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でぐち
乃で
愛ちやんが
云ふには、『
鼠ちやん、お
前此池の
出口を
知つてゝ?
私全然泳ぎ
草臥れて
了つてよ、
鼠ちやん!』
車外の
猛獸は、
見る/\
内に
氣色が
變つて
來た。
隙を
覗つたる
水兵は、サツと
出口の
扉を
排くと、
途端、
稻妻は、
猛然身を
跳らして、
彼方の
岸へ
跳上る。
野々宮は右の手を竹の
手欄から出して、菊の根を
指しながら、何か熱心に説明してゐる。美禰子は又
向をむいた。見物に押されて、さつさと
出口の方へ行く。