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懸命
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けんめい
ふりがな文庫
“
懸命
(
けんめい
)” の例文
どうしたのか、牛が
俄
(
にわ
)
かに北の方へ馳せ出しました。
達二
(
たつじ
)
はびっくりして、一生
懸命
(
けんめい
)
追
(
お
)
いかけながら、兄の方に振り向いて
叫
(
さけ
)
びました。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
されば始めは格別将来の目算もなくただ好きにまかせて一生
懸命
(
けんめい
)
に技を
研
(
みが
)
いたのであろうが
天稟
(
てんぴん
)
の才能に熱心が
拍車
(
はくしゃ
)
をかけたので
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
かれは、しかし、
懸命
(
けんめい
)
に自分を落ちつけて先を読んだ。今となっては、手紙を読みやめるのが
卑怯
(
ひきょう
)
なような気がしたのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
が、その群衆はかなりの密度を持っていて、容易には新来者を
容
(
い
)
れないのである。啓吉は、
懸命
(
けんめい
)
に努力して、群衆の中心へ
這入
(
はい
)
る事が出来た。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
姫
(
ひめ
)
を
一
(
いつ
)
しよう
懸命
(
けんめい
)
に
思
(
おも
)
つてゐる
方
(
かた
)
がこんなにたくさんあるのだから、このうちから
心
(
こゝろ
)
にかなつた
人
(
ひと
)
を
選
(
えら
)
んではどうだらう
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
▼ もっと見る
それは
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
、あの
時
(
とき
)
私
(
わたくし
)
は
母
(
はは
)
の
断末魔
(
だんまつま
)
の
苦悶
(
くもん
)
の
様
(
さま
)
を
見
(
み
)
るに
見兼
(
みか
)
ねて、一
生
(
しょう
)
懸命
(
けんめい
)
母
(
はは
)
の
躯
(
からだ
)
を
撫
(
な
)
でてやったのを
覚
(
おぼ
)
えています。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と、彼女は小娘の夢のようなことを
真剣
(
しんけん
)
に考えた。そしてなお、できるだけ窓の下へ近づいて両の手で口をかこみ、忍びやかに、しかし
懸命
(
けんめい
)
をこめて
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼等
(
かれら
)
のしをらしい
者
(
もの
)
はそれでも
午前
(
ごぜん
)
の
幾時間
(
いくじかん
)
を
懸命
(
けんめい
)
に
働
(
はたら
)
いて
父
(
ちゝ
)
なるものゝ
小言
(
こごと
)
を
聞
(
き
)
かぬまでに
厩
(
うまや
)
の
傍
(
そば
)
に
草
(
くさ
)
を
積
(
つ
)
んでは、
午後
(
ごご
)
の
幾時間
(
いくじかん
)
を
勝手
(
かつて
)
に
費
(
つひや
)
さうとする。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それで、
將來
(
しようらい
)
われ/\が
一
(
いつ
)
しょう
懸命
(
けんめい
)
に
調
(
しら
)
べて
行
(
い
)
つたら、きっと
面白
(
おもしろ
)
いことが
發見
(
はつけん
)
されることゝ
信
(
しん
)
じます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
奧田が
組下
(
くみした
)
山田
(
やまだ
)
軍平
(
ぐんぺい
)
と云者喜八が
形
(
かたち
)
を見て
怪
(
あやし
)
み
曲者
(
くせもの
)
待
(
まて
)
と聲を掛ながら既に
捕
(
とら
)
へんと喜八の袖を
押
(
おさ
)
へしにぞ喜八は一
生
(
しやう
)
懸命
(
けんめい
)
と彼の出刄庖丁にて軍平が捕へたる
片袖
(
かたそで
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そして、とうとう、
空
(
そら
)
へ
舞
(
ま
)
い
上
(
あ
)
がって、
庭
(
にわ
)
の
上
(
うえ
)
を
一
(
ひと
)
まわりしたかとみると、あちらの
高
(
たか
)
い
木
(
き
)
を
目
(
め
)
がけて、
懸命
(
けんめい
)
に、
傷
(
きず
)
ついた
羽
(
はね
)
で
空気
(
くうき
)
を
刻
(
きざ
)
みながら
飛
(
と
)
んでいきました。
自由
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ところが父は、いきなりわたしのそばから馬首を転じると、クリミア
浅瀬
(
あさせ
)
からわきへそれて、
河岸
(
かし
)
づたいにまっしぐらに飛ばし始めた。わたしは
懸命
(
けんめい
)
にあとを追った。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
