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由
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よし
ふりがな文庫
“
由
(
よし
)” の例文
友人、芹川進君を紹介します、先生の御指南を得たい
由
(
よし
)
にて
云々
(
うんぬん
)
という大まかな文章である。具体的な
事柄
(
ことがら
)
には一つも触れていない。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
火に行く先をふさがれて、ぜひなく
駕
(
かご
)
を休めていると、そこへそちと、もう一人、
由
(
よし
)
ありげな
女子
(
おなご
)
とが、気を失って引きずられてきた
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
傍
(
かたわら
)
に馬立てたる白髪の
翁
(
おきな
)
は
角扣紐
(
つのボタン
)
どめにせし緑の
猟人服
(
かりゅうどふく
)
に、うすき
褐
(
かち
)
いろの帽を
戴
(
いただ
)
けるのみなれど、何となく
由
(
よし
)
ありげに見ゆ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その男は
仕合
(
しあわ
)
せにも大した
怪我
(
けが
)
もせず、
瀑布
(
ばくふ
)
を下ることが出来たけれど、その一
刹那
(
せつな
)
に、頭髪がすっかり白くなってしまった
由
(
よし
)
である。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
寺男も、この冬の晩遅くそんな女が、私に会いに来たのだから、余程、不思議に思って、急いで私の居間に来て、その
由
(
よし
)
を告げた。
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
▼ もっと見る
であるが、しかしこの語はすぐ前にある孔子の語、「徳孤ならず、必ず
鄰
(
となり
)
あり」を
反駁
(
はんばく
)
した形になっている。何か
由
(
よし
)
ありげである。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「われにこそつらさは君が見すれども人にすみつく顔のけしきよ」と
詠
(
よ
)
んだ故事があって、源氏の言葉はそれにもとづく
由
(
よし
)
が
記
(
しる
)
してある。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
お冬さんの眼の色いよいよ
嶮
(
けわ
)
しくなる。これにて一切の秘密判明。紳士は磯貝満彦といいて、東京の某実業家の息子なる
由
(
よし
)
。——
慈悲心鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この隠し子の存在にはお梶さまも相当煩悶した
由
(
よし
)
であるが、自分の結婚前ということが、ともかく
納得
(
なっとく
)
の
手蔓
(
てづる
)
ではあったらしい。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
しかるに彼ら閣臣の
輩
(
やから
)
は
事前
(
じぜん
)
にその企を
萌
(
きざ
)
すに
由
(
よし
)
なからしむるほどの遠見と憂国の誠もなく、事後に局面を急転せしむる機智親切もなく
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
自分だけでこの秘密を胸に畳み込んでしまって、もうこの上
由
(
よし
)
ない恐怖に人を陥れることは止めにしようと決心したのであった。
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
我之を聞きて答へて曰ふ、汝わがうちまもりゐたりし事の
由
(
よし
)
に心をとめしならんには、わがなほ止まるを許し給ひしなるべし 一三—一五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
潜
(
くゞ
)
りしとか申程に
賤
(
いや
)
しく見えし
由
(
よし
)
然
(
さ
)
すれば
貴公樣
(
あなたさま
)
などは御
體
(
なり
)
は見惡ふ
入
(
いら
)
せられても
泥中
(
でいちう
)
の
蓮華
(
はちす
)
とやらで御人品は
自然
(
おのづ
)
から
瓦
(
かはら
)
と玉程に違ふを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
友人にも同じくその
由
(
よし
)
をいって無理やりに、その晩は
家
(
うち
)
へ帰って来たというが、
青楼
(
せいろう
)
などでは、往々にして、こういう
談
(
はなし
)
を聞くようである。
一つ枕
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
一種確定せる特別な民族たることを誇るに
由
(
よし
)
なく、かえってよく他の長所を吸収する包容力あることを自慢せると同じである。
民族優勢説の危険
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
天下騒然
復
(
ま
)
た文を語る者なし、然るに君が家の蘭学事始は我輩学者社会の宝書なり、今
是
(
これ
)
を失ふては後世子孫我洋学の歴史を知るに
由
(
よし
)
なく
蘭学事始再版序
(新字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それは鍛冶屋の隣りのお
