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富貴
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ふうき
ふりがな文庫
“
富貴
(
ふうき
)” の例文
私は心から思うた、功名もいらない、
富貴
(
ふうき
)
も用はない、けれどもただ一度この脂垢のしみた駅夫の服を脱いで学校へ通うてみたい……
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
時としては目下の
富貴
(
ふうき
)
に安んじて
安楽
(
あんらく
)
豪奢
(
ごうしゃ
)
余念
(
よねん
)
なき
折柄
(
おりから
)
、また時としては旧時の
惨状
(
さんじょう
)
を
懐
(
おも
)
うて
慙愧
(
ざんき
)
の念を
催
(
もよ
)
おし、一喜一憂一哀一楽
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「私たち兄妹が、
微賤
(
びせん
)
の身から今日の
富貴
(
ふうき
)
となったのも、そのはじめは十常侍たちの内官の推薦があったからではありませんか」
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしこういう風に祝賀または饗応をするのは都会およびその付近の地方だけで、
辺鄙
(
へんぴ
)
の土地では
富貴
(
ふうき
)
の者でなければしない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
遠くの騒ぎ唄、
富貴
(
ふうき
)
の
羨望
(
せんぼう
)
、生存の快楽、境遇の絶望、機会と運命、誘惑、殺人。
波瀾
(
はらん
)
の上にも脚色の波瀾を極めて、遂に演劇の
一幕
(
ひとまく
)
が終る。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
富貴
(
ふうき
)
名誉
(
めいよ
)
、道徳より来たるものは、山林中の花の如く、おのずから是れ
舒徐
(
じょじょ
)
繁衍
(
はんえん
)
、功業より来たるものは
盆榼中
(
ぼんこうちゅう
)
の花の如く、
便
(
たちま
)
ち
遷徙
(
せんし
)
廃興
(
はいこう
)
あり。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
〔譯〕今日の
貧賤
(
ひんせん
)
に
素行
(
そかう
)
する能はずば、乃ち他日の
富貴
(
ふうき
)
に、必ず
驕泰
(
けうたい
)
ならん。今日の
富貴
(
ふうき
)
に
素行
(
そかう
)
する能はずんば、乃ち他日の
患難
(
くわんなん
)
に、必ず
狼狽
(
らうばい
)
せん。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
我
(
が
)
は愛を
八
(
や
)
つ
裂
(
ざき
)
にする。
面当
(
つらあて
)
はいくらもある。貧乏は恋を
乾干
(
ひぼし
)
にする。
富貴
(
ふうき
)
は恋を
贅沢
(
ぜいたく
)
にする。功名は恋を犠牲にする。我は未練な恋を踏みつける。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
幸
(
さいはひ
)
にもネープルス
市
(
し
)
中
(
ちゆう
)
で「
富貴
(
ふうき
)
なる
日本人
(
につぽんじん
)
。」と
盛名
(
せいめい
)
隆々
(
りう/\
)
たる
濱島武文
(
はまじまたけぶみ
)
の
特別
(
とくべつ
)
なる
盡力
(
じんりよく
)
があつたので、
吾等
(
われら
)
は
遂
(
つひ
)
に
此
(
この
)
最上
(
さいじやう
)
の
船室
(
キヤビン
)
を
占領
(
せんりやう
)
する
事
(
こと
)
になつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
作「だから金は
何処
(
どこ
)
から出るか知んねえ、
富貴
(
ふうき
)
天にあり
牡丹餅
(
ぼたもち
)
棚にありと
神道者
(
しんどうしゃ
)
が云う通りだ、おいサア行くべえ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
富貴
(
ふうき
)
には
寄
(
よ
)
る
親類顏
(
しんるゐがほ
)
幾代先
(
いくだいさ
)
きの
誰樣
(
たれさま
)
に
何
(
なに
)
の
縁故
(
えんこ
)
ありとかなしとか
猫
(
ねこ
)
の
子
(
こ
)
の
貰
(
もら
)
ひ
主
(
ぬし
)
までが
實家
(
さと
)
あしらひのえせ
追從
(
つゐしよう
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
これに臨みて詔を草すれば、
富貴
(
ふうき
)
我を
遅
(
ま
)
つこと久し、これに臨みて
命
(
めい
)
を拒まば、
刀鋸
(
とうきょ
)
我に加わらんこと
疾
(
と
)
し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「五十年
前
(
ぜん
)
に秋山図を見たのは、荒れ果てた張氏の家でしたが、
今日
(
きょう
)
はまたこういう
富貴
(
ふうき
)
のお宅に、再びこの図とめぐり合いました。まことに意外な因縁です」
秋山図
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「よしや
富貴
(
ふうき
)
になりたもう日はありとも、われをば
見棄
(
みす
)
てたまわじ。わが病は母の
宣
(
のたも
)
うごとくならずとも」
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
何がさて南蛮キリシタン国は広大
富貴
(
ふうき
)
の国なれば、投薬の報謝、門徒の布施は一せつ受けぬ。
却
(
かえ
)
つて宗門に
帰依
(
きえ
)
する者には、毎日一人あて米一
升
(
しょう
)
、銀八分をば加配する。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
(五八)
子
(
し
)
曰
(
いは
)
く、『
道
(
みち
)
同
(
おな
)
じからざれば
相爲
(
あひた
)
めに
謀
(
はか
)
らず』と。
亦
(
また
)
各〻
(
おのおの
)
其志
(
そのこころざし
)
に
從
(
したが
)
ふ
也
(
なり
)
。
故
(
ゆゑ
)
に(又 )
曰
(
いは
)
く
(五九)
『
富貴
(
ふうき
)
如
(
も
)
し
求
(
もと
)
む
可
(
べ
)
くんば、
執鞭
(
しつべん
)
の
士
(
し
)
と
雖
(
いへど
)
も
吾
(
われ
)
亦
(
ま
)
た
之
(
これ
)
を
爲
(
な
)
さん。 ...
