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掻
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かき
ふりがな文庫
“
掻
(
かき
)” の例文
これは必ずしも食えるものを
掻
(
かき
)
集めるというだけでなく、この日正月神の
年棚
(
としだな
)
の飾りものを、いっさい取卸して始末することらしい。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
かの男はと見ると、ちょうどその順が来たのかどうか、くしゃくしゃと両手で
頭髪
(
かみ
)
を
掻
(
かき
)
しゃなぐる、中折帽も床に落ちた、夢中で
引挘
(
ひんむし
)
る。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
掻
(
かき
)
仰
(
おほ
)
せの如く此後は決して
立寄
(
たちよる
)
まじと
堅
(
かた
)
く約束なし猶又
綿入羽織
(
わたいればおり
)
一ツを貰ひ夫より本所柳原町なる舂屋權兵衞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と朝夕に母に
掻
(
かき
)
くどかれては、どれほどに心苦しかったであろう。おなじ年(廿六年四月十三日の記に)
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
老女
(
らうぢよ
)
ようちなつた
*6
といひつゝ木の
盤
(
ばん
)
の上に長き草をおきて
木櫛
(
きくし
)
のやうなるものにて
掻
(
かき
)
て
解分
(
ときわく
)
るさま也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
▼ もっと見る
「私はじっとしていられない性分だからね」とお島はくっきりと白い
頬
(
ほお
)
のあたりへ垂れかかって来る髪を
掻
(
かき
)
あげながら、
繁
(
しげ
)
みの間から晴やかな笑声を洩していたが
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
忠興からそう云われて、彼女はまた、
涸
(
か
)
れはてている涙を
顫
(
おのの
)
きこぼした。——今朝、鏡の前にあった清麗も艶美も、嘘のものだったように彼女の面から
掻
(
かき
)
消えていた。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兎
(
と
)
にも
角
(
かく
)
にも著訳書が私の身を立て家を
成
(
な
)
す唯一の基本になって、ソレで私塾を
開
(
ひらい
)
ても、生徒から
僅
(
わずか
)
ばかりの授業料を
掻
(
かき
)
集めて私の身に着けるようなケチな事をせずに
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「
蕎麥
(
そば
)
ツ
掻
(
かき
)
なんぞにしたつて
詰
(
つま
)
りやしねえ、
碌
(
ろく
)
に
有
(
あ
)
りもしねえ
粉
(
こな
)
だ」
彼
(
かれ
)
は
呟
(
つぶや
)
いた。それから
彼
(
かれ
)
は
又
(
また
)
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
新吉は
何
(
なん
)
の事だかとんと分りませんが、致し方なく夜明け方に帰りますると、情ないかな、女房お累は、草苅鎌の
研澄
(
とぎすま
)
したので
咽喉笛
(
のどぶえ
)
を
掻
(
かき
)
切って、片手に子供を抱いたなり死んで居るから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
蝋
(
ろう
)
小屋の
蒸炉
(
むしろ
)
には、火がごうごうと燃えていた。従兄弟たちは、そのまえに行くと、めいめいに火
掻
(
かき
)
や棒ぎれをにぎって、さきを争うように、
炉口
(
ろぐち
)
にうずたかくなっている蝋灰をかきおこしはじめた。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
その
暁
(
あかつき
)
、ほつれし髪を
掻
(
かき
)
上げて
呟
(
つぶや
)
きぬ
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
此
(
これ
)
が
納
(
をさ
)
まると、
一時
(
ひとしきり
)
たゝきつけて、
樹
(
き
)
も
屋根
(
やね
)
も
掻
(
かき
)
みだすやうな
風雨
(
あめかぜ
)
に
成
(
な
)
つた。
驟雨
(
しうう
)
だから、
東京中
(
とうきやうぢう
)
には
降
(
ふ
)
らぬ
處
(
ところ
)
もあつたらしい。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
掻
(
かき
)
然
(
さら
)
ば三次が
引請
(
ひきうけ
)
んと其夜は戻りて二三日
過
(
すぎ
)
眞面目
(
まじめ
)
に成て尋ね來れば長庵はお安を
打招
(
うちまね
)
きお富を奉公に世話を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
彼奴
(
あいつ
)
はあんな奴ですよ。
畜生
(
ちきしょう
)
人を
見損
(
みそこな
)
っていやがるんだ」お島は乱れた髪を
