つゞ)” の例文
旧字:
よし子は何時いつにか、水彩画のつゞきをき始めた。三四郎がそばにゐるのが丸で苦になつてゐない。それでゐて、く返事をする。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
売薬ばいやくさきりたが立停たちどまつてしきり四辺あたりみまはして様子やうす執念深しふねんぶかなにたくんだか、とこゝろよからずつゞいたが、さてよくると仔細しさいがあるわい。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
するとつゞいてお姫様ひめさま玄関げんくわんまで追掛おつかけまゐられて、円朝わたくし喚留よびとめたがうもりゝ々しくツて、なんとなく身体からだちゞあがり、わたくししばられでもするかと思ひました。姫
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
お常は三十日の芝居を、十八日までつゞさまに、通ひ詰めたがうしても徳三郎と言葉をはす事が出来なかつた。
混堂ゆやつゞきて厨処だいどころあり、かまどにも穴ありて地火を引て物をにることたきゞに同じ。次に中のあり、ゆかの下より竹筩たけつゝを出し、口には一寸ばかりあかゞねはめて火をいださしむ。
いま一つ招魂社せうこんしやうしろ木立こだちのなかにも、なまめかしい此物語このものがたりあとつけられてあるが、其後そのゝち関係くわんけいは一さいわからぬ。いまこひなかはつゞいてゐるかいなか、それ判然はんぜんせぬ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
私は百合のはなを手折つて来てつままくら元にしてやつた。すると、つまはげしい香ひのためにせきつゞけた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
結局けつきよく、このまゝくらつゞけてくとしたら? さうかんがへたとき、二人はせうさうをはげしい心にかんじた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
白樺しらかば赤楊はんのきかさなりもりしげみに銃架じうかかげはけふもつゞいて
それが大へんぢや 何千哩ぜんまいるつゞいてゐることになる
つゞけ泣く……やはらかに、なやましげにも
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
大地だいちは自然につゞいてゐるけれども、其上にいへてたら、忽ち/\ぎれになつて仕舞つた。いへなかにゐる人間にんげんも亦れになつて仕舞つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ばさりとふのが、ばさりとこえて、ばさりとつて、藁屋わらやひさしから、なはてへばさりとちたものがある、つゞいてまたひとつばさりとおやる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
混堂ゆやつゞきて厨処だいどころあり、かまどにも穴ありて地火を引て物をにることたきゞに同じ。次に中のあり、ゆかの下より竹筩たけつゝを出し、口には一寸ばかりあかゞねはめて火をいださしむ。
それとも此様こんなのが実際じつさい幸福かうふくなので、わたしかんがへてゐたことが、ぶんぎたのかもれぬ。が、これで一しやうつゞけばまづ無事ぶじだ。あつくもなくつめたくもなし、此処こゝらが所謂いはゆる平温へいおんなのであらう。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
私はかぜを引きつゞけた。母が、「アツ」といつたまゝんでしまつた。すると、つまが母に代つてとこについた。私のほこつてゐたもんから登るはなの小路は、氷を買ひにはしみちとなつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
マアつゞいた事は西洋のお話もいたしましたが、まだ落話おとしばなしはいたしませんとまうしたら、落話おとしばなしごく面白おもしろい事があるから一せきをしへてげようといふので、をそはりたてのお話しでございます
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
かうして高浜氏はつゞざまに五六枚ばかしやけに引裂いた。
高粱かうりゃうはたけけて銃架じうかかげはけふもつゞいて
さあみんなつゞけ!
地蔵尊ぢざうそんが、まへはうから錫杖しやくぢやういたなりで、うしろつゞいたわたし擦違すれちがつて、だまつてさかはうもどつてかるゝ……と案山子かゝしもぞろ/\と引返ひきかへすんです。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
赤ペンキの看板がそれから、それへとつゞいた。仕舞には世の中が真赤まつかになつた。さうして、代助のあたまを中心としてくるり/\とほのほいきを吹いて回転した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかし、私はたゞなにらずに煙草たばこを吹かせてぼんやりとしてゐただけである。このぼんやりとしたゆるんだ心理しんりつゞいてゐる空虚くうきよ時間じかんに、もく々として私達わたしたち運命うんめいうごかせてゐた何物なにものかがあつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
我が隣駅りんえきせきにちかき飯士山いひじざんつゞく東に、阿弥陀峯あみだぼうとてきこりする山あり。
大胆だいたんてきかすめてそのをとこ作業さげふつゞけた
はやく、まちはなれてつじれると、高草たかくさ遥々はる/″\みちすぢ、十和田わだかよふといたころから、同伴つれ自動車じどうしやつゞかない。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
既に平岡にとついだ三千代に対して、こんな関係が起り得るならば、此上このうへ自分に既婚者の資格を与へたからと云つて、同様の関係がつゞかない訳には行かない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
きみたちのくちびる最後さいごまで反戦はんせんさけつゞけた
まくらならべた上人しやうにん姿すがたおぼろげにあかりくらくなつてた、早速さつそく燈心とうしんあかるくすると、上人しやうにん微笑ほゝゑみながらつゞけたのである。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何時いつもは花の時分に開くのだが、来年は少し会員の都合で早くする積りだから、丁度会を二つつゞけて開くと同じ事になる。必死の勉強をやらなければならない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「野々宮さんは、理学者だから、なほそんな事を仰しやるんでせう」と云ひした。話しのつゞきらしい。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかしそれたゞ青葉あをばばかりで菖蒲あやめみじかいのがむらがつてゝ、みづいろくろ時分じぶん此処こゝへも二日ふつか三日みつかつゞけてきましたつけ、小鳥ことりつからなかつた。からす沢山たんとた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
昨日きのふ一昨日おとゝひと三つゞけてつたですで、まんづ、今日けふ大丈夫だいぢやうぶでがせうかな。」一かうにんと、運転手うんてんしゆ助手じよしゆはせて八にんひしんでつた、真中まんなかちひさくなつた
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おなじやうなせつないゆめを、幾度いくたびとなくつゞけてて、半死半生はんしはんせいていつとわれかへつたとき亭主ていしゆ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぐわつ上旬じやうじゆん……とはふが、まだ梅雨つゆにははひらない。けれども、ともするとはなくだしととなうる長雨ながあめころを、けて其年そのとし陽気やうき不順ふじゆんで、毎日まいにちじめ/\とあめつゞいた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すると婦人をんなが、しもぶくれなかほにえくぼをきざんで、三ツばかりはき/\とつゞけてうなづいた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十四五にん仙台せんだい学校がくかうからとく、洋服やうふく紳士しんしが、ぞろ/\とつゞいてえた。……
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)