)
つたことだらう、うけ合ひ首の骨は叩き折れるが、傷はつかない」
銭形平次捕物控:286 美男番附
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
寺田氏は革の財布の口をしつかり紐で
括
(
くゝ
)
つて自動車に乗込んだ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「さうですか、——四の五の言へば、下手人の疑ひで引つ
括
(
くゝ
)
られるぞ、とでも脅かして見ませうか」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
前ぶれ通り、存分に野暮つたい四十五六の武家、羽織の紐を
觀世縒
(
くわんぜより
)
で
括
(
くゝ
)
つて、山の入つた
袴
(
はかま
)
、折目高の羽織が、少し
羊羹色
(
やうかんいろ
)
になつてゐやうといふ、典型的な御用人です。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
えツ、言はないかツ、人の命は大事だ。山師坊主に氣取られて、俺は
隙
(
ひま
)
を潰して居られないぞ。三つ股の兄哥、この道人を引つ
括
(
くゝ
)
つてくれ。寺社のお係りへ渡して、
鰯
(
いわし
)
を
銭形平次捕物控:104 活き仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
四ツ谷の與吉はすつかり興奮して、事と次第では、法印無道軒を引つ
括
(
くゝ
)
りさうにするのです。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
岩鯛
(
いはだひ
)
の眼を
貫
(
ぬ
)
くと言ふ手練だ、——血染の紐が見付かつて、吉三郎の仕業だらうと大方の見當は付いたが、庖丁を
括
(
くゝ
)
り付けた竹が見付かる迄、縛るわけには行かなかつたよ
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の三つも
括
(
くゝ
)
らうと思ひましたがね。相手が有難さうにして居るから、罰でも當つちや惡からうと、叔母さんが拵へてくれた肌守りの中に封じ込んで來ましたよ、この通り」
銭形平次捕物控:278 苫三七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
次の間付きの八疊、それは申分のない
贅
(
ぜい
)
を盡した寢間でした。絹行燈を部屋の隅に、
青磁
(
せいじ
)
の
香爐
(
かうろ
)
が、名香の
餘薫
(
よくん
)
を殘して、ギヤーマンの水呑が、
括
(
くゝ
)
り枕の側の盆に載せてあります。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
括
常用漢字
中学
部首:⼿
9画
“括”を含む語句
引括
一括
総括
概括
綜括
括弧
括枕
締括
下括
括頤
括袴
縄括
見括
包括
括猿
括緒
綜括的
髷括
統括
箭括
...