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ふりがな文庫
“
立停
(
たちどま
)” の例文
電信の柱長く、
斜
(
ななめ
)
に太き影の
横
(
よこと
)
うたるに、ふと
立停
(
たちどま
)
りて、やがて
跨
(
また
)
ぎ越えたれば、鳥の羽音して、高く舞い上れり。星は降るごとし。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仕事が終って家へ帰ると、彼は雨戸の前に
立停
(
たちどま
)
り、ちょっと雨戸を見まもっていて、それからゆっくりという、——この戸をあけよう。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大約
(
おほよそ
)
三四町も駈通して、もう大丈夫だらうと思ツて、自分は
立停
(
たちどま
)
ツて
吻
(
ほつ
)
と一息した。
後
(
あと
)
を振向いて見ても誰も來る模樣が無い。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
何気なく通るかの女は、同じく何気なく垣の中からすうつと出て来た青灰色のブルーズ着の一人の青年とぱつたり顔を見合して、思はず
立停
(
たちどま
)
つた。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
前つぼの
固
(
かた
)
い
草履
(
ぞうり
)
の
先
(
さき
)
で
砂
(
すな
)
を
蹴
(
け
)
って、一
目散
(
もくさん
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
した
伝吉
(
でんきち
)
は、
提灯屋
(
ちょうちんや
)
の
角
(
かど
)
まで
来
(
く
)
ると、ふと
立停
(
たちどま
)
って
小首
(
こくび
)
を
傾
(
かし
)
げた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
ある時、この男が紀州の道成寺に
詣
(
まゐ
)
つた事があつた。その折拍子を踏み/\石段を数へてゐたが、ふと
立停
(
たちどま
)
つて、不思議さうな顔をして
道伴
(
みちづれ
)
に言つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
暫
(
しばら
)
く
立停
(
たちどま
)
り、
其兩面
(
そのりやうめん
)
を
知
(
し
)
らうとして一
心
(
しん
)
に
菌
(
きのこ
)
を
眺
(
なが
)
めて
考
(
かんが
)
へ
込
(
こ
)
みました、それが
全
(
まつた
)
く
眞圓
(
まんまる
)
だつたので、これは
甚
(
はなは
)
だ
厄介
(
やくかい
)
な
難問題
(
なんもんだい
)
だと
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
部屋のまん中で
立停
(
たちどま
)
ると、上着の内ポケットへ手を入れ、何物かを引きだしたと思ったらそれは一
挺
(
ちょう
)
のピストルで二つに折って、中の
弾丸
(
たま
)
の様子を調べた。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どうしたのでせう、どこへ消えてしまつたのでせう。わたくしは
立停
(
たちどま
)
つてぼんやりと考へてゐました。
停車場の少女:――「近代異妖編」
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
病弱な・ひねこびた・神経衰弱の・十一歳の少年は、「みんな亡びる、みんな冷える、みんな無意味だ」と考えながら、真実、恐ろしさに冷汗の出る思いで、しばらく其処に
立停
(
たちどま
)
ってしまう。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
男はヒヨイと
立停
(
たちどま
)
つて、ニヤ/\笑ひながら、『何をするんだ、
危
(
あぶね
)
えな。』
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
送
(
おくり
)
ける或日兩國邊より
歸
(
かへ
)
る
途中
(
とちう
)
俄
(
にはか
)
に
夕立
(
ゆふだち
)
降來
(
ふりきた
)
り
雷
(
はたゝがみ
)
夥多敷
(
おびたゞしく
)
鳴渡
(
なりわた
)
れども
雨具
(
あまぐ
)
なければ馬喰町の馬場の
脇
(
わき
)
に
出格子
(
でがうし
)
の有る家を幸ひに
軒下
(
のきした
)
に
立停
(
たちどま
)
り我が
宅
(
たく
)
も早二三町なれども歸ること
叶
(
かなは
)
ず
雨
(
あめ
)
に
濡
(
ぬれ
)
て居るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
おつさんは突然
立停
(
たちどま
)
つて提議した。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
