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盥
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たらひ
ふりがな文庫
“
盥
(
たらひ
)” の例文
「すると、お
狩場
(
かりば
)
の四郎が忍び込んで、兼松の着物を着てお美代を殺し、その着物を井戸端の
盥
(
たらひ
)
に漬けて行つたことになるが——」
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
おゝい、おゝい、
母屋
(
おもや
)
に
集
(
つど
)
へる
人數
(
にんず
)
の
目
(
め
)
には、
其
(
そ
)
の
盥
(
たらひ
)
たゞ
一枚
(
いちまい
)
大
(
おほい
)
なる
睡蓮
(
れんげ
)
の
白
(
しろ
)
き
花
(
はな
)
に、うつくしき
瞳
(
ひとみ
)
ありて、すら/\と
流
(
なが
)
れ
寄
(
よ
)
りきとか。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
馬方
(
うまかた
)
が
言
(
い
)
ひますと、
馬
(
うま
)
は
片足
(
かたあし
)
づゝ
盥
(
たらひ
)
の
中
(
なか
)
へ
入
(
い
)
れます。
馬
(
うま
)
の
行水
(
ぎやうずゐ
)
は
藁
(
わら
)
でもつて、びつしより
汗
(
あせ
)
になつた
身體
(
からだ
)
を
流
(
なが
)
してやるのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
きふに
盥
(
たらひ
)
が速くなつたやうに思はれました。もう土堤はすぐそこでした。そら、もう、葦の一本が盥にさはりました。
疣
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
盥
(
たらひ
)
の中でそのシャツのボタンが一つ取れたのを、物置のこちら側の出張つた台石の上に置いといたので、蝋燭を点して、台所口を開けて探しに行つた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
▼ もっと見る
姻戚
(
みより
)
といつてもお
品
(
しな
)
の
爲
(
た
)
めには
待
(
ま
)
たなくては
成
(
な
)
らぬといふものはないので
勘次
(
かんじ
)
はおつぎと
共
(
とも
)
に
筵
(
むしろ
)
を
捲
(
まく
)
つて、
其處
(
そこ
)
へ
盥
(
たらひ
)
を
据
(
す
)
ゑてお
品
(
しな
)
の
死體
(
したい
)
を
淨
(
きよ
)
めて
遣
(
や
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
例の
顏容
(
フイジオノミイ
)
の女が
盥
(
たらひ
)
で湯を使つてゐるのであるが、その線は寫實的であつたから不快ではなかつたが、ロダンやマネの素描の知的な冷たさに代へて、柔かく
京阪聞見録
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
隣室からは、床に就いて三月にもなる
老女
(
としより
)
の、幽かな呻声が聞える。
主婦
(
あるじ
)
のお利代は、
盥
(
たらひ
)
を門口に持出して、
先刻
(
さきほど
)
からバチヤ/\と洗濯の音をさしてゐる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
作者が考へて見るのに泥坊が糞をして其上に
盥
(
たらひ
)
を伏せて置くといふのは、
厭勝
(
まじなひ
)
には相違ないが、さういふ厭勝が出来たのには、も少し深い原因があるらしい。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
藤八は是々途中から御客を連て來たと云
中
(
うち
)
に十六七の娘
甲斐々々
(
かひ/″\
)
敷
(
しく
)
盥
(
たらひ
)
に湯を取て
持
(
もち
)
來り御洗ひ成れましと顏を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私
(
わたし
)
はその癇高い
音
(
ね
)
を聞きながら、埃にまみれた草鞋の紐を解いた。其処へ
婢
(
をんな
)
が浅い
盥
(
たらひ
)
に、洗足の水を汲んで来た。水は冷たく澄んだ底に、粗い砂を沈めてゐた。
槍ヶ岳紀行
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二三日したお
午
(
ひる
)
、果樹園から帰つた父は裸になつて
盥
(
たらひ
)
の水を使ひ乍ら戸口に来たきたない
乞食
(
こじき
)
を見て
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
大きな
盥
(
たらひ
)
を、お台所に持ち出して、子供達は手足をきれいに洗ふことになつて居りましたのに、トロちやんだけは、嫌やだ、嫌やだと言つて、どうしても手足を洗はせません。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
