工場こうじょう)” の例文
あおい、うつくしいそらしたに、くろけむりがる、煙突えんとつ幾本いくほんった工場こうじょうがありました。その工場こうじょうなかでは、あめチョコを製造せいぞうしていました。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今や工場こうじょう煤烟ばいえんと電車の響とに日本晴にほんばれの空にもとんびヒョロヒョロの声まれに、雨あがりのふけた夜に月は出ても蜀魂ほととぎすはもうかなくなった。
主人は近所の工場こうじょうか何かへつとめに行った留守るすだったと見え、造作ぞうさくの悪い家の中には赤児あかご乳房ちぶさを含ませた細君、——彼の妹のほかに人かげはなかった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あの美しい湖や、岸ぞいの黄色の山々や、マッチ工場こうじょうのあるエンチェーピングや、ムンク湖を思いだしてごらん。
諭吉ゆきちは、電信でんしんや、めっき工場こうじょう、さとうの製造所せいぞうしょなどもみてまわりましたが、みなほんでよんでいることばかりなので、そのしくみにはさほどおどろきませんでした。
だい二の容疑者ようぎしゃは、金属きんぞくメッキ工場こうじょう技師ぎしけん重役じゅうやくであり、中内忠なかうちただしという工学士こうがくしだつたが、この人物じんぶつは、刈谷老人かりやろうじん高利こうりかねりていて、かなりくるしめられていたはずである。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
要吉の家では、その桃を、問屋とんやや、かんづめ工場こうじょうなどに売ったお金で一年中のくらしをたてていたのです。夏のさかりになると、紙袋の中で、水蜜桃は、ほんのりとあかく色づいていきます。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
たくさんの煙突えんとつから、くろけむりがっていて、どれがむかし自分じぶんたちのあめチョコが製造せいぞうされた工場こうじょうであったかよくわかりませんでした。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
工場こうじょうの東にあたる、じつにすばらしい場所ばしょに、エンチェーピング市があります、細長ほそながいヴェッテルンの東がわと西がわには、高くてけわしい砂丘さきゅうがあります。
老人ろうじん毒殺どくさつもちいられた青酸加里せいさんかりが、うちの工場こうじょうにもあるつてことを、わたしくちからわせようとしているんでしよう。ハッハッハ、たしかにあります。しよつちゆう使つかつていますよ。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
工場こうじょうだね。」と、友吉ともきちが、ぎてから、いいました。いつしか、二人ふたり自転車じてんしゃは、青々あおあおとした、麦畑むぎばたけあいだみちはしっています。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのつぎには、ガンたちは、ヴェッテルンの岸べにある、有名ゆうめいなマッチ工場こうじょうの上を飛びました。とりでのように大きな工場で、たくさんの煙突えんとつが、空高くきでていました。
工場こうじょうでやるメッキは、どんな種類しゅるいのものですか」
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
新開地しんかいちにできた工場こうじょうが、ならって二つありました。一つの工場こうじょう紡績工場ぼうせきこうじょうでありました。そして一つの工場こうじょうは、製紙工場せいしこうじょうでありました。
ある夜の星たちの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
病気びょうきにかかって、いままでのように、よくはたらけなくなると、工場こうじょうでは、この若者わかものに、かねはらってやとっておくことをこころよくおもいませんでした。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いまごろ、むすこは工場こうじょうで、はたらいているだろう。」と、とおくの煙突えんとつから、しろけむりのぼるのをて、かのじょおもいました。
かざぐるま (新字新仮名) / 小川未明(著)
なにしろ寄進きしんかねで、できるのだそうだから、このまち工場こうじょうでも、職工しょっこうにいいつけて、ねんをいれてつくっているということだ。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
息子むすこは、これをバルコニーにしておきました。そこからは、都会とかいのいろいろな工場こうじょうからがるけむりくろくなってられました。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおや死後しご少年しょうねんは、労働者ろうどうしゃとなって、工場こうじょうはたらきました。運命うんめいは、いろいろに、もてあそんだ。かれは、機械きかいれて、不具者ふぐしゃになりました。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いま、二つの工場こうじょう煙突えんとつが、たがいに、どちらが毎日まいにちはやるかといって、いいあらそっているのです。」といいました。
ある夜の星たちの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
工場こうじょう主人しゅじんは、まあ、しばらくいてみようといって、そのままにしておきました。とりたちは、あさから、ばんまでおしゃべりをしていました。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
授業じゅぎょうやす時間じかんに、廊下ろうかると、かべには少年工募集しょうねんこうぼしゅう工場こうじょうのビラがられていました。時勢じせいは、いまや少年群しょうねんぐん進出しんしゅつけているのでした。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
「二つの煙突えんとつが、どちらの工場こうじょう汽笛きてきはやいか、だれか、裁判さいばんするものをほしがっています。」と、やさしいほしは、みんなにかっていいました。
ある夜の星たちの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、社用しゃようで、方々ほうぼう会社かいしゃや、工場こうじょう訪問ほうもんします。そして、いくにんとなく情味じょうみのゆたかなひとたちとあいました。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あちらにえるたか煙突えんとつは、まちのお湯屋ゆやか、それとも工場こうじょう煙突えんとつらしく、くろけむり早春そうしゅん乳色ちちいろそらへ、へびのようにうねりながらがっていました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぶどういろそられて、ボーウと、サイレンがりひびきました。これから、工場こうじょうでは、夜業やぎょうがはじまるのです。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
まち問屋とんやや、工場こうじょうや、会社かいしゃなどでは、まぐるしく、ひとたちがはたらいているあいだかれは、鼻唄はなうたをうたいながら、さもたのしそうに、美人びじん姿すがたいていました。
