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盃
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さかづき
ふりがな文庫
“
盃
(
さかづき
)” の例文
「女中が切り取る時チラと見たさうです、——恐ろしく珍らしい紋だつたと言ひますよ。何んでも
盃
(
さかづき
)
を三つ三角に並べたやうな——」
銭形平次捕物控:160 二つの刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「今もネ、花ちやん」と丸井老人は真面目顔「例の
芸妓殺
(
げいしやころし
)
——
小米
(
こよね
)
の一件に
就
(
つい
)
て先生に伺つて居た所なんだ」と言ひつゝ
盃
(
さかづき
)
差し
出
(
いだ
)
す
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
盃
(
さかづき
)
を
納
(
をさめ
)
るなり
汽車
(
きしや
)
に
乗
(
の
)
つて
家
(
いへ
)
を
出
(
で
)
た
夫婦
(
ふうふ
)
の
身体
(
からだ
)
は、
人間
(
にんげん
)
だか
蝶
(
てふ
)
だか
区別
(
くべつ
)
が
附
(
つ
)
かない。
遥々
(
はる/″\
)
来
(
き
)
た、と
言
(
い
)
はれては
何
(
なん
)
とも
以
(
もつ
)
て
極
(
きまり
)
が
悪
(
わる
)
い。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
富岡は時々眼をあけて
相槌
(
あひづち
)
を打つやうに返事をしてゐたが、人の話なぞどうでもよかつた。
萎縮
(
ゐしゆく
)
した無気力さで、
盃
(
さかづき
)
を唇へ運んだ。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
『
玄竹
(
げんちく
)
、
其方
(
そち
)
に
逢
(
あ
)
つたのは、いつが
初對面
(
しよたいめん
)
だツたかなう。』と、
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
空
(
から
)
の
盃
(
さかづき
)
を
玄竹
(
げんちく
)
の
前
(
まへ
)
に
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
して、
銚子
(
てうし
)
の
口
(
くち
)
を
受
(
う
)
けながら
言
(
い
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
私は幾度も入りつけてゐる風呂場で汗を流すと、湯上り姿で、二間の床を背にして食卓の前に
寛
(
くつろ
)
いだ。兄の家の
養嗣子
(
やうしし
)
もそこで
盃
(
さかづき
)
をあげた。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
知事は色々と名高い
美男子
(
びだんし
)
の名前を頭に思ひ浮べながら
盃
(
さかづき
)
をふくんだが、自分の知つた限りの男には、そんな名前は無かつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
この男の道楽は、酒を飲む一方で、朝から、殆、
盃
(
さかづき
)
を離したと云ふ事がない。それも、「独酌する毎に
輒
(
すなはち
)
、
一甕
(
いちをう
)
を尽す」
酒虫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蟋蟀
(
こほろぎ
)
が鳴く夏の
夜
(
よ
)
の
青空
(
あをぞら
)
のもと、神、
佛蘭西
(
フランス
)
の
上
(
うへ
)
に星の
盃
(
さかづき
)
をそそぐ。風は脣に夏の
夜
(
よ
)
の
味
(
あぢはひ
)
を傳ふ。
銀砂子
(
ぎんすなご
)
ひかり凉しき空の爲、われは盃をあげむとす。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
万事は音作のはからひ、酒の
肴
(
さかな
)
には
蒟蒻
(
こんにやく
)
と
油揚
(
あぶらげ
)
の煮付、それに漬物を添へて出す位なもの。
軈
(
やが
)
て音作は
盃
(
さかづき
)
を
薦
(
すゝ
)
めて
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
日本酒の
盃
(
さかづき
)
を挙げて明朝上陸する
三吉
(
みよし
)
、吉田外三氏と
互
(
たがひ
)
に健康を祝し合ふ。道づれに別れるのは何となく淋しい。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
愁然として彼は
頭
(
かしら
)
を
俛
(
た
)
れぬ。大島紬は受けたる
盃
(
さかづき
)
を
把
(
と
)
りながら、更に佐分利が持てる
猪口
(
ちよく
)
を借りて荒尾に差しつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
人気
(
ひとけ
)
のない
夜桜
(
よざくら
)
は
好
(
い
)
いもんだよ」と云つた。平岡は
黙
(
だま
)
つて
盃
(
さかづき
)
を
干
(
ほ
)
したが、
一寸
(
ちよつと
)
気の毒さうに
口元
(
くちもと
)
を
動
(
うご
)
かして
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ヂュリ さ、
速
(
はや
)
う
去
(
いな
)
しゃれ、
予
(
わし
)
は
去
(
いな
)
ぬほどに。……こりゃ
何
(
なん
)
ぢゃ?