売薬
(
ばいやく
)
は
先
(
さき
)
へ
下
(
お
)
りたが
立停
(
たちどま
)
つて
頻
(
しきり
)
に
四辺
(
あたり
)
を
瞻
(
みまは
)
して
居
(
ゐ
)
る
様子
(
やうす
)
、
執念深
(
しふねんぶか
)
く
何
(
なに
)
か
巧
(
たく
)
んだか、と
快
(
こゝろよ
)
からず
続
(
つゞ
)
いたが、さてよく
見
(
み
)
ると
仔細
(
しさい
)
があるわい。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
戸口からはいって来て
立停
(
たちどま
)
り、ぐあいが悪そうに下帯を直し、ひどく疲れたような足どりで、薪を置いてある隅のほうへいった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
『
若
(
も
)
し
人民
(
じんみん
)
どもが
皆
(
みん
)
な
平伏
(
ひれふ
)
さなければならない
位
(
くらゐ
)
なら、
寧
(
いつ
)
そ
行列
(
ぎやうれつ
)
を
見
(
み
)
ない
方
(
はう
)
が
益
(
まし
)
ぢやないの?』
其故
(
それゆゑ
)
愛
(
あい
)
ちやんは
自分
(
じぶん
)
の
居
(
ゐ
)
た
所
(
ところ
)
に
靜
(
しづ
)
かに
立停
(
たちどま
)
つて
待
(
ま
)
つてゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
婦人は花壇の前で
立停
(
たちどま
)
つた。
凡
(
すべ
)
ての女は男が
草掻
(
くさかき
)
をもつて、
土塗
(
つちまみ
)
れになつてゐるのを見るのが、好きで溜らぬものらしい。婦人は一寸鼻眼鏡に手をやつて訊いた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
さ、その無心を
叶
(
かな
)
えて貰っての帰りさ、通り
懸
(
かか
)
ったのが今話しの第九工場の横手。だしぬけに、キーイッという
軋
(
きし
)
るような物音を聴いた。(オヤ、何処だろう)と、あっしは
立停
(
たちどま
)
った。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、一向に張合なし……
対手
(
あいて
)
は待てと云われたまま、破れた
暖簾
(
のれん
)
に、ソヨとの風も無いように、ぶら下った
体
(
てい
)
に
立停
(
たちどま
)
って待つのであるから。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私服たちは
立停
(
たちどま
)
った。三人ともすっかりあがっていて、むしろ
怯
(
おび
)
えていたというべきだろう、
硬
(
こわ
)
ばった顔で、
眼
(
め
)
のやりばもなく、三人ともふるえていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と
急遽
(
いそいそ
)
先に立ちます。小宮山は後に
跟
(
つ
)
いて二階に上り、座敷に通ると、篠田が
洋燈
(
ランプ
)
を持ったまま、入口に
立停
(
たちどま
)
って、内を
透
(
すか
)
し
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
功兵衛が
立停
(
たちどま
)
ったのを見ると、こもをかぶったその乞食は、不安定なあるきぶりでよろよろと近よって来た。
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
売薬は先へ下りたが
立停
(
たちどま
)
ってしきりに
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
している様子、
執念
(
しゅうねん
)
深く何か
巧
(
たく
)
んだかと、快からず続いたが、さてよく見ると
仔細
(
しさい
)
があるわい。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おい、ちょっと待て」十太夫が急に雪の中で
立停
(
たちどま
)
った、「その話で思いだしたが、安川の妹はどうした」
饒舌りすぎる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
立停
(
たちどま
)
ってしばらく見ていましたんですよ、二人とも。頭巾を被っておいでだし、横吹きに吹掛けていましたから、お気がつかなかったんです。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人たちも土地の者である限りは、決して驚いたり顔を赤くしたりするようなことはない。若い漁師や通船の水夫たちは、ごくあたりまえに
立停
(
たちどま
)
って、彼女たちと率直に会話をとり交わすのであった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
小児
(
こども
)
は
一時
(
いちどき
