“油皿”の読み方と例文
読み方割合
あぶらざら100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
前句は新畳あらだたみを敷いた座敷である、それを通して前々句を見るとそこには行燈あんどんがあり、その中から油皿あぶらざらの心像がありありと目に見える。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
さぐてた油差あぶらさしを、雨戸あまど隙間すきまからかすかにひかりたよりに、油皿あぶらざらのそばまでってったまつろうは、中指なかゆびさきつめたい真鍮しんちゅうくち加減かげんしながら、とッとッとと
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
箕輪のお時の家でも仏壇に精霊棚しょうりょうだなを作って、茄子なすの牛やうりの馬が供えられた。かわらけの油皿あぶらざらには燈心の灯が微かに揺らめいていた。六十ばかりの痩せた僧が仏壇の前で棚経たなぎょうを読んでいた。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)