戀人
(
こひゞと
)
が
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
りゃったは
盃
(
さかづき
)
か? さては
毒
(
どく
)
を
飮
(
の
)
んで
非業
(
ひごふ
)
の
最期
(
さいご
)
をお
爲
(
し
)
やったのぢゃな。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
このうたにて人々めでたし/\ときやうじ、手など
抃
(
うち
)
ていさみよろこび、ふたゝび
盃
(
さかづき
)
をめぐらしけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
月が
俄
(
には
)
かに意地悪い片眼になりました。それから銀の
盃
(
さかづき
)
のやうに白くなって、消えてしまひました。
種山ヶ原
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
掃守
(
かもり
)
傍
(
かたはら
)
に
侍
(
はべ
)
りて、
桃
(
もも
)
の
実
(
み
)
の大なるを
啗
(
く
)
ひつつ
三一
弈
(
えき
)
の
手段
(
しゆだん
)
を見る。漁父が
大魚
(
まな
)
を
携
(
たづさ
)
へ来るを
喜
(
よろこ
)
びて、
三二
高杯
(
たかつき
)
に
盛
(
も
)
りたる桃をあたへ、又
盃
(
さかづき
)
を給うて
三三
三
献
(
こん
)
飲ましめ給ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
一つ二つ
盃
(
さかづき
)
を取りやりしてゐたが、直ぐに台所の方へ来て丸田と一緒に食事にかゝつた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
細長い
酒瓶
(
さけがめ
)
と、大きな
盃
(
さかづき
)
でした。ピチ公はお
酌
(
しやく
)
をしてやりました。そして彼が一杯飲むと、
眼瞼
(
まぶた
)
をぱちぱち動かしてみせました。二杯目には、鼻の頭をひくひく動かしてみせました。
金の猫の鬼
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
何時
(
いつ
)
も御無事で、此の人は僕の
知己
(
ちかづき
)
にて萩原新三郎と申します
独身者
(
ひとりもの
)
でございますが、お近づきの
為
(
た
)
め
一寸
(
ちょっと
)
お
盃
(
さかづき
)
を頂戴いたさせましょう、おや何だかこれでは御婚礼の
三々九度
(
さかづき
)
のようでございます
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
中に又見る精巧の
盃
(
さかづき
)
、外の何人も 225
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
うま酒は
盃
(
さかづき
)
より
滴
(
したゝ
)
れど
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
天
(
そら
)
といふらし
盃
(
さかづき
)
の
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
着したるは遠藤屋彌次六一號
鵞湖山人
(
がこさんじん
)
なり
孰
(
いづれ
)
も
整々
(
せい/\
)
として控たれば四人の者は思はず
發
(
はつ
)
と計りに
平伏
(
へいふく
)
す時に天一坊
聲
(
こゑ
)
清爽
(
さはやか
)
に其方共此度予に
隨身
(
ずゐしん
)
せんとの願ひ
神妙
(
しんめう
)
に存ずるなり
依
(
よつて
)
父上より
賜
(
たま
)
はりし
證據
(
しようこ
)
の御品拜見さし許し主從の
盃
(
さかづき
)
取らすべしとの
詞
(
ことば
)
の下藤井左京は彼二品を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「梅ちやん、松島さんのお
盃
(
さかづき
)
ですよ」と徳利差し出して、お熊の
促
(
うな
)
がすを、梅子は手を
膝
(
ひざ
)
に置きたるまゝ、目を上げて見んとだにせず
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
わけて大観は上機嫌で
立続
(
たてつゞ
)
けに
盃
(
さかづき
)
を傾けてゐたが、座にゐる女達は
何
(
ど
)
うしたものか米華の方にばかし集まつて大観の前には
酒徳利
(
さかどくり
)
しか並んでゐなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「代助に
分
(
わか
)
るものか」と云つて、誠吾は弟の
唇
(
くちびる
)
のあたりを
眺
(
なが
)
めてゐた。代助は
一口
(
ひとくち
)
飲
(
の
)
んで
盃
(
さかづき
)
を
下
(
した
)
へ
下
(
おろ
)
した。
肴
(
