おさ)” の例文
旧字:
渦巻気流式エンジンは、もうすっかり出来上って、倉庫に一万台分がおさめてあるときかされ、主席はやっと機嫌を直したのであった。
にんは、がっかりして、おのおののっているかぎを三つとも博物館はくぶつかんおさめて、いずこへとなく、おもおもいにってゆきました。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
荀彧は起立して、今、天子を扶くる者は、英雄の大徳であり、天下の人心をおさめる大略であるという意見を、理論立てて滔々とうとうと演説した。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しもあの懐剣かいけんが、わたくしはかおさめてあるものなら、どうぞこちらに取寄とりよせていただきたい。生前せいぜん同様どうようあれを守刀まもりがたないたうございます……。
干戈かんかすでにおさまりて戦勝の主領が社会の秩序ちつじょを重んじ、新政府の基礎きそを固くして百年の計をなすに当りては、一国の公道のために私情を去り
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ちょうどそのとき、ラジオのニュースで、きょうも荒鷲あらわしてきの○○飛行場ひこうじょう猛爆もうばくして多大ただい戦果せんかおさめたことをほうじた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
その後世界大戦が勃発ぼっぱつし、それが一九一八年にようやくおさまった後に、教授のその間に発表せられた一般相対性理論が世界的に著名となったので
このつき燕王指揮しき李遠りえんをして軽騎六千を率いて徐沛じょはいいたり、南軍の資糧をかしむ。李遠、丘福きゅうふく薛禄せつろくと策応して、く功をおさめ、糧船数万そう、糧数百万をく。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
もうすこしで双方がぴたりと出合であつてひとつにおさまると云ふ所で、ときながれが急にむきを換へて永久のなかそゝいで仕舞ふ。原口さんの画筆ブラツシそれより先には進めない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
気が逆上ぎゃくじょうすると力が逆上して浮きたつ、だから弱くなる、腹をしっかりとおちつけると気が臍下丹田せいかたんでんおさまるから精神爽快せいしんそうかい、力が全身的になる、中心が腹にできる
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
これをあらそう者あるべからず、あきらかみとむるところなれども、日本の武士道ぶしどうを以てすれば如何いかにしてもしのぶべからざるの場合を忍んで、あえてその奇功きこうおさめたる以上は
そうした場合、恋する人は、否応いやおうなしに自分の苦しい恋をはっきりと意識させられるであろうし、同時に、恋人のためにいさぎよく戦いの矛をおさめなければならないであろう。
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
何分なにぶん前にも申上げたように、会長は隠れた徳を尊ばれる方ですから、私の申上げたお話も、どうかあなたの胸にだけにおさめていただいて、余り外へお洩らしにならないようにして下さい。
三の字旅行会 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
しかし『西遊記』の書かれたと推定されている宋末元初げんしょの頃から見ると、ずっとふるいものである。古来白骨人のおさむるしとうたわれた青海せいかいのほとりには、その頃丁度八戒などもいたのであろう。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
大臣だいじんたちはぶつぶついながら、ともかくも片岡山かたおかやまへ行ってみますと、どうでしょう、こじきのなきがらをおさめたひつぎの中は、いつかからになっていて、中からはぷんとかんばしいかおりがちました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
樺太の半をおさめ、朝鮮をあわせ、南満洲に手を出し、布哇を越えて米国まで押寄する日本膨脹の雛型ひながたででもあるように、明治四十年の二月に一反五畝の地面と一棟のあばら家からはじめた私共の住居すまい
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
と、沙汰する向きもあったが、信長は半歳の目的は一応おさめ得たとしていた。また、国境から大部分の兵を退いても、大事なしとていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるおとこ箱車はこぐるまいて菓子屋かしや店頭みせさきにやってきました。そして、あめチョコを三十ばかり、ほかのお菓子かしといっしょに箱車はこぐるまなかおさめました。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
乙吉は幾度も係官の前に迷惑をかけたことをしゃし、屍体は持参じさん棺桶かんおけおさめ所持品は風呂敷ふろしきに包んで帰りかけた。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
はたして、さしものにたけくるった大時化おおしけが、もなくおさまり、三浦みうら土地とちはさしたる損害そんがいもなくしてんだのでしたが、三浦以外みうらいがい土地とちたとえば伊豆いずとか
一仕切ひとしきりつと、発作ほつさは次第におさまつた。あといつもの通りしづかな、しとやかな、奥行おくゆきのある、うつくしい女になつた。眉のあたりが殊にはれ/″\しく見えた。其時代助は
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
また百姓ひゃくしょうはい地租改正ちそかいせいのために竹槍ちくそう席旗せきき暴動ぼうどうかもしたるその余炎よえんいまおさまらず、いわんや現に政府の顕官けんかん中にもひそかに不平士族と気脈きみゃくを通じて、蕭牆しょうしょうへんらんくわだてたる者さえなきに非ず。
どんな合戦かっせんも、一まいの、熊野権現くまのごんげん誓紙せいしで、ほこおさめることができた。神をなかだちにしてちかえば、大坂城おおさかじょうほりさえうずめた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、みせかえってから、そのさかずきをこまかな美術品びじゅつひんといっしょに、ガラスりのたなのなかおさめて陳列ちんれつしました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
