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かえ
ふりがな文庫
“
返
(
かえ
)” の例文
こうした
人
(
ひと
)
たちの
集
(
あつ
)
まるところは、いつも
笑
(
わら
)
い
声
(
ごえ
)
のたえるときがなければ、
口笛
(
くちぶえ
)
や、ジャズのひびきなどで、
煮
(
に
)
えくり
返
(
かえ
)
っています。
雲と子守歌
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
達二
(
たつじ
)
は早く、おじいさんの所へ
戻
(
もど
)
ろうとして
急
(
いそ
)
いで引っ
返
(
かえ
)
しました。けれどもどうも、それは前に来た所とは
違
(
ちが
)
っていたようでした。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
細君
(
さいくん
)
から
手移
(
てうつ
)
しに
押
(
お
)
しつけられて、
糟谷
(
かすや
)
はしょうことなしに笑って、しょうことなしに
芳輔
(
よしすけ
)
を
抱
(
だ
)
いた。それですぐまた
細君
(
さいくん
)
に
返
(
かえ
)
した。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
けれどもこう
真面目
(
まじめ
)
に出られて見ると、もう
交
(
ま
)
ぜ
返
(
かえ
)
す勇気もなかった。その上彼のいわゆる潰瘍とはどんなものか全く知らなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ひっきりなし、川の
水
(
みず
)
はくるくる
目
(
め
)
の
回
(
まわ
)
るような
速
(
はや
)
さで、
渦
(
うず
)
をまいて、ふくれ
上
(
あ
)
がり、ものすごい
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
ててわき
返
(
かえ
)
っていました。
鬼六
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
▼ もっと見る
王子は石を一つ
拾
(
ひろ
)
って、それを力まかせに
投
(
な
)
げてみました。石は
遙
(
はる
)
か下の方の
雲
(
くも
)
に
巻
(
ま
)
きこまれたまま、なんの
響
(
ひび
)
きも
返
(
かえ
)
しませんでした。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
敵
(
てき
)
の
姿
(
すがた
)
は、ぜんぜん見えないのだ。どうやってトーマスをかれの手からうばい
返
(
かえ
)
して助けてやればいいのか、さっぱりわからなかった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
ところが彼はおどりあがって、皆が
頼
(
たの
)
みに来るまでは、もう二度と寄合へ出て口なんかきいてやらないぞ、と負けずにどなり
返
(
かえ
)
しました。
負けない少年
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
最後
(
さいご
)
に
会
(
あ
)
ったのはたしか
四五月頃
(
しごがつごろ
)
でしたか、
新橋演舞場
(
しんばしえんぶじょう
)
の
廊下
(
ろうか
)
で
誰
(
たれ
)
か
後
(
うしろ
)
から
僕
(
ぼく
)
の
名
(
な
)
を
呼
(
よ
)
ぶのでふり
返
(
かえ
)
って
見
(
み
)
ても
暫
(
しばら
)
く
誰
(
たれ
)
だか
分
(
わか
)
らなかった。
夏目先生と滝田さん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あるいているお尋ねもんが、いちいち、ねちねち、色恋にしろ、
捏
(
こ
)
ね
返
(
かえ
)
しちゃいられるもんけえ、飽いたら、別れるまでのことよ
治郎吉格子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誰
(
だれ
)
にいうともない
独言
(
ひとりごと
)
ながら、
吉原
(
よしわら
)
への
供
(
とも
)
まで
見事
(
みごと
)
にはねられた、
版下彫
(
はんしたぼり
)
の
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
は、
止度
(
とめど
)
なく
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
が
沸
(
に
)
えくり
返
(
かえ
)
っているのであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
と
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
し教えている。しかして人生の戦争においては、太く短く世を渡るを望む者あるも、望み通りになるやならぬや誰も保証出来ぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
老人は
呼吸
(
いき
)
を止めた。かれはすっかり知った。人々はかれが党類を作って、組んで手帳を
返
(
かえ
)
したものとかれを
詰
(
なじ
)
るのであった。
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
今日
(
こんにち
)
から
振
(
ふ
)
り
返
(
かえ
)
って
考
(
かんが
)
えると、この
海
(
うみ
)
の
修行場
(
しゅぎょうば
)
は
私
(
わたくし
)
の
為
(
た
)
めに
神界
(
しんかい
)
で
特
(
とく
)
に
設
(
もう
)
けて
下
(
くだ
)
すったお
浚
(
さら
)
いの
場所
(
ばしょ
)
ともいうべきものなのでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
行田印刷所と書いたインキに汚れた大きい
招牌
(
かんばん
)
がかかっていて、旧式な手刷りが一台、例の大きなハネを
巻
(
ま
)
き
返
(
かえ
)
し繰り返し動いているのが見える。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
馬
(
うま
)
を
附
(
つ
)
けるのに
手間
(
てま
)
が
取
(
と
)
れるとかと
力
(
りき
)
んで、
上句
(
あげく
)
には、
何
(
いつ
)
も
黙
(
だま
)
れとか、
彼
(
か
)
れこれ
云
(
い
)
うな、とかと
真赤
(
まっか
)
になって
騒
(
さわぎ
)
を
返
(
かえ
)
す。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
姪は初めの間
反
(
そ
)
り
返
(
かえ
)
って鼻を鳴らしていた。彼はそれをも
関
(
かま
)
わずだんだん力を