さかな
)
の代りに薄いウエーファーが菓子
皿
(
ざら
)
にあつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『
愚老
(
ぐらう
)
にお
話
(
はなし
)
とは、どういふ
儀
(
ぎ
)
でござりますか。』と、
玄竹
(
げんちく
)
は
盃
(
さかづき
)
を
傍
(
かたはら
)
に
置
(
お
)
いて、
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
氣色
(
けしき
)
を
窺
(
うかゞ
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
それに
親父
(
おやぢ
)
が金属の
彫刻師
(
ほりし
)
だものですから、
盃
(
さかづき
)
、香炉、
最
(
も
)
う
目貫縁頭
(
めぬきふちがしら
)
などはありませんが、其仕事をさせる積りだつたので、絵を習へと云ふので少しばかりネ、
薄
(
すゝき
)
、
蘭
(
らん
)
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次は
盃
(
さかづき
)
を擧げました。大きい膳に並べた料理は、ひどく貧乏臭いものですが、お靜の心盡しが隅々まで
行亙
(
ゆきわた
)
つて、妙にかうホカホカとした暖かいものを感じさせるのです。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たしかに今までの酒とはちがった酒が座をまはりはじめてゐました。署長は見ないふりをしながらよく気をつけて
盃
(
さかづき
)
を見ましたが少しも濁ってはゐませんでした。どうもをかしい。
税務署長の冒険
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
自分たちの
間
(
あひだ
)
には、正月の
膳
(
ぜん
)
が並んでゐた。Hはちよいと顔をしかめながら、
屠蘇
(
とそ
)
の
盃
(
さかづき
)
へ口をあてて、それから吸物の
椀
(
わん
)
を持つた儘、
娓々
(
びび
)
としてその下足札の因縁を辯じ出した。——
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
船中のクリスマスは相応に立派な飾り
付
(
つけ
)
が出来たが、二等室は動揺がひどいので日本人の大部分は食卓に就かなかつた。一等室の食卓では西洋人も予等も
互
(
たがひ
)
に
三鞭
(
シヤンペン
)
の
盃
(
さかづき
)
を挙げて
祝
(
いはひ
)
合つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
卓上に
肘
(
ひぢ
)
をついて、
盃
(
さかづき
)
を唇に持つてゆきながら、ゆき子を見てゐたが、その眼はうつろであつた。かつてない、冷い眼の色で、これがこの男の持つて生れた表情なのではないかと思へた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
生憎
(
あいにく
)
酒は
盃
(
さかづき
)
に満たなかつた。やがて一口飲んで、両手で口の
端
(
はた
)
を
撫
(
な
)
で廻して
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
さうして
従来通
(
これまでどほり
)
に内で世話をして、どんなにもあの人の目的を達しさして、立派に
吾家
(
うち
)
の跡を取して下さい。私はさうしたら兄弟の
盃
(
さかづき
)
をして、何処までも
生家
(
さと
)
の兄さんで、末始終力になつて欲いわ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
此さゝら内へ
摺
(
すれ
)
ば
凶作
(
きようさく
)
なりとて
外
(
そと
)
へ/\とすりならす。又
志願
(
しぐわん
)
の者
兼
(
かね
)
て
普光寺
(
ふくわうじ
)
へ達しおきて、小桶に
神酒
(
みき
)
を入れ
盃
(
さかづき
)
を
添
(
そへ
)
て
献
(
けん
)
ず。山男
挑燈
(
てうちん
)
をもたせ人をおしわくる者廿人ばかりさきにすゝみて堂に入る。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
盛
(
も
)
りさゝげたる
盃
(
さかづき
)
ぞ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
盃
(
さかづき
)
を
洗
(
あら
)
ひて
待
(
ま
)
ちね
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
御紋
(
ごもん
)
唐草
(
からくさ
)
の
蒔繪
(
まきゑ
)
の
柄
(
え
)
晴天
(
せいてん
)
に候へば
青貝柄
(
あをかひえ
)
の打物に候大手迄は御
譜代
(
ふだい
)
在江戸の大名方
出迎
(
でむか
)
へ御
中尺迄
(
