ひめ)” の例文
やがて、そのものは、かえりました。おちになっていたおひめさまは、どんなようすであったかと、すぐにおたずねになりました。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
するとこのおかあさんは、すこしいじのわるい人だったものですから、おひめさまのために自分じぶんがしかられたのをたいそうくやしがりました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これならばひめるにちがひない、きっと自分じぶんひめのお婿むこさんになれるだらうなどゝかんがへて、おほめかしにめかしんでかけました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
松はつらいとな、人ごとに、みないは根の松よ。おおまだ歳若な、ああひめ小松こまつ。なんぼ花ある、うめもも、桜。一木ざかりの八重一重……。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「おさないひめたちが、このあいだから風邪かぜなやんでいる。奥もきょうはそれで祈祷いのりにまいった。アレは昔からその宗門しゅうもんでもあった」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じっさい、その子についても、十四になったら、王さまのおひめさまをおよめさんにもらうだろう、という予言よげんをしたものもあるんですよ。
待給まちたま諸共もろともにのこヽろなりけん、しのたまはりしひめがしごきの緋縮緬ひぢりめんを、最期さいごむね幾重いくへまきて、大川おほかわなみかへらずぞりし。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
機会きかいわたくしはそうしました。するとひめはしばらく凝乎じっかんがまれ、それからようやくちびるひらかれたのでございました。——
このおそろしいおくりものは、身ぶるいの出るほど、みんなをびっくりさせて、たれもおひめさまのために泣かないものはありませんでした。
眠る森のお姫さま (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
下界げかいものとしてはあま靈妙いみじい! あゝ、あのひめ女共をんなども立交たちまじらうてゐるのは、ゆきはづかしい白鳩しらはとからすむれりたやう。
よく朝、巨男おおおとこをさましてみると、ふたりの女は、黒い鳥に、おひめさまは白鳥にかわっていました。それは、魔女まじょが、魔法まほうでそうしたのです。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
この天皇の御世に皇后いわひめの命の御名の記念として葛城部をお定めになり、皇太子イザホワケの命の御名の記念として壬生部をお定めになり
錦葉にしきばみのて、きざはしはしらぢて、山々やま/\谷々たに/″\の、ひめは、上﨟じやうらふは、うつくしきとりつて、月宮殿げつきうでんあそぶであらう。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御男子四人は四方へながされ玉ふ、是も時平が毒舌どくぜつによれり。ひめたちは都にとゞまりをさなきはふたり筑紫へしたがへ給へり。
日暮れて食堂に招かれ、メエルハイムとともにゆくをり、「この家に若きひめたちの多きことよ、」と問ひつるに。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
行ってみると、くすのきの大木の森の中に葛の葉稲荷いなりほこらが建っていて、葛の葉ひめの姿見の井戸と云うものがあった。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
二上の寿詞よごともある処だが……。いつひめもいや、人の妻と呼ばれるのもいや——で、尼になる気を起したのでないかと思ひ当ると、もう不安で不安でなう。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
もし重盛しげもり命乞いのちごいをしなかったら、女や幼い者さえものがれることができなかったでしょう。奥方は若君とひめ君とをとものうて鞍馬くらまの奥に身をおかくしなされました。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
ひめさまは、波のあいだをただよう氷山の上に静かにこしをおろして、青いいなずまが、ジグザグに、ピカピカ光る海の面にきらめき落ちるのをながめていました。
さて、アラジンの住んでいる町にあるおしろの王さまのおひめさまは、大へん美しい方だということでした。
「うけてか」と片頬かたほめる様は、谷間のひめ百合ゆりに朝日影さして、しげき露のあとなくかわけるが如し。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それを見たオヤユビくんは、この鳥はきっと小さなおひめさまにちがいない、とまた思いました。
夜深く天より霊華れいかりて姉のひめの胸の上に止りしを、末の姫眼覚めさめてひそかにこれを取り、わが胸の上に載せたりしかば、ついに最も美しき早池峯の山を得、姉たちは六角牛と石神とを得たり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ねがへど、ひめことなしび、素知そしらぬけはひ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