月はもちろん明月で、
盥
(
たらひ
)
のやうに大きく、ひどく近距離に感じられるのである。私は明月に対し、月が近いとは感じても、月が自分の方へ近づいて来ると感じ〔た〕ことはない。
閑人詩話
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
幕
(
まく
)
の
合間
(
あひま
)
に縫子が代助の方を
向
(
む
)
いて
時々
(
とき/″\
)
妙な事を
聞
(
き
)
いた。
何故
(
なぜ
)
あの人は
盥
(
たらひ
)
で酒を飲むんだとか、
何故
(
なぜ
)
坊さんが急に大将になれるんだとか、大抵説明の出来ない質問のみであつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
たゞ此
蔭
(
かげ
)
に遊びて風雨に
破
(
やぶ
)
れ
易
(
やす
)
きを
愛
(
あい
)
す「はせを
野分
(
のわき
)
して
盥
(
たらひ
)
に雨をきく夜哉」此芭蕉庵の
旧蹟
(
きうせき
)
は
深
(
ふか
)
川
清澄町
(
きよすみちやう
)
万年橋の南
詰
(
づめ
)
に
対
(
むか
)
ひたる今
或侯
(
あるこう
)
の
庭中
(
ていちゆう
)
に在り、古池の
趾
(
あと
)
今に存せりとぞ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
行水や柿の花ちる井のはたの
盥
(
たらひ
)
にしろき児をほめられぬ
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「池がなかつたら、
盥
(
たらひ
)
でも足りるぢやないか。」
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
盥
(
たらひ
)
の中でぴしやりとはねる音がする。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
盥
(
たらひ
)
は数知れず光に動く。
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
さう思つて見ると、成程物置の裏の井戸端に、大きい
盥
(
たらひ
)
に漬けたまゝ、泥の附いた、薄汚い
布子
(
ぬのこ
)
のあるのを、平次はしやがみ込んで見て居ります。
銭形平次捕物控:251 槍と焔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小
(
ちひ
)
さなのは、
河骨
(
かうほね
)
の
點々
(
ぽつ/\
)
黄色
(
きいろ
)
に
咲
(
さ
)
いた
花
(
はな
)
の
中
(
なか
)
を、
小兒
(
こども
)
が
徒
(
いたづら
)
に
猫
(
ねこ
)
を
乘
(
の
)
せて
盥
(
たらひ
)
を
漕
(
こ
)
いで
居
(
ゐ
)
る。
大
(
おほ
)
きなのは
汀
(
みぎは
)
の
蘆
(
あし
)
を
積
(
つ
)
んだ
船
(
ふね
)
が、
棹
(
さを
)
さして
波
(
なみ
)
を
分
(
わ
)
けるのがある。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
わしのところは貧乏でのう、
盥
(
たらひ
)
だの
桶
(
をけ
)
だのいふものがないので、大方のことはこの摺鉢で間に合はせますぢや。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
明し申
度
(
たし
)
必ず御世話は御無用と云にぞ老女は然ばとて
盥
(
たらひ
)
に水を汲て友次郎に足を
濯
(
すゝ
)
がせ圍爐裏に柴を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
次
(
つぎ
)
の
日
(
ひ
)
土
(
つち
)
は
能
(
よ
)
く
水
(
みづ
)
を
引
(
ひ
)
いて
居
(
ゐ
)
て
程
(
ほど
)
よく
溲
(
こ
)
ねられた。
勘次
(
かんじ
)
はおつぎに
其
(
そ
)
の
泥
(
どろ
)
を
盥
(
たらひ
)
へ
運
(
はこ
)
ばせて
置
(
お
)
いて
不器用
(
ぶきよう
)
な
手
(
て
)
もとで
塗
(
ぬ
)
つた。
卯平
(
うへい
)
は
猶
(
なほ
)
も
篠
(
しの
)
で
編
(
あ
)
み
残
(
のこ
)
した
箇所
(
かしよ
)
を
拵
(
こしら
)
へて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それから毛が汚れて
穢
(
きたな
)
くなつたと言つて、嫌がるやつを無理に
盥
(
たらひ
)
に入れて、
石鹸
(
シャボン
)
をつけてごし/\洗つて遣ると、鼻をクンクン言はせながら鳴き騒いだことを覚えて居る。
犬
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
『其処に
盥
(
たらひ
)
があります。水もあります。』と言つた。その時、広い控所を横ぎつて職員室に来る福富の足音が聞えた。子供等は
怪訝
(
けげん
)