ちうしやくまで
)
は尾州紀州水戸の御
三方
(
さんかた
)
の御
出迎
(
でむかひ
)
にて御
玄關
(
げんくわん
)
より御通り遊ばし
御白書院
(
おんしろしよゐん
)
に於て
公方樣
(
くばうさま
)
御
對顏
(
たいがん
)
夫より御
黒書院
(
くろしよゐん
)
に於て
御臺
(
みだい
)
樣御對顏
再
(
ふたゝ
)
び
西湖
(
せいこ
)
の間に於て御三方樣御
盃
(
さかづき
)
事あり夫より西の丸へ入せられ候御事にて御
高
(
たか
)
の儀は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
手紙には新蔵が蜂蜜を呉れたから、焼酎を
混
(
ま
)
ぜて、毎晩
盃
(
さかづき
)
に一杯づゝ飲んでゐるとある。新蔵は
家
(
うち
)
の小作人で、毎
年
(
とし
)
冬
(
ふゆ
)
になると年貢米を二十俵づゝ持つてくる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
二十代や三十代の、
未
(
ま
)
だ血の気の
生々
(
なま/\
)
した頃は、人に隠れて
何程
(
どれほど
)
泣いたか知れないよ、お前の
祖父
(
おぢいさん
)
が
昔気質
(
むかしかたぎ
)
ので、
仮令
(
たとひ
)
祝言
(
しうげん
)
の
盃
(
さかづき
)
はしなくとも、
一旦
(
いつたん
)
約束した上は
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
『はゝゝゝゝ。
腹
(
はら
)
が
空
(
す
)
いたか。すつかり
忘
(
わす
)
れてゐた。
今
(
いま
)
に
飯
(
はん
)
を
取
(
と
)
らせるが、まあそれまでに、この
盃
(
さかづき
)
だけ
一
(
ひと
)
つ
受
(
う
)
けてくれ。』と、
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
強
(
し
)
ひて
玄竹
(
げんちく
)
に
盃
(
さかづき
)
を
與
(
あた
)
へた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
すると、
突如
(
だしぬけ
)
に男のおいおい泣き出すのが聞えて来た。雌に逃げられた
狗
(
いぬ
)
の泣くやうな声である。実業家は手にとつた
盃
(
さかづき
)
を下において、慌ててまた襖にすり寄つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
人
(
ひと
)
静まりて月の色の
物凄
(
ものすご
)
くなりける頃、
漸
(
やうや
)
く
盃
(
さかづき
)
を納めしが、
臥戸
(
ふしど
)
に
入
(
い
)
るに先立ちて、お村は
厠
(
かはや
)
に
上
(
のぼ
)
らむとて、腰元に
扶
(
たす
)
けられて廊下伝ひに
彼
(
かの
)
不開室の前を過ぎけるが、酔心地の
胆
(
きも
)
太
(
ふと
)
く
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
来てはゐましたが
一昨日
(
をととひ
)
の晩の処にでなしに、おぢいさんのとまる処よりももっと高いところで小さな枝の二本行きちがひ、それからもっと小さな枝が四五本出て、
一寸
(
ちょっと
)
盃
(
さかづき
)
のやうな形になった処へ
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
彼は色を正して、満枝が独り興に乗じて
盃
(
さかづき
)
を重ぬる
体
(
てい
)
を
打目戍
(
うちまも
)
れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
『
不取敢
(
とりあへず
)
、一つ差上げませう。』と丑松は
盃
(
さかづき
)
の酒を飲乾して
薦
(
すゝ
)
める。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
盃
(
さかづき
)
を膳へ置くかと思つた八五郎の手は、意地汚くそのまゝ
唇
(
くち
)
へ——
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
富岡も亦、女を抱いてゐながら、灰をつくつてゐるやうな淋しさで、時々手をのばしてはビール
壜
(
びん
)
のカストリを、小さい硝子の
盃
(
さかづき
)
にあけてはあほつた。時々、ゆき子も一息いれては、
寿司
(
すし
)
をつまんだ。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
“盃”の解説
盃(さかづき)は、主に日本酒を飲むために用いる器。坏あるいは酒坏とも書く。小さなものは盞ともいう。
(出典:Wikipedia)
盃
漢検準1級
部首:⽫
9画
“盃”を含む語句
洋盃
一盃
大盃
酒盃
盃事
祝盃
御盃
盃形
盃洗
硝子盃
水盃
別盃
小盃
玻璃盃
硝盃
床盃
安政三組盃
腰高盃
盃中
盃盤狼藉
...