“一幹”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひともと60.0%
ヒトモト20.0%
いっかん6.7%
いつかん6.7%
ひとみき6.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お銀様は月に乗じて、この平野の間を限りなく歩み歩んで行くと、野原の中に、一幹ひともとの花の木があって、白い花をつけて馥郁ふくいくたる香りを放っている。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
水底ミナゾコ水漬ミヅく白玉なる郎女の身は、やがて又、一幹ヒトモトの白い珊瑚のである。脚を根、手を枝とした水底の木。頭に生ひ靡くのは、玉藻であつた。玉藻が、深海のうねりのまゝに、搖れて居る。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
舞台はいま、うしろにえがいてある一幹いっかん老松ろうしょうのほか、何もない空間となった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土手どてまつの、一樹いちじゆ一幹いつかん啊呍あうんひぢつて突立つツたつた、あかき、くろき、あをおにえた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
伝七郎の影は三十三間堂の下から約百歩ほど離れて、背のたかい一幹ひとみきの松の根かたに足場を踏みしめ、武蔵のすがたが見えるのを、いまやおそしと待ち構えているのだ。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)