籠
(
こ
)
めて抱きすくめてゆくと泣き出した。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「
私
(
わたし
)
にはわかりません、毎日毎日
血腥
(
ちなまぐ
)
さい事件を扱って居ると、
返
(
かえ
)
って
頭脳
(
あたま
)
が混乱してしまって、
其
(
その
)
間から公式も哲学も見出す気にはならないのです」
悪魔の顔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
心づいて有り合わせた
団扇
(
うちわ
)
を取り背中の方からあおいでやるとそれで
納得
(
なっとく
)
したようであったが少しでもあおぎ方が気が抜けるとすぐ「暑い」を
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
した。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「それは相手が手ごわいから、準備のためにそうとう日がかかるんだろう。君たちがでかけていってもだめさ。相手が強すぎるからね。
返
(
かえ
)
り
討
(
う
)
ちになるよ」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かく「
返
(
かえ
)
すッたって、どうも
徒
(
たゞ
)
は返されません、私も路銀を遣い、こうやって
態々
(
わざ/\
)
尋ねて来たんですものを」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何よりも、
力
(
りき
)
み
返
(
かえ
)
ること、
大声
(
おおごえ
)
を立てることが
嫌
(
きら
)
いです。どんなことでも、静かに話せばわかり、また、静かに
話
(
はな
)
し
合
(
あ
)
わなければ
面白
(
おもしろ
)
くないという
主義
(
しゅぎ
)
なのです。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
ゴットフリートはびっくりし、
感動
(
かんどう
)
して、「
何
(
なん
)
だ、何だ?」とくり
返
(
かえ
)
しながら、
同
(
おな
)
じように彼を
抱
(
だ
)
きしめた。——それから
彼
(
かれ
)
は
立上
(
たちあが
)
り、
子供
(
こども
)
の手をとっていった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
武士が
差料
(
さしりょう
)
を摺りかえられたことは話にならぬ、さすがの田中がその当座、
悄気
(
しょげ
)
返
(
かえ
)
っていたという。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
が、結局噛みつくような眼で
酬
(
むく
)
い
返
(
かえ
)
されるだけで、彼女は幾度か引き下らねばならなかったのだ。
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
シューラは
急
(
いそ
)
いでポケットの中から、この
年頃
(
としごろ
)
の男の子につきものになっている
他愛
(
たあい
)
のない
品々
(
しなじな
)
を、すっかり出して見せた——それから
両方
(
りょうほう
)
のポケットもひっくり
返
(
かえ
)
した。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
お
初
(
はつ
)
と
子供
(
こども
)
は、
袖子
(
そでこ
)
の
前
(
まえ
)
で、こんな
言葉
(
ことば
)
をかわしていた。
子供
(
こども
)
から
呼
(
よ
)
びかけられるたびに、お
初
(
はつ
)
は「まあ、
可愛
(
かわい
)
い」という
様子
(
ようす
)
をして、
同
(
おな
)
じことを
何度
(
なんど
)
も
何度
(
なんど
)
も
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
した。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そしてあの
反
(
そ
)
り
返
(
かえ
)
った細弁の真紅の巻き花が、物の見事に出現した。驚いたのは島人で、夢ではなかろうかと
訝
(
いぶ
)
かった。この海中の一小島がまさに楽園の観を呈したのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
氏が
坐禅
(
ざぜん
)
の
公案
(
こうあん
)
が通らなくて師に強く言われて家へ帰って来た時の顔など、いまにも泣き出し
相
(
そう
)
な
小児
(
こども
)
の様に
悄気
(
しょげ
)
返
(
かえ
)
ったものです。以上
不備
(
ふび
)
乍
(
なが
)
ら課せられた紙数を
漸
(
ようや
)
く埋めました。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
また一時近くなるほどに、温習に往きたる日には
返
(
かえ
)
り
路
(
じ
)
によぎりて、余とともに店を立ち出づるこの常ならず軽き、
掌上
(
しょうじょう
)
の舞をもなしえつべき少女を、怪しみ見送る人もありしなるべし。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ものすごいさけび声が列車の
騒音
(
そうおん
)
にもまぎれずに、ひびきわたった。ガタピシとひっかかって、戸は
動
(
うご
)
こうともしない。自分はふり
返
(
かえ
)
りざま、また、気ちがいのようにランプをふりまわした。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
「それではあんまり苦しゅうございましょう」
頭
(
かん
)
の
君
(
きみ
)
は、そういう最後の言葉をもほんの常談として受け取るだけの余裕もないほど、
悄
(
しょ
)
げ
返
(
かえ
)
って、そのままずうっと縁の方まですさって往かれた。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
胸に
真新
(
まあたら
)
しい在郷軍人
徽章
(
きしょう
)
をつるして、澄まし
返
(
かえ
)
って歩いて来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
返
(
かえ
)
す
返
(
がえ
)
すも勝氏のために
惜
(
お
)
しまざるを得ざるなり。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
と、
意地悪
(
いじわる
)
の
家鴨
(
あひる
)
が
言
(
い
)
い
返
(
かえ
)
すのでした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
の
叫
(
さけ
)
びを
営庭
(
えいてい
)
一ぱいに
跳
(
は
)
ね
返
(
かえ
)
せ!