)
に
哄
(
どッ
)
と囃したが、滝太郎は俯向いたまま、突当ったようになって
立停
(
たちどま
)
ったばかり、形も崩さず自若としていた。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かれらは
立停
(
たちどま
)
り、泰二をとり囲んだ。
源蔵ヶ原
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
背戸
(
せど
)
から廻って来たらしい、草鞋を
穿
(
は
)
いたなりで、
胴乱
(
どうらん
)
の
根付
(
ねつけ
)
を
紐長
(
ひもなが
)
にぶらりと
提
(
さ
)
げ、
銜煙管
(
くわえぎせる
)
をしながら並んで
立停
(
たちどま
)
った。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
空を仰いで
立停
(
たちどま
)
ったのは、町屋風の
壮佼
(
わかもの
)
で、雨の歇んだのを見ると、畳んで
袂
(
たもと
)
の下に抱え込んでいた羽織を
一揺
(
ひとゆり
)
、はらりと襟を
扱
(
しご
)
いて手を通した。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
加茂川の邸へはじめての客と見える、
件
(
くだん
)
の五ツ紋の
青年
(
わかもの
)
は、
立停
(
たちどま
)
って
前後
(
あとさき
)
を
眗
(
みまわ
)
して
猶予
(
ためら
)
っていたのであるが、今
牛乳屋
(
ちちや
)
に教えられたので振向いて
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
来た時のやうに
立停
(
たちどま
)
つて又、
噫
(
ああ
)
、妖魔にもせよ、と身を
棄
(
す
)
てて
一所
(
いっしょ
)
に殺されようかと思つた。途端に騎馬が
引返
(
ひきかえ
)
した。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
男は
草鞋穿
(
わらじばき
)
、
脚絆
(
きゃはん
)
の
両脚
(
もろずね
)
、しゃんとして、
恰
(
あたか
)
も一本の杭の如く、松を仰いで、
立停
(
たちどま
)
って、……
眦
(
まなじり
)
を返して波を
視
(
み
)
た。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雖然
(
けれども
)
、
局
(
つぼね
)
が
立停
(
たちどま
)
ると、刀とともに奥の方へ
突返
(
つっかえ
)
らうとしたから、
其処
(
そこ
)
で、
袿
(
うちぎ
)
の
袖
(
そで
)
を掛けて、
曲
(
くせ
)
ものの手を取つた。それが刀を持たぬ方の手なのである。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
濶歩
(
かっぽ
)
埋葬地の間をよぎりて、ふと
立停
(
たちどま
)
ると見えけるが、つかつかと歩をうつして、謙三郎の墓に
達
(
いた
)
り、足をあげてハタと蹴り、カッパと
唾
(
つば
)
をはきかけたる
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
伽羅
(
きゃら
)
の
薫
(
かおり
)
の
薫
(
くん
)
ずるなかに、この
身体
(
からだ
)
一ツはさまれて、
歩行
(
ある
)
くにあらず
立停
(
たちどま
)
るといふにもあらで、押され押され
市中
(
まちなか
)
をいきつくたびに一歩づつ式場近く進み候。
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
足早に
歩行
(
ある
)
いて、一所になると、影は草の間に隠れて、二人は山腹に面した
件
(
くだん
)
の
温泉
(
ゆ
)
の口の処で
立停
(
たちどま
)
った。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(おお、
寒
(
さむ
)
、寒。)と不作法な大きな声で、アノ尼様がいったのが聞えると、母様が
立停
(
たちどま
)
って、なぜだか顔の色をおかえなすったのを、私は
小児心
(
こどもごころ
)
にも覚えている。
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
孝
(
かう
)
が
買物
(
かひもの
)
に
出掛
(
でか
)
ける
道
(
みち
)
だ。
中里町
(
なかざとまち
)
から
寺町
(
てらまち
)
へ
行
(
ゆ
)
かうとする
突當
(
つきあたり
)
の
交番
(
かうばん
)
に
人
(
ひと
)
だかりがして
居
(
ゐ
)
るので
通過
(
とほりす
)
ぎてから
小戻
(
こもどり
)
をして、
立停
(
たちどま
)
つて、
少
(
すこ
)
し
離
(
はな
)
れた
處
(
ところ
)
で
振返
(
ふりかへ
)
つて
見
(
み
)
た。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
