禍機かき)” の例文
そんなわけで、これまでたまたまにっていた少女と毎日顔を合わせるようになる。禍機かきはそこにひそんでいた。盲目の性慾は時を得顔にその暗い手を伸して、かれを未知のすさんだ道に押遣おしやった。
いな、独り独と英とのみではない。露西亜ロシア人はスラヴ民族を以て優秀なりと認むれば、仏蘭西フランス人は拉典ラテン民族を以て優秀なりと認める。しかして、皆相持して下らぬ。即ち、其処そこ禍機かきが潜伏するのである。
列強環視の中心に在る日本 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
加うるに葡萄牙ポルトガル西班牙スペイン人らは、その西南諸島に加うる権詐けんさ詭奪きだつの手段を以て我に向わんと欲し、しこうして内国の人心は洶々きょうきょうとして、動乱の禍機かきややもすれば宗教をりて、脚下きゃっかに破裂せんとす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
禍機かきんで鎖金しょうきん帳底ちょうていに向う
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)