由
(
よし
)
寡婦
(
やもめ
)
が家、月三圓でその代り粟八分の飯で
忍耐
(
がまん
)
しろと言ふ。口に似合はぬ親切な爺だと、松太郎は心に感謝した。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
妹のお絹によく似た
細面
(
ほそおもて
)
、化粧崩れを直す
由
(
よし
)
もありませんが、生れ乍らの美しさは、どんな
汚
(
きた
)
な作りをしても、
蔽
(
おほ
)
ふ由もなかつたのでせう。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今詳に之を知るに
由
(
よし
)
なしと雖も、蛤貝の殼の内に魚鱗の
充實
(
じうじつ
)
したるを
發見
(
はつけん
)
する事有れば貝殼を以て魚鱗を
掻
(
か
)
き
除
(
のぞ
)
く事の有りしは
慥
(
たしか
)
なるべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
これを如何ともするに
由
(
よし
)
なく、ただ空しく、遠方から
淪落
(
りんらく
)
の痴漢の暗き行末を、あわれみの眼もて見送るより外に、せん
術
(
すべ
)
がないのである。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
然るに
昨夕
(
さくせき
)
のこと富岡老人近頃
病床
(
とこ
)
にある
由
(
よし
)
を聞いたから見舞に出かけた、もし
機会
(
おり
)
が可かったら貴所の一条を持出す積りで。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
柳浪広津
(
りゅうろうひろつ
)
先生は三十を越えて
後
(
のち
)
初
(
はじめ
)
て小説を書きし
由
(
よし
)
聞きたる事あり。
夏目漱石
(
なつめそうせき
)
先生は帝国大学教授を辞して小説家となりし事人の知る所なり。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
床几
(
しやうぎ
)
の
下
(
した
)
に
俵
(
たはら
)
を
敷
(
し
)
けるに、
犬
(
いぬ
)
の
子
(
こ
)
一匹
(
いつぴき
)
、
其日
(
そのひ
)
の
朝
(
あさ
)
より
目
(
め
)
の
見
(
み
)
ゆるものの
由
(
よし
)
、
漸
(
やつ
)
と
食
(
しよく
)
づきましたとて、
老年
(
としより
)
の
餘念
(
よねん
)
もなげなり。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼等の背後に、恐ろしい悪魔が、
爛々
(
らんらん
)
たる眼を輝かせ、鋭い牙を剥いていようとは、古い言葉だが、神ならぬ身の、それと知る
由
(
よし
)
もなかった。
雷
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
如何
(
いか
)
に
南北朝
(
なんぼくちょう
)
の戦乱が、
我邦
(
わがくに
)
の武備機関を膨脹せしめ、
而
(
しこう
)
してその余勇は、漏らすに
由
(
よし
)
なく、
延
(
ひ
)
いて
支那
(
シナ
)
辺海を
擾
(
みだ
)
したるよ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
大原家の混雑は知るに
由
(
よし
)
なし、中川家にては大原の去りたる後広海子爵が他人のおらぬを
好機
(
しお
)
として主人を
対手
(
あいて
)
に結婚問題の研究を始めたり。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
たゞのさ/\立廻りあるくばかり也。
尤
(
もつと
)
も悪きことはせず。至つて正直なる
由
(
よし
)
なり。
此処
(
ここ
)
にては山女は見ず。又其
沙汰
(
さた
)
も無し
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
三八
(
さんぱち
)
といへる百姓は
一人
(
ひとり
)
の母につかへて、至孝ならぶものなかりける。
或年
(
あるとし
)
の
霜月
(
しもつき
)
下旬の頃、母
筍
(
たけのこ
)
を
食
(
しよく
)
し
度
(
たき
)
由
(
よし
)
のぞみける。
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
○正誤 前々号墨汁一滴にある人に聞けるまま雑誌『明星』廃刊の
由
(
よし
)
記したるに、廃刊にあらず、只今印刷中なり、と
与謝野
(
よさの
)
氏より通知ありたり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
黄昏
(
たそがれ
)
の白き
靄
(
もや
)
のなかに、
逼
(
せま
)
り来る暮色を
弾
(
はじ
)
き返すほどの
目覚
(
めざま
)
しき
衣
(
きぬ
)
は
由
(
よし
)
ある女に相違ない。中野君はぴたりと留まった。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
栄二はふきげんな、怒ってでもいるような口ぶりで、自分が去年から幾たびか帳場の
銭
(
ぜに
)
をぬすみ、それを主婦のお
由
(
よし
)
にみつかったのだ、と告白した。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
コンクリー卜三階建で、建設費は百万ドル(日本金にして三億六千万円)の
由
(
よし
)
である。もう土台は完全にできていた。
アラスカ通信
