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廻
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まわ
ふりがな文庫
“
廻
(
まわ
)” の例文
間
(
ま
)
もなく、
女
(
おんな
)
の
子
(
こ
)
のマリちゃんが、
今
(
いま
)
ちょうど、
台所
(
だいどころ
)
で、
炉
(
ろ
)
の
前
(
まえ
)
に
立
(
た
)
って、
沸立
(
にえた
)
った
鍋
(
なべ
)
をかき
廻
(
まわ
)
しているお
母
(
かあ
)
さんのそばへ
来
(
き
)
ました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
僕ハ僕ノ嫉妬カラソンナ風ニ気ガ
廻
(
まわ
)
ルノカト思ッテ、ソノ考エヲ努メテ打チ消シテイタノデアルガ、ヤハリソウデハナサソウデアル。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし
其処
(
そこ
)
まで出ることは出られたが、数年前まで其処にごとごとと音立てながら
廻
(
まわ
)
っていた古い水車はもう
跡方
(
あとかた
)
もなくなっていた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ミハイル、アウエリヤヌイチは
一人
(
ひとり
)
して
元気
(
げんき
)
よく、
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
町
(
まち
)
を
遊
(
あそ
)
び
歩
(
ある
)
き、
旧友
(
きゅうゆう
)
を
尋
(
たず
)
ね
廻
(
まわ
)
り、
宿
(
やど
)
には
数度
(
すうど
)
も
帰
(
かえ
)
らぬ
夜
(
よ
)
があった
位
(
くらい
)
。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
夏は
我儕
(
われら
)
も家なンか厄介物を捨てゝしもうて、野に寝、山に寝、日本国中世界中乞食して
廻
(
まわ
)
りたい気も起る。夏は乞食の天国である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
彼はホテルの十日間を、何の
屈託
(
くったく
)
もなく、
腕白小僧
(
わんぱくこぞう
)
の様にほがらかに暮した。ホテルのボートを借りて湖水を
漕
(
こ
)
ぎ
廻
(
まわ
)
るのが日課だった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
とある夕ぐれのことであった、情知らぬ獄吏に導かれて村中引き
廻
(
まわ
)
しにされた上、この岡の上で
惨
(
いた
)
ましい
処刑
(
しおき
)
におうたということ。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
係員が小箒で真中へ集めにかかると、山川は蝶の鱗粉のように軽々と舞いあがり、一人一人の鼻の孔へ、丁寧に形見分けをして
廻
(
まわ
)
った。
蝶の絵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
すると、百姓は
名残
(
なご
)
り惜しそうに、箱をガタガタ両手でゆすぶってみたり、箱の裏側へなんということもなしに
廻
(
まわ
)
ってみたりする。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
したがってそのまわりには、わが地球同様の遊星が、これまた何百万、何千万と無数にあって、自分で太陽のまわりを
廻
(
まわ
)
っているのだ。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かの女はこんな出来上った美丈夫が、むす子の友達だなんて信じて好いのかと思った。むす子を片手で
掴
(
つか
)
んで振り
廻
(
まわ
)
しそうにも思えた。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私は何のために古典の地をうろつき
廻
(
まわ
)
っているのか。秋晴れの
斑鳩
(
いかるが
)
の里を歩みながら、ふと私はかような疑念にとらえられるのである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
「私? 私はね、そうね——裏二階がいいわ——
廻
(
まわ
)
り
椽
(
えん
)
で、加茂川がすこし見えて——三条から加茂川が見えても好いんでしょう」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
停車場
(
ステーション
)
で車を
僦
(
やと
)
って
家
(
うち
)
へ急ぐ途中も、何だか気が
燥
(
いら
)
って、何事も落着いて考えられなかったが、
片々
(
きれぎれ
)
の思想が頭の中で狂い
廻
(
まわ
)
る中でも
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ちょっとした
石瓦
(
いしかわら
)
のような仏様の
破片
(
かけ
)
でもあると必ず右へ
指
(
さ
)
して
廻
(
まわ
)
って行く。それは決して悪い事ではない。これには
因縁
(
いんねん
)
があります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「葉子さんおはよう!」光子はわざと意地悪く葉子の前へ
突立
(
つった
)
ってお辞儀をした。そして「葉子さん、今日は
廻
(
まわ
)
り道をしていらしたのね」
先生の顔
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
此邊
(
このへん
)
までは
能
(
よ
)
く
來
(
く
)
るのだ。
迂路
(
うろ
)
つき
廻
(
まわ
)
るので
既
(
すで
)
に三
里
(
り
)
以上
(
いじやう
)
歩
(
ある
)
いたに
關
(
かゝは
)
らず、一
向
(
かう
)
疲勞
(
ひらう
)
せぬ。
此時
(
このとき
)
既
(
すで
)
に
打石斧
(
だせきふ
)
十四五
本
(
ほん
)
を
二人
(
ふたり
)
で
拾
(
ひろ