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
もし春琴が今少し
如才
(
じょさい
)
なく人に
謙
(
へりくだ
)
ることを知っていたなら大いにその名が
顕
(
あら
)
われたであろうに
富貴
(
ふうき
)
に育って生計の苦難を解せず
気随気儘
(
きずいきまま
)
に
振舞
(
ふるま
)
ったために世間から敬遠され
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
其の弁舌の秀でたる、大いに公衆の尊敬を蒙り、啻に非常の名誉と非常の金銀を得るに止らず、或は爵位をも博し得て
富貴
(
ふうき
)
両
(
ふたつなが
)
ら人に超え、
社会
(
しゃかい
)
上流
(
じょうりゅう
)
の紳士に数えらるゝや必せり
松の操美人の生埋:01 序
(新字新仮名)
/
宇田川文海
(著)
遊樓
(
おやまや
)
にして時めく人を取込む紳士か左らずば長官の御手の付し
引物
(
ひけもの
)
を頂く屬官とならん名節を
汚
(
けが
)
し面目を泥にし只其類の
小人
(
せうじん
)
に
富貴
(
ふうき
)
を羨まるゝに止まるべし
清唳
(
せいるゐ
)
孤潔此の鶴公の名を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
なにしろこの地方は土地が
豊
(
ゆた
)
かで、
住民
(
じゅうみん
)
も
従
(
したが
)
って
富貴
(
ふうき
)
であったから、わたしたちの
興行
(
こうぎょう
)
の度数もしぜん多くなり、
例
(
れい
)
のカピのおぼんの中へもなかなかたくさんのお金が投げこまれた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
往古
(
いにしへ
)
に富める人は、
四〇
天の時をはかり、地の利を
察
(
あきら
)
めて、おのづからなる
富貴
(
ふうき
)
を得るなり。
四一
呂望
(
りよぼう
)
、
斉
(
せい
)
に
封
(
ほう
)
ぜられて民に
産業
(
なりはひ
)
を教ふれば、
海方
(
うなべ
)
の人利に走りて
四二
ここに
来朝
(
きむか
)
ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
あちこちから起こる物音が一つになって、なんだかそれが大都会のすさまじい叫びのように思われる。ここに罪悪もあれば事業もある。功名もあれば
富貴
(
ふうき
)
もある。
飢餓
(
きが
)
もあれば絶望もある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
その二人の安否を問返す陵のよそよそしい言葉におっかぶせるようにして立政がふたたび言った。少卿よ、帰ってくれ。
富貴
(
ふうき
)
などは言うに足りぬではないか。どうか何もいわずに帰ってくれ。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼は貴人の奥方の
微賤
(
びせん
)
より
出
(
い
)
でし
例
(
ためし
)
寡
(
すくな
)
からざるを見たり。又は富人の醜き妻を
厭
(
いと
)
ひて、美き
妾
(
めかけ
)
に親むを見たり。才だにあらば男立身は思のままなる如く、女は色をもて
富貴
(
ふうき
)
を得べしと信じたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
益
(
ます
)
且
(
かつ
)
夫
(
それ
)
富貴
(
ふうき
)
は
衆
(
しう
)
の
怨
(
うらみ
)
なりと此言や
宜
(
むべ
)
なるかな享保の
頃
(
ころ
)
麹町二丁目に
加賀屋
(
かがや
)
四郎右衞門とて
間口
(
まぐち
)
十八
間餘
(
けんよ
)
番頭
(
ばんとう
)
手代
(
てだい
)
丁稚
(
でつち
)
五十餘人其外下女下男二十人夫婦に
子供
(
こども
)
都合
(
つがふ
)
七十人餘の
暮
(
くら
)
しにして地面四五ヶ所を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
遠くの
騒
(
さわ
)
ぎ
唄
(
うた
)
、
富貴
(
ふうき
)
の
羨望
(
せんばう
)
、生存の快楽、
境遇
(
きやうぐう
)
の絶望、機会と運命、誘惑、殺人。
波瀾
(
はらん
)
の上にも
脚色
(
きやくしよく
)
の
波瀾
(
はらん
)
を
極
(
きは
)
めて、
遂
(
つひ
)
に演劇の
一幕
(
ひとまく
)
が終る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
わが
同胞
(
どうほう
)
はだいたいにおいて
貧乏
(
びんぼう
)
であるから、
富貴
(
ふうき
)
の
誘惑
(
ゆうわく
)
なるものを知らない。
貧乏人
(
びんぼうにん
)