生きている看板 (新字新仮名) / 小川未明(著)
数年すうねんのちには、そのまちはりっぱにできあがりました。そして、煙突えんとつからは、くろけむりながれていました。工場こうじょうや、製造場せいぞうじょうなどが、いくつもてられました。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あのくろい、けむりっている建物たてものは、あめチョコの製造せいぞうされる工場こうじょうだな。なんといい景色けしきではないか。とおくにはうみえるし、あちらにはにぎやかなまちがある。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、自分じぶんも、むらにいたくなくて、まち工場こうじょうはたらいたのですが、戦争せんそうがおわったけど、むらかえがしなくて、こんなことをするようになったのです。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すみも、煉炭れんたんも、じき、切符制度きっぷせいどとなって、ぼく仕事しごとがなくなるから、工場こうじょうか、会社かいしゃつとめようとおもっているのさ。」と、かえりに勇蔵ゆうぞうが、達吉たつきちはなしました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
汽笛きてきって、工場こうじょうもんをでるころには、西にしやまはいるのでありました。ふと、達夫たつおあるきながら
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆうべのこと、むすこは、工場こうじょうからかえると、やぶれた仕事服しごとふくのポケットをさぐり、かねをとりして
かざぐるま (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、工場こうじょうまどからはあおふく職工しょっこうさんやしろいエプロンの女工じょこうさんたちが、かおして、ハンカチをるもの、げるもの、とおくからこちらまでひびくように
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
おおきなもんだそうだ。工場こうじょうでは、どこでもつくりがないというので、このまちへあつらえにきた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
なるほど外観がいかんからいえば、このしゅまちや、工場こうじょうや、農園のうえんは、としてても、手近てぢかなものであるにちがいない。問題もんだいは、そのまちや、むらはたらいているひとたちのことだ。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼女かのじょは、ある工場こうじょうまえでは、おおくの女工じょこうはたらいているのだとおもいました。また、鉄槌てっついひびいてくる工場こうじょうては、おおくのおとこ労働者ろうどうしゃはたらいているのだとおもいました。
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただ、たねだけは、いつかえ、そのはのびるものです。少年しょうねんは、おおきくなってから、このまち工場こうじょうはたらいて、正義せいぎ自由じゆうのために、たたかうとなりました。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
このかわのふちは、一たい貧民窟ひんみんくつんでいて、いろいろの工場こうじょうがありました。どの工場こうじょうまどあかくなって、そのなかからは機械きかいおとなくこえてきました。
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夕暮ゆうぐがたひかりけて、そのとうは、なぞのように、白壁しらかべや、煙突えんとつや、その工場こうじょう建物たてものや、雑然ざつぜんとした屋根やねなどがえる、まちなかにそびえて、そこらを見下みおろしていました。
黒い塔 (新字新仮名) / 小川未明(著)
貨店かてんにあるような、あかあおみどりつめたくきとおるさらや、コップなどを製造せいぞうするガラス工場こうじょう光景こうけいとか、忽然こつぜんそれがえると、こんどは、たか煙突えんとつからくろけむりなが
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
工場こうじょう主人しゅじんは、からすをやはりきれいなかごにいれて、のおうむや、いんこなどとならべて、縁側えんがわにかけました。からすがうたをうたうのをくのをたのしみにしていました。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
まち工場こうじょうへは、まだくまいとおもっていた瞬間しゅんかんに、トロッコが脱線だっせんして、異様いようおとをたてたかとおもうと、こちらへすべってきてすぎの若木わかぎのかたわらにひっくりかえったので
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
主人しゅじんも、まだ老人ろうじんとはいえぬながら、もはや工場こうじょうへいってはたらけるとしではなく、さればといって、ぼんやり、そのらすにもなれず当惑とうわくしていると、ちょうど総選挙前そうせんきょまえ
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たぶん、せがれが、工場こうじょうやす時間じかんいたものとみえ、工場こうじょう用箋ようせん使つかってありました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
からすは、宿屋やどや主人しゅじんから金持かねもちへられました。金持かねもちというのはある工場こうじょうぬしでした。うちにはおうむやいんこなどが、きれいなかごのなかにいれてわれていました。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
地方ちほうちいさなまちといっても、工場こうじょうでは、機械きかい運転うんてんをして、人々ひとびとはせっせとはたらいていたし、またほかの商店しょうてんでは、一せんせんあらそって、生活せいかつのためには、血眼ちまなこになっていたからでした。
生きている看板 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あか夕空ゆうぞらしたに、工場こうじょう煙突えんとつがたくさんたっている、近代的きんだいてきまち風景ふうけいとか、だいだいいろ太陽たいようえるおかに、光線こうせんなみうつ果樹園かじゅえんとか、さもなければ、はてしない紺碧こんぺきうみをいく
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてとうとうあるのこと、若者わかものひまをやって工場こうじょうからしてしまったのです。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「こちらで、戦争せんそうにいくまで、はたらいていた工場こうじょうは、どうなったかと、すぐにいったのだが、あたりは、まったく野原のはらになっていた。しかたがない、これから、いなかへかえるよ。」
春さきの朝のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)