熱心ねっしん)” の例文
だれが、そのあいだにやってきてもあわないつもりで、ぐちかためた。そして、まめふくろからして、熱心ねっしんかぞえはじめました。
幸福の鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌朝よくちょうセルゲイ、セルゲイチはここにて、熱心ねっしんに十字架じかむかって祈祷きとうささげ、自分等じぶんらさき院長いんちょうたりしひとわしたのであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
玄翁げんのう殺生石せっしょうせきまえすわって、熱心ねっしんにおきょうみました。そして殺生石せっしょうせきれいをまつってやりました。殺生石せっしょうせきがかすかにうごいたようでした。
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あなたが毎日熱心ねっしんにおいのりなさるのを感心して、上手じょうずに人形を使うことをおしえてあげたいと思って、ここにでてまいったのです。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そして読みながら上着うわぎのぼたんやなんかしきりになおしたりしていましたし燈台看守とうだいかんしゅも下からそれを熱心ねっしんにのぞいていましたから
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そういわれて、さっきの熱心ねっしんな子どもが、そっとかた手をさし出しました。おじいさんは、その小さな手を大きな手でとって
名なし指物語 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
つづけざまにお催促さいそくけましては、ツイその熱心ねっしんにほだされて、無下むげにおことわりもできなくなってしまったのでございます。
書画しょが骨董こっとううことが熱心ねっしんで、滝田たきたさん自身じしんはなされたことですが、なにがなくて日本橋にほんばし中通なかどおりをぶらついていたとき
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
けれども、アリ・ババへかたきうちをすることは、前よりももっともっと熱心ねっしんに考えていました。そして、またある一つの方法を考えつきました。
主人しゅじんは、あたりを見まわしたが、もちろん、店さきでまだたまご熱心ねっしんに見くらべている客よりほかに、だれもいなかった。
アーサはけっして勉強することをいやだとは言わなかったが、注意と熱心ねっしんがまるでがけていた。書物を手にのせればいやとは言わずに受け取った。
その夜、かれは、思いこんだようすで、楽隊がくたいはたもちのしごとはぜひ自分にさせてもらいたいと熱心ねっしんにたのんだ。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
そんな状況じょうきょうであるから、営業えいぎょうどころのさわぎでない。自分が熱心ねっしん奔走ほんそうしてようやく営業えいぎょうは人にゆずりわたした。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
するとコウノトリは、たちどころに、ニールスをいっしょにつれていくように、熱心ねっしんにすすめました。
此家の主人あるじは彼小笠原に剣をなげうつ可く熱心ねっしん勧告かんこくしたが、一年後の今日、彼は陸軍部内の依怙えこ情実に愛想あいそうをつかし疳癪かんしゃくを起して休職願を出し、北海道から出て来たので
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
おれがきみたちをさがしたやうに、あせりあせり熱心ねっしん俺達おれたちしたのをってゐる
またせめては先生の生前せいぜんにおいて、予がいかにこの感泣かんきゅうすべきこの感謝かんしゃすべき熱心ねっしんと、いかにこの欣戴きんたいかざる衷情ちゅうじょうとをつぶさにいもいでずして今日に至りたるは、先生これをなんとか思われんなどと
それは、王子の熱心ねっしんなおのぞみであったからです。
すずめは、こころうちに、こんな不平ふへいがありましたけれど、しばらくだまって、こまどりの熱心ねっしんうたっているのにみみかたむけていていました。
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふねのはげしき動揺どうようにつれて、幾度いくたびとなくさるるわたくしからだ——それでもわたくしはその都度つどあがりて、あわせて、熱心ねっしんいのりつづけました。
けれどマタンは、おどろくほど熱心ねっしんでした。仕事をしてるとき、その小さな目は、青い宝石ほうせきのようにかがやいていました。
名なし指物語 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
そこで、ついおとなり和泉国いずみのくに信田しのだもり明神みょうじんのおやしろ月詣つきまいりをして、どうぞりっぱな子供こども一人ひとりさずくださいましと、熱心ねっしんにおいのりをしていました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それはその仕事に専念せんねんするということであった。さずかった課業かぎょうおぼえるのは、覚えるためについやされる時間ではなくって、それは覚えたいと思う熱心ねっしんであった。
「なあに、すぐれるよ。黄色の火なんか、かえって今までよりよけいえているくらいだ。どれ、紅雀べにすずめの毛を少しおくれ」そしてお父さんは熱心ねっしんにみがきはじめました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ふなのりはいつのまにか、わかいなかまのふしぎな話にひきずりこまれて、熱心ねっしんにきいていた。
まち人々ひとびとのことはかれはいつも軽蔑けいべつして、無教育むきょういく禽獣的生活きんじゅうてきせいかつののしって、テノルの高声たかごえ燥立いらだっている。かれものうのは憤懣ふんまんいろもってせざれば、欣喜きんきいろもって、何事なにごと熱心ねっしんうのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
