簡單かんたん)” の例文
新字:簡単
そのかは小六ころくさん、はゞかさま座敷ざしきてて、洋燈ランプけて頂戴ちやうだいいまわたしきよはなせないところだから」と依頼たのんだ。小六ころく簡單かんたん
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これを竪穴式石室たてあなしきせきしつんでゐるひとがありますが、じついし部屋へやといふほどのものではなく、たゞ簡單かんたんいしかこひにすぎないのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
短歌たんかなどもそれで、日本につぽんはじめのうたから、非常ひじよう整頓せいとんおこなはれ/\して、かういふ簡單かんたんで、おもひのふかかたちが、出來できたのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「へえ」勘次かんじ佛曉あけがたのことをどうしてか内儀かみさんがまだらぬらしいのでほつといきをついたがまた自分じぶんからぢて、簡單かんたん瞹昧あいまいういつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
列席れつせき各員かくいん著者ちよしや簡單かんたん演述えんじゆつした大地震だいぢしん前徴ぜんちようにつきさら詳細しようさい説明せつめいもとめられ、すこぶ滿足まんぞくてい見受みうけた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
彼女かのぢよしもそのとき子供こどもがなかつたならば、のろひや果敢はかなみや、たゞ世間せけんをのみ對象たいしやうにしてかんがへた汚辱をじよくのために、如何いかにも簡單かんたんんでしまつたかもれない。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
義母おつかさんさだめしめづらしがるだらうとおもつてたのが、れいごと簡單かんたん御挨拶ごあいさつだけだから張合はりあひけてしまつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それは、子ともきに寫眞しやしん沿革えんかくから撮影さつえい現像げんぞう、燒つけほう、それに簡單かんたん暗箱あんはこつくり方までを説明せつめいしてある。たしか博文館はくぶんくわんはつ行のせう理科りくわそう書の一さつだつたかとおもふ。
『だが先刻せんこく確實たしか救助きゆうじよもとむる難破船なんぱせん信號しんがうえましたか。』とまゆつばきした。可笑をかしいやうだが船乘人ふなのりにはかゝる迷信めいしんいだいてもの澤山たくさんある、わたくし相手あいてにせず簡單かんたん
れよりは「精々せい/″\うまいもの適度てきどへ」とふのがもつと簡單かんたん要領えうれう標語へうごである。建築けんちくこと住家ぢうかでも、まさにこのとほりで、「精々せい/″\善美ぜんびなる建築けんちくつくれ」とふのが最後さいご結論けつろんである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
患者くわんじやおほいのに時間じかんすくない、で、いつ簡單かんたん質問しつもんと、塗藥ぬりぐすりか、※麻子油位ひましあぶらぐらゐくすりわたしてるのにとゞまつてゐる。院長ゐんちやう片手かたて頬杖ほゝづゑきながら考込かんがへこんで、たゞ機械的きかいてき質問しつもんけるのみである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
こつな返辭へんじはきはめて簡單かんたんであつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
下女げぢよは「左樣さやう御座ございましたか、どうも」と簡單かんたんれいべて、文庫ぶんこつたまゝいた仕切しきりまでつて、仲働なかばたらきらしいをんなした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかしながらあわてた卯平うへいかくごと簡單かんたんかつ最良さいりやうである方法はうはふひまがなかつた。またいかつてかれほゝねぶかれいた。かれくらんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いかにも、くらよるあさかはつたよろこびが、『あけぬこのは』といふ簡單かんたんのうちに、みなぎつてゐるではありませんか。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
いづれもいたつて粗末そまつ簡單かんたん人形にんぎようで、あしほうはたいてい一本いつぽん筒形つゝがたになり、あしさきまであらはしてあるのはまれであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
木造家屋もくぞうかおくたいしては、處置しよち比較的ひかくてき容易よういであるが、おも洋風建築物ようふうけんちくぶつであると、さう簡單かんたんにはゆかぬ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
わざ/\デーといはずとも、日といふうつくしい簡單かんたん古來こらい和語わごがあるのである。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
至極しごく簡單かんたんながらそく裝置そうちもある箱形はこかた輕便寫眞器けいべんしやしんきだつた。
わたくし簡單かんたん
一人ひとり何時いつものやう簡單かんたん食事しよくじまして、きよぜんげさしてゐると、いきなり御免ごめんくださいとつて、おほきなこゑして道具屋だうぐや玄關げんくわんからつてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「おまへそつちつて」と簡單かんたんあご百姓ひやくしやう指圖さしづした。百姓ひやくしやうづ/\怪我人けがにんうしろまはつてあをかほをしていた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかしまづそんなのは例外れいがいであつて、普通ふつうはなんの裝飾そうしよくもなく簡單かんたんちひさなあなぎません。(第六十一圖だいろくじゆういちず
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ところが、物質ぶつしつ進化しんか方面ほうめんと、精神上せいしんじようのことゝは反對はんたいで、複雜ふくざつなものをだんだん整頓せいとんして、簡單かんたんにして能力のうりよく出來できることが、文明ぶんめいすゝんでゆくありさまであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
子規は此簡單かんたんな草花をゑがくために、非常な努力を惜しまなかつた樣に見える。僅か三莖みくきの花に、少くとも五六時間の手間てまを掛けて、何處から何處迄丹念に塗り上げてゐる。
子規の画 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)