な顔をして、甲田とその男とを見てゐた。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
たゞ此
蔭
(
かげ
)
に遊びて風雨に
破
(
やぶ
)
れ
易
(
やす
)
きを
愛
(
あい
)
す「はせを
野分
(
のわき
)
して
盥
(
たらひ
)
に雨をきく夜哉」此芭蕉庵の
旧蹟
(
きうせき
)
は
深
(
ふか
)
川
清澄町
(
きよすみちやう
)
万年橋の南
詰
(
づめ
)
に
対
(
むか
)
ひたる今
或侯
(
あるこう
)
の
庭中
(
ていちゆう
)
に在り、古池の
趾
(
あと
)
今に存せりとぞ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
御米
(
およね
)
はある
日
(
ひ
)
裏
(
うら
)
にゐる
下女
(
げぢよ
)
に
云
(
い
)
ひ
付
(
つ
)
ける
用
(
よう
)
が
出來
(
でき
)
たので、
井戸流
(
ゐどながし
)
の
傍
(
そば
)
に
置
(
お
)
いた
盥
(
たらひ
)
の
傍迄
(
そばまで
)
行
(
い
)
つて
話
(
はなし
)
をした
序
(
ついで
)
に、
流
(
ながし
)
を
向
(
むかふ
)
へ
渡
(
わた
)
らうとして、
青
(
あを
)
い
苔
(
こけ
)
の
生
(
は
)
へてゐる
濡
(
ぬ
)
れた
板
(
いた
)
の
上
(
うへ
)
へ
尻持
(
しりもち
)
を
突
(
つ
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕の父の友人の
一人
(
ひとり
)
は
夜網
(
よあみ
)
を打ちに出てゐたところ、何か
舳
(
とも
)
へ
上
(
あが
)
つたのを見ると、
甲羅
(
かふら
)
だけでも
盥
(
たらひ
)
ほどあるすつぽんだつたなどと話してゐた。僕は勿論かういふ話を
尽
(
ことごと
)
く事実とは思つてゐない。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おくみは脱がせた着物を湯殿の
盥
(
たらひ
)
の中へ入れた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
庭の
盥
(
たらひ
)
に子供らの飼ふ
緋目高
(
ひめだか
)
は
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
身體中にブラ下げて、さはれば、
脂
(
あぶら
)
で手がべつとりと濡れさうですもの。氣味が惡くて、私なんかは、同じ
盥
(
たらひ
)
でも顏を洗はないやうにしてをります
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此
(
こ
)
の
水
(
みづ
)
やがて
里
(
さと
)
の
廓
(
くるわ
)
の
白粉
(
おしろい
)
に
淀
(
よど
)
むと
雖
(
いへど
)
も、
此
(
こ
)
のあたり、
寺々
(
てら/″\
)
の
松
(
まつ
)
の
音
(
おと
)
にせゝらぎて、
殘菊
(
ざんぎく
)
の
雫
(
しづく
)
潔
(
いさぎよ
)
し。十七ばかりのもの
洗
(
あら
)
ふ
女
(
をんな
)
、
帶
(
おび
)
細
(
ほそ
)
く
腰
(
こし
)
弱
(
よわ
)
く、
盥
(
たらひ
)
を
抱
(
かゝ
)
へて
來
(
き
)
つ。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あしたは克巳が町に帰るといふ日のひるさがりには、三人で
盥
(
たらひ
)
をかついで裏山の
絹
(
きぬ
)
池にいきました。
疣
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
と
馬方
(
うまかた
)
は
馬
(
うま
)
を
褒
(
ほ
)
めまして、
馬
(
うま
)
の
脊中
(
せなか
)
にある
鞍
(
くら
)
をはづしてやつたり
馬
(
うま
)
の
顏
(
かほ
)
を
撫
(
な
)
でゝやつたりしました。それから
馬方
(
うまかた
)
は
大
(
おほ
)
きな
盥
(
たらひ
)
を
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
まして、
馬
(
うま
)
に
行水
(
ぎやうずゐ
)
をつかはせました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
斯
(
かく
)
て傳吉は小娘に
誘引
(
いざなは
)
れ
許
(
と
)
ある家に入て見れば
柱
(
はしら
)
は
曲
(
まが
)
りて
倒
(
たふ
)
れ
軒
(
のき
)
は
傾
(
かたぶ
)
き屋根
落
(
おち
)
ていかにも
貧家
(
ひんか
)
の有樣なれば傳吉は
跡先
(
あとさき
)
見回し今更立ち出んも如何と見合ける中に小娘は
盥
(
たらひ
)
へ
温湯
(
ぬるゆ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
盥
(
たらひ
)
の
汚
(
けが
)
れた
微温湯
(
ぬるまゆ
)
は
簀
(
す
)
の
子
(
こ
)
の
上
(
うへ