この計画けいかくにたいしては、ずっと熱心ねっしんでした。
かれも、またくさけて、なにかそのあたりにちていないかと、熱心ねっしんにたずねましたけれど、べつになにもあたりませんでした。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
げんゆうとにわかれてりましても、人情にんじょうにかわりはなく、先方せんぽう熱心ねっしんならこちらでもツイその真心まごころにほだされるのでございます。
みんなはすこしいまいましくおもったが、かんがえてみると、それだけ比良夫君ひらおくん熱心ねっしんがつよいことになるわけだから、みんなは比良夫君ひらおくんゆるしてやることにした。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
わたしは村で百姓ひゃくしょうはたらくところを見たこともあるが、ついぞパリの近所の植木屋のような熱心ねっしんなり勇気ゆうきなり勤勉きんべんなりをもってはたらいていると思ったことはなかった。
夕方、紫紺染に熱心ねっしんな人たちが、みんなで二十四人、内丸西洋軒にあつまりました。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それをみると、ヘンフリイはますます熱心ねっしんに、客のようすをしゃべりたてた。
モスクワ見物けんぶつだいちゃくに、ミハイル、アウエリヤヌイチはそのともをまずイウエルスカヤ小聖堂しょうせいどうき、そこでかれ熱心ねっしん伏拝ふくはいしてなみだながして祈祷きとうする、そうして立上たちあがり、ふか溜息ためいきしてうには。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
熱心ねっしんにおいのりをして、奥州おうしゅうかってって行きました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
だが、徳蔵とくぞうさんの熱心ねっしんは、その一言ひとことひるがえされるものではありません。戦死せんししたともとのちかいをげたので、ついに部隊長ぶたいちょうゆるしたのでした。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてかの女は、そのあいだときどき口をはさんで、所どころ要点ようてんたしかめるだけであった。わたしはこれほどの熱心ねっしんをもって話を聞いてもらったことがなかった。
その熱心ねっしんなようすに、マタンじいさんは動かされました。
名なし指物語 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
けれど、むすめえると、け、えるとけして、おきから、とおりく燈火ともしびえるようにと、熱心ねっしんにろうそくのとぼしていたのであります。
ろうそくと貝がら (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしたちはこれだけの金をためるには、それこそできるだけの倹約けんやくをしなければならなかった。でもマチアはわたし同様雌牛めうしを買うことに熱心ねっしんであった。かれは白い牛を買いたがった。
きつけたら、きっと自分じぶんおもしてかえってきてくれるにちがいない、と、おとうとおもいました。おとうとは、それで、熱心ねっしんふえらしました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「みんなで、どうしても、二股ふたまたのおんばこをつけよう。」とちかって、三にんは、熱心ねっしん草原くさはらを、二股ふたまたのおんばこをつけにあるきまわったのです。
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねん金魚きんぎょをちょっとただけで、やはり、熱心ねっしん熱帯魚ねったいぎょをながめていました。そして、こころからそうおもうもののごとく
つばめと魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このおとこると、つぎにやしろまえへきてすわったのは、まだわかおんなでありました。彼女かのじょは、熱心ねっしんをあわせあたまをひくくたれて、ねがっていました。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこには、やはりりょう一とおなじような境遇きょうぐう少年しょうねんが、おな意志いし希望きぼうえて、熱心ねっしんふだにさらしていたのです。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、正二しょうじくんは、熱心ねっしんにへやのすみずみまでさがしたのでありました。しかし、やはりつかりませんでした。
小さなねじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あきしずかな、午後ごごでありました。よわひかりが、かる大地だいちうえにみなぎっていました。のぶは、熱心ねっしんに、ははが、はこけるのをながめていました。
青い花の香り (新字新仮名) / 小川未明(著)
あねしろはなしたで、なにかふかく、みみましてかんがえていました。そのとき、いもうとは、そんなこととはらずに、熱心ねっしんぎんぼううごかしていた。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんは、二つのおけのなかにはいっている金魚きんぎょ熱心ねっしんくらべていましたが、おじいさんがべつにしておいた、よわった金魚きんぎょへ、そのうつしたのです。
金魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
みなみをみはりながら、あちらからくるおとこていました。帽子ぼうしもかぶらずに、のひらを熱心ねっしんつめています。
写生に出かけた少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)