清兵衛は一
生
(
しょう
)
懸命
(
けんめい
)
になって、朝月を養ったので、その
翌年
(
よくねん
)
には見ちがえるような
駿馬
(
しゅんめ
)
になった。
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
失
(
うしな
)
はれゆく
感覚
(
かんかく
)
と
懸命
(
けんめい
)
に
闘
(
たゝか
)
ひながら、
死
(
し
)
に
至
(
いた
)
るまで、
守
(
まも
)
り
通
(
とほ
)
した
党
(
たう
)
の
名
(
な
)
をとぎれ/\に
呼
(
よ
)
んだ
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
それが
汽車
(
きしや
)
の
通
(
とほ
)
るのを
仰
(
あふ
)
ぎ
見
(
み
)
ながら、一
齊
(
せい
)
に
手
(
て
)
を
擧
(
あ
)
げるが
早
(
はや
)
いか、いたいけな
喉
(
のど
)
を
高
(
たか
)
く
反
(
そ
)
らせて、
何
(
なん
)
とも
意味
(
いみ
)
の
分
(
わか
)
らない
喊聲
(
かんせい
)
を一
生
(
しやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
迸
(
ほとばし
)
らせた。するとその
瞬間
(
しゆんかん
)
である。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
また、男女間の
妬情
(
とじょう
)
に氏は
殆
(
ほとん
)
ど
白痴
(
はくち
)
かと思われる
位
(
くらい
)
です。が氏とて決して
其
(
それ
)
を全然感じないのではない
相
(
そう
)
ですが、それに
就
(
つ
)
いて
懸命
(
けんめい
)
になる先に氏は
対者
(
あいて
)
に許容を持ち得るとのことです。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ぼくは
懸命
(
けんめい
)
になればなる
程
(
ほど
)
、
拙劣
(
せつれつ
)
なのを知りながら「実はあなたが昨夜、熊本さんについて見たことを、あなたの胸だけに
蔵
(
しま
)
っておいて
貰
(
もら
)
いたいのです」と言いかければ、彼は
不愉快
(
ふゆかい
)
そうにかん高く
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
お
長
(
なが
)
うとは
申
(
まを
)
しませぬ
申
(
まを
)
しあげたきこと
一通
(
ひととほ
)
りと
詞
(
ことば
)
きれ/″\に
涙
(
なみだ
)
漲
(
みなぎ
)
りて
引止
(
ひきと
)
むる
腕
(
かひな
)
ほそけれど
懸命
(
けんめい
)
の
心
(
こゝろ
)
は
蜘蛛
(
くも
)
の
圍
(
ゐ
)
の
千筋
(
ちすぢ
)
百筋
(
もゝすぢ
)
力
(
ちから
)
なき
力
(
ちから
)
拂
(
はら
)
ひかねて
五尺
(
ごしやく
)
の
身
(
み
)
なよ/\となれど
態
(
わざ
)
と
荒々
(
あら/\
)
しく
突
(
つ
)
き
退
(
の
)
けてお
人違
(
ひとちが
)
ひならん
其樣
(
そのやう
)
な
仰
(
おほ
)
せ
承
(
うけたま
)
はる
私
(
わたくし
)
にはあらず
池
(
いけ
)
の
端
(
はた
)
よりお
供
(
とも
)
せし
車夫
(
しやふ
)
の
耳
(
みゝ
)
には
何
(
なん
)
のことやら
理由
(
わけ
)
すこしも
分
(
わか
)
りませぬ
車代
(
しやだい
)
賜
(
たま
)
は
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
達二
(
たつじ
)
は、一生
懸命
(
けんめい
)
、うちへ走りました。
美
(
うつく
)
しい
緑色
(
みどりいろ
)
の野原や、小さな
流
(
なが
)
れを、一心に走りました。野原は何だかもくもくして、ゴムのようでした。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、
修行
(
しゅぎょう
)
次第
(
しだい
)
でわが
娘
(
こ
)
に
逢
(
あ
)
わしてもらえることが
判
(
わか
)
りましたので、それからの
私
(
わたくし
)
は、
不束
(
ふつつか
)
な
身
(
み
)
に
及
(
およ
)
ぶ
限
(
かぎ
)
りは、一
生
(
しょう
)
懸命
(
けんめい
)
に
修行
(
しゅぎょう
)
を
励
(
はげ
)
みました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
発揮
(
はっき
)
してどこまでも一生
懸命
(
けんめい
)
根気よく遣り直し遣り直して語っているとやがて「出来た」と蚊帳の中から団平の声
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「このひと役さえ
首尾
(
しゅび
)
よくやってのければ、元の船手組へ帰参ができるだろう」と
懸命
(
けんめい
)
なところだ。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
飛違
(
とびちが
)
へ未だ
生若
(
なまわか
)
き腕ながら一
生
(
しやう
)
懸命
(
けんめい
)
切捲
(
きりまく
)
れば流石に武士の
働
(
はたら
)
きには敵し難くや駕籠舁ども是は
叶
(
かな
)
はじと
