“かき”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カキ
語句割合
19.8%
15.8%
牡蠣15.0%
10.3%
花卉6.7%
5.7%
5.7%
4.4%
4.2%
2.2%
1.8%
1.0%
禍機0.8%
0.6%
賈逵0.4%
佳姫0.4%
夏姫0.4%
0.4%
佳器0.2%
呵氣0.2%
和気0.2%
0.2%
0.2%
墻門0.2%
夏季0.2%
夏輝0.2%
嫁期0.2%
家姫0.2%
家記0.2%
0.2%
火器0.2%
火気0.2%
火氣0.2%
0.2%
花机0.2%
蠣殻0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
霞気0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
バラの花は低いかきの上にたれ下がって、すがすがしい、よいにおいを放っていました。ボダイジュの花も、いま、まっさかりでした。
しかしそれよりも私の目をひいたのは、丘の上の畑の向こう側にかきの大木が幾本となく並んでその葉が一面に紅葉しているのであった。
写生紀行 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
フランス人にわせれば牡蠣かきだって形は感じのいいものではない。ただ牡蠣は水中に住み、蝸牛は地中に住んでいるだけの相違だ。
異国食餌抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
公園や会堂のかきの内に葉は多葉でロウソクを立てたような白い花が咲く樹を見受ける。英人はホースナッツ・ツリーといっている。
マロニエの花 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
……しかし、その後、ある奇縁によって発奮し、カルフォルニアで香水原料の花卉かき栽培に従事し、飽き飽きするほどの財産をつくりました。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
仲冬のすゑ此人居間ゐまの二階にて書案つくゑによりて物をかきてをられしが、まどひさしさがりたる垂氷つらゝの五六尺なるがあかりにさはりてつくゑのほとりくらきゆゑ
村の男は大いに恨み憤って急に道士の跡を追って往こうとした。かきの隅をまがるとき、断りとられた手綱が垣の下に棄ててあった。
種梨 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
かの男はと見ると、ちょうどその順が来たのかどうか、くしゃくしゃと両手で頭髪かみかきしゃなぐる、中折帽も床に落ちた、夢中で引挘ひんむしる。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
火事の用心に板葺きというのはおかしいが、その板の上にはかきからを多くのせて、火の子の燃えつくのを防がせることにしたのであった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
秋はここにもくれないに照れる桜の葉はらりと落ちて、仕切りのかき茶山花さざんかかおりほのかに、線香の煙立ち上るあたりには小鳥の声幽に聞こえぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
彼方あちらけ……御心配なさいますな……悪い奴だ、此の方々は成田の道者どうしゃではないか、手前てまいたちは成田街道で其の日を送る駕籠かきの身の上で有りながら
例えばかきを見た事のない西洋人に柹を説明するよりも赤茄子あかなすのようだと話す方が早解りがするようなものであります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いな、独り独と英とのみではない。露西亜ロシア人はスラヴ民族を以て優秀なりと認むれば、仏蘭西フランス人は拉典ラテン民族を以て優秀なりと認める。しかして、皆相持して下らぬ。即ち、其処そこ禍機かきが潜伏するのである。
列強環視の中心に在る日本 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
竇は友人の言葉に従ってそれを造り、両方のかきを堅くした。すると蜂の群が牆の外から来はじめたが、それは絡繹らくえきとして織るようであった。
蓮花公主 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「ふしぎにも命が助かった」と、慄然りつぜんとしたが、実にこの危地から彼を救った者は、さきに彼の忌諱ききにふれて、陣後に残された賈逵かきであった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巨人の掌上でもだえる佳姫かきや、徳利から出て来る仙人せんにんの映画などはかくして得られるのである。
映画の世界像 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
妲己だっき褒姒ほうじのような妖怪ばけものくさい恐ろしい美人をたとえに引くのも大袈裟おおげさだが、色をむさぼるという語に縁の有るところがら、楚王が陳を討破って後に夏姫かきれんとした時、申公しんこう巫臣ふしんいさめた
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ながめ居たりしがはるかむかうに山一ツ見えけるにぞ吉兵衞は水差みづさしに向ひあの高き山は何國いづくの山なりやかきし駿河の富士山ふじさんよくも似たりと問ふ水差みづさしこたへて那山あのやまこそ名高き四國の新富士しんふじなりと答ふるをりから抑何そもいかに此山の絶頂ぜつちやうより刷毛はけにて引し如き黒雲くろくもの出しに水差は仰天ぎやうてんしすはや程なく雨下あまおろしの來るぞや早く用心ようじんして帆を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
懿才いさい 曩彦なうげんし、佳器かき 時英じえいつらぬく。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
