意外いぐわい)” の例文
すると其時そのとき夕刊ゆふかん紙面しめんちてゐた外光ぐわいくわうが、突然とつぜん電燈でんとうひかりかはつて、すりわる何欄なにらんかの活字くわつじ意外いぐわいくらゐあざやかわたくしまへうかんでた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かれ前年ぜんねんさむさがきふおそうたときたねわづか二日ふつか相違さうゐおくれたむぎ意外いぐわい收穫しうくわく減少げんせうしたにが經驗けいけんわすることが出來できなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
本國ほんごく日本につぽん立去たちさつたひと其人そのひといまかる孤島はなれじまうへにて會合くわいごうするとは、意外いぐわいも、意外いぐわいも、わたくし暫時しばし五里霧中ごりむちう彷徨はうくわうしたのである。
宗助そうすけにはそれが意外いぐわいであつた。しかたいした綺羅きら着飾きかざつたわけでもないので、衣服いふくいろも、おびひかりも、夫程それほどかれおどろかすまでにはいたらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あらひてあがりくれよとはさて意外いぐわいわからぬといへばほどわからぬはなしはなしなんとせばからんかと佇立たゝづみたるまゝ躊躇ためらへば樓婢ろうひはもどかしげにいそがしたてゝ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
權藏ごんざうとみいま一郡第一いちぐんだいゝちとなり、かれつて色々いろ/\公共事業こうきやうじげふおこなはれてるのです。けれど諸君しよくんかれあつたらおそらく意外いぐわいおもはるゝだらうとおもひます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
分隊ぶんたい兵士達へいしたちはすべてのこと意外いぐわいさに呆氣あつけられて、けたやうにつてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
まづなによりも原書げんしよ讀書力どくしよりよくとぼしいのは意外いぐわいでありました。それでさづける讀本とくほんむづかしいのかといふのに、けつしてさうむづかしい書物しよもつではありません。西洋せいやうでは高等小學校かうとうせうがくかう程度位ていどぐらゐでせう。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
いふまでもなく極月しはすかけて三月さんぐわつ彼岸ひがんゆきどけまでは、毎年まいねんこんななか起伏おきふしするから、ゆきおどろくやうなものわすれても土地柄とちがらながら、今年ことし意外いぐわいはやうへに、今時いまどきくまでつもるべしとは
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
現在げんざいおいて、アイヌせつ代表だいひやうされる小金井博士こがねゐはかせアイヌせつ代表だいひやうされる坪井博士つぼゐはかせ此二大學説このにだいがくせつじつ尊重そんちやうすべきであるが、これ意外いぐわいろんじるほど材料ざいれうを、そもそ何人なんびとあつめつゝあるか
土噐どきの形状紋樣もんように至つては多言たげんを要せず、實物じつぶつを見たる人はさらなり、第七回の挿圖さしづのみを見たる人も、未開みかいの人民が如何にしてく迄に美事みごとなるものを作り出せしかと意外いぐわいの感をいだくならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
かれはハヾトフが昨日きのふことおくびにもさず、にもけてゐぬやうな樣子やうすて、心中しんちゆう一方ひとかたならず感謝かんしやした。這麼非文明的こんなひぶんめいてき人間にんげんから、かゝ思遣おもひやりをけやうとは、まつた意外いぐわいつたので。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
存じてをるに相違は有舞あるまひサア眞直まつすぐ白状はくじやうせよと意外いぐわいいでられ彌十は南無三ばう仕舞しまつたりと思へども然有さあらていにて否々いや/\全く脇差はをさめ物に相違御座りませぬと云ば役人は左右とかくなんぢは不都合ふつがふなる事を申ぞ脇差を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みなみでは養蠶やうさん結果けつくわかつたのとすこしばかりあまつたくは意外いぐわい相場さうばんだのとで、一ゑんばかりのさけ奮發ふんぱつしたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
夫婦ふうふはなしはそれから、坂井さかゐ生活せいくわつ餘裕よゆうのあることと、その餘裕よゆうのために、横町よこちやう道具屋だうぐやなどに意外いぐわいまうかたをされるかはりに、ときとすると織屋おりやなどから
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
けれど、わたくしつね確信かくしんしてます、てんには一種いつしゆ不思議ふしぎなるちからがあつて、こゝろうつくしきひとは、屡々しば/″\九死きゆうし塲合ばあひひんしても、意外いぐわい救助すくひことのあるものです。
今度こんど發見はつけんされた駒岡附近こまをかふきんにも、すですで澤山たくさん横穴よこあな開發かいはつされてあるのだが、て、果報くわはうなのは今回こんくわいのお穴樣あなさまで、意外いぐわい人氣にんき一個ひとり背負せおつて、まこと希代きたい好運兒かううんじいな好運穴かううんけつといふべきである。
じつまをしますと、これはちと意外いぐわいでしたので。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「さうさね、巡査じゆんさだつて無闇むやみにどうかするといふこともないんだらうとおもふやうだがね」内儀かみさんは意外いぐわい面持おももちでいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日出雄少年ひでをせうねんをば眞個しんこ海軍々人かいぐんぐんじんゆだねんとせしかれちゝこゝろざしが、いま意外いぐわい塲所ばしよで、意外いぐわいひとよつたつせらるゝこのうれしき運命うんめいに、おもはず感謝かんしやなみだ兩眼りようがんあふれた。
ところ丁度ちやうど五月目いつつきめになつて、御米およねまた意外いぐわい失敗しくじりつた。其頃そのころはまだ水道すゐだういてなかつたから、朝晩あさばん下女げぢよ井戸端ゐどばたみづんだり、洗濯せんたくをしなければならなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)