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頼
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たよ
ふりがな文庫
“
頼
(
たよ
)” の例文
小僧
(
こぞう
)
さんの
名
(
な
)
は
三郎
(
さぶろう
)
といって、
田舎
(
いなか
)
から、この
叔父
(
おじ
)
さんを
頼
(
たよ
)
ってきたのです。そして、いまの
製菓工場
(
せいかこうじょう
)
へ
見習
(
みなら
)
い
小僧
(
こぞう
)
に
入
(
はい
)
ったのでした。
波荒くとも
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
やがて
他
(
ほか
)
の連中も、そんな私の後から
一塊
(
ひとかたま
)
りになって、一
箇
(
こ
)
の懐中電気を
頼
(
たよ
)
りにしながら、きゃっきゃっと言って降りて来た。……
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そんなとき、あっしの目印になるのが、あの木でしてね、あいつを
頼
(
たよ
)
りにして行くからこそ、海にもはまりこまねえですむってもんでさ。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
すると店の灯も、町の人通りも
香水
(
こうすい
)
の湯気を通して見るように
媚
(
なま
)
めかしく
朦朧
(
もうろう
)
となって、いよいよ自意識を
頼
(
たよ
)
りなくして行った。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「倒れかかっている甲賀家の
喬木
(
きょうぼく
)
、この世に
頼
(
たよ
)
り
人
(
て
)
のないお千絵様——、それを
支
(
ささ
)
える力、救うお方は、あなたのほかにはございません」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「こんな調子だから、
頼
(
たよ
)
りないこと此上もなしだが、猫の子よりは役に立つだらう。今日中に形が付かなかつたら、明日は俺が行つて見るよ」
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
だが、正太には、警察のさがしかたが、なんだかたいへん
頼
(
たよ
)
りなくおもわれた。マリ子は、一体どこへいったのであろうか。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「はい、江戸には叔母に当る人もあるのでございますから、それを
頼
(
たよ
)
って、あちらで暮らしてみたいと思っておりまする」
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は、すつかり、その方のお力にお
任
(
まか
)
せしてゐるのよ、そして何もかも、その方のお
慈
(
いつく
)
しみに
頼
(
たよ
)
つてゐるわけなのよ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
履歴書も四五十通以上は書いたろう、あらゆる友人を
頼
(
たよ
)
って
迷惑
(
めいわく
)
な手紙も随分書いたが、頼んだ友人達自身が
何等
(
なんら
)
の職もなく弱っている者が多かった。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
兄
(
あに
)
はたゞ
手前勝手
(
てまへがつて
)
な
男
(
をとこ
)
で、
暇
(
ひま
)
があればぶら/\して
細君
(
さいくん
)
と
遊
(
あそ
)
んで
許
(
ばかり
)
ゐて、
一向
(
いつかう
)
頼
(
たよ
)
りにも
力
(
ちから
)
にもなつて
呉
(
く
)
れない、
眞底
(
しんそこ
)
は
情合
(
じやうあひ
)
に
薄
(
うす
)
い
人
(
ひと
)
だ
位
(
ぐらゐ
)
に
考
(
かんが
)
へてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これはお若の父も亡くなり、間もなく母も世を去って
頼
(
たよ
)
りなき
孤児
(
みなしご
)
となったので、引き取り養女としたのであった(お若は金谷善蔵夫婦からは
姪
(
めい
)
に当る)
幕末維新懐古談:23 家内を貰った頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
十人まで首にされて愈々
恐慌
(
きょうこう
)
を
来
(
きた
)
した残りの番士たちは、この上は源助町に
頼
(
たよ
)
って身を守るよりほか仕方がない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私が伯父を
頼
(
たよ
)
つて、
能登
(
のと
)
の片田舎から独り瓢然と京都へ行つたのは、今から二十年前、私の十三の時であつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「けっきょく、ひとは
頼
(
たよ
)
りにならんとわかった。いよいよこうなったら、おれひとりの
力
(
ちから
)
でやりとげるのだ。」
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
ははゝゝそれはね 天
体
(
たい
)
を見るには
機械
(
きかい
)
にばかり
頼
(
たよ
)
らないで『見るのに
具
(
ぐ
)
合ひのいい
調子
(
てうし
)
』にしておくことだよ
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
俳優
(
はいゆう
)
として舞台に立つこともかなえられず、持って生れた美声を
頼
(
たよ
)
りに志望した声楽家にもなることができないままに、いくどか絶望のどん底におちいった。
絵のない絵本:02 解説
(新字新仮名)
/
矢崎源九郎
(著)
「まア、そのほうがいいな。こっちが
彼奴
(
きゃつ
)
ばかりに
頼
(
たよ
)
っているように思われるのは、ばかげているからな。」
疲労
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
道々
(
みちみち
)
捨
(
す
)
ててある木の
枝