が金持を批評することは、とかく見当が違うことが多い。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
無知無徳の下等社会はともかくも、上流の
富貴
(
ふうき
)
または学者と称する部分においても、言うに忍びざるもの多し。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
旧
(
ふる
)
き代の
富貴
(
ふうき
)
、
栄耀
(
えよう
)
の日ごとに
毀
(
こぼ
)
たれ焼かれて参るのを見るにつけ、
一掬
(
いっきく
)
哀惜の涙を
禁
(
とど
)
めえぬそのひまには、おのずからこの
無慚
(
むざん
)
な乱れを
統
(
す
)
べる底の力が見きわめたい
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
地に空に春風のわたるほどは物みな燃え立って
富貴
(
ふうき
)
に色づくを、ひそかなる黄を、
一本
(
ひともと
)
の細き末にいただいて、住むまじき世に肩身狭く
憚
(
はば
)
かりの
呼吸
(
いき
)
を吹くようである。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
権力なりあるいは
富貴
(
ふうき
)
の力なりを慕うのは大抵婦人の常であるから、大方同行の親兄弟がこの坊さんは非常に学問があり徳があるというようなことをたびたび言って聞かせたので
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
いって
入
(
いら
)
っしゃいまし……とうとう出掛けたが、是は君、えゝどうも、
富貴
(
ふうき
)
天に有りと云うが、不思議な訳で、君は以前お
役柄
(
やくがら
)
で、元が元だから金を持って来ても是程に貧乏と知らんから
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お峰が主は
白金
(
しろかね
)
の
臺町
(
だいまち
)
に貸長屋の百軒も持ちて、あがり物ばかりに
常綺羅
(
じやうきら
)
美々しく、我れ一度お峰への用事ありて門まで行きしが、千兩にては出來まじき土藏の普請、羨やましき
富貴
(
ふうき
)
と見たりし
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
士
(
し
)
たる者は
富貴
(
ふうき
)
一二五
消息
(
せうそく
)
の事ともに論ずべからず。只信義をもて重しとす。
伯氏
(
あに
)
宗右衛門
一旦
(
ひとたび
)
の
約
(
ちかひ
)
をおもんじ、むなしき
魂
(
たま
)
の百里を来るに
一二六
報
(
むくい
)
すとて、
一二七
日夜を
逐
(
お
)
うてここにくだりしなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
も添へてやりたし嗚呼此の脊に負はるゝ子
跡
(
あと
)
より歩む娘今より十年の後はいかになりて在るや二十年の後は何となるべきや人生れて貧賤なればとて生涯それにて
果
(
はつ
)
るにあらず
𢌞
(
まは
)
り合せさへよくば
富貴
(
ふうき
)
の者となりて雨に戀しきみのゝ國に昔し苦みし事を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
銀座界隈には何という事なく
凡
(
すべ
)
ての新しいものと古いものとがある。一国の首都がその権勢と
富貴
(
ふうき
)
とに
自
(
おのず
)
から
蒐集
(
しゅうしゅう
)
する凡ての物は、皆ここに陳列せられてある。
銀座
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ゆえに
富貴
(
ふうき
)
必ずしも不正ならず、子夏が「
富貴
(
ふうき
)
天
(
てん
)
に在り」と言ったのは、意味の取りようによって富貴必ずしも
悪
(
あく
)
と言えず、むしろ
天
(
てん
)
の
賜物
(
たまもの
)
という意に取れる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
旧
(
ふる
)
き代の
富貴
(
ふうき
)
、
栄耀
(
えよう
)
の日ごとに
毀
(
こぼ
)
たれ焼かれて参るのを見るにつけ、
一掬
(
いっきく
)
哀惜の涙を
禁
(
とど
)
めえぬそのひまには、おのづからこの
無慚
(
むざん
)
な乱れを
統
(
す
)
べる底の力が見きはめたい
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
富貴
(
ふうき
)
を愛するものは必ずこの色を好む。栄誉を
冀
(
こいねが
)
うものは必ずこの色を
撰
(
えら
)
む。盛名を致すものは必ずこの色を飾る。
磁石
(
じしゃく
)