ありか教へよ『しんひめ
信姫 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
わがしはいちひめ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
そしていきなりおひめさまにとびかかって、ただ一口ひとくちべようとしました。おひめさまはびっくりして、とおくなってしまいました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ひめさまは、その皇子おうじをまだごらんにならなかったばかりでなく、そのくにすら、どんなくにであるか、おりにならなかったのです。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「もしもわたくしがおひめさまよりあとまで生きておりましたら、お姫さまといっしょにはかのなかへはいらなければなりません。」
大和やまとくにのある山寺やまでら賓頭廬樣びんずるさままへいてあるいしはち眞黒まつくろすゝけたのを、もったいらしくにしきふくろれてひめのもとにさししました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
かかる艱苦かんく旅路たびじうちにありて、ひめこころささうるなによりのほこりは、御自分ごじぶん一人ひとりがいつもみことのおともきまってることのようでした。
ほしなほり、ほしひめつむり宿やどったら、なんとあらう! ひめほゝうつくしさにはほし羞耻はにかまうぞ、日光にっくわうまへランプのやうに。
なにしろ、あそこへは、まあ、世の中に、こんなきれいな人があるかと思うほど、美しいおひめさまが来なすったのだよ。
御男子四人は四方へながされ玉ふ、是も時平が毒舌どくぜつによれり。ひめたちは都にとゞまりをさなきはふたり筑紫へしたがへ給へり。
しかるに天若日子はその國に降りついて大國主の命のむすめ下照したてひめを妻とし、またその國を獲ようと思つて、八年たつても御返事申し上げませんでした。
りながら、君主との無禮なめなるにはさふらへども、ひめ殿との夫人ふじんとならせたまふまへに、餘所よそをつとさふらふぞや。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
流轉るてんうまはせては、ひめばれしこともけれど、面影おもかげみゆる長襦袢ながじゆばんぬひもよう、はゝ形見かたみ地赤ぢあかいろの、褪色あせのこるもあはれいたまし、ところ何方いづく
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
天二上あめのふたかみは、中臣寿詞なかとみのよごとにもあるし……。いつひめもいや、人の妻と呼ばれるのもいや——で、尼になる気を起したのでないか、と考えると、もう不安で不安でのう。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
一日ごとに、王子は、おひめさまが好きになりました。といっても、王子は、おとなしい、かわいい子供をかわいがるように、お姫さまをかわいがっていたのです。
お前は、いったいどうしたらなみだを流すのか? お前はいつなみだを流すのか? お前はなみだを流さなくては、いつまでたっても、おひめさまにはなれないのだよ、私はお前がかわいそうだ。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「きっと、どこかのおひめさまが、魔法まほうにかけられて姿をかえているんだな。」
有王 さる谷間にひめ君のおなきがらが見つかりました。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
ゆれど、ひめそらぎましぬ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
十三ひめがなゝ(ママ)米をまく
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
わがしはつぎひめ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
うつくしいおひめさまがいられて、いい音楽おんがく音色ねいろが、よるひるもしているということだ。」と、また一人ひとり旅人たびびとがいっていました。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
宰相殿さいしょうどのはなおなおおおこりになって、一寸法師いっすんぼうしにいいつけて、おひめさまをお屋敷やしきからして、どこかとおところてさせました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
なぜって、おひめさまは、ひょっとしたら、王子おうじがねごとをいって、なぞのことでもいいあかしはしないだろうかと考えたのです。
さもなかったなら、木魂姫こだまひめてゐるその洞穴ほらあなくるほどに、また、あのひめうつろこゑわしこゑよりもしゃがるゝほどに、ロミオ/\とばうものを。
御存ごぞんじのとおひめのおやしろ相模さがみ走水はしりみずもうすところにあるのですが、あそこはわたくしえんづいた三浦家みうらけ領地内りょうちないなのでございます。