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飽
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あ
ふりがな文庫
“
飽
(
あ
)” の例文
子供
(
こども
)
は、もはや、
海
(
うみ
)
の
上
(
うえ
)
の
航海
(
こうかい
)
に
飽
(
あ
)
いていました。なぜなら、
青
(
あお
)
い
波
(
なみ
)
と
青
(
あお
)
い
空
(
そら
)
のほかには、なにも
見
(
み
)
ることができなかったからです。
汽船の中の父と子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ひるがへつて
歐米
(
おうべい
)
を
見
(
み
)
れば、さすがに
母語
(
ぼご
)
は
飽
(
あ
)
くまでもこれを
尊重
(
そんてう
)
し、
英米
(
えいべい
)
の
如
(
ごと
)
きは
至
(
いた
)
るところに
母語
(
ぼご
)
を
振
(
ふ
)
りまはしてゐるのである。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
苔
(
こけ
)
でぬるぬるした板橋の上に立って、千穂子は流れてゆく水の上を見つめた。
藁屑
(
わらくず
)
が流れてゆく。いつ見ても水の上は
飽
(
あ
)
きなかった。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
こころ合はでも
辞
(
いな
)
まむよしなきに、日々にあひ見て
忌
(
い
)
むこころ
飽
(
あ
)
くまで
募
(
つの
)
りたる時、これに添はする
習
(
ならい
)
さりとてはことわりなの世や。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
今日
(
こんにち
)
私は
飽
(
あ
)
くまでもこの自然宗教にひたりながら日々を
愉快
(
ゆかい
)
に
過
(
す
)
ごしていて、なんら不平の気持はなく、心はいつも
平々坦々
(
へいへいたんたん
)
である。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
▼ もっと見る
第一、こうして
飽
(
あ
)
くまでも床の間を背に、玄蕃に刀を
執
(
と
)
らせないように用心を払う訳もないし、何より、身体に
隙
(
すき
)
があるはずである。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
所は奈良で、
物寂
(
ものさ
)
びた春の宿に
梭
(
ひ
)
の音が聞えると云う光景が眼前に浮んで
飽
(
あ
)
く
迄
(
まで
)
これに
耽
(
ふけ
)
り得る
丈
(
だけ
)
の趣味を持って居ないと面白くない。
高浜虚子著『鶏頭』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
沢山
(
たくさん
)
生
(
は
)
える、
何処
(
どこ
)
にもあるからということが価値の標準となるとすれば、
飽
(
あ
)
きっぽくて
浅
(
あさ
)
はかなのは人間それ自身なのではあるまいか。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
内実は
飽
(
あ
)
くまでも
鎖攘主義
(
さじょうしゅぎ
)
にして、ひたすら外人を
遠
(
とお
)
ざけんとしたるその一例をいえば、
品川
(
しながわ
)
に
無益
(
むえき
)
の
砲台
(
ほうだい
)
など
築
(
きず
)
きたるその上に
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
を
見
(
み
)
ろとは、
大島小學校
(
おほしませうがくかう
)
の
神聖
(
しんせい
)
なる
警語
(
けいご
)
で、
其
(
その
)
堂々
(
だう/\
)
たる
冲天
(
ちゆうてん
)
の
勢
(
いきほひ
)
と、
其
(
その
)
飽
(
あ
)
くまで
氣高
(
けだ
)
かい
精神
(
せいしん
)
と、これが
此警語
(
このけいご
)
の
意味
(
いみ
)
です。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
我よく是を知る、我等の智は、かの
眞
(
まこと
)
(これより外には眞なる物一だになし)に照らされざれば、
飽
(
あ
)
くことあらじ 一二四—一二六
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
耳に
飽
(
あ
)
きたらその時に、黙って、突くとも斬るともするがよい。世阿弥はここにかがまったきり、とても、逃げる体力はないのだから。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この様子を見て美留藻は、
先
(
ま
)
ず
占
(
し
)
めた、両親は
飽
(
あ
)
くまで自分を紅矢と思っていると安心しました。そしてなおも弱り切った声で——
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
宿の
主将
(
ていしゅ
)
を
対手
(
あいて
)
にして
碁
(
ご
)
を打っていた武士は、その碁にも
飽
(
あ
)
いて来たので主翁を
伴
(
つ
)
れて
後
(
うしろ
)
の庭へ出た。そこは湯本温泉の温泉宿であった。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかしこれは
飽
(
あ
)
くまで事実であった。ではこの事実をどう説き明かすか。それはゼムリヤ号の煙が、もう少し治るのを待たねばならない。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
きりやう好みの源吉が、
飾屋
(
かざりや
)
の小町娘を、金に
飽
(
あ
)
かして申受けたといふ
經緯
(
いききつ
)
、——半年ほど前に、幾つのゴシツプを飛ばしたことでせう。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ちやんと
勧善懲悪
(
くわんぜんちようあく
)
の
道理
(
だうり
)
がお
解
(
わか
)
りになるから
飽
(
あ
)
かずに見て
居
(
ゐ
)
らつしやるのだ、
若
(
も
)
し
其道理
(
そのだうり
)
が
解
(
わか
)
らなければ
退屈