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
探検実記 地中の秘密:05 深大寺の打石斧
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
ボタン一つ押し、ハンドルを
廻
(
まわ
)
すだけですむことを、一日中エイエイ苦労して、汗の結晶だの勤労のよろこびなどと、馬鹿げた話である。
堕落論〔続堕落論〕
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
地球の形を重力分布から出すのは
廻
(
まわ
)
り遠いようであるが、その
巧
(
うま
)
い点は、重力というものが非常に精密に測り得るところにある。
地球の円い話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
女は、ぐずぐずと迷うようにあたりを眺めながら、こんどは小刻みに小さな
環
(
わ
)
を描いて、未練げに道の同じ場所をゆっくりと
廻
(
まわ
)
っていた。
待っている女
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
それから、
踊
(
おど
)
れといえば
踊
(
おど
)
るし、
坐
(
すわ
)
れといえば
坐
(
すわ
)
るし、人形はいうとおりに
動
(
うご
)
き
廻
(
まわ
)
るのです。甚兵衛は
呆
(
あき
)
れ
返
(
かえ
)
ってしまいました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その
間
(
あいだ
)
、頭の
中
(
うち
)
には、まあ、どんな物があったろう。夢のような何とも知れぬ苦痛の感じが、車の輪の
廻
(
まわ
)
るように、頭の
中
(
なか
)
に動いていた。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
酔の
廻
(
まわ
)
った頭に、ものを考えるのが
億劫
(
おっくう
)
になって来ると、結局落着く先は、いつもの「イグノラムス・イグノラビムス」である。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
プラットフォオムには給仕がパンや
珈琲
(
コオフィイ
)
を持って駈け
廻
(
まわ
)
っている。旅客の中には、ここで下車するものもある。人の呼び交す声が
喧
(
かまびす
)
しい。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
愈
(
いよい
)
よ
今夕
(
こんせき
)
、侯の
御出立
(
ごしゅったつ
)
と
定
(
き
)
まり、私共はその原書を
撫
(
なで
)
くり
廻
(
まわ
)
し誠に親に
暇乞
(
いとまごい
)
をするように
別
(
わかれ
)
を
惜
(
おし
)
んで
還
(
かえ
)
したことがございました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
あなたが災難にあっているのに、何にもしてやれない自分がはがゆく、ぐるぐるデッキを
廻
(
まわ
)
り歩きました。黒い海だった。走る波でした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
この時鍋の中のオートミルを
掻
(
か
)
き
廻
(
まわ
)
してはいけません。そのままそうっと湯煎にすると柔くなりますからそこで塩を加えて味をつけます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
と、そこでかれの
半信半疑
(
はんしんはんぎ
)
が、やおら、
腕
(
うで
)
ぐみとなって、まじりまじりと
落着
(
おちつ
)
かない目で、
小文治
(
こぶんじ
)
と龍太郎の顔色を読み
廻
(
まわ
)
して
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あちこち
駈
(
か
)
け
廻
(
まわ
)
り枠なぞを倒し、紙の張りある板何枚かをひっくり返して、その一枚を画架に載せ、箪笥を引開け、チョオクの入れある箱を
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
青幇の金儲けの中で碼頭
廻
(
まわ
)
りというのがある。一寸仕事もなく暇ばかりで遊ぶのにも困るという時分に、
揚子江
(
ようすこう
)
流域の碼頭遊歴と出かける。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
那
(
そん
)
な大木のあるのは
蓋
(
けだ
)
し
深山
(
しんざん
)
であろう、
幽谷
(
ゆうこく
)
でなければならぬ。
殊
(
こと
)
にこれは
飛騨山
(
ひだやま
)
から
廻
(
まわ
)
して来たのであることを聞いて居た。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
持ち前で
眉根
(
まゆね
)
をしかめていた。漠然と横目を流した掴みどころのない表情で、
癇
(
かん
)
の立った馬の背に乗ってぐるぐる
廻
(
まわ
)
っていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
そして、飲みなれぬ酒は中田の頭をすっかり
掻
(
か
)
き
廻
(
まわ
)
してしまったらしく、
頸
(
くび
)
をかしげる度に頭の中で脳髄が、コトコトと転がるように感じた
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
どうして一緒にやらないのさ、野伏と一緒だからやきを
廻
(
まわ
)
しているのねと、すては密林がそよともしない
山凪
(
やまなぎ
)
の中でいった。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それから、ガンたちはすこし
廻
(
まわ
)
り道をして、
一月
(
ひとつき
)
ばかりたった十一月の八日に、いよいよヴェンメンヘーイに近づきました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
私はいつもこの夜警が
廻
(
まわ
)
