ばかり)” の例文
六月に氷をみる事江戸の目には最珍いとめづらしければ立よりて熟視よくみれば、深さ五寸ばかりの箱に水をいれその中にちひさ踏石ふみいしほどの雪の氷をおきけり。
穏当おとなしくなって姪子めいっこを売るのではない養女だかめかけだか知らぬが百両で縁をきっれろという人にばかりの事、それをおたつ間夫まぶでもあるか
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
丁度ちょうど自分の学校から出た生徒が実業について自分と同じ事をすると同様、乃公おれがその端緒たんちょを開いたと云わぬばかり心持こころもちであったに違いない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
上件ハ唯、大兄ばかりニ内〻申上候事なれバ、余の論を以て、樋口真吉及其他の吏〻ニもママ御申聞(なされ)候時ハ、なほ幸の事ニ候。不一
手紙をお書き今に三河やの御用聞きが來るだろうから彼の子僧に使ひやさんを爲せるが宜い、何の人お孃樣ではあるまいし御遠慮ばかりまをしてなる物かな
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
山頬やまぎわの細道を、直様すぐさまに通るに、年の程十七八ばかりなる女房にょうぼうの、赤き袴に、柳裏やなぎうら五衣いつつぎぬ着て、びんふかぎたるが、南無妙。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
オヤおまへおもちや屋ばかりりが決心の忘れところだとお思ひか、気をつけないとまだ他のところで幾度かこんなことをし升よ。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
陳ば去年七月炮戰はうせん騷動さうどう御座候由、扨々大騷ぎの事に御座候半、想像仕に尚あまり有る事に御座候。御祖母樣如何ばかり之御驚嘆と、是而已のみ案勞あんらう仕候儀に御座候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
「坂東彦三郎も御噂申出おんうはさまうしいで兎角とかく駿河へ參りたい/\とばかり申居候」の句は、人をして十三驛取締の勢力をしのばしむると同時に、苾堂の襟懷をもおもらせる。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
やがて、彼是かれこれ十人ばかりの一行は主任の先導で、休憩室に宛てられた事務所の二階へ歩を移した、其時に順になったので、役人の親玉と次席と其次位は判別できた。
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
「されば人世に事を行はんもの、かぎりなきくうをつゝんで限りあるじつをつとめざるべからず。」「一人の敵とさしちがへたらんは一軍にいかばかりのこうかはあらん。 ...
婦人と文学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
今又かの和泉守のために我つまをまで失はんとするが悲しく侍りとて、よゝとばかりに泣給ふ。
大さは種々なれど今日迄にれたる事實じじつに由れば最も大なるは陸奧龜ヶ岡發見はつけん加藤某氏所藏しよぞう(第三回圖中に頭部とうぶのみをゑがき置きしもの、佐藤蔀氏藏せしは誤なり)全長一尺二寸ばかり
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
嶮崖けんがいくだり渓流をもとめてはくせんとす、れてつゐに渓流にいたるを得ず、水声ちかく足下にあれども峻嶮しゆんけん一歩もせせむを得ず、嵯乎ああ日のるるを二十分ばかりはやかりし為め、つゐに飯をかしぐの水を得ず
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
もしだけの意味で誰も長塚君に及ばないというなら、一方では他の作家を侮辱した言葉にもなり、又一方では長塚君をかつぎ過ぎる策略とも取れて、何方どちらにしても作者の迷惑になるばかりである。
り店へ來りてお光さんに癲癇てんかんがあると言たる醫師いしや年齡としごろ云々しか/″\にて又面體めんてい箇樣々々かやう/\然も羽織はおりにはまるの中に桔梗ききやうもんついてゐたと申に因て日頃より見知る山田元益に面體めんてい恰好かつかうばかりでなく羽織はおりもんも相違なければ確に夫とお光さんに話しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ばかり云って居ります。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
六月に氷をみる事江戸の目には最珍いとめづらしければ立よりて熟視よくみれば、深さ五寸ばかりの箱に水をいれその中にちひさ踏石ふみいしほどの雪の氷をおきけり。
此差このさおよそ二年半餘はんあまりにして一月ばかりなるゆゑ、其時そのときいた閏月しゆんげつき十三ヶ月を一年となし、地球ちきうすゝんもとところ行付ゆきつくまつなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
幾度かうちかえし/\見て、印紙正しく張りつけ、漸く差しいだしたるに受取うけとったとばかりの返辞もよこさず、今日は明日はと待つ郵便の空頼そらだのめなる不実の仕方
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
小弟御国ニて五十金、官よりもらいしなり。夫お廿金人につかハし自ら拾金ばかり(か)い申、自分廿拾ママ金計持居申候。中島作につかハさんと思ふニよしなし。
ゑりもとばかり白粉おしろいえなくゆる天然てんねん色白いろじろをこれみよがしにのあたりまでむねくつろげて、烟草たばこすぱ/\長烟管ながぎせる立膝たてひざ無作法ぶさはうさもとがめるひいのなきこそよけれ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「得意ざきへ物買に行ごとく、用事ばかり申上候事、思召も恥入候。然ども外にはいたしかた無之、無拠よんどころなく御頼申上候。これまた前世より之ごふなどと思召、御わきまへ被下度奉願上候。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
