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幹
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みき
ふりがな文庫
“
幹
(
みき
)” の例文
帰りは、
幹
(
みき
)
を並べた
栃
(
とち
)
の木の、星を指す偉大なる
円柱
(
まるばしら
)
に似たのを廻り廻つて、
山際
(
やまぎわ
)
に添つて、反対の
側
(
かわ
)
を鍵屋の前に戻つたのである。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
菜
(
な
)
が
洗
(
あら
)
ひ
畢
(
をは
)
つた
時
(
とき
)
枯葉
(
かれは
)
の
多
(
おほ
)
いやうなのは
皆
(
みな
)
釜
(
かま
)
で
茹
(
ゆ
)
でゝ
後
(
うしろ
)
の
林
(
はやし
)
の
楢
(
なら
)
の
幹
(
みき
)
へ
繩
(
なは
)
を
渡
(
わた
)
して
干菜
(
ほしな
)
に
掛
(
か
)
けた。
自分等
(
じぶんら
)
の
晝餐
(
ひる
)
の
菜
(
さい
)
にも
一釜
(
ひとかま
)
茹
(
ゆ
)
でた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「ばかばかしい。
早
(
はや
)
く
死
(
し
)
んで
失
(
う
)
せろ。いくらでもおまえがたの
代
(
か
)
わりは
生
(
う
)
まれてくるわ。」と、
幹
(
みき
)
は
体
(
からだ
)
を
震
(
ふる
)
わして
怒
(
おこ
)
ったのであります。
葉と幹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いったかとおもうと、じいさんのからだが、パッと木の
幹
(
みき
)
にかくれ、そこから、青白く光るものが、スウッと浮きだしてきました。
夜光人間
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
潮が満ちたときは半分は隠れますが、潮がひいたときでも腰から下はやはり水の中にあって、小さなお魚がその
幹
(
みき
)
の間に遊んでおります。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
▼ もっと見る
そして木のえだをすけて雪が落ちて日の中にはいって来たが、でもどうやら木の
幹
(
みき
)
をよじて、いちばんしっかりしたえだに手がかかった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
それからばらっばらっと栗の実が栗の木の
幹
(
みき
)
にぶっつかったりはね落ちたりする音がしばらくしました。
私
(
わたくし
)
どもは思わず顔を見合せました。
二人の役人
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ただそこに大きな
楢
(
なら
)
の木があって、
断崖
(
だんがい
)
の空間にのぞんで
屈曲
(
くっきょく
)
していた。バリバリというと
蛾次郎
(
がじろう
)
は、
幹
(
みき
)
をはってその
横枝
(
よこえだ
)
へうつっていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やしの木は、大そう背が高くて、まっすぐで、おまけに
幹
(
みき
)
がすべすべしていました。私は、これでは、とてものぼれないだろうと思いました。
アラビヤンナイト:04 四、船乗シンドバッド
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
樹
(
き
)
の
空
(
あ
)
いているところを見透かしては、十尺ぐらいの空間を直滑降で飛ばし、
樹
(
き
)
の
幹
(
みき
)
のすぐ前で雪煙りをあげて急停止する。
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
この
木
(
き
)
はもと
根株
(
ねかぶ
)
から
七
(
なゝ
)
つの
幹
(
みき
)
に
分
(
わか
)
れてゐましたが、
内
(
うち
)
五本
(
ごほん
)
は
先年
(
せんねん
)
の
暴風
(
ぼうふう
)
で
折
(
を
)
れて
今
(
いま
)
は
二本
(
にほん
)
の
幹
(
みき
)
だけとなつてしまひました。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
すると、びっくりするほどたくさんの生き物の姿が見えてきました。赤い
首
(
くび
)
をした黒いキツツキは、くちばしで木の
幹
(
みき
)
をつつきはじめました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
夫
(
それ
)
が
多少
(
たせう
)
黄
(
き
)
に
染
(
そ
)
まつて、
幹
(
みき
)
に
日
(
ひ
)
の
射
(
さ
)
すときなぞは、
軒
(
みき
)
から
首
(
くび
)
を
出
(
だ
)
すと、
土手
(
どて
)
の
上
(
うへ
)
に
秋
(
あき
)
の
暖味
(
あたゝかみ
)
を
眺
(
なが
)
められる
樣
(
やう
)
な
心持
(
こゝろもち
)
がする。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
またザボンの
苗
(
なえ
)
の
葉柄
(
ようへい
)
に
幹
(
みき
)
から
芽出
(
めだ
)
つ葉にもまた三出葉が見られることがあって、つまり遠い遠い前世界の時の葉を出しているのであることは
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「それじゃあ、おまえは
幹
(
みき
)
のところをかつぎな。おれは
大枝
(
おおえだ
)
を小枝ごとかつぐからな。なんてったって、こいつがいちばんほねのおれるしごとさ。」
いさましい ちびの仕立屋さん
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
ゴルドン、イルコック、バクスターの三人は走りよってサービスに力をそえ、縄のはしを大木の
幹
(