一九三二・二・二六:―白テロに斃た××聯隊の革命的兵士に―
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
これは
靜歌
(
しずうた
)
の
歌
(
うた
)
い
返
(
かえ
)
しです。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
「昔の身分に
返
(
かえ
)
れるのだ」
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
子供
(
こども
)
は、
振
(
ふ
)
り
返
(
かえ
)
りながら、
母親
(
ははおや
)
に
連
(
つ
)
れられてゆきました。そして、その
姿
(
すがた
)
は、だんだんあちらに、
人影
(
ひとかげ
)
に
隠
(
かく
)
れて
見
(
み
)
えなくなりました。
雪の上のおじいさん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼女に云わせれば、こうして早く帰るのも、あんなに遅くなった
昨日
(
きのう
)
の結果を、今度は
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
させたくないという主意からであった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おじいさんは
今
(
いま
)
まで
一人
(
ひとり
)
ぼっちで、
寂
(
さび
)
しくってたまらなかったところですから、
声
(
こえ
)
を
聞
(
き
)
くとやっと
生
(
い
)
き
返
(
かえ
)
ったような
気
(
き
)
がしました。
瘤とり
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ぼくらは、とった魚を、石で囲んで、小さな
生洲
(
いけす
)
をこしらえて、生き
返
(
かえ
)
っても、もう
遁
(
に
)
げて行かないようにして、また
石取
(
いしと
)
りをはじめた。
さいかち淵
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それから、
踊
(
おど
)
れといえば
踊
(
おど
)
るし、
坐
(
すわ
)
れといえば
坐
(
すわ
)
るし、人形はいうとおりに
動
(
うご
)
き
廻
(
まわ
)
るのです。甚兵衛は
呆
(
あき
)
れ
返
(
かえ
)
ってしまいました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
折角
(
せっかく
)
の
御親切
(
ごしんせつ
)
でおますが、いったんお
返
(
かえ
)
ししょうと、
持
(
も
)
って
参
(
さん
)
じましたこの
帯
(
おび
)
、また
拝借
(
はいしゃく
)
させて
頂
(
いただ
)
くとしましても、
今夜
(
こんや
)
はお
返
(
かえ
)
し
申
(
もう
)
します
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「ですがお
目付
(
めつけ
)
さま、いくら働けといったところで、こんな
鉱気
(
かなけ
)
のないくそ山を、
掘
(
ほ
)
り
返
(
かえ
)
したところでしようがありますまい」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『
済
(
す
)
みませぬ
済
(
す
)
みませぬ、どうぞどうぞお
許
(
ゆる
)
しくださいませ……』
何回
(
なんかい
)
私
(
わたくし
)
はそれを
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
して
血
(
ち
)
の
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
んだことでしょう!
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
糟谷
(
かすや
)
はがらにないおじょうずをいったり、自分ながらひや
汗
(
あせ
)
のでるような、
軽薄
(
けいはく
)
なものいいをしたりして、なにぶん
頼
(
たの
)
むを数十ぺんくり
返
(
かえ
)
して
辞
(
じ
)
した。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
走り出ると
反
(
そ
)
り
返
(
かえ
)
って白墨を高く頭の上へ投げて
踏
(
ふ
)
み
潰
(
つぶ
)
した。そしてまたぶらぶら五、六歩あるくと走り出した。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
といい、世渡りの秘訣は人に譲るにあることを
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
してあるが、実にその通り。自分の権利を最大限度に要求することははなはだ卑劣に
陥
(
おちい
)
る
所以
(
ゆえん
)
と思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
何うも気に成るから振り
返
(
かえ
)
て見ると、其の若い者がバタ/\/\と
下手
(
しもて
)
の欄干の側へ参り、又片足を
踏掛
(
ふんが
)
けて飛び込もうとする様子ゆえ、驚いて
引返
(
ひっかえ
)
して抱き留め
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
返
常用漢字
小3
部首:⾡
7画
“返”を含む語句
引返
銀杏返
返答
返報
振返
往返
返辞
鸚鵡返
取返
忍返
突返
返事
見返
反返
寝返
意趣返
裏返
恩返
返却
生返
...