出口でぐち)” の例文
そのとき、季節きせつはずれの、おおきなくろいちょうが、どこからまよいこんだものか、ガラスまどにつきたって、しきりと、出口でぐちをさがしていました。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
のこぎりいて、をんな立像りつざうだけいてる、と鳥居とりゐは、片仮名かたかなのヰのつて、ほこらまへに、もり出口でぐちから、田甫たんぼなはてやまのぞいてつであらう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なにもしらない公卿くげのくせによけいな出口でぐちをするはいいが、いまにあべこべにてきから夜討ようちをしかけられて、そのときにあわててもどうにもなるまい。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこあいちやんがふには、『ねずちやん、おまへこのいけ出口でぐちつてゝ?わたし全然すつかりおよ草臥くたびれてしまつてよ、ねずちやん!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
車外しやぐわい猛獸まうじうは、る/\うち氣色けしきかわつてた。すきうかゞつたる水兵すいへいは、サツと出口でぐちとびらひらくと、途端とたん稻妻いなづまは、猛然まうぜんをどらして、彼方かなたきし跳上をどりあがる。
野々宮は右の手を竹の手欄てすりから出して、菊の根をしながら、何か熱心に説明してゐる。美禰子は又むかふをむいた。見物に押されて、さつさと出口でぐちの方へ行く。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
他の人に、出口でぐち王仁わに三郎さんという人にも聞きましたが、誰としてはっきりといってくれた人がなかった。
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
そのとうは、梯子はしごければ、出口でぐちく、ただ頂上てっぺんに、ちいさなまどが一つあるぎりでした。魔女まじょはいろうとおもときには、とうしたって、おおきなこえでこううのです。
くばまづ品川新宿板橋千住の大出口おほでぐち四ヶ所へは人數千人づつかためさせ其外九ヶ所の出口でぐちへは人數五百人づつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次等かんじら親子おやこなかよくつてよかんべ、世間せけんきこえも立派りつぱだあ、親身しんみのもなあ、おかげ肩身かたみひろくつてえゝや」おつたはには出口でぐちから一寸ちよつとかへりみていつた。さうしてさつさとつてしまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と大きなこゑを出して山中やまぢう呶鳴どなり歩きますうちに、田圃たんぼ出口でぐち掛茶屋かけぢややに腰をけてましたをんな芳町辺よしちやうへん芸妓げいしやと見えて、おまゐりにたのだからあまなりではりません、南部なんぶあゐ萬筋まんすぢ小袖こそで
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「つまらねえ出口でぐちはきかねえで、んだ、んだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
蹴込けこみ片足かたあしけてつてたのでは、おほいに、いや、すくなくとも湯治客たうぢきやく體面たいめんそこなふから、其處そこで、停車場ていしやぢやう出口でぐちさくはうひらいて、悠然いうぜんつたのである。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しまいには、どこが出口でぐちやら、また、はいって、あるいてきたところやら、わからなくなってしまいました。すると、そのすもものはやしのなかに、一けんのわらがありました。
すももの花の国から (新字新仮名) / 小川未明(著)
『そんなにくのはさう!』とつてあいちやんは、出口でぐち見出みいださうとしておよまはりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
彼所あすこ此所こゝに席を立つものがある。花道はなみちから出口でぐちへ掛けて、ひとかげすこぶいそがしい。三四郎は中腰ちうごしになつて、四方しほうをぐるりと見廻みまはした。てゐるはづひと何処どこにも見えない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
初め江戸の出口でぐち十三ヶ所へ人數にんず
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
東京とうきやういたところにいづれも一二いちに勸工場くわんこうばあり、みな入口いりぐち出口でぐちことにす、ひと牛込うしごめ勸工場くわんこうば出口でぐち入口いりぐち同一ひとつなり、「だから不思議ふしぎさ。」といてればつまらぬこと。
神楽坂七不思議 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
空腹くうふくのねずみは、あぶらげのこうばしいにおいをかいで、我慢がまんがしきれなかったものでした。ねずみは、そのせまい金網かなあみなかで、よるじゅう出口でぐちをさがしながら、あばれていました。
ねずみの冒険 (新字新仮名) / 小川未明(著)
手を青竹の手欄てすりからはなして、出口でぐちの方へあるいて行く。三四郎はすぐあとからいてた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
出口でぐちやなぎ振向ふりむいてると、もなく、くるまは、御神燈ごしんとうのきけた、格子かうしづくりの家居いへゐならんだなかを、常磐樹ときはぎかげいて、さつべにながしたやうな式臺しきだいいた。明山閣めいざんかくである。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ステンド=グラスをとおしてあおぐ、あの奥深おくぶか大空おおぞらのようだったので、かれってうまれた創造力そうぞうりょくは、なにをかきあらわしていいか、あたまなかで、出口でぐちをしきりとさがしたのです。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
出口でぐち煉瓦れんがかべに、かせぎ人夫にんぷ募集ぼしゅうのビラがられていました。生活せいかつのために、未知みち土地とちへいくひとのことをかんがえると、なんとなく、むねをしめつけられるようながしました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
さて出口でぐちから、裏山のそのじゃ矢倉やぐらを案内しよう、と老実まめやかに勧めたけれども、この際、観音かんおん御堂みどう背後うしろへ通り越す心持こころもちはしなかったので、挨拶あいさつ後日ごじつを期して、散策子は
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
敦賀つるが悚毛おぞけつほどわづらはしいのは宿引やどひき悪弊あくへいで、其日そのひしたるごとく、汽車きしやりると停車場ステーシヨン出口でぐちから町端まちはなへかけてまねきの提灯ちやうちん印傘しるしかさつゝみきづき、潜抜くゞりぬけるすきもあらなく旅人たびびと取囲とりかこんで
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だれか、そとにさわったようなけはいがします。エーがって、出口でぐちけてみました。すると、そこに、あたまから、くろ着物きものをかぶったたかいものがっているので、びっくりしました。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
出口でぐちはうけてませう。」
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)