掻
(
かき
)
あげながら、腹立しそうに言った。そして
興
(
はず
)
んだ調子で、現場の模様を誇張して話した。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
蕎麥
(
そば
)
ツ
掻
(
かき
)
でもしたらよかつぺつてお
内儀
(
かみ
)
さん
出
(
だ
)
したつけのよ」
卯平
(
うへい
)
は
舊
(
もと
)
の
位置
(
ゐち
)
に
坐
(
すわ
)
つていつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
猟師
(
れふし
)
これを見れば雪を掘て穴をあらはし、木の
枝
(
えだ
)
柴
(
しば
)
のるゐを穴に
挿
(
さし
)
入れば熊これを
掻
(
かき
)
とりて穴に入るゝ、かくする事しば/\なれば穴
逼
(
つま
)
りて熊穴の口にいづる時槍にかくる。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
之
(
これ
)
を
掻
(
かき
)
集めて千両ばかり出来たから、
夫
(
そ
)
れから数寄屋町の鹿島と云う大きな紙問屋に人を
遣
(
やっ
)
て、紙の話をして、土佐半紙を百何十俵、代金千両余りの品を即金で一度に買うことに約束をした。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
吉「だって、あか
掻
(
かき
)
も何も流されてしまったじゃアねえか」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
秋の夜番、冬は雪
掻
(
かき
)
の手伝いなどした
親仁
(
おやじ
)
が住んだ……半ば立腐りの長屋建て、
掘立小屋
(
ほったてごや
)
という
体
(
てい
)
なのが
一棟
(
ひとむね
)
ある。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仇で
報
(
かへ
)
すとは御前方夫婦の事サア/\只今直に夫文右衞門が身の
證
(
あか
)
りを立出牢させて下されと
泣
(
なき
)
つ
恨
(
うらみ
)
つ
掻
(
かき
)
口説を市之丞夫婦は一々
御道理
(
ごもつとも
)
には御座れども何卒御新造樣私し共の申事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あらけなく
掻
(
かき
)
あくれば、綾子は顔を
赧
(
あか
)
めつつ、
悪汗
(
おかん
)
津々
(
しんしん
)
腋下
(
えきか
)
に
湧
(
わ
)
きて、あれよあれよと
悶
(
もだ
)
えたまう。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おら一生懸命に、艪で
掻
(
かき
)
のめしてくれたけれど、火の奴は舵にからまりくさって、はあ、
婦人
(
おんな
)
の裾が巻きついたようにも見えれば、
爺
(
じじい
)
の腰がしがみついたようでもありよ。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「だってね、ようやっと談判が調った処で、お婆さん、腰が立たないんでしょう。私が納屋へ入って
掻
(
かき
)
まわして持って来たんですのさ。」「肩がきがつくぜ、まるで
昼鳶
(
ひるとんび
)
だ。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蹴飛ばしやらむ、
掻
(
かき
)
むしらむ、
透
(
すき
)
あらばとびいでて、九ツ
谺
(
こだま
)
とおしえたる、とうときうつくしきかのひとの
許
(
もと
)
に遁げ去らむと、胸の
湧
(
わ
)
きたつほどこそあれ、ふたたび暗室にいましめられぬ。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蹴飛
(
けと
)
ばしやらむ、
掻
(
かき
)
むしらむ、
透
(
すき
)
あらばとびいでて、
九
(
ここの
)
ツ
谺
(
こだま
)
とをしへたる、たうときうつくしきかのひとの
許
(
もと
)
に
遁
(
に
)
げ去らむと、胸の
湧
(
わ
)
きたつほどこそあれ、ふたたび暗室にいましめられぬ。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
びん
掻
(
かき
)
に、当代の名匠が
本質
(
きじ
)
へ、肉筆で葉を
黒漆
(
くろうるし
)
一面に、
緋
(
ひ
)
の一輪椿の
櫛
(
くし
)
をさしたのが、したたるばかり色に立って、かえって打仰いだ按摩の化ものの
真向
(
まっこう
)
に、一太刀、血を浴びせた趣があった。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「や、蕎麦
掻
(
かき
)
を……されば匂う。来世は
雁
(
かり
)
に
生
(
うま
)
りょうとも、新蕎麦と
河豚
(
ふぐ
)
は老人、
生命
(
いのち
)
に掛けて好きでござる。そればかりは決して御辞儀申さぬぞ。林間に酒こそ暖めませぬが、
大宮人
(
おおみやびと
)
の風流。」
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
掻
漢検準1級
部首:⼿
11画
“掻”を含む語句
引掻
掻切
掻廻
羽掻
足掻
掻込
掻取
羽掻締
耳掻
掻抱
掻裂
掻巻
掻合
悶掻
掻上
水掻
掻潜
蕎麦掻
掻探
掻出
...