りょう)” の例文
旧字:
そのうち、やっと起きあがった警官けいかん加勢かせいにかけつけ、りょううでを水車みずぐるまのようにふりまわして、目に見えぬてきにおどりかかっていった。
「なに、仕事しごとぐらいやすんでも、金色こんじきうおったら千りょうになるんだ。そうすれば、一しょうなにもせんでらくらしてゆけるから。」
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と思うと——たたみまいほどはゆうにあるりょうつばさが、ウワーッと上へひろがって、白い腋毛わきげが見えたから、びっくりしたお小姓こしょうとんぼ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あれだ。おもしれえはどくだぜ。千きちいもうとのおせんをえさにして、若旦那わかだんなから、二十五りょうという大金たいきんをせしめやがったんだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
臼田君の家は下祖師ヶ谷で、小学校に遠からず、りょう角田君つのだくんは大分離れて上祖師ヶ谷に二軒隣り合い、石山氏の家と彼自身のうちは粕谷にあった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
飛石の上にりょうあしをそろえてきちんと立って四人つづいてっているのは面白おもしろい。向うの河原のを動かそう。かげのある石だ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その時蜑崎照文あまざきてるぶみふところより用意の沙金さきん五包いつつつみとりいだしつ。先ず三包みつつみを扇にのせたるそがままに、……三犬士さんけんし、このかねは三十りょうをひと包みとせり。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで、ひどい工面をして、やっと三りょうの金をこしらえた清兵衛は、いそいそと、領内の牧場へ馬を買いに出かけた。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
いや、これは、まったくすばらしいほんです。それを二十三りょうでおいになったなんて、ほんとうにほりだしものです。
あっちはくりの出る所でしてね。まあ相場がざっとりょうに四升ぐらいのもんでしょうかね。それをこっちへ持って来ると、しょうに一円五十銭もするんですよ。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「これは有難い、私も今りょう三日すると、満行になるが、急に往かねばならぬことになったから、手数てすうをかけた」
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と当って見ると、いやつまんだつめの方が黄色いくらいでござったに、しょうのものとて争われぬ、七りょうならば引替ひきかえにと言うのを、もッと気張きばってくれさっせえで
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、そう思返おもいかえしたものの、やはり失望しつぼうかれこころにいよいよつのって、かれおもわずりょう格子こうしとらえ、力儘ちからまかせに揺動ゆすぶったが、堅固けんご格子こうしはミチリとのおともせぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しわがれし声にて、よき火やとかすかに叫びつ、杖なげ捨てていそがしく背の小包を下ろし、りょうの手をまず炎の上にかざしぬ。その手は震い、そのひざはわななきたり。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
わたしのくちびるのりょうはしは、ひくひくとひっつれ、それがことにマレイの心をうったようです。
が、速度のついた列車が、機関車のブレーキ一つでさされないとすると、脱線だっせん転覆てんぷく……か。わずか二、三りょうではあるが、混合列車こんごうれっしゃのことなので客車も連結れんけつされている。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
わがきみをはじめ、一どうはしきりに舟子達かこたちはげまして、くる風浪ふうろうたたかいましたが、やがてりょうにんなみまれ、残余のこりちからつきて船底ふなぞこたおれ、ふねはいつくつがえるかわからなくなりました。
やがて先生ふくされ、予、近日の飲食いんしょく御起居ごききょ如何いかんと問えば、先生、左右さゆうの手をりょうそでのうちに入れ、御覧ごらんの通りきものはこの通り何んでもかまいませぬ、食物はさかなならび肉類にくるいは一切用いず
とつぜん彼のりょうの手首が、何者かによって、ぐっとにぎられたのであった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
りょうひじを開いて歎くのに
あと無かりけるきん二万りょう
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
なに面白おもしろくねえことがあるもんか。二十五りょうといやァ、おいらのような貧乏人びんぼうにんは、まごまごすると、生涯しょうがいにゃぶらがれない大金たいきんだぜ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「いよいよあの船へ、角鹿町つるがまち和唐屋わとうやから一まんりょうの銀を送りこみましたぜ。船積みするところまでたしかに見届みとどけてきました」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じっさい、どこもかしこも、人間にんげんばかりだというかんじがした。りょうがわのみせでは、たがいにおなじような品物しなものをならべて、競争きょうそうをしあっている。
アパートで聞いた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それを早くもさとったとは、さすがに三りょうで買った名馬、あっぱれ物の役に立つぞ。清兵衛せいべえ、そちは急ぎ陣中じんちゅうに防戦のしたくいたせと、どなって歩け
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
旦那だんなさん。百八十りょうやって下さい。俥はもうみしみし云っていますし私はこれから病院びょういんへはいります。」
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
