)” の例文
「ええ、驚かしゃあがるな。」と年紀としにはない口を利いて、大福餅が食べたそうに懐中ふところに手を入れて、貧乏ゆるぎというのをる。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
心の欲する所は思い存分にる、しかしその行うことにも自ら宜しき程度があって、その程度即ち矩を踰えない所に真の自由がある。
デモクラシーの要素 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
休坂やすみざかを下りて眞砂町の通りへ出た時は、主筆と私と八戸君と三人きりになつて居た。『隨分贅澤な會をりますねえ。』と私が云ふと
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ですが、このあたりまえな事をあたりまえにってゆくことがその実いかにむずかしいかを多くの人は知らないのではありませんか。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そなたには神様かみさまうかがうこともちゃんとおしえてあるから、大概たいがいこと自分じぶんちかららねばならぬぞ……。』そうわれるのでございます。
もつともさういへばさかりころでもらあつてからは仕事しごと上手じやうずるとしちやみつしらやうだつけが、きぢやねえ鹽梅あんべえだつけのさな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
自己一身にしても或時は運命の順潮に舟をつて快を得、或時は運命の逆風に帆を下して踟蹰するやうに見えるといふことがある。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
思想の宣伝でっ付けてやるのだと予々かねがね言って居て、随分自分も御説教を聞かされたものだ。夫でも虐待には熟々つくづくやり切れぬと見えて
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
要之助は、藤次郎がもしその予定の犯罪をったならば述べたであろう位に、詳細にその夜見た映画について陳述をなしたのであった。
夢の殺人 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
予これを忖度そんたくす〉とは夫子ふうしいいなり、我は自分でっておきながら、何の訳とも分らなんだに夫子よくこれを言いてたとめたので
今の大陸の欧羅巴ヨオロッパは死んだ欧羅巴だというので、生気のあった時代の遺蹟を慕って、「過去の岸に沿うて舟をる」というのです。
浪花なには座で『忠臣蔵』をつてゐる鴈治郎なども、おかる道行みちゆきのやうな濡事ぬれごとを実地ひまがあつたら一度青蓮寺に参詣まゐつたがよからう。
元来いつたい政治をるに天子様をさしはさんで為やうといふは日本人の不心得で、昔日むかしから時の政府に反対するものを直ぐ朝敵にして了うが
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
帆船端艇はしけを繰り廻し、思う所へ横付けにし、電光石火に仕事をり、再び船へ取って返すや行方をくらますということであった。
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
どんなに気の強い犯人でも、自分のった犯罪を冷静に二度繰り返せるものではない。私は智恵子の心の動きを見たかったのだよ
踊る美人像 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
漬物桶つけものおけへ手を入れたりすることをっているのであったが、お島が一人で面白がってやっている顧客とくいまわりも、集金の段になってくると
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
三郎兵衛、何をろうとするのであろう? 広海屋のいのちを狙うに相違ないが、まさか、易々やすやすと、あの剛腹ごうふくな男を殺すことは出来まい。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
アメリカには美爪術メニキュアって日を送る頽廃人が多いが、彼も、髪をときつけることと、洋服を着ることに一日の大半を費した。
死の接吻 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
ようするに、それは扉をしめる拍子ひょうしに自動式にそこを狙って前の壁の中に仕掛けてある機関銃が一聯の猛射をったものである。
〔譯〕凡そ人事を區處くしよするには、當さに先づ其の結局けつきよくの處をおもんぱかりて、後に手を下すべし。かぢ無きの舟はなかれ、まと無きのはなつ勿れ。
思うと、ナカナカ達雄さんも好くっていましたッけがナア——非常な奮発で。それともあの頃が一番好い時代だったのかナア
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「まア、飛ばねえやうに、繩ででもくゝつて置いてお呉れなせえ、此方こつちからだもちぎれねえやうに、今ま一杯つてくからネ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
(赤井はえらい男だが、自分の行動を誇張して人に喋りたがるのが欠点だ。つまりデカダン振るのだ。俺なら黙ってる)
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
しきりに彼女らの恥ずかしがる言葉をささやいて、ひそかに復讐ふくしゅうの一種を遂げることが、森林ではできない。そういうかいる機会がないのだ。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
