兄弟きやうだい)” の例文
はやがさめても何時いつまでもるのがいゝか、おそがさめてもむつくりきるのがいゝか、そのことで兄弟きやうだいあらそつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
宗助そうすけ小六ころくあひだには、まだ二人ふたりほどをとこはさまつてゐたが、いづれも早世さうせいして仕舞しまつたので、兄弟きやうだいとはひながら、としとをばかちがつてゐる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おや兄弟きやうだいもないぼくには、こんなばんすこぶ感心かんしんしないので、おまけに下宿住げしゆくずまひ所謂いはゆる半夜燈前十年事、一時和雨到心頭といふ一けんだから堪忍たまつたものでない
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ヸリヤム・ブレイクの兄弟きやうだいがヸリヤムにたいしてしたやうに。きみはもう我々われわれにはようはないかもれないけれど、ぼくいつぺんきみひたいとおもつてゐる。つてはなしたい。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
岩田屋いはたや旦那だんなれられてはまつて、まつさんと喧嘩けんくわアしてかへつてた時になんとおひだえ、あゝ口惜くやしい、真実しんじつ兄弟きやうだいにまで置去おきざりにされるのもおれが悪いばかりだ
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
やつらがたうとけようと、中国ちうごく日本にほん兄弟きやうだいうへに×(3)あつむちそうそうたか
雛罌粟色ひなげしいろ薔薇ばらの花、雛形娘ひながたむすめ飾紐かざりひも雛罌粟色ひなげしいろ薔薇ばらの花、ちひさい人形にんぎやうのやうに立派なので兄弟きやうだい玩弄おもちやになつてゐる、おまへは全體ぜんたいおろかなのか、こすいのか、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
送りながら江戸見物にゆかうと思ふゆゑひさぶりにて又貴樣の處の世話にならうかと兄弟きやうだいまことを明しあひ久々ひさ/″\にての對面たいめんに餘念もなき物語ものがたりにぞ及びけるかゝりし程に長兵衞は先兄の無事なるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今日けふかぎつてそのやうなこといはれるおぼえはなにもなけれどマアなんおもふてぞといふかほじつとうちあふぎて夫々それ/\それがりおへだ何故なぜそのやうにおくしあそばす兄弟きやうだいおつしやつたはおいつはりか
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これ、佐藤次信さとうつぎのぶ忠信たゞのぶ兄弟きやうだいつま二人ふたりみやこにて討死うちじにせしのち、はゝ泣悲なきかなしむがいとしさに、をつと姿すがたをまなび、ひたるひとなぐさめたる、やさしきこゝろをあはれがりてときひと木像もくざうきざみしものなりといふ。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝろより兄弟きやうだいゆるさずはてんちゝまた汝等なんぢらにこのごとくしたまふべし。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こと櫻木大佐さくらぎたいさは、春枝夫人はるえふじん令兄れいけいなる松島海軍大佐まつしまかいぐんたいさとは、兄弟きやうだいおよばぬ親密しんみつなる間柄あひだがらで、大佐たいさがまだ日本につぽんつたころ始終しじう徃來わうらいして、其頃そのころ乙女おとめであつた春枝孃はるえじやうとは、幾度いくたびかほあはしたこともあるさう
「あなたは氷峰君の本當の兄弟きやうだいですか」と聽くと
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
兄弟きやうだいくつろいでぜんいた。御米およね遠慮ゑんりよなく食卓しよくたく一隅ひとすみりやうした。宗助そうすけ小六ころく猪口ちよくを二三ばいづゝした。めしゝるまへに、宗助そうすけわらひながら
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いまからおもへば祖母おばあさんもよくそんな幼少ちひさ兄弟きやうだい子供こども東京とうきやうになつたものですね。そのときとうさんはいま末子すゑこよりとしが二つもしたでしたからね。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
出たぎりかう便たよりもないゆゑ私しも兄弟きやうだいじやうにて今頃は何國いづくに何をして居けるやら行當り爲撥ばつたりしにはせぬかなどと案じて見たが其後三年ばかり立と不※ふと讃岐さぬきの丸龜より書状しよじやうが屆いたゆゑ夫を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あれきつちやんそれはおまへ勘違かんちがひだ、なにわたし此處こゝはなれるとておまへ見捨みすてることはしない、わたしはほんとに兄弟きやうだいとばかりおもふのだもの其樣そん愛想あいそづかしはひどからう、とうしろからがひじめにめて
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
馬鹿ばか兄弟きやうだいだ。お前達まへたちがそんなことをつてあらそつてるうちに、太陽おてんとうさまはもうてしまつたぢやないか。』
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「えゝべます」と小六ころく返事へんじながして、ついとちやつてつた。兄弟きやうだいまた差向さしむかひになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
以て主人の居間ゐまの金百兩紛失ふんじつせしこと申立て候是は跡方あとかたなきいつはりに候へ共右樣申立るに於ては御上にてもすけ十郎郷右衞門の兩人にうたがひかゝらんにより藤五郎兄弟きやうだいを盜み出せしは己等が罪を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしすこしもおまへなら非人ひにんでも乞食こじきでもかまひはない、おやからうが兄弟きやうだいうだらうがひと出世しゆつせをしたらばからう、何故なぜ其樣そん意氣地いくぢなしをおひだとはげませば、れはうしても駄目だめだよ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たがひぞとて御優おやさしき御詞おことばわれもしきりにうれしくてたづぬるひとありとこそあかさゞりしが種々いろ/\との物語ものがたり和女そなた母御はゝご斯々かく/\ひとならずやとおもらぬ御問おとまことかぞなんとして御存ごぞんじとへばわすれてるべきか和女そなたれとは兄弟きやうだいぞかしれは梨本なしもというなるを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
春秋はるあきはな紅葉もみぢつゐにしてかんざし造物つくりものならねど當座たうざ交際つきあひ姿すがたこそはやさしげなれ智慧ちゑ宏大くわうだいくは此人このひとすがりてばやとこれも稚氣をさなげさりながら姿すがたれぬはひとこゝろわらひものにされなばそれもはづかしなにとせんとおもふほど兄弟きやうだいあるひとうらやましくなりてお兄樣あにいさまはおやさしいとかおまへさまうらやましとくち
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)