逃出
(
にげいだ
)
すを
何國迄
(
いづくまで
)
もと
追行
(
おひゆく
)
中
(
うち
)
豫
(
かね
)
て
相※
(
あひづ
)
やなしたりけん地藏堂の
扉
(
とびら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その
中
(
なか
)
へ
私
(
わたし
)
がはひつて
行
(
ゆ
)
くと、
陳列棚
(
ちんれつだな
)
の
陰
(
かげ
)
の
方
(
ほう
)
に
一人
(
ひとり
)
の
少年
(
しようねん
)
がゐて、
手帳
(
てちよう
)
を
出
(
だ
)
して
一
(
いつ
)
しょう
懸命
(
けんめい
)
に
見
(
み
)
たものについて
筆記
(
ひつき
)
してゐました。
私
(
わたし
)
はこの
少年
(
しようねん
)
の
熱心
(
ねつしん
)
さに
感心
(
かんしん
)
したので
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
わたしは
藪
(
やぶ
)
を
押
(
お
)
し
分
(
わ
)
けながら、
寶
(
たから
)
は
杉
(
すぎ
)
の
下
(
もと
)
に
埋
(
うづ
)
めてあると、
尤
(
もつと
)
もらしい
譃
(
うそ
)
をつきました。
男
(
をとこ
)
はわたしにさう
云
(
い
)
はれると、もう
痩
(
や
)
せ
杉
(
すぎ
)
が
透
(
す
)
いて
見
(
み
)
える
方
(
はう
)
へ、一
生
(
しやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
きます。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
……わたしは泣くまいと
懸命
(
けんめい
)
になった。……あの軽騎兵がねたましかったのである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
ひとりでに息があらくなり、両手が
汗
(
あせ
)
ばんで来るのを覚えた。かれは、しかし、
懸命
(
けんめい
)
に自分を制した。自分を制するために、おりおり、うしろから田沼先生と朝倉先生の顔をのぞいた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
薫は黙って抜き手を切るばかり、貝原は
懸命
(
けんめい
)
な抜き手の間から怒鳴り立てた。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
矢立
(
やたて
)
の
如
(
ごと
)
き
硬直
(
かうちよく
)
な
身體
(
からだ
)
を
伸長
(
しんちやう
)
し
屈曲
(
くつきよく
)
させて一
歩
(
ぽ
)
/\と
運
(
はこ
)
んだ。
彼
(
かれ
)
は
周圍
(
しうゐ
)
に
無數
(
むすう
)
な
樹木
(
じゆもく
)
の
泣
(
な
)
いて
囁
(
さゝや
)
くのを
耳
(
みゝ
)
に
入
(
い
)
れなかつた。
加之
(
それのみでなく
)
彼
(
かれ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
耳朶
(
みゝたぶら
)
に
鳴
(
な
)
るさへ
心
(
こゝろ
)
づかぬ
程
(
ほど
)
懸命
(
けんめい
)
に
唐鍬
(
たうぐは
)
を
打
(
う
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
私
(
わたくし
)
は一
生
(
しょう
)
懸命
(
けんめい
)
、
成
(
な
)
るべく
涙
(
なみだ
)
を
見
(
み
)
せぬように
努
(
つと
)
めましたが、それは
母
(
はは
)
の
方
(
ほう
)
でも
同様
(
どうよう
)
で、そっと
涙
(
なみだ
)
を
拭
(
ふ
)
いては
笑顔
(
えがお
)
でかれこれと
談話
(
はなし
)
をつづけるのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
わたしは一
生
(
しやう
)
懸命
(
けんめい
)
に、これだけの
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひました。それでも
夫
(
をつと
)
は
忌
(
いま
)
はしさうに、わたしを
見
(
み
)
つめてゐるばかりなのです。わたしは
裂
(
さ
)
けさうな
胸
(
むね
)
を
抑
(
おさ
)
へながら、
夫
(
をつと
)
の
太刀
(
たち
)
を
探
(
さが
)
しました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼等の
懸命
(
けんめい
)
なねがいのあらましを聞いて、半兵衛はこう
慰
(
なぐさ
)
めた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼
(
かれ
)
が
懸命
(
けんめい
)
の
勞働
(
らうどう
)
は
舊
(
きう
)
に
倍
(
ばい
)
して
著
(
いちじ
)
るしく
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
に
立
(
た
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
懸
常用漢字
中学
部首:⼼
20画
命
常用漢字
小3
部首:⼝
8画
“懸”で始まる語句
懸
懸念
懸想
懸隔
懸崖
懸合
懸引
懸物
懸声
懸値