けだものめ、口先ばかり達者で、腕力ちからも無けりゃ智慧もねエ、ざまア見やがれ、オイ、閻魔ッ、今頬桁ほおげた叩きやがった餓鬼共ア、グズグズ言わさず——見せしめの為だ——早速片付ちまいねエ」
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
是又忝これまたかたじけなき御事共に候、急沙汰し奉らんと、侍従卜部兼治を召して神下ろしをし、身の毛もよだつばかりに神々を請じ奉り、いさゝか以不野心もつてやしんをぞんぜざる之旨を誓紙に書いた。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
只今大膳よりきゝ及び承知したりしか箇樣かやう大望たいまうは中々うきたる事にては成就じやうじゆ覺束おぼつかなしまづ根本こんぽんより申合せてたくまねば萬一まんいち中折なかをれして半途はんと露顯ろけんに及ぶ時は千辛萬苦せんしんばんくも水のあわなるばかりか其身の一大事に及ぶべし先名乘なのり出る時は必ず其生れ所とそだちし所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
○こゝに我が魚沼郡うをぬまごほり藪上やぶかみの庄の村より農夫のうふ一人柏崎かしはざきえきにいたる、此路程みちのり五里ばかりなり。途中にて一人の苧纑商人をがせあきびとひ、路伴みちづれになりてゆきけり。
色々入り込んだ訳もあろうがさりとては強面つれなき御頼おたのみ、縛ったやつてとでもうのならば痩腕やせうでに豆ばかり力瘤ちからこぶも出しましょうが、いとしゅうていとしゅうて
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
長サ六寸ばかり発込ハツコミクハイ剣よりハちいさけれども、人おうつに五十間位へたママゞりてハ打殺すことでき申候。其つれが今手もとにこれあり候得ども、さしあげ不申候。
何うも病ひの故であらうか兎角に誰れの言ふ事も用ひぬには困りはてる、醫者は例の安田が來るので斯う素人まかせでは我まゝばかりつのつて宜く有るまいと思はれる
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
向ふ側ばかり燒失にて、道幅も格別廣き處故、今度ものがれ可申まうすべく、さ候はば外へ立のくにも及ぶまじと申候に、鳶の者もさ樣に心得、いか樣にやけて參候とも、此大釜二つに水御坐候故
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
おろ棒組ぼうぐみはなしけるは只今龜屋方の挨拶あいさつ昨夜ゆうべの女客の今朝早く出立せしとは不審ふしんなり殊に亭主の顏色かほいろといひ何共合點がてんゆかぬ事なりとはなしる處へ江戸の方より十人ばかりの男の羽織はおり股引もゝひきにて旅人とも見えずさりとて又近所の者にはあらずと見ゆるがいき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
○こゝに我が魚沼郡うをぬまごほり藪上やぶかみの庄の村より農夫のうふ一人柏崎かしはざきえきにいたる、此路程みちのり五里ばかりなり。途中にて一人の苧纑商人をがせあきびとひ、路伴みちづれになりてゆきけり。
先日大坂ニい申候時ハ、誠に久しぶりにかぜ引もふし薬六ふくばかりものみたれバ、ゆへなくなをり申候。
ほん馬鹿々々ばか/\しいとつてはれほどのこと今日けふまでだまつてるといふことりますものか、あんま御前おまへ温順おとなすぎるから我儘がまんがつのられたのであろ、いたばかりでもはら
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「扨おとらへよき物被下忝奉存候。然所流行痢疾りしつにて八月三日相果候。(廿八日よりわづらひ付候は夜四つ時、死候は朝五つ時、其間三日ばかり也。)お敬はじめ哀傷御憐察可被下候。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
魚沼郡の官駅くわんえき十日町の南七里ばかり妻在庄つまりのしやうの山中(此へんすべて上つまりといふ)に田代たしろといふ村あり。
可愛かわいらしき四つばかりの、彼子あれ先刻さつきひとのでござんす、あのちいさな子心こゞゝろにもよく/\くいとおもふとえてわたしことをば鬼々おに/\といひまする、まあ其樣そん惡者わるものえまするかとて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此世話ばかりをかの十符とふ菅菰すがごも之礼と被仰可被下候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
魚沼郡の官駅くわんえき十日町の南七里ばかり妻在庄つまりのしやうの山中(此へんすべて上つまりといふ)に田代たしろといふ村あり。
やだとつても此組このくみ大將たいしやうてくんねへ、左樣さうどぢばかりまないからとて面目めんぼくなさゝうに謝罪わびられてればれでもわたしやだともひがたく、仕方しかたところまでやるさ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たま姫樣ひめさま御出生ごしつしやうきもへず、るやさくらむなしくなりぬるを、何處いづくりてか六三ろくさ天地てんちなげきて、ひめいのちゆゑばかりみじかきちぎりにあさましき宿世しゆくせおもへば、一人ひとりのこりてなんとせん
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この一令孃ひめありとこヽろくすものなく、るは甚之助殿じんのすけどのばかりなる不憫いぢらしさよ、いざや此心このこヽろふではして、時機あはよくは何處いづこへなりとも暫時しばしともなひ、其上そのうへにてのさくまた如何樣いかやうにもあるべく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)