このほんは、長崎ながさきれたオランダの築城書ちくじょうしょしろのつくりかたのほん)だ。めずらしいものじゃろうが。なにしろ、わずか二十三りょうったほりだしものだからな。
口の悪い「ふ」の字軒の主人などは、「何、すむやすまねえじゃねえ。あれは体に傷をつけては二百りょうにならねえと思ったんです。」と大いに異説をとなえていました。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
イワン、デミトリチはふとさまし、脱然ぐったりとした様子ようすりょうこぶしほおく。つばく。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かいもなくもなしに、浜松の幹に繋いで、一棟、三階立は淡路屋と云う宏壮な大旅館、一軒は当国松坂の富豪、池川の別荘、清洒せいしゃなる二階造、二見の浦の海に面した裏木戸のりょうあわい
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すごいといおうか、なんといおうか、いってもいっても、りょうがわには人間のよりも高いあしやかやがびっしりとしげっているばかりで、人間くさいものなんか一つもありはしない。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
なにをいいふくめられたか、蛾次郎がじろうは、卜斎ぼくさいから、銀鋲ぎんびょうのスペイン短銃たんじゅうと一りょうほどの金子きんすをもらって、すっかり仕事をのみこんでしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みなみくにへさえってゆけば、一つがいくりょうにもなる品物しなものばかりだ。これをやるのはしい。こんなに高価こうかなものをおれいにする必要ひつようはないのだ。
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほかもののぞんだら、百りょうでもゆずれるしなじゃねえんだが、相手あいてがおせんにくびッたけの若旦那わかだんなだから、まず一りょうがとこで辛抱しんぼうしてやろうとおもってるんだ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その様子があまりまじめなので、あきれかえった友だちは、しまいには、ひやかすのをやめたが、いつしか三両でやせ馬を買ったというところから「三りょう清兵衛せいべえ」のあだなをつけられてしまった。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
そしてりょうに、足もとの土をすくい取り、それを持ったまま彼方へ向って歩きだした。前栽せんざいから大庭へ入ったひだりに、まろい山芝の築山がある。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これが千りょう値打ねうちのあるほとけさまですか。」と、なかには、おそるおそる近寄ちかよってながめるひとたちもあったのです。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あのたなのなかほどのふる仏像ぶつぞうですか、おまけして、五りょうでよろしゅうございます。」と、番頭ばんとうは、こたえました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
で、おぐしのものや何やかや細工類さいくるいに金目なものがございましたので、剰余あまり金じゅうりょうしゅほどお渡しいたしました
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「五りょう?」と、おとこはいって、みみうたがいました。千りょう……千三百りょう……が、五りょう? きっとこの番頭ばんとう盲目めくらなのだ。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
りょうすだれを下ろしてスッと身を隠してしまった。そして駕がゆれだすとともにフラフラと軽い目まいをおぼえ、まだ残る男の匂いが気持わるくこびりついた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、もし、金色こんじきうおがここにいる三にんのだれかにかかったら、千りょうもうけて三にんけることにしよう。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ふいに、しかもりょうがかりの車輪陣しゃりんじんをとって」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それなら安心あんしんだ。金色こんじきうおは、おれらなけりゃならぬ。」と、一人ひとりはいって、自分じぶんがその千りょうかねをもらう覚悟かくごで、根気こんきよくいとれているのであります。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、小道こみちをいきました。みちりょうがわに、かぼちゃばたけがあって、黄色きいろはないていました。くまばちが、みつをさがしに、はななかへはいったり、たりしていました。
白壁のうち (新字新仮名) / 小川未明(著)
みちりょうがわに、いえっていました。それらのなかには、店屋みせやがまじっていました。そして、ところどころあるあきはたけとなって、むぎや、ねぎが、青々あおあおとしげっていました。
かたい大きな手 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんは、ちゅうちょしましたが、ついに、灰色はいいろくものせわしそうに、あたまうえはし野原のはらをひととびにはしって、まちへいきました。さすがに、りょうがわに、ひと黒山くろやまのごとくあつまっています。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
おおまけにまけて一りょうよりしかたがありません。」と、おじいさんはこたえました。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)
にんは、らないしまがりました。不安ふあんこころをおさえながら、一けんいえまど近寄ちかよってのぞいてみますと、かみながうつくしいをした少女しょうじょが、りょうはだをぬいで、したいてかいをみがいていました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)