みき
)
にしばりつけた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
殊
(
こと
)
に
日間
(
ひるま
)
は昨夜の花が
赭
(
あか
)
く
凋萎
(
しお
)
たれて、如何にも思切りわるくだらりと
幹
(
みき
)
に付いた
態
(
ざま
)
は、見られたものではない。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その
幹
(
みき
)
の股に陣どって二晩でも三晩でも眠っているのが常だったというから、この頃アメリカなどで
流行
(
はや
)
る滞樹上競争は、この魚心堂先生が元祖である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ある薬を桜の
幹
(
みき
)
に注射するんだそうです。けれど、その薬はたいへん
貴
(
とうと
)
いもので、たくさんはないから、いちばん立派な大きい桜の木を一本えらびました。
山の別荘の少年
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その中で一本のわかい松も
幹
(
みき
)
をたわめて、寄るべないこのおかあさんの耳に木のこずえが何かささやきました。
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
あの樹の
幹
(
みき
)
は背丈から下は皆んな傷だらけだ、それを隱すために
藁
(
わら
)
を卷いて居たらう、丹三郎は銀之助をお榮の敵と思ひ込み、敵を討たうと思つて居たが
銭形平次捕物控:266 処女神聖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
花も
採
(
と
)
り
実
(
み
)
も取る者はついに
幹
(
みき
)
も根も取り尽し、その結果は社会の進歩も
安寧
(
あんねい
)
も
危
(
あやう
)
くするものであろうと思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
たいした
暴風
(
ぼうふう
)
でもなかったのに、年をへた
老松
(
ろうしょう
)
は、枝をはったその
幹
(
みき
)
の一部を風にうばわれたものらしい。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
また海草の
幹
(
みき
)
を刈り取つて來て
燧臼
(
ひうちうす
)
と
燧杵
(
ひうちきね
)
を作つて、これを
擦
(
す
)
つて火をつくり出して
唱言
(
となえごと
)
を申したことは
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
今庭のカタ木の古い
幹
(
みき
)
のところを一匹はっている。さっきは石の大手洗鉢の水の中に
奇麗
(
きれい
)
に浮いていた。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
之をアイヌ間に存する口碑に
徴
(
ちやう
)
するに、コロボックルは土を堀り窪めて
低所
(
ていしよ
)
を作り、木の
幹
(
みき
)
枝
(
えだ
)
を以て屋根の骨とし、之を
草木
(
さうもく
)
の葉にて覆ひて住居とせしものの如し。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
日
(
ひ
)
に
一萬三千人
(
いちまんさんぜんにん
)
の
首
(
くび
)
を
刎
(
は
)
ねたりと
呼
(
よ
)
ばるゝ、
世
(
よ
)
にも
恐
(
おそ
)
るべき
斬頭刄
(
ギラチン
)
の
形
(
かたち
)
に
髣髴
(
ほうふつ
)
たる、
八個
(
はつこ
)
の
鋭利
(
えいり
)
なる
自轉伐木鉞
(
じてんばつもくふ
)
との
仕掛
(
しか
)
けにて、
行道
(
ゆくて
)
に
塞
(
ふさ
)
がる
巨木
(
きよぼく
)
は
幹
(
みき
)
より
鋸
(
ひ
)
き
倒
(
たほ
)
し
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
その後姿の斜めにひとりの若者が片手に小型の本を持って、両膝をたてて腰を下ろし、二人の間には細ぼそと松葉を焚く煙がのぼって、松の
幹
(
みき
)
にからんでは消えて居る。
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
死体が僅かに身体をもたせかけた栗の木の、
幹
(
みき
)
の中程に、今年初めてのつくつく法師が、地獄の使者のような不吉な
韻律
(
いんりつ
)
を響かせながら、静かに、執拗に鳴いていたのだ。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
榎
(
えのき
)
の
幹
(
みき
)
をたたいてきたえただけのことがあった。尾沢生は口先ばかりだ。ただ堀口生にけしかけられて気が強くなっているのだから、一
騎打
(
きう
)
ちでは元来正三君の敵でない。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
さのみ
繁
(
しげ
)
くもない
樺
(
かば
)
のほそぼそとした
幹
(
みき
)
は思いがけずも白絹めく、やさしい
光沢
(
こうたく
)
を
帯
(
お
)
び、地上に散り
布
(
し
)
いた、細かな落ち葉はにわかに日に映じてまばゆきまでに金色を放ち
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それから
数
(
かぞ
)
えてももうずいぶんの
星霜
(
つきひ
)
が
積
(
つも
)
ったであろう。一たん
神木
(
しんぼく
)
となってからは、
勿体
(
もったい
)
なくもこの
通
(
とお
)
り
幹
(
みき
)
の
周囲
(
しゅうい
)
に
注連縄
(
しめなわ
)
が
張
(
は
)
りまわされ、
誰一人
(
たれひとり
)
手
(
て
)
さえ
触
(
ふ
)
れようとせぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
神経の
幹
(
みき
)