氣息の道を以て、正を存し邪を驅り、病を厭し壽を全うするの事は、佛家にもまた存して居たことで、吹氣、呼氣、嘘氣、呵氣かき𡁱氣きき𡀗氣しきの六氣は天台の智者大師が示した六氣である。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
和気かき香風のうちに、臥榻がとうを据えてその上にそべり、次第にとおざかり往くあぶの声を聞きながら、ねぶるでもなく眠らぬでもなく、唯ウトウトとしているが如く、何ともかとも言様なく愉快こころよかッたが
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
同行三 さまざまのかきを作って仏のお慈悲を拒んでいたのに気がつきました。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
陶は昔の花畦はなあぜが建物のためになくなってしまったので、さらに田を買って、周囲にかきを築いてすっかり菊を植えた。
黄英 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
近づいてみれば、酒旗には「潯陽江正庫じんようこうほんてん」とみえ、また墻門かきのきには、蘇東坡そとうばの書の板額いたがく
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夏季かきいそがしいさうして野菜やさい缺乏けつばふしたときには彼等かれら唯一ゆゐいつ副食物ふくしよくぶつしほむやうな漬物つけものかぎられてるので
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
議郎ぎろう張譲ちょうじょう議郎ぎろう趙忠ちょうちゅう議郎ぎろう段珪だんけい議郎ぎろう夏輝かき——などという十名が中心となって、枢密すうみつに結束をつくっていた。議郎とは、参議という意味の役である。だからどんな枢密の政事にもあずかった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お登和嬢の事は先日も志を打明けて中川君同胞きょうだいに申出た通り到底天から僕に授からんものとあきらめているから僕のために嫁期かきを失わんより早くほかい口を捜してもらいたい
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そうして王氏は喜びのあまり、張氏の孫を上座に招じて、家姫かきを出したり、音楽を奏したり、盛な饗宴きょうえんを催したあげく、千金を寿じゅにしたとかいうことです。私はほとんど雀躍じゃくやくしました。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
却説さて江州甲賀ごうしゅうこうがの山奥木賊とくさ村庄屋家記かきによると、弦之丞は両刀をすて、農となってその地で終っている。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
詩の翻訳は不得手ゆえ出任せに訳すると、テの詩が「風南海をかきまわして多足の蜈蚣を岩上にげ揚げた、船持輩この怪物の重き胴より大きな肋骨を取ってここに海神に捧げ置いた」
川のほとりに繁茂はんもするぶなの木の枝と枝のあいだに、長い木材をわたして屋根の骨をつくり、それにテントを張り、そこに火器かき弾薬だんやくその他いっさいの食料を運んだ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
みちもよほど歩行あるいたような気がするので、うっとり草臥くたびれて、もう帰ろうかと思う時、その火気かきを包んだもやが、こう風にでも動くかと覚えて、谷底から上へ、すそあがりに次第に色がうなって
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
天井てんじようまであがつたならば、屋根やねまで打拔うちぬいて火氣かきくこと。これはほのほ天井てんじようつてひろがるのをふせぐに效力こうりよくがある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かきはなはだこまり入が承まはれば其方に召仕めしつかふ吉之助とやらんは殊の外發明者はつめいものの由なり拙者方せつしやがた召使めしつかひたしとの事なるが何共迷惑めいわくに思ども主人のたのみなればいやとも云れずよんどころなく承知なし早々我家へ歸り女房にようばうにも此事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
柱にかけるばんなども特別にお選びになった支那錦しなにしきで作られてあった。紫夫人の手もとで調製された花机かきおおいは鹿染めを用いたものであるが、色も図柄も雅味に富んでいた。
源氏物語:38 鈴虫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
といって椅子を引擦って来ると、加十にピッタリと寄り添うようにして坐り、銀の小さなフォークで生蠣殻かきの剥身を突刺し滴の垂れるやつを
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
かき成程なるほど不審ふしん道理もつともの事實は我等が大病なりと手紙にかきやりしは虚言うそなりわけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さあたまはれとかきねれば、令孃ひめ微笑ほヽゑみながら、いやいや、お約束やくそくなるにうたにてはいやよ、ごむ人形にんぎやうげまじとかしらをふるに、れでも姉樣ねえさまこのうたごく大切たいせつのにて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
稻草いなぐさもつ空地くうちうづめることが一にちでもすみやかなればそれだけ餘計よけい報酬はうしう晩秋ばんしう收穫しうくわくおいあたへるからとをしへて自然しぜん百姓ひやくしやう體力たいりよくおよかき活動くわつどうせしめる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
霞気不消連旬雪 霞気かきさず連旬れんじゅんの雪
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)