以外いぐわい)” の例文
震災しんさい以來いらい東京とうきやう梅園うめぞの松村まつむら以外いぐわいには「しるこ」らしい「しるこ」あとつてしまつた。そのかはりにどこもカツフエだらけである。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それ以外いぐわい品物しなもの爲替回復かはせくわいふく影響えいきやう直接ちよくせつにはけないのであるから、此程度このていど物價ぶつか低落ていらくもつと適當てきたうところであらうとおもはれる。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
はたけ作主さくぬしその損失そんしつ以外いぐわいにそれををしこゝろからかげいきほはげしくおこらうともそれはかへりみるいとまたない。勘次かんじせた茄子畑なすばたけもさうしておそはれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まへばんに、ちゝ宗助そうすけんで、宗助そうすけ請求せいきうどほり、普通ふつう旅費りよひ以外いぐわいに、途中とちゆうで二三にち滯在たいざいしたうへ京都きやうといてからの當分たうぶん小遣こづかひわたして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
貴下あなた海上かいじやう法則ほうそくりませんか、たとへ如何どんことがあらうとも船員せんゐん以外いぐわいものそれくちばしれる權利けんりいです、またわたくし貴下あなたから其樣そん報告ほうこくける義務ぎむいです。
で、小説のるいあま寄稿者きかうしやが無かつたので、おも山田やまだ石橋いしばしわたしとのをせたのです、三人さんにん以外いぐわい丸岡九華まるおかきうくわふ人がありました、この人は小説も書けば新躰詩しんたいしも作る
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
猶以なほもつねんために、べつに、留桶とめをけ七八杯しちはちはいおよ湯船ゆぶねたかさまで、こほるやうな水道すゐだうみづ滿々まん/\たゝへたのを、ふなべり積重つみかさねた。これは奧方おくがた注意ちうい以外いぐわい智慧ちゑで、ざぶ/\と掻𢌞かきまはして
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうすると貴殿あなた小學校せうがくかう以外いぐわい教育けういくはおうけにならんかつたのですか。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大岡殿聞れてナニ安五郎二世と有たかコリヤ九郎兵衞其方がむすめは以前賣女ばいぢよでも致したか安五郎二世と有は九助か惣内の幼名えうみやうにても有しかと申さるゝに九郎兵衞は以外いぐわいの事なれば答へに當惑たうわくなせしがいへ然樣なものでは御座らぬと申を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
朝鮮てうせんおよび臺灣等たいわんとうぶんくはへても一おく七千萬圓まんゑんであつて、大正たいしやうねんほゞ同額どうがく輸入超過ゆにふてうくわであつた以外いぐわいかくごと少額せうがくんだことは近年きんねんるゐのないことである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
かれ生活せいくわつ是程これほど餘裕よゆうにすらほこりをかんずるほどに、日曜にちえう以外いぐわい出入ではいりには、いてゐられないものであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
大佐たいさは、今朝けささだまれる職務しよくむまゐるが、昨夜さくや取紛とりまぎれてかたらず、今朝こんてう御睡眠中ごすいみんちうなれば、この水兵すいへいもつ申上もうしあげるが、この住家すみかの十ちやう以内いないなれば、何處いづくかるゝも御自由ごじいうなれど、その以外いぐわい
さうしてに二度目どめさけあづからぬばあさんおもて雨戸あまどさらに二三まいひい餘計よけい薄闇うすぐらつた佛壇ぶつだんまへ凝集こゞつた。何時いつにか念佛衆ねんぶつしゆう以外いぐわい村落むら女房にようばうくははつて十にんばかりにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たゞ人間にんげんとして生息せいそくする以外いぐわいに、なん交渉かうせふ利害りがいもないのだとかんがへるやうになつてきた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから主人しゆじんからは給料きふれう以外いぐわい賞與しやうよがあつたりするのですこ堅固けんごにすれば
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)