こん/\こん/\と
啼
(
な
)
くのに、フト
耳
(
みゝ
)
を
傾
(
かたむ
)
けて、
虫
(
むし
)
を
聞
(
き
)
くが
如
(
ごと
)
く
立停
(
たちどま
)
ると、
何
(
なに
)
かものを
言
(
い
)
ふやうで
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
引切
(
ひっきり
)
の無い人通りも、およそ途中で
立停
(
たちどま
)
って、芸者の形を見物するのは、
鰻屋
(
うなぎや
)
の前に
脂気
(
におい
)
を
嗅
(
か
)
ぐ、奥州のお婆さんと同じ恥辱だ、という心得から、誰も知らぬ顔で行違う。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
えへん! ともいわず歌も
詠
(
よ
)
まないが、中に人のいるような
気勢
(
けはい
)
がするから、ふと
立停
(
たちどま
)
った、しばらく待ってても、一向に出て来ない、気を鎮めてよく考えると、なあに
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「へい、
御贔屓
(
ごひいき
)
を一両名、尾上菊五郎、沢村源之助。」ト声を懸けたので、腕車の蔭に
立停
(
たちどま
)
る。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、投げたように、袖を払って、
拗身
(
すねみ
)
に空の
雁
(
かり
)
の声。
朧
(
おぼろ
)
を仰いで、一人
立停
(
たちどま
)
った孫権を見よ。英気
颯爽
(
さっそう
)
としてむしろ
槊
(
ほこ
)
を
横
(
よこた
)
えて詩を赤壁に
賦
(
ふ
)
した、白面の
曹操
(
そうそう
)
の概がある。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
何
(
なん
)
でございます、まあ、」と
立停
(
たちどま
)
つて
居
(
ゐ
)
たのが、
二
(
ふた
)
ツばかり
薄彩色
(
うすさいしき
)
の
裾捌
(
すそさばき
)
で、
手
(
て
)
にした
籠
(
かご
)
の
花
(
はな
)
の
影
(
かげ
)
が、
袖
(
そで
)
から
白
(
しろ
)
い
膚
(
はだ
)
へ
颯
(
さつ
)
と
透通
(
すきとほ
)
るかと
見
(
み
)
えて、
小戻
(
こもど
)
りして、ト
斜
(
なゝ
)
めに
向合
(
むきあ
)
ふ。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
早朝
(
あさまだき
)
町はずれへ来て、お兼は神通川に架した神通橋の
袂
(
たもと
)
で
立停
(
たちどま
)
ったのである。雲のごときは
前途
(
ゆくて
)
の山、
煙
(
けぶり
)
のようなは、
市中
(
まちなか
)
の最高処にあって、ここにも見らるる
城址
(
しろあと
)
の森である。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しばらく
行
(
ゆ
)
くと、その人が、
偶
(
ふ
)
と
立停
(
たちどま
)
って、弱腰を
捻
(
ね
)
じて、肩へ、横顔で見返って
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前途
(
ゆくて
)
へすたすたと
歩行
(
ある
)
き出したので、何だか気がさしてこっちでも
立停
(
たちどま
)
ると、
劇
(
はげ
)
しく雪の降り来る中へ、その姿が隠れたが、見ると刎橋の際へ
引返
(
ひっかえ
)
して来て、またするすると向うへ走る。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小宮山は
慄然
(
ぎょっ
)
として、雨の中にそのまま
立停
(
たちどま
)
って、待てよ、あるいはこりゃ
託
(
ことづか
)
って来たのかも知れぬと、
悚然
(
ぞっ
)
としましたが、何しろ、自宅へ
背負
(
しょ
)
い込んでは妙ならずと、直ぐに
歩
(
あゆみ
)
を転じて
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
立停
(
たちどま
)
って、女のその雪のような
耳許
(
みみもと
)
から、
下膨
(
しもぶく
)
れの
頬
(
ほお
)
に
掛
(
か
)
けて、
柔
(
やわらか
)
に、濃い
浅葱
(
あさぎ
)
の
紐
(
ひも
)
を結んだのが、
露
(
つゆ
)
の朝顔の色を
宿
(
やど
)
して、
加賀笠
(
かががさ
)
という、
縁
(
ふち
)
の深いので
眉
(
まゆ
)
を隠した、背には
花籠
(
はなかご
)
、
脚
(
あし
)
に
脚絆
(
きゃはん
)
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
停
常用漢字
小5
部首:⼈
11画
“立”で始まる語句
立
立派
立退
立場
立上
立出
立竦
立籠
立塞
立留