(
たいくつ
)
して
仕舞
(
しま
)
ふ
訳
(
わけ
)
ぢやアないか
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お粥を拵えろのといってこれだけの材料を使うけれどもお粥の
不味
(
まず
)
いのに玉子の半熟に牛乳をただ飲まさせられては病人も
飽
(
あ
)
きるからね。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
家
(
うち
)
を
出
(
で
)
るほどなら
此樣
(
こん
)
な
貧乏世帶
(
びんぼうしよたい
)
の
苦勞
(
くろう
)
をば
忍
(
しの
)
んでは
居
(
ゐ
)
ませぬと
泣
(
な
)
くに
貧乏世帶
(
びんぼうしよたい
)
に
飽
(
あ
)
きがきたなら
勝手
(
かつて
)
に
何處
(
どこ
)
なり
行
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
はう
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
遊び
飽
(
あ
)
きると、命を助けてやる。それから、どこかへ行って、尻尾の輪の中にすわると、罪の無さそうな顔をして、空想に
耽
(
ふけ
)
る。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
中野あたりの麦畑が霞んで、松二、三本、それを透して富士がボーっと夢のよう、何というやさしい景色だろうと、
飽
(
あ
)
かず眺めつつ過ぎた。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
化度
(
けど
)
したいというのが、即ち仏菩薩なので、何も
蓮花
(
れんげ
)
の上にゆったり坐って百味の
飲食
(
おんじき
)
に
啖
(
くら
)
い
飽
(
あ
)
こうとしているのが仏菩薩でも何でも無い。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「カッフェーももう
飽
(
あ
)
きたからね。やっぱり芸者が一番いいな。少しピンとしたやつをどうかしようと思っているんだがね。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『ハートフォード
福音伝道者
(
エヴァンジェリスト
)
』誌の記事も、また、大使館公録のものも、みんな算哲様が、金に
飽
(
あ
)
かした上での御処置だったのでございます
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「もう二三日してから行って下さいね。それだと、妾も一緒に行くかも知れないわ。箱根も妾何だか
飽
(
あ
)
き/\して来たから。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
圧制
(
あっせい
)
、
偽善
(
ぎぜん
)
、
醜行
(
しゅうこう
)
を
逞
(
たくましゅ
)
うして、
以
(
も
)
ってこれを
紛
(
まぎ
)
らしている。ここにおいてか
奸物共
(
かんぶつども
)
は
衣食
(
いしょく
)
に
飽
(
あ
)
き、
正義
(
せいぎ
)
の
人
(
ひと
)
は
衣食
(
いしょく
)
に
窮
(
きゅう
)
する。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
あらゆる
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
に
飽
(
あ
)
いた身を宮殿をしのぐような
六波羅
(
ろくはら
)
の邸宅の
黄金
(
こがね
)
の床に横たえて、
美姫
(
びき
)
を集めて
宴楽
(
えんらく
)
にふけっております。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
それらの人々は何ごとにも容易に
飽
(
あ
)
くことを知らない。一人の
女人
(
にょにん
)
や一つの
想念
(
イデエ
)
や一本の
石竹
(
せきちく
)
や一きれのパンをいやが上にも得ようとしている。
十本の針
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
少し掘って帰られただけでは
飽
(
あ
)
きたりないではありませんか。なぜみささぎをすっかりこわして来てくださらないのです
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
強い犬が好きだった。犬に
飽
(
あ
)
きて来たら、こんどは自分で拳闘に
凝
(
こ
)
り出した。中学で二度も落第して、やっと卒業した春に、父と乱暴な衝突をした。
花火
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それを知りながらU氏は御祈祷を頼みにして、老母と二人の子供との生活を続けるために、勇ましく
飽
(
あ
)
くまで働いた。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
換言すれば社会組織の実質的関係において彼らは
飽
(
あ
)
くまで民衆の指導的精神たるの抱負を有せねばならぬものである。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
竜一は少し
飽
(
あ
)
きっぽい性質で、一つの遊びをそう永く続けようとはしない。次郎もこの部屋でだけは、大てい竜一の言いなりになって遊ぶのである。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
何處
(
どこ
)
の
家
(
うち
)
からもそれ
相應
(
さうおう
)
に
佛
(
ほとけ
)
へというて
供
(
そな
)
へる
馳走
(
ちさう
)
に
飽
(
あ
)
いて
卯平
(
うへい
)
は
始
(
はじ
)
めて
滿足
(
まんぞく
)
した
口
(
くち
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ふことが
出來
(
でき
)
たのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ただそれ好奇心の
飽
(
あ
)
くことを知らざるや
何
(
いず
)
れの辺にか新奇を求めんとししかして鋭才の輩立てこの機に投ずるあり。
史論の流行
(新字旧仮名)
/
津田左右吉
(著)
「おや!
