“夜着:よぎ” の例文
“夜着:よぎ”を含む作品の著者(上位)作品数
三遊亭円朝6
夏目漱石5
芥川竜之介3
泉鏡花3
小川未明2
“夜着:よぎ”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸9.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
京都ではそでのある夜着よぎはつくらぬものの由を主人からうけたまわって、京都はよくよく人を寒がらせる所だと思う。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
暗いなかをなお暗くするために眼をねむって、夜着よぎのなかへ頭をつき込んで、もうこれぎり世の中へ顔が出したくない。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夜着よぎ赤い友染ゆうぜん、などといったものが現われて来るのだ、そして裸の女が立っていれば如何にも多少気がとがめる事になる
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
寢息ねいきもやがて夜着よぎえりしろ花咲はなさくであらう、これが草津くさつつねよるなのである。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
薪を入れ足し、夜着よぎを直して、今は私を見つめる力もなくなつて了つてゐる彼女をしばらく私は眺めてから、窓際の方へ歩いて行つた。
まだねむりがまぶたにのこっていて、かお夜着よぎのえりにめたままみみをすましていました。
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夜着よぎを掛けるとおますは重い夜着や掻巻かいまきを一度にはね退けて、蒲団の上にちょんと坐り、じいッと伴藏の顔をにらむから、
「これでもう天井の落ちる心配もなくなつた。」書庫が出来上ると、犬養氏は夜着よぎのなかで、安心してかはづのやうに両脚を踏み延ばした。
彼はともかくも二日酔の魔を払い落してからの事だと決心して、急に夜着よぎぐってね起きた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
玄庵げんあんは、夜着よぎしたれて、かるく菊之丞きくのじょう手首てくびつかんだままくびをひねった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
すべ肌着はだぎ日々ひゞあらひ、夜着よぎは六七にちごとすべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
夜着よぎえりよごれていた。旅のゆるやかな悲哀ひあいがスウイトな涙をさそった。かれはいつかかすかにいびきをたてていた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ひどく寒い、もそっと掛けろよと御意があると、綿の厚い夜着よぎを余計に掛けなければなりません。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……何でもその時に女中部屋の時計がコチーンコチーンと二時を打つのを夜着よぎの中で聞いたというがね
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
夜着よぎの袖をはねて、懐中から出した匕首を布団の下にはさんで、足で踏んで鞘を払いながら、
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そこへ、優しい聲をして玉が來て、渠の夜着よぎの裾へもぐり込まうとしたので、渠は氣味が惡くなり、
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
お蓮は酒臭い夜着よぎの襟に、冷たいほおうずめながら、じっとその響に聞き入っていた。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
待ちかねた細君はいきなり布団ふとんをまくって夜着よぎを畳んで、例の通り掃除をはじめる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
きぬ脱ぎかえてころりと横になり、夜着よぎ引きかぶればあり/\と浮ぶおたつの姿、首さしいだしてをひらけば花漬、とずればおもかげ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「そんなに言わなくても今起きる」と夜着よぎ袖口そでぐちから答えたのは奇観である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ふともたげてみた夜着よぎうらはなはだしく色褪いろあせてゐるのも、すべてがみなわたしむかつてきてゐる——このとし
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
もと夜着よぎへこそこそはいつて、寝るより早く其処そこを立ち退
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
写真で、被害者がよく太っていることと、夜着よぎが畳んだままになっているのを見たとき、被害者がお湯に行ったことと考え合わせて、按摩を雇ったのでないかと思いました。
現場の写真 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
と云ったきり、涙をぽろ/\こぼしているばかりであったが、父もまり悪そうに下を向いて何も云わず、こそ/\と部屋へ逃げ込んで、夜着よぎに顔を埋めてしまった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
冬川は千鳥ぞ来啼きな三本木さんぼんぎべにいうぜんの夜着よぎほす縁に
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
さむくなった。今年ことし夜着よぎつくらねばなるまい。」