ふだんは至って円満にっているこの両家老は、実は、まったく懸隔かけへだてた性格の持主であったことを知って、人々は、思わず眼をみはってしまう。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分の思うまま見たまま、感じたままを構わずにるばかりである。のちに見てその作品がいわゆる日本的であるかも知れない。ないかも知れない。
緑色の太陽 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
其からは落第の恥辱をすすがねばかぬと発奮し、切歯せっしして、扼腕やくわんして、はたまなこになって、又鵜の真似を継続してった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
例へば堂々たる帝國の議會ですら、僅か二三千萬の金の問題で、大きな子供が大勢おほぜいでワイ/\大騷をるぢやないか。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
い塩梅に近くではなしただけに狙いも狂わずって、お前に怪我さえ無ければ私はマア有難いんな嬉しい事は無いよ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兎と亀とは、五百ヤードの競走をって、どっちが早いかを、みんなの動物たちに見せるということになりました。
兎と亀 (新字新仮名) / ロード・ダンセイニ(著)
「イヤ岡本君が見えたから急にりにくくなったハハハハ」と炭鉱会社の紳士は少しにかんだような笑方をした。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
なが旅行りよかうつた諸君しよくんはおさつしでもあらうが、ひともなき異境ゐきやうで、滊車きしや滊船きせん出發しゆつぱつくらすほど徒然つまらぬものはない、つてつ、
「連歳沈痾子。微吟足自寛。」当時今戸の渡舟は只一人の船頭が漕いで往反してゐた。蘭軒は其人を識つてゐたのに、今舟をるものは別人であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「ところが、大儲けですよ。あんな大儲けをした殺人事件は、この数年来ありませんな。おまけに賊は悠々とってけたのです。それは私が保証します」
……これ程の恐ろしい実験を、ここまで突込んでり得る者が、吾輩でなければ、外には今一人しかいないであろうという事は誰でも考え得る事じゃないか。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかるに余は神の祐助たすけにより恐る恐るこの事をって見た。ことに何よりも文学を嫌いし余のことであれば、美文として何の取るべき所なきはもちろんであった。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
千万遍繰返して申込んだ所で、要するに蛙の面へ水を掛ける様なもので、ればる程癪に触るばかりだ。
子顔渕に謂いて曰く、之を用うるときは則ち行い、之をつるときは則ち蔵す。ただ我と爾と是れあるかなと。子路曰く、子三軍をらば、即ち誰と与にせんかと。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
急ぐにも及ばないが、決った事は早くってしまうに限る。吉岡の阿母おっかさんも急いで居るんだからな。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「いや、まずその日の生計くらしが家業をこうしてやっていてって行けるのだから文句もありません」
穰苴じやうしよ區區くくとして小國せうこくめにるがごとき、なん司馬しば兵法へいはふ(三九)揖讓いふじやうおよぶにいとまあらんや。すで司馬しば兵法へいはふおほし、ゆゑもつろんぜず、穰苴じやうしよ列傳れつでんあらはす。
「満足してゐる訳ではないが、楽しんではゐる。僕は一般の遊蕩児の様に、楽しくもないのに、止むを得ずつてゐるといふやうなんぢやない。実際僕は楽しいんだ。」
良友悪友 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
其時そのときむらうち一人ひとり老人としよりがありまして、其塲そのばけてまいり、おあしんだとはなしきいたがついては、わたくし實驗じつけんがあるから、れをば何卒どうぞツてれ、其法そのはうまうすは
この小都會は削立さくりつ千尺の大岩石の上にあり。これを貫ける街道は僅に一車をるべし。こゝ等の家は、おほむね皆平家ひらやに窓を穿うがつことなく、その代りには戸口を大いにしたり。
『それを説明せつめいする唯一ゆゐいつ方法はうはふはそれをおこなふことである』(みなさんがふゆみづかれをこゝろみんとほつするならば、ドードてうがそれを如何いかにしてつたかをはなしませう)
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
生憎あいにく柱損じて如何ともするあたわず、急に犢鼻褌ふんどしを解き、かいを左右のげんに結び、二人極力これをうごかす、忽ちにしてふんどし絶つ。急に帯を解き、これを結び、蒼皇そうこう以て舟をる。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
『浅野さんよく言ってくれました、こういうことをらせた私たちこそ済まないのです』
田中たなか正太しようた可愛かわいらしいをぐるぐるとうごかして、幻燈げんとうにしないか、幻燈げんとうに、れのところにもすこしはるし、たりりないのを美登利みどりさんにつてもらつて、ふでやのみせらうではいか
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
船『其様な気の弱いことっては有りますか。おりなさい、私の仕掛も有りますし。』
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
始終「姉貴あねき姉貴」といつて、何事でも彼女の賛同なしにはらないといつた風だつた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)