一本いつぽん)” の例文
はしのあつたのは、まちすこはなれたところで、堤防どてまつならむではつてて、はしたもと一本いつぽん時雨榎しぐれえのきとかいふのであつた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
少年こどもがこれを口にいれるのはゆび一本いつぽんうごかすほどのこともない、しかつかはてさま身動みうごきもしない、無花果いちじくほゝうへにのつたまゝである。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いづれもいたつて粗末そまつ簡單かんたん人形にんぎようで、あしほうはたいてい一本いつぽん筒形つゝがたになり、あしさきまであらはしてあるのはまれであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しぶひにときかすりでもつて吹矢ふきや一本いつぽんあたりをるのがうんさ、おまへさんなぞは以前もと立派りつぱひとだといふからいま上等じやうとううん馬車ばしやつてむかひにやすのさ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
鹿しかのめぐりはだんだんゆるやかになり、みんなはかはがはる、前肢まへあし一本いつぽんなかはうして、いまにもかけしてきさうにしては、びつくりしたやうにまためて
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
しかしすぐあとから、まあいそぐにもおよぶまいぐらゐに、自分じぶんして仕舞しまふのがつねであつた。さうして、むねきん一本いつぽんかぎかゝつたやうこゝろいだいて、らしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ある、いつものように竹藪たけやぶんでますと、一本いつぽんみようひかたけみきがありました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
てい上部艇首じやうぶていしゆかたくらゐして、一個いつこ橢圓形だゑんけい觀外塔くわんぐわいたふもうけられて、塔上たふじやうには、一本いつぽん信號檣しんがうマストほかには何物なにものく、その一端いつたんには自動開閉じどうかいへい鐵扉てつぴもうけられて、ていまさ海底かいていしづまんとするや
けだものの子は大人をとなとなりぬ一本いつぽんも毛のなきことが悲しかりける
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
眼鏡橋の眼鏡の中から眺むれば柳一本いつぽん風にゆらるる風にゆらるる
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一本いつぽんのないももんがあ
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
村一同むらいちどうことづけをたのまう。はしら一本いつぽんいたゞく……鳥居とりゐのな。……あといくらでも建立こんりふするから、とつてな。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
第三十一圖だいさんじゆういちず2)それはたいてい一本いつぽんおほきなながいしてゝあるもので、そのいしたかさは五六尺ごろくしやくのものもありますが、おほきいものになると五六十尺ごろくじつしやくもあるものがあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
太陽たいやうが、ちやうど一本いつぽんのはんのきのいたゞきにかかつてゐましたので、そのこずゑはあやしくあをくひかり、まるで鹿しかむれおろしてぢつとつてゐるあをいいきもののやうにおもはれました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
時代じだいがあるんですか。えらいものを買ひ込んだもんだね。かへりに一本いつぽんもらつてかう」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは五人ごにんとも別々べつ/\で、石造皇子いしつくりのみこには天竺てんじくにあるほとけ御石みいしはち車持皇子くらもちのみこには東海とうかい蓬莱山ほうらいさんにあるぎんきんくき白玉しらたまをもつたえだ一本いつぽん阿倍あべ右大臣うだいじんには唐土もろこしにある火鼠ひねずみ皮衣かはごろも
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
けれど、第一だいいちに、其樣そんな危險きけん深山しんざん如何どうして紀念塔きねんたうてるか、外國人ぐわいこくじんかれぬほど危險きけんところへは、吾等われらだつてかれぬはづではいかと、すかさず一本いつぽん切込きりこむと、武村兵曹たけむらへいそうちつともおどろかない。
目の前にしんじつかかる一本いつぽんの青木立てりと知らざりしかな
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
やつこ一本いつぽんまゐつたていで、くびすくめ、くちをゆがめて、あんをつける三人さんにんはうを、外方そつぱうにして、一人ひとりわらつて
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すすきのも、一本いつぽんづつぎんいろにかがやき、鹿しか毛並けなみがことにそのはりつぱでした。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
枯木一本いつぽん赤き鳥居と石ふたつこれぞ陰陽神おんみやうじんのましますところ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
蜀江しよくこうにしき呉漢ごかんあや足利絹あしかゞぎぬもものともしないで、「よそぢや、この時節じせつ一本いつぽんかんでもないからね、ビールさ。ひさしぶりでいゝ心持こゝろもちだ。」と熱燗あつかん手酌てじやくかたむけて
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よく湿しめる萱屋は低し新芽しんめふく一本いつぽん茱萸ぐみ銀鼠ぎんねずの雨
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それもさ、きざんだのではないで、一本いつぽんぎりにしたらうといふ握太にぎりぶとなのを横啣よこくはえにしてやらかすのぢや。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おもけずまた露地ろぢくちに、抱餘かゝへあままつ大木たいぼく筒切つゝぎりにせしよとおもふ、張子はりこおそろしきかひな一本いつぽん荷車にぐるま積置つみおいたり。おつて、大江山おほえやまはこれでござい、らはい/\とふなるべし。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
喜多八きたはち、さあ、あゆばつしと、いまこそ着流きながし駒下駄こまげたなれ、以前いぜんは、つかさやをかけたお太刀たち一本いつぽん一寸ちよつとめ、振分ふりわけ荷物にもつ割合羽わりがつぱ函嶺はこね夜路よみちをした、内神田うちかんだ叔父的をぢき
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
飛騨ひだから信州しんしうえる深山しんざん間道かんだうで、丁度ちやうど立休たちやすらはうといふ一本いつぽん樹立こだちい、みぎひだりやまばかりぢや、ばすととゞきさうなみねがあると、みねみねいたゞきかぶさつて、とりえず
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れば、かしらに、無手むづ一本いつぽんつのひたり。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一本いつぽんつてはこしにさし
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)