一番
(
いちばん
)
大
(
おお
)
きいのがまだ
割
(
わ
)
れないでるよ。まあ
一体
(
いったい
)
いつまで
待
(
ま
)
たせるんだろうねえ、
飽
(
あ
)
き
飽
(
あ
)
きしちまった。」
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
言わば、小さな暴君に
飽
(
あ
)
かれて顧みられない玩具。Or ——発狂した悪魔詩人が、きまって毎夜の夢にさまよう
家並
(
やな
)
み、それがこのハルビンである。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
『もういゝ、
玄竹
(
げんちく
)
。
其方
(
そち
)
の
江戸攻撃
(
えどこうげき
)
は
聞
(
き
)
き
飽
(
あ
)
きた。なう
紀
(
こつな
)
。』と、
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
玄竹
(
げんちく
)
のぶツきら
棒
(
ぼう
)
に
言
(
い
)
ひたいことを
言
(
い
)
ふのが、
好
(
す
)
きでたまらないのであつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
若
(
も
)
し
疑
(
うたが
)
うて
立戻
(
たちもど
)
り、
予
(
わし
)
が
所行
(
しょぎゃう
)
を
窺
(
うかゝ
)
ひなど
致
(
いた
)
さうなら、
天
(
てん
)
も
照覽
(
せうらん
)
あれ、
汝
(
おのれ
)
が四
肢
(
し
)
五
體
(
たい
)
を
寸々
(
すん/″\
)
に
切裂
(
きりさ
)
き、
飽
(
あ
)
くことを
知
(
し
)
らぬ
此
(
この
)
墓
(
はか
)
を
肥
(
こや
)
すべく
撒
(
ま
)
き
散
(
ち
)
らさうぞよ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
性来憂鬱を好み、日頃
煩悶
(
はんもん
)
を口癖にして
倦
(
う
)
むことを知らない。前記の言葉はその一例であるが、これは浅間麻油の聞き
飽
(
あ
)
いた(
莫迦
(
ばか
)
の)一つ文句であった。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
王子はそれを見て、夢のような
心地
(
ここち
)
になられました。森の精の踊りはいつまでも続きました。いくら続いても
飽
(
あ
)
きないほどのおもしろい踊りでありました。
お月様の唄
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
が、
私
(
わたくし
)
としては
天狗
(
てんぐ
)
さんの
力量
(
りきりょう
)
に
驚
(
おどろ
)
くよりも、
寧
(
む
)
しろその
飽
(
あ
)
くまで
天真爛漫
(
てんしんらんまん
)
な
無邪気
(
むじゃき
)
さに
感服
(
かんぷく
)
して
了
(
しま
)
いました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
画家でありかつ詩人であるこのホワイト君は、アメリカの物質文化に
飽
(
あ
)
き果てた
挙句
(
あげく
)
、新しい霊感を求めて、アマゾンの秘境を放浪していた男であるらしい。
イグアノドンの唄:――大人のための童話――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
保名
(
やすな
)
の
体
(
からだ
)
が
元
(
もと
)
どおりになるにはなかなか
手間
(
てま
)
がかかりました。
娘
(
むすめ
)
はそれでも、
毎日
(
まいにち
)
ちっとも
飽
(
あ
)
きずに、
親身
(
しんみ
)
の
兄弟
(
きょうだい
)
の
世話
(
せわ
)
をするように
親切
(
しんせつ
)
に
世話
(
せわ
)
をしました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
(十四) 子曰く、君子は食
飽
(
あ
)
かんことを求むるなく、
居
(
きょ
)
安からんことを求むるなく、
事
(
わざ
)
に
敏
(
と
)
くして
言
(
こと
)
を慎み、有道に
就
(
つ
)
いて正す。学を好むというべきなり。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
脚
(
あし
)
は長し、食には
飽
(
あ
)
きたり、自由を得ただちょうの胸には、春風吹きわたり、ひづめの下には春の雲がわく。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
しかし彼は、それらの不健全な議論に
飽
(
あ
)
き、自分が愛しておりまた恐らく愛されている、その不安定な混濁した性質の女と、暗々裏に行う
闘
(
たたか
)
いに飽いていた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
だが、私が用うのはいつもこの手段のほかはなく、そうしてその場限りで何の効もないので、今ではもう母の方で、もう聞き
飽
(
あ
)
きたよという顔をするのだった。
地球儀
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
私は昼間
階下
(
した
)
の暗いのに
飽
(
あ
)
いて二階へ
上
(
あが
)
つて来て居る子供等が、
紙片
(
かみきれ
)
や
玩具
(
おもちや
)
の
欠片
(
かけら
)
一つを落してあつても
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
飽
(
あ
)
きることもそうだが、土が見られないのと、土のうつくしさが
荒
(
あら
)
されることもおもな原因だった。そこで彼の命令によって民さんは篠竹の株を起しはじめた。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
飽
常用漢字
中学
部首:⾷
13画
“飽”を含む語句
飽気
飽迄
飽々
飽満
飽足
塩飽
飽和
飽浦
飽倦
仕飽
見飽
飽食
飽海
飽果
飽氣
待飽倦
飽慾
飽託
暖衣飽食
飽滿
...