(
えだ
)
を
頼
(
たよ
)
りにして
歩
(
ある
)
いて行きますと、
長
(
なが
)
い
山道
(
やまみち
)
にも
少
(
すこ
)
しも
迷
(
まよ
)
わずにうちまで
帰
(
かえ
)
りました。
姨捨山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
その頃
波蘭
(
ポーランド
)
の革命党員ピルスウツキーという男が日本へ逃げて来て二葉亭を
訪
(
たず
)
ねて来た。その外にも二葉亭を
頼
(
たよ
)
って来た露国の虚無党亡命客が二、三人あった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
知人を
頼
(
たよ
)
って西宮まで訪ねて行きましたところ、針中野というところへ移転したとかで、西宮までの電車賃はありましたが、あと一文もなく、朝から何も食べず
馬地獄
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
惜しくてもったいなくて、家も財産も捨てて
頼
(
たよ
)
りにしてよい
息子
(
むすこ
)
にも娘にも別れて、今ではかえって知らぬ他国のような心細い気のする京へ帰って来たのですよ。
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
探
(
さぐ
)
り
当
(
あ
)
てた
油差
(
あぶらさし
)
を、
雨戸
(
あまど
)
の
隙間
(
すきま
)
から
微
(
かす
)
かに
差
(
さ
)
し
込
(
こ
)
む
陽
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
を
頼
(
たよ
)
りに、
油皿
(
あぶらざら
)
のそばまで
持
(
も
)
って
行
(
い
)
った
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
は、
中指
(
なかゆび
)
の
先
(
さき
)
で
冷
(
つめ
)
たい
真鍮
(
しんちゅう
)
の
口
(
くち
)
を
加減
(
かげん
)
しながら、とッとッとと
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
軍服を
著
(
き
)
て、役所の帰りに女に
逢
(
あ
)
いには行かれません。それに
較
(
くら
)
べると主人は気楽ですから、千住では
頼
(
たよ
)
りにして、
頻
(
しき
)
りに
縋
(
すが
)
られます。父は性質として
齷齪
(
あくせく
)
なさいません。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
只一日の如く
甲斐々々
(
かひ/″\
)
しく
看護
(
みとり
)
仕つりし其孝行を
土地
(
ところ
)
の人も
聞傳
(
きゝつた
)
へて
賞
(
ほめ
)
者にせられしが遂に其
甲斐
(
かひ
)
なく十四歳の
砌
(
みぎ
)
り右母
病死
(
びやうし
)
仕つり他に
頼
(
たよ
)
るべき處もなきにより夫より節を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
余はかかる暗黒時代の恐怖と悲哀と疲労とを暗示せらるる点において、あたかも
娼婦
(
しょうふ
)
が
啜
(
すす
)
り泣きする忍び
音
(
ね
)
を聞く如き、この
裏悲
(
うらがな
)
しく
頼
(
たよ
)
りなき色調を忘るる事
能
(
あた
)
はざるなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
無い縁は是非が無いで今に至ったが、天の
意
(
こころ
)
というものはさて測られないものではあると、なんとなく神さまにでも
頼
(
たよ
)
りたいような
幽微
(
かすか
)
な感じを起したりするばかりだった。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
時重博士
(
ときしげはくし
)
がいってくれた「どうとかなるだろう」を
頼
(
たよ
)
りにわずかに安心するほかはなかった。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
子路が
頼
(
たよ
)
るのは孔子という人間の厚みだけである。その厚みが、日常の区々たる細行の集積であるとは、子路には考えられない。
本
(
もと
)
があって始めて末が生ずるのだと彼は言う。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「ほんまの親一人子ひとりの
頼
(
たよ
)
りない身どすさかい、どうぞよろしゅうお願いいたします」
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
中学の英語教師を勤めている遠縁の壮助が、彼等のせめてもの
頼
(
たよ
)
りとする唯一人だった。
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
彼は家の外に出て
俥
(
くるま
)
の姿を待った。冷えて降りだしそうな暗い空に
五位鷺
(
ごいさぎ
)
が叫んでとおりすぎる。そうして待ち
佗
(
わ
)
びていると、ふと彼は遠い
頼
(
たよ
)
りない子供の心に陥落されていた。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
一度銀行で彼の組織力がほめられたことがあったが、まったくひとりになって自分だけに
頼
(
たよ
)
らなければならない今では、それを極度にためしてみる絶好の機会を示すものだった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
淋
(
さび
)
しい顔立が、
人混
(
ひとご
)
みに
揉
(
も
)
まれ、船が
離
(
はな
)
れて行けば、いっそう
頼
(
たよ
)
りなげに見える、そのぼんやりした瞳に、ぼくが、テエプを抛ろうとすると、その瞳は、急に
濡
(
ぬ
)
れてみえるほど
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
またこの家族は、
頼
(
たよ
)
るべき
親戚
(
しんせき
)
や知り合いが
鳥取
(
とっとり
)
の町中に一人もありませんでした。
神様の布団