が、そのうち、あの最初さいしょ精神こころ暴風雨あらし次第しだいおさまるにつれて、わたくしきずつけられた頭脳あたまにもすこしづつ人心地ひとごこちてまいりました。うとうとしながらもわたくしかんがえました。——
汽車が目的の停車場ステーションに着く少し前から、三人によって気遣きづかわれた天候がしだいに穏かになり始めた時、津田は雨のおさまりぎわの空を眺めて、そこに忙がしそうな雲の影を認めた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
問屋には、数人の職人が居て、品物をけたり、特別のものを作ったりして、その上に商標しょうひょうのついた帯をつけ、重いたばを天井に一杯釣り上げ、別に箱におさめて積みあげるのだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
やっと、やや泣きじゃくりをおさめた疳持かんもちの子のように、やがて清盛は、じじの木工助にかいいだかれて、やしきの内の暗い寝屋へはいっていた。
少年しょうねん熱心ねっしんうつくしいばこなかおさめてあるいろいろのを一つ一つ使つかけてくさいたり、またとりなどをいたり、はななどをいたりしていました。
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
なにしろあらかじめ六人分の食糧がおさめてあったので、食糧ばかりは当分困らない。
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
座敷の硝子戸ガラスどはたいてい二重にとざされて、庭のこけを残酷に地面から引きはがしもが一面に降っていた。今はその外側の仕切しきりがことごとく戸袋のうちおさめられてしまった。内側も左右に開かれていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、謙信も信じていたが、一万二千の新手が彼に加わった今となっては、味方のほこおさめるしかなく、彼は反対に、朝からの屈伏を一転して
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
主人しゅじんは、羽織はおり・はかまをけて、ちゃわんをりっぱなはこなかおさめて、それをかかえて参上さんじょういたしました。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
もとの位置にパチリとおさめた。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かず、一度兵をおさめて、天子を長安にうつし奉り、時を待って、戦うがよいと思います。——それに近頃、洛内の児童が謡っているのを聞けば
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
田舎いなかへいったこと、仏壇ぶつだんさけをついでげられたこと、毎日まいにち毎日まいにち女房にょうぼうかねをたたいたこと、はこおさめられてから、くらい、ひきだしのなかにあったこと、それらは
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夏侯淵は大いに怒り、黄忠めがけて馬を飛ばし、討ってかかって、十余合戦ううち、魏の陣に突如退陣のかねが鳴り響き、一せいに兵をおさめはじめた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このかぎのかかる黄金こがねはこは、幾年前いくねんまえつちなかからされて、いま博物館はくぶつかんおさめてあります。しかし、わたしかんがえでは、そのなかになにもはいっているようすがなかった。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
事実、乱国につかれた庶民は、豊臣方が勝って、なお戦乱がつづくよりも、ここで徳川家が終局をおさめてくれたほうがよいと祈るようにもなっていた。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひめさまというのは、まさしく、あの博物館はくぶつかんおさめられてある黄金こがねはこぬしであり、祈願きがんをかけたというのは、あのなかにはいっていたかみしたためられていた文字もじであろうとったのであります。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんな、やわらかそうな肥肉と色の小白い皮膚をもった好人物が、胸に百計を蔵し、ひとみに大兵をおさめて、戦争などするのかと、疑われる温和に見える。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ドアのそとには、子供こどもたちのげたが、ちらばっています。ちいちゃんは、それを一つ、一つ、きちんとならべました。また、げたばこのしたしてあったスリッパを、はこなかおさめていました。
鳥鳴く朝のちい子ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ご芳志のもの、二夫人へと仰せあるなら、ありがたくおさめて、お取次ぎいたそう。——長々お世話にあずかった上、些少の功労をのこして、いま流別の日に会う。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、その宿命も、四年前の永禄元年このかたはんでいた。将軍足利義輝のあつかいで和睦わぼくが成立したのである。相互、誓紙をかわし、神文しんもんに誓って、干戈かんかおさめたのだ。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武蔵は、やがて直ぐ、ひじおさめて、鉄砲を元の位置へもどすと、その機に
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして荊州の地も玄徳へもどしてやり、呉妹ごまい夫人ももとの室へお送りあるように、ひょうを以て和を求めたなら、蜀軍はたちまち旗をおさめ、これ以上、呉が天下に威信をとすことはないであろう。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かならず恭順きょうじゅんを誓わせ、無用なほこは、これをおさめさせまする
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
、おのれひとりの手におさめようとしているものに相違ない