いづみ)” の例文
吾々われ/\覺醒かくせいせりとさけぶひまに、私達はなほ暗の中をわが生命いのちかわきのために、いづみちかしめりをさぐるおろかさをりかへすのでした。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
畫題ぐわだいは『自然しぜんこゝろ』と謂ツて、ちらしがみ素裸すつぱだかわかをんなが、新緑しんりよく雑木林ざふきばやしかこはれたいづみかたはらに立ツて、自分のかげ水面すゐめんに映ツてゐるのをみまもツてゐるところだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
いづみが、またはじめたぜ。」そのたゞひとつの怪談くわいだんは、先生せんせいが十四五のとき、うらゝかなはる日中ひなかに、一人ひとり留守るすをして、ちやにゐらるゝと、臺所だいどころのおへツつひえる。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「払ひけるしるしも有りて見ゆるかな雪間ゆきまをわけて出づるいづみの」と、道長か倫子か知らぬがお歌を賜わった。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今の多賀・井手あたりであろうという説をたて、他の歌例に、「山城のいづみの小菅」、「山城の石田いはたもり」などあるのを参考し、「山城のたかの槻村」だとした。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
また日向ひむかいづみなが比賣に娶ひて、生みませる御子、大羽江はえみこ、次に小羽江をはえの王、次に檣日はたびわか郎女三柱。
私は又、遠い烏帽子えぼしだけふもとにある牧場に身を置いて居るやうな気もする。牧夫が居る。牛の群が見える。私のそばには一緒に根津村ねづむらから出掛けて行つた画家のいづみ君が居る。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
これより鳳山亭ののぼりみち、いづみある処に近き荼毘所とびじょあとを見る。石を二行にぎょうに積みて、其間の土をりてかまどとし、その上にけたの如く薪をし、これをかんするところとす。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
こずえにのみ一團いちだんがあつて、みき丁度ちやうど天幕てんまくはしらのやうに、數百間すうひやくけん四方しほう規則正きそくたゞしくならんで奇妙きめうはやししたくゞつたりして、みち一里半いちりはんあゆんだとおもころ一個いつこいづみそばた。
あなたの祕密の隱れたいづみを、發見出來ないかどうか、同情の香油の一滴をしたゝらすことが出來る、大理石の胸の一つの隙間すきまを見出すことが出來ないかどうか、私はやつて見ませう。
平和へいわみだ暴人ばうじんども、同胞どうばうもっ刃金はがねけが不埓奴ふらちやつ……きをらぬな?……やア/\、汝等おのれらよこしまなる嗔恚しんにほのほおの血管けっくわんよりながいづむらさきいづみもっさうとこゝろむる獸類けだものども
あいちやんはうかしてこのくらあなからて、うつくしい花壇くわだんや、清冽きれいいづみほとり徜徉さまよひたいとしきりにのぞみました、が其戸口そのとぐちからはあたますことさへも出來できませんでした、可哀相かあいさうあいちやんは
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
これつて人智じんちは、人間にんげん唯一ゆゐいつ快樂くわいらくいづみとなつてゐる。しかるに我々われ/\自分じぶん周圍まはりに、いさゝか知識ちしきず、かずで、我々われ/\全然まるで快樂くわいらくうばはれてゐるやうなものです。勿論もちろん我々われ/\には書物しよもつる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たゞ折々をり/\きこゆるものは豌豆ゑんどうさやあつい日にはじけてまめおとか、草間くさまいづみ私語さゝやくやうな音、それでなくばあきとり繁茂しげみなか物疎ものうさうに羽搏はゞたきをする羽音はおとばかり。熟過つえすぎ無花果いちじくがぼたりと落ちる。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
此書このしよならずしてなるいづみに玉山をしづめしはをしむべし/\。
きぬひかりいづみより
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
同人どうにん嘆息たんそくした。——いまでも金魚麩きんぎよぶはう辟易へきえきする……が、地震ぢしん四日よつか五日いつかめぐらゐまでは、金魚麩きんぎよぶさへ乾物屋かんぶつや賣切うりきれた。また「いづみ干瓢鍋かんぺうなべか。車麩くるまぶか。」とつてともだちは嘲笑てうせうする。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
熱烈な雄辯の溢れ出るいづみを支へきるほど、そんなに大きな、そんなに強い心を、十四歳の少女が持つてゐるだらうか? かうした印象が、私には忘れられぬ晩の、ヘレンの話の特徴であつた。
もどれ、おろかななみだめ、もといづみもどりをれ。悲歎かなしみさゝぐるみつぎ間違まちがへて喜悦よろこび献上まゐらせをる。チッバルトがころしたでもあらうわがつま生存いきながらへて、わがつまころしたでもあらうチッバルトがんだのぢゃ。
日出雄少年ひでをせうねんは、そのいづみながれ美麗びれいなる小魚こざかな見出みいだしたとて、うをふに餘念よねんなきあひだわたくしある大樹たいじゆかげよこたはつたが、いつか睡魔すいまおそはれて、ゆめとなくうつゝとなく、いろ/\のおもひつゝまれてとき
魚の子はかすかなるものかものおそれしつついづみみづなかにゐる
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
無花果いちじく芭蕉ばせうこけむすいづみのほとりに生茂おひしげつてるのである。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そらのいづみ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
天女てんによいづみ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
先刻せんこく、あなたのとこへおきやくがありましてね、かどをのぞきなさるから、あゝいづみをおたづねですかと、番所こゝからこゑけますと、いやようではありません——ばんだといふから、ちよつとました
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さけいづみ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
いづみさんですか。」
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いづみ。」
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)