“一掬”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いっきく65.2%
ひとすく13.0%
いつきく8.7%
ひとしゃく4.3%
ひとすくひ4.3%
ひとむす4.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一掬いっきくの涙を催さしめるが、しかし隼人正の生涯については諸書の所伝がまち/\であって、必ずしも豊内記の説くところと一致しない。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼女には明暸めいりょうな事実がなかった。したがって明暸な言葉が口へ出て来なかった。そこを津田がまた一掬ひとすくい掬った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わかるゝとき一掬いつきくゆきつて、昌黎しやうれいあたへていはく、のもの潮州てうしう瘴霧しやうむさん、叔公をぢさん御機嫌ごきげんようと。昌黎しやうれい馬上ばじやうこれけてそでにすれば、ゆきかぐはしく立處たちどころ花片はなびらとなんぬとかや。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
げのなさそうなところを見計って一掬ひとしゃくいしゃもじの上へ乗せたまでは無難ぶなんであったが、それを裏返して、ぐいと茶碗の上をこいたら、茶碗にはいりきらん飯はかたまったまま畳の上へころがり出した。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今夜こよひは四十九日の待夜なれど、世にすてられしかなしさはたれありて一掬ひとすくひの水だに手向たむくる人なし。
水を一掬ひとむすび勢をつけて、難なく三千三十米突の一峰を踏む、頂には石を重ねた測標が一つある。相変らず雲の海で山勢は見れぬ。南岳と大喰岳おおばみだけ(宛字)との間にあたるので中の岳と称えておく。
穂高岳槍ヶ岳縦走記 (新字新仮名) / 鵜殿正雄(著)