)
から
土
(
つち
)
に
注
(
そゝ
)
がれた。さうして
其
(
そ
)
の
沾
(
ぬ
)
れた
簀
(
す
)
の
子
(
こ
)
には
捲
(
ま
)
くつた
筵
(
むしろ
)
が
又
(
また
)
敷
(
し
)
かれた。
朝
(
あさ
)
から
雨戸
(
あまど
)
は
開
(
あ
)
け
放
(
はな
)
たれて
歩
(
ある
)
けばぎし/\と
鳴
(
な
)
る
簀
(
す
)
の
子
(
こ
)
の
上
(
うへ
)
の
筵
(
むしろ
)
は
草箒
(
くさばうき
)
で
掃
(
は
)
かれた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
阿呆はいつまでも太陽は
盥
(
たらひ
)
よりも小さいと思つてゐる。
闇中問答
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
盥
(
たらひ
)
のなかに
湯浴
(
ゆあ
)
みする
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
丁度その時、入口のあたりから、どつと一條の瀧——と見たのは、手桶と、
盥
(
たらひ
)
と、
龍吐水
(
りうどすゐ
)
と、一緒に動員した救ひの水。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
山影
(
やまかげ
)
ながら
颯
(
さつ
)
と
野分
(
のわき
)
して、
芙蓉
(
ふよう
)
に
咽
(
むせ
)
ぶ
浪
(
なみ
)
の
繁吹
(
しぶき
)
に、
小
(
ちひさ
)
き
輪
(
りん
)
の
虹
(
にじ
)
が
立
(
た
)
つ——あら、
綺麗
(
きれい
)
だこと——それどころかい、
馬鹿
(
ばか
)
を
言
(
い
)
へ——
男
(
をとこ
)
の
胸
(
むね
)
は
盥
(
たらひ
)
に
引添
(
ひきそ
)
ひて
泳
(
およ
)
ぐにこそ。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大きな
盥
(
たらひ
)
が庭を流れ
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
新三郎が目で指圖すると、ガラツ八と平次は、早速
盥
(
たらひ
)
を持出しました。
生温
(
なまぬる
)
い湯が一杯、源吉の手を借りて、丁寧に死骸の傷口を洗ひ始めたのです。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「前の日お六どんが洗つて、井戸端の
盥
(
たらひ
)
の中に絞つたまゝ
抛
(
はふ
)
り込んであつた、肌着類でした。お六どんは、ヒドく怖がつて、直ぐ洗ひ直しましたが」
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二度目に
袢纒
(
はんてん
)
と着換へたのも變だが、その仕事着と、翌る朝お光の死骸を抱き上げて血の着いた袢纒とを、一緒に
盥
(
たらひ
)
に入れて置いたのも變ぢやないか。
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次殿の仰しやる通り、風呂場には
強
(
したゝ
)
かに血のついた、袷が一枚、
盥
(
たらひ
)
につけてありました。これは御厚志に
酬
(
むく
)
ゆるために、密かに申し上げる。萬事御内分に——
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
わざ/\外から廻つて自分の雪駄を縁の下に突つ込んだり、血の附いた袷を、ろくに洗はずに
盥
(
たらひ
)
へ投り込んだり、そんな馬鹿なことをする人間が何處にあるものか
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ところが、やつて見て驚きましたよ。大釜に一杯湯を沸して、流しに
盥
(
たらひ
)
を置いて、病人を床から
牛蒡拔
(
ごばうぬ
)
きにつれ出して見ましたが、臭いの臭くないのつて——」
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
斯うなると平次は、丁寧に挨拶をして引揚げる外に
術
(
て
)
がありません。もう一度井戸端に廻ると、弟子の鐵童は
盥
(
たらひ
)
の前にキチンと坐つて一生懸命洗濯をして居りました。
銭形平次捕物控:104 活き仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“盥(たらい)”の解説
たらい(盥、タライ、en: Washbasin、en: Washtub)とは、平たい桶の一種。通常丸い形をしており、比較的浅い。
(出典:Wikipedia)
盥
漢検1級
部首:⽫
16画
“盥”を含む語句
馬盥
大盥
手水盥
金盥
銅盥
行水盥
水盥
洗手盥
盥舟
洗足盥
耳盥
鬢盥
盥廻
小盥
洗濯盥
盥卓
盥嗽
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盥船
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