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いぐわい
本國日本を
立去つた
人、
其人に
今や
斯かる
孤島の
上にて
會合するとは、
意外も、
意外も、
私は
暫時五里霧中に
彷徨したのである。
宗助にはそれが
意外であつた。
然し
大した
綺羅を
着飾つた
譯でもないので、
衣服の
色も、
帶の
光も、
夫程彼を
驚かす
迄には
至らなかつた。
畑の
作主が
其損失以外にそれを
惜む
心から
蔭で
勢ひ
激しく
怒らうともそれは
顧みる
暇を
有たない。
勘次の
痩せた
茄子畑もさうして
襲はれた。
立つ
前の
晩に、
父は
宗助を
呼んで、
宗助の
請求通り、
普通の
旅費以外に、
途中で二三
日滯在した
上、
京都へ
着いてからの
當分の
小遣を
渡して