一掬ひとすく)” の例文
彼女には明暸めいりょうな事実がなかった。したがって明暸な言葉が口へ出て来なかった。そこを津田がまた一掬ひとすくい掬った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
のどが乾いて居りますから一掬ひとすくい飲んで見ると手は縮み上がる程冷たいので、二度とすくって飲む勇気がなかった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
百尋ひゃくひろばかりつかね上げた鮪縄の、ふなべりより高かったのがよ、一掬ひとすくいにずッとした! その、十丈、十五丈、弓なりに上からのぞくのやら、反りかえって、にらむのやら、口さあげておどすのやら
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)