附添つきそ)” の例文
このさきは、伊那丸いなまるさまはおよばずながら、この六部がお附添つきそいするから、きさまは、安心してどこへでも落ちていったがよかろう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おのれやれ、んでおにとなり、無事ぶじ道中だうちうはさせませう、たましひ附添つきそつて、と血狂ちくるふばかりにあせるほど、よわるはおい身體からだにこそ。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それでこれでは困るというので、毎日兵隊が附添つきそって、ラヴォアジエを牢屋から出して実験室へ通わせてその仕事を続けさせたという話さえ伝わっています。
ラヴォアジエ (新字新仮名) / 石原純(著)
くらくらんで附添つきそひの女子をなごとも郡内ぐんない蒲團ふとんうへいだげてさするにはや正躰しやうたいゆめるやうなり、あにといへるはしづか膝行いざりりてさしのぞくに
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すると、早百合姫に附添つきそっていた家来の男女は、薄情はくじょうなもので、両人しめし合せ、館も人手に売渡うりわたし、金目のものは残らずさらってどこかへ逃亡とうぼうしてしまいました。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そこで、もうお父さんの附添つきそひもなく、ひとりで海の底へもぐつて、どし/\真珠貝をとつてゐました。
動く海底 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
龍田山麓さんろくにある、廃屋のような避病舎へ、蒲団ふとんやバケツなどリヤカーにつんで、鷲尾が附添つきそっていった。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
猶且やはり毎朝まいあさのやうにあさ引立ひきたたず、しづんだ調子てうし横町よこちやう差掛さしかゝると、をりからむかふより二人ふたり囚人しうじんと四にんじゆうふて附添つきそふて兵卒へいそつとに、ぱつたりと出會でつくわす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこで何でも母の実家からの援助で入院したとかで、母はその附添つきそいになり、私は母の実家に引きとられた。そして半年余り、私は実家の曽祖母や小さい叔母たちに背負われて過した。
狐はまたこの老夫婦の蔭に附添つきそい、一家の運命を支配していたように思える。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それを単なる昔話の列に押並おしならべて、空想豊かなる好事家こうずかが、勝手な尾鰭おひれ附添つきそえたかのごとく解することは、少なくとも私が集めてみたいくつかの旁証ぼうしょうが、断じてこれを許さないのである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
良人おっとがいよいよ来着らいちゃくしたのは、それからしばしのあとで、わたくし不図ふと側見わきみをした瞬間しゅんかんに、五十あまりとゆる一人ひとり神様かみさま附添つきそわれて、忽然こつぜんとしてわたくしのすぐ前面まえに、ありし姿すがたあらわしたのでした。
高信たかのぶさんが、そこへ、ひよつくりあらはれた、神職かんぬしらしいのに挨拶あいさつすると、附添つきそつて宿屋やどや番頭ばんとうらしいのが、づうと
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やはり毎朝まいあさのようにこのあさ引立ひきたたず、しずんだ調子ちょうし横町よこちょう差掛さしかかると、おりからむこうより二人ふたり囚人しゅうじんと四にんじゅううて附添つきそうて兵卒へいそつとに、ぱったりと出会でっくわす。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
落城後らくじょうごわたくしがあちこち流浪るろうをしたときにも、若月わかつきはいつもわたくし附添つきそって、散々さんざん苦労くろうをしてくれました。で、わたくし臨終りんじゅうちかづきましたときには、わたくし若月わかつき庭前にわさきんでもらって、この訣別わかれげました。
あのへやは、今夜こんやだ、今夜こんやだ、と方々はう/″\病室びやうしつで、つたのを五日いつかつゞけて、附添つきそひの、親身しんみのものはいたんですつて。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
保養ほようめに、このむすめ一人ひとり老女ろうじょ附添つきそわれて、三崎みさきとお親戚しんせきあたるものの離座敷はなれざしき引越ひっこししてまいりましたのは、それからもないことで、ここではしなくも願掛がんがけのはなしはじまるのでございます。
そして、旅宿りょしゅくに二人附添つきそつた、玉野たまの玉江たまえと云ふ女弟子も連れないで、一人でそっと、……日盛ひざかりうした身には苦にならず、町中まちなかを見つゝそぞろに来た。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
よめ姿すがた彩色さいしきしては、前後左右ぜんごさいう額縁がくぶちのやうなかたちで、附添つきそつて、きざんでこしらへたものが、くものか、とみづから彫刻家てうこくかであるのをあざける了見れうけん
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くろが、またしきりに元二げんじむつんで、ニヤゴー、とひる附添つきそひあるいて、啼聲なくこゑあいくるしくいて𢌞まはる。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
車の通ずるところまでは、う自動車が来て待つて居て、やがて、相会あいかいすると、ある時間までは附添つきそつて差支さしつかへない女弟子の口から、真先まっさきに予言者の不思議がれた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それでもなか/\捗取はかどらず、七日なぬかつたので、あとのこつて附添つきそつて兄者人あにじやひと丁度ちやうど苅入かりいれで、此節このせつが八ほんしいほどいそがしい、お天気てんき模様もやうあめのやう、長雨ながあめにでもなりますと
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れこそ親友しんいう附添つきそつてるやうに、氣丈夫きぢやうぶ頼母たのもしかつたのであります。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
案山子かゝしどもはわらみだれたけむりごとく、前後あとさきにふら/\附添つきそふ。……してほこら樹立こだち出離ではなれる時分じぶんから、希有けう一行いつかうあひだに、ふたあかりいたが、ひかりりともえず、ものをうつさぬでもい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いま白痴ばかも、くだん評判ひやうばんたかかつたころ医者いしやうち病人びやうにん其頃そのころ子供こども朴訥ぼくとつ父親てゝおや附添つきそひ、かみながい、兄貴あにきがおぶつてやまからた。あし難渋なんじう腫物しゆもつがあつた、療治れうぢたのんだので。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みやこなる父母ふぼかへたまひぬ。しうとしうとめらぬきやく許多あまたあり。附添つきそ侍女じぢよはぢらひにしつゝ、新婦よめぎみきぬくにつれ、浴室ゆどのさつ白妙しろたへなす、うるはしきとともに、やまに、まちに、ひさしに、つもれるゆきかげすなり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今の白痴ばかも、くだんの評判の高かった頃、医者のうちへ来た病人、その頃はまだ子供、朴訥ぼくとつな父親が附添つきそい、髪の長い、兄貴がおぶって山から出て来た。脚に難渋なんじゅう腫物はれものがあった、その療治りょうじを頼んだので。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
謙造はひしと背後うしろ附添つきそ
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)