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
星
(
ほし
)
のやうな
目
(
め
)
をうろ/\させてS、H
氏
(
し
)
の
夫人
(
ふじん
)
が、
頼
(
たよ
)
りなさゝうにしてゐるので、M、H
氏
(
し
)
夫人
(
ふじん
)
と、N
氏
(
し
)
夫人
(
ふじん
)
が
気
(
き
)
をもんで
電話
(
でんわ
)
でもかゝつて
来
(
こ
)
ないか
否
(
いな
)
かをボオイに
訊
(
き
)
いたりしたが
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
乃
(
すなは
)
ち
山
(
やま
)
の
背面
(
はいめん
)
には、
岸
(
きし
)
に
沿
(
そ
)
ふ三
角
(
すみ
)
さんの
小船
(
こぶね
)
がある。たゞその
人
(
ひと
)
が
頼
(
たよ
)
りであつた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ね、貢さん、阿母さんや此の
脊中
(
せなか
)
の
桃枝
(
もヽえ
)
が
頼
(
たよ
)
りにするのはお前
一人
(
ひとり
)
だよ。
阿父
(
おとう
)
さんはあんな
方
(
かた
)
だから
家
(
うち
)
の事なんか
構
(
かま
)
つて下さら無い。此の
下間
(
しもつま
)
の
家
(
うち
)
を興すも
潰
(
つぶ
)
すもお前の量見
一
(
ひと
)
つに在る。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
人
(
ひと
)
の
奧樣
(
おくさま
)
に
成
(
な
)
り
給
(
たま
)
ふ
身
(
み
)
、
私
(
わた
)
しにはお
兄樣
(
にいさま
)
とお
前樣
(
まへさま
)
ばかりが
頼
(
たよ
)
りなれど、
誰
(
た
)
れよりも
私
(
わた
)
しはお
前樣
(
まへさま
)
が
好
(
す
)
きにて、
何卒
(
どうぞ
)
いつまでも
今
(
いま
)
の
通
(
とほ
)
り
御一處
(
ごいつしよ
)
に
居
(
を
)
りたければ、
成長
(
おほき
)
くなりてお
邸
(
やしき
)
の
出來
(
でき
)
し
時
(
とき
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
屋根より
落
(
おち
)
て骨を挫きし時医師に行かずして祈祷に
頼
(
たよ
)
るは愚なり、不信仰なり、神は熱病を
癒
(
いや
)
さんがために「キナイン」剤を我らに与え賜えり、人これあるを知てこれを用いざるは罪なり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
頼
(
たよ
)
って自分の頭を働かさないからいけない。と、内藤はこう見ている。もっともだ。私もそう思っている。安斉先生と相談して、これから勉強の方針を変えるから、そのつもりでいなさいよ
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「ふふん、それでおまえは東京に出て来て、どこにも
頼
(
たよ
)
る人はないのか。」
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
で、芳子は
殆
(
ほとん
)
ど
喧嘩
(
けんか
)
をするまでに争ったが、矢張
断
(
だん
)
として
可
(
き
)
かぬ。先生を
頼
(
たよ
)
りにして出京したのではあるが、そう聞けば、なるほど
御尤
(
ごもっとも
)
である。監督上都合の悪いというのもよく解りました。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
僧三
頼
(
たよ
)
りに思う御子息
善鸞
(
ぜんらん
)
様はあのようなふうでございますしね。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
しかし、
目弱王
(
まよわのみこ
)
は、私ごとき者をも
頼
(
たよ
)
りにしてくださって、いやしい私のうちへおはいりくださっているのでございますから、私といたしましては、たとえ死んでもお
見捨
(
みす
)
て申すことはできません。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
併
(
しか
)
し、
今
(
いま
)
も
言
(
い
)
つた
通
(
とほ
)
り、どういふ
書物
(
しよもつ
)
と
云
(
い
)
つたところが、
誰
(
たれ
)
でも
夫
(
そ
)
れを
讀
(
よ
)
みさへすれば、
必
(
かなら
)
ず
爲
(
た
)
めになるといふ
書物
(
しよもつ
)
は、
出版書肆
(
しゆつぱんしよし
)
の
廣告以外
(
くわうこくいぐわい
)
に
存在
(
そんざい
)
する
筈
(
はず
)
はないのだから、
甚
(
はなは
)
だ
頼
(
たよ
)
りのないものである。
読書の態度
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そんな
頼
(
たよ
)
りにならない偶然を頼りにする
奴
(
やつ
)
もないでしょう
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ただ
黄
(
き
)
なる
燈火
(
ともしび
)
ぞのぼりゆく……
孤児
(
みなしご
)
の
頼
(
たよ
)
りなき
眼
(
め
)
か。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
かなしみはよわよわしい
頼
(
たよ
)
り気をなびかしてゐる。
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
華
(
はな
)
やぐ
聲
(
こわ
)
ねのあやに、——かつて
頼
(
たよ
)
る
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
“頼”の解説
頼(らい)は、周代に存在した諸侯国。紀元前538年、楚によって滅ぼされた。
(出典:Wikipedia)
頼
常用漢字
中学
部首:⾴
16画
“頼”を含む語句
無頼漢
依頼
無頼
空頼
手頼
頼光
無頼者
源三位頼政
御頼申
御依頼
頼母敷
平判官康頼
心頼
蒲冠者範頼
頼母
頼山陽
信頼
放蕩無頼
御頼
頼家
...