はここに絶たれてしまふ。第三期では福を世界過程の未来に求める。これは世界の発展進化を前提とする。ところが世界はどんなに進化しても、老病困厄は絶えない。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ある
日
(
ひ
)
、いつものように
竹藪
(
たけやぶ
)
に
入
(
い
)
り
込
(
こ
)
んで
見
(
み
)
ますと、
一本
(
いつぽん
)
妙
(
みよう
)
に
光
(
ひか
)
る
竹
(
たけ
)
の
幹
(
みき
)
がありました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
滑稽
(
こっけい
)
なことは
皆
(
みな
)
が庭園へ出て
逍遥
(
しょうよう
)
した時佐助は春琴を梅花の間に導いてそろりそろり歩かせながら「ほれ、ここにも梅がござります」と一々老木の前に立ち止まり手を
把
(
と
)
って
幹
(
みき
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
黒焦に削れたる
幹
(
みき
)
のみ短く残れる
一列
(
ひとつら
)
の立木の
傍
(
かたはら
)
に、
塊
(
つちくれ
)
堆
(
うづたか
)
く盛りたるは土蔵の
名残
(
なごり
)
と踏み行けば、灰燼の熱気は
未
(
いま
)
だ冷めずして、
微
(
ほのか
)
に
面
(
おもて
)
を
撲
(
う
)
つ。貫一は
前杖
(
まへづゑ
)
拄
(
つ
)
いて
悵然
(
ちようぜん
)
として
佇
(
たたず
)
めり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
太い/\
銀杏
(
いてふ
)
の
幹
(
みき
)
に
靠
(
もた
)
れかゝつて、ホツと息を
吐
(
つ
)
きつゝお光は言つた。さうして
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
しかし、ケヤキとはちがい、あんな
太
(
ふと
)
い
幹
(
みき
)
はなく、細くてつやつやした幹がまっすぐに立っている。幹が細いかわりに、葉っぱはたいへん大きく、たたみを三四枚あわせたほどもある。
宇宙の迷子
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
やせほそつた
幹
(
みき
)
に春はたうとうふうはりした生きもののかなしみをつけた。
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
校庭のポプラの
幹
(
みき
)
に
腕組
(
うでぐみ
)
をしてよりかかっていたが、合図の鐘が鳴る五六分前になると、急に何か思い出したように、みんなのかたまっているところに来て、いきなり次郎の頭をゆさぶりながら
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
すると、その憎らしい
幹
(
みき
)
の間から、向うに
見下
(
みおろ
)
す
不忍
(
しのばず
)
の
池
(
いけ
)
一面に浮いている
破
(
や
)
れ
蓮
(
はす
)
の
眺望
(
ながめ
)
が、その場の対照として何とも云えず物哀れに、すなわち、何とも云えず
懐
(
なつか
)
しく、自分の眼に映じたのである。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ひともとの桜の
幹
(
みき
)
につながれし
若駒
(
わかごま
)
の
瞳
(
め
)
のうるめる
愛
(
かな
)
し
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
葉の階層——
剛
(
つよ
)
い
幹
(
みき
)
。年輪の多いあらい幹。
暗い時間に
(新字旧仮名)
/
片山敏彦
(著)
大木
(
たいぼく
)
の
幹
(
みき
)
に耳あて
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
思へば
汝
(
な
)
が
幹
(
みき
)
は
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
夕日の
幹
(
みき
)
に
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
庭番のじいさんは、十メートルもある高い木の、ふとい
幹
(
みき
)
にしがみついて、まるでサルのように、のぼっていくではありませんか。
仮面の恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
背戸口
(
せどぐち
)
は、
早
(
は
)
や
充満
(
みちみち
)
た
山霧
(
やまぎり
)
で、
岫
(
しゅう
)
の雲を
吐
(
は
)
く如く、
幹
(
みき
)
の
半
(
なか
)
ばを其の霧で
蔽
(
おお
)
はれた、
三抱
(
みかかえ
)
四抱
(
よかかえ
)
の
栃
(
とち
)
の
樹
(
き
)
が、すく/\と並んで居た。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
桜
(
さくら
)
の
幹
(
みき
)
から、
校舎
(
こうしゃ
)
の
窓
(
まど
)
に
張
(
は
)
り
渡
(
わた
)
してある
綱
(
つな
)
には、
無数
(
むすう
)
の
日
(
ひ
)
の
丸
(
まる
)
の
旗
(
はた
)
や、
満洲国
(
まんしゅうこく
)
の
旗
(
はた
)
や、
中華民国
(
ちゅうかみんこく
)
の
旗
(
はた
)
などが、つるしてあった。
汽車は走る
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それはやなぎのかれたような
幹
(
みき
)
の間に根を
張
(
は
)
っていた。また
砲台
(
ほうだい
)
の
傾斜地
(
けいしゃち
)
をわたしたちはよく
片足
(
かたあし
)
で楽にすべって下りた——それもかきたい。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
幹
常用漢字
小5
部首:⼲
13画
“幹”を含む語句
一幹
身幹
樹幹
躯幹
材幹
主幹
麻幹
才幹
与謝野鉄幹
幹子
幹事
老幹
巴爾幹
苧幹
国幹
豆幹
幹助
石河幹明
滋幹
幹竹割
...