かき)” の例文
には木陰こかげけてしんみりとたがひむね反覆くりかへとき繁茂はんもしたかきくり彼等かれらゆゐ一の味方みかた月夜つきよでさへふか陰翳かげ安全あんぜん彼等かれらつゝむ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
例えばかきを見た事のない西洋人に柹を説明するよりも赤茄子あかなすのようだと話す方が早解りがするようなものであります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、主人は茶を入れてくれたりして、ぼんに盛ったかきの実に、灰の這入はいっていないからの火入れをえて出した。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
痩せて黄色になつた顔には、もとの面影がもはや無いとつても、白きを交へてまばらに延びた鬚髯しゆぜんのあたりを見てゐると、かき村人むらびと時代の顔容をおもひ起させるものがあつた。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
やんがてかきのうれるころ
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
裏戸口うらとぐちかきしたゑられた風呂ふろにはうししたしてはなめづつてやうほのほけぶりともにべろ/\とつていぶりつゝえてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日は川の方へまわっていて、町の左側の障子にえているのだが、その照り返しが右側の方の家々の中まで届いている。八百屋やおやの店先に並べてあるかきが殊に綺麗きれいであった。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
例えば(前の例で説明して見ますと)かき赤茄子あかなすのごとしと云うと無論 simile を内職の内職くらいにしておりますが、本職はもとより柹の性質を明かにするためです。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
のこる三かき
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
くしなんざつてゐねえぞはあ、それよりやあ、けえつてかきのざくまたでもはうがえゝと」朋輩ほうばい一人ひとりがおつぎへいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
猿はひとりでかきの実を
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)