って来ると家のなかへはいってしまうことにしていた。夜中おそく物干しへ出ている姿などを私は見られたくなかった。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
彼らはいずれも(たかがへぼ新聞記者が)といったような、お客を充分みくびった顔をしてよそよそしい世辞笑いをしながらお
酌
(
しゃく
)
をして
廻
(
まわ
)
った。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
廻
(
まわ
)
れ/\
水車
(
みづぐるま
)
を
小音
(
こおん
)
に
唱
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
す、
美登利
(
みどり
)
は
衆人
(
おほく
)
の
細螺
(
きしやご
)
を
集
(
あつ
)
めて、さあ
最
(
も
)
う一
度
(
ど
)
はじめからと、これは
顏
(
かほ
)
をも
赤
(
あか
)
らめざりき。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
口
(
くち
)
でそういわれても、
勝手
(
かって
)
を
知
(
し
)
らない
暗
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
では、
手探
(
てさぐ
)
りも
容易
(
ようい
)
でなく、
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
は
破
(
やぶ
)
れ
畳
(
たたみ
)
の
上
(
うえ
)
を、
小気味悪
(
こきみわる
)
く
這
(
は
)
い
廻
(
まわ
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それからまわりがまっ
蒼
(
さお
)
になって、ぐるぐる
廻
(
まわ
)
り、とうとう達二は、
深
(
ふか
)
い草の中に
倒
(
たお
)
れてしまいました。牛の白い
斑
(
ぶち
)
が
終
(
おわ
)
りにちらっと見えました。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
看護婦の杉野さんは泣く。梅やはどたばた走り
廻
(
まわ
)
る。たいへんな騒ぎだった。兄さんは、知らぬ振りして勉強していた。僕は、気が気でなかった。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ではあちらでもなくこちらでもなく、好きなほうへ進ませようとすると、ただぐるぐると同じ水面を
廻
(
まわ
)
るだけで、どっちへも進まないのであった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
別格を以て重く用いても好いといって、懇望せられたので、諸家を
廻
(
まわ
)
り
草臥
(
くたび
)
れた五百は、この家に仕えることに
極
(
き
)
めた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そうすると蒸気がはげしい勢で球にはいって、それから出口から噴き出るのにつれて、球はぐるぐる
廻
(
まわ
)
り出すのです。
ジェームズ・ワット
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
入
(
い
)
る
船
(
ふね
)
停泊
(
とゞま
)
つて
居
(
ゐ
)
る
船
(
ふね
)
、
其
(
その
)
船々
(
ふね/″\
)
の
甲板
(
かんぱん
)
の
模樣
(
もやう
)
や、
檣上
(
しやうじやう
)
に
飜
(
ひるがへ
)
る
旗章
(
はたじるし
)
や、また
彼方
(
かなた
)
の
波止塲
(
はとば
)
から
此方
(
こなた
)
へかけて
奇妙
(
きめう
)
な
風
(
ふう
)
の
商舘
(
しやうくわん
)
の
屋根
(
やね
)
などを
眺
(
なが
)
め
廻
(
まわ
)
しつゝ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
世間の
氏上家
(
うじのかみけ
)
の
主人
(
あるじ
)
は、大方もう、石城など築き
廻
(
まわ
)
して、大門小門を
繋
(
つな
)
ぐと
謂
(
い
)
った要害と、装飾とに、興味を失いかけて居るのに、何とした自分だ。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
長閑
(
のどか
)
に一服吸うて線香の煙るように
緩々
(
ゆるゆる
)
と煙りを
噴
(
は
)
き
出
(
いだ
)
し、思わず知らず
太息
(
ためいき
)
吐
(
つ
)
いて、多分は
良人
(
うち
)
の手に入るであろうが憎いのっそりめが
対
(
むこ
)
うへ
廻
(
まわ
)
り
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
僕等は
芒
(
すすき
)
の穂を出した中を「悠々荘」の
後
(
うし
)
ろへ
廻
(
まわ
)
って見た。そこにはもう
赤錆
(
あかさび
)
のふいた
亜鉛葺
(
とたんぶき
)
の
納屋
(
なや
)
が
一棟
(
ひとむね
)
あった。
悠々荘
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
僅
(
わず
)
か五丁もの道の間には、
火葬場
(
かそうば
)
や大根畑や、墓や
杉
(
すぎ
)
の森を
突切
(
つっき
)
らない事には、大変な
廻
(
まわ
)
り道になるので、私達は引越しの代を
倹約
(
けんやく
)
するためにも
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
さて、
寒
(
さむ
)
さは
日々
(
ひび
)
にひどくなって
来
(
き
)
ました。
子家鴨
(
こあひる
)
は
水
(
みず
)
が
凍
(
こお
)
ってしまわない
様
(
よう
)
にと、しょっちゅう、その
上
(
うえ
)
を
泳
(
およ
)
ぎ
廻
(
まわ
)
っていなければなりませんでした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
廻
漢検準1級
部首:⼵
9画
“廻”を含む語句
引廻
廻廊
見廻
輪廻
迂廻
掻廻
廻転
一廻
振廻
手廻
立廻
駈廻
追廻
取廻
巡廻
馬廻
役廻
大迂廻
小取廻
仕廻
...