の鉄を吸うごとく、この色はすべての黒き頭を吸う。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その茶を買うことの出来ん者は
富貴
(
ふうき
)
な人の飲み
滓
(
かす
)
を
貰
(
もら
)
って、
其滓
(
それ
)
を
煎
(
せん
)
じて飲むです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
偶
(
たまた
)
ま
以
(
もっ
)
て一旧臣の
為
(
た
)
めに富貴を得せしむるの
方便
(
ほうべん
)
となりたる
姿
(
すがた
)
にては、たといその
富貴
(
ふうき
)
は
自
(
みず
)
から求めずして天外より
授
(
さず
)
けられたるにもせよ、
三河武士
(
みかわぶし
)
の末流たる徳川一類の身として考うれば
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
お
峯
(
みね
)
が
主
(
しゆう
)
は
白金
(
しろかね
)
の
臺町
(
だいまち
)
に
貸長屋
(
かしながや
)
の百
軒
(
けん
)
も
持
(
も
)
ちて、あがり
物
(
もの
)
ばかりに
常
(
じやう
)
綺羅
(
きら
)
美々
(
びゝ
)
しく、
我
(
わ
)
れ一
度
(
ど
)
お
峯
(
みね
)
への
用事
(
ようじ
)
ありて
門
(
かど
)
まで
行
(
ゆ
)
きしが、千
兩
(
りやう
)
にては
出來
(
でき
)
まじき
土藏
(
どざう
)
の
普請
(
ふしん
)
、
羨
(
うら
)
やましき
富貴
(
ふうき
)
と
見
(
み
)
たりし
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「したともさ。それから現にしつつあるともさ。それが君の余裕に
祟
(
たた
)
られている
所以
(
ゆえん
)
だね。僕の最も痛快に感ずるところだね。
貧賤
(
ひんせん
)
が
富貴
(
ふうき
)
に向って
復讐
(
ふくしゅう
)
をやってる
因果応報
(
いんがおうほう
)
の理だね」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
榎本氏が主戦論をとりて
脱走
(
だっそう
)
し、
遂
(
つい
)
に力
尽
(
つ
)
きて
降
(
くだ
)
りたるまでは、
幕臣
(
ばくしん
)
の
本分
(
ほんぶん
)
に
背
(
そむ
)
かず、忠勇の功名
美
(
び
)
なりといえども、
降参
(
こうさん
)
放免
(
ほうめん
)
の
後
(
のち
)
に更に青雲の志を発して新政府の
朝
(
ちょう
)
に
富貴
(
ふうき
)
を求め得たるは
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
上
(
かみ
)
このようななされ方ゆえ、したがっては
公家
(
くげ
)
武家の末々までひたすらに
驕侈
(
きょうし
)
にふけり、天下は破れば破れよ、世間は滅びば滅びよ、人はともあれ我身さえ
富貴
(
ふうき
)
ならば、他より一段
栄耀
(
えよう
)
に振舞わんと
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
寝屋
(
ねや
)
の屏風
太鼓張
(
たいこばり
)
の
襖
(
ふすま
)
なぞ破れたるを、妻と二人して今までは互に
秘置
(
ひめお
)
きける古き
文
(
ふみ
)
反古
(
ほご
)
取出
(
とりいだ
)
して読返しながら張りつくろふ楽しみもまた
大厦高楼
(
たいかこうろう
)
を家とする
富貴
(
ふうき
)
の人の
窺知
(
うかがいし
)
るべからざる所なるべし。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
上
(
かみ
)
このやうななされ方ゆゑ、したがつては
公家
(
くげ
)
武家の末々までひたすらに
驕侈
(
きょうし
)
にふけり、天下は破れば破れよ、世間は滅びば滅びよ、人はともあれ我身さへ
富貴
(
ふうき
)
ならば、他より一段
栄耀
(
えよう
)
に振舞はんと
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
しかるに先刻
図
(
はか
)
らずも鼻子の訪問を受けて、
余所
(
よそ
)
ながらその談話を拝聴し、その令嬢の
艶美
(
えんび
)
を想像し、またその
富貴
(
ふうき
)
、権勢を思い浮べて見ると、猫ながら安閑として
椽側
(
えんがわ
)
に寝転んでいられなくなった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
富
常用漢字
小4
部首:⼧
12画
貴
常用漢字
小6
部首:⾙
12画
“富貴”で始まる語句
富貴楼
富貴竈
富貴花
富貴豆
富貴具足
富貴康寧
富貴栄達
富貴発跡司
富貴草平家物語