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのまた位牌を据えた机の前には娘たちが二人夜着よぎをかぶっていた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
何うした事かと女の廻り気で種々いろ/\と考えて居りまする、其のうち灯火あかりがつきますと、長治が屏風を立廻し、山風で寒いからと小掻巻こがいまき夜着よぎを持運び
そんなことを思う傍らで、まだ移転ひっこしの日のつづきを思い出しているのだった。翌日に着いた泡鳴の荷物は、荷車に二台の書籍と、あとは夜着よぎと、鉄の手焙てあぶりだけだった。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
夜着よぎもまくらも、寝台しんだいからころげおちていました。
しら綾に鬢の香しみし夜着よぎの襟そむるに歌のなきにしもあらず
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
お照は夜着よぎかぶって向うを向いて寝てしまいます。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
手早く夜着よぎを揚げんとすれば、払退はらひのけて、
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
匂って来たのだ。あの匂いが、女の匂いが、あの夜追われて、かくれて、はからずも嗅いだ肌の匂いが、髪の匂いが、女の移り香が、枕からか、夜着よぎえりからか、かすかに匂って来たのである。
流行暗殺節 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
十一月の事で寒いから二つの布団の上に小蒲団を敷き、藤掛鼠ふじかけねずみ室着へやぎの上へぬいもようの掻巻袍かいまきどてらを羽織り、寒くなると夜着よぎをかける手当が有りまする。
かう言ひながら、時々思ひ出したやうにかねを鳴らしたものだ。媼さんはお蔭で亡くなつた爺さんが浄土に生れ代つたもののやうに涙を流して喜んだ。そして暖いかゆと暖い夜着よぎとを恵んでくれた。
われもさあらむと思はざりしにもあらざりき。いまはたしかにそれよと疑はずなりて、のたまふままにうなずきつ。あたりのめづらしければ起きむとする夜着よぎの肩、ながくやわらかにおさへたまへり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
夜着よぎみぢかしながし。
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
藤十郎の心にそうした、物狂わしい颷風ひょうふうが起っていようとは、夢にも気付かないらしいおかじは押入れから白絖しろぬめ夜着よぎを取出すと、藤十郎の背後に廻りながら、ふうわりと着せかけた。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
余は夜着よぎの中に耳の根まで隠した。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そこで孔生は泊ることにして少年とねだいをともにして寝たが、朝になってまだうす暗いうちに僮子こぞうが来て炭火を室の中できだしたので、少年はさきに起きて内寝いまへ入ったが、孔生はまだ夜着よぎにくるまって寝ていた。
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「被害者は、枕のある方に足をのばし、夜着よぎの畳んである方に頭を向けて、うつぶしになっております。これは犯人が、被害者の座っている後ろから抱きついて短刀で心臓部を刺し、それから、背部を手で突いて前方へつんのめらせたものです」
現場の写真 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「どういたしまして、燃えるような緋縮緬ひぢりめん夜着よぎがありますよ」二人の洋盃コップにビールが無くなっているので、山西はかわりを注文して、それに口をけながら、「もう十日待てよ、うらやましいところを見せてやるから」
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
昨夜ゆふべの収めざるとこの内に貫一は着のまま打仆うちたふれて、夜着よぎ掻巻かいまきすそかた蹴放けはなし、まくらからうじてそのはし幾度いくたび置易おきかへられしかしらせたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と、ふと昼間見た絵本の天狗が酒宴を開いている所を憶出して、阿爺おとっさんが天狗になってお囃子はやしってるのじゃないかと思うと、急に何だか薄気味うすきび悪くなって来て、私は頭からスポッと夜着よぎかむって小さくなった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それでも親の慈悲や兄のなさけうかして学校へもく様に真人間にしてりたいと思へばこそ性懲しやうこりけよう為に、昨夜ゆうべだつて左様さうだ、一晩裸にして夜着よぎせずに打棄うつちやつて置いたのだ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
思へば好事よきことには泣くとぞふなる密閉室あかずのまの一件が、今宵誕辰たんしんの祝宴に悠々いう/\くわんつくすをねたみ、不快なる声を発してその快楽を乱せるならむか、あはれむべしと夜着よぎかぶりぬ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……もっとも甘谷も、つい十日ばかり前までは、宗吉と同じ長屋に貸蒲団の一ツ夜着よぎで、芋虫ごろごろしていた処——事業の運動に外出そとでがちの熊沢旦那が、お千さんの見張兼番人かたがた妾宅の方へ引取って置くのであるから、日蔭ものでもお千は御主人。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)