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
これ等は其の真偽を正すに
由
(
よし
)
ないが、印度の僧侶は今もなほかかることを行ひ、現に信ずべき記録に載せられてある。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
湖水のほとりのその庵に暫く足をとどめて静養する
由
(
よし
)
を
陳
(
の
)
べ、それから筆を極めて湖水の眺望のいい事を
説
(
と
)
いておる。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
もう一人の中年の女の人は、やはり一空さまをあがめて、洗耳房に出入りして子供たちの世話をしている、お
由
(
よし
)
さんという近所のおかみさんだった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして
確
(
たしか
)
に請取つた
由
(
よし
)
を言つたが、印度人は何か
待心
(
まちごころ
)
でゐるらしく、両手を胸の上に
拱
(
く
)
んだまゝ、
卓子
(
テーブル
)
の前に
立
(
た
)
ち
跨
(
はだ
)
かつて一向帰らうとしなかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
切害
(
せつがい
)
致し候者は春部梅三郎と若江とこれ/\にて目下鴻ノ巣の宿屋に
潜
(
ひそ
)
み
居
(
お
)
る
由
(
よし
)
確かに聞込み候間早々
彼
(
か
)
の者を
討果
(
うちはた
)
され候えば親の
仇
(
あだ
)
を討たれ候
廉
(
かど
)
を
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
伊太利
(
イタリー
)
のさる
繁華
(
はんくわ
)
なる
港
(
みなと
)
に
宏大
(
りつぱ
)
な
商會
(
しやうくわい
)
を
立
(
た
)
てゝ、
專
(
もつぱ
)
ら
貿易事業
(
ぼうえきじげふ
)
に
身
(
み
)
を
委
(
ゆだ
)
ねて
居
(
を
)
る
由
(
よし
)
、おぼろながらに
傳
(
つた
)
へ
聞
(
き
)
くのみ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ぜんぜん死因を知るに
由
(
よし
)
ないものもあり、遺書をのこす場合にも、元来遺書なるものには非常な修飾や誇張や
隠蔽
(
いんぺい
)
が行われているのが通例であるから
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
藤原秀郷、
偽
(
いつ
)
はりて門客に列す
可
(
べ
)
きの
由
(
よし
)
を称し、彼の陣に入るの処、将門喜悦の余り、
梳
(
くし
)
けづるところの髪を
肆
(
をは
)
らず、即ち烏帽子に引入れて之に
謁
(
えつ
)
す。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
お峯はその翌日も必ず
来
(
きた
)
るべきを
懼
(
おそ
)
れて夫の在宅を請ひけるが、果して来にけり。又試に
婢
(
をんな
)
を
出
(
いだ
)
して不在の
由
(
よし
)
を言はしめしに、こたびは
直
(
ぢき
)
に立去らで
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「あれがお
由
(
よし
)
の色男だ」とその女の名を言つて、
家
(
うち
)
の人が私にある時計屋の職人を
指
(
ゆびさ
)
して見せたことが有つた。私は初めて「色男」といふ言葉を覚えた。
犬
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
例の『五戦記』では、この騎馬武者を誰とも知らず越後の荒川伊豆守なるべしと取沙汰したが、それを「政虎聞キ候テ
可討留
(
うちとどむべき
)
物ヲ残リ多シト皆ニ
申
(
もうし
)
候
由
(
よし
)
」
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
薄
(
うす
)
らぐべき
由
(
よし
)
もなくて、
世
(
よ
)
をうみ
梅實
(
うめ
)
の
落
(
おつ
)
る
音
(
おと
)
もそゞろ
淋
(
さび
)
しき
日
(
ひ
)
を
幾日
(
いくひ
)
、をぐらき
窓
(
まど
)
のあけくれに、をち
返
(
かへ
)
りなく
山時鳥
(
やまほとゝぎす
)
の、から
紅
(
くれな
)
ゐにはふり
出
(
い
)
でねど
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「無礼をするな、拙者は
御徒町
(
おかちまち
)
の島田虎之助じゃ、
果
(
はた
)
し
合
(
あ
)
いならば時を告げて
来
(
きた
)
れ、恨みがあらばその
由
(
よし
)
を言え」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ケリッヒ夫人は心を動かされた。社交界の人々にありがちな誇張した賛辞で、感動した
由
(
よし
)
を述べた。それでも彼女は、
不真面目
(
ふまじめ
)
に言ってるのではなかった。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
後
(
のち
)
或
(
ある
)
書
(
しよ
)
に
感冐
(
かんばう
)
を
豫防
(
よばう
)
するに
冷水浴
(
れいすゐよく
)
の
非常
(
ひじやう
)
に
利益
(
りえき
)
ある
由
(
よし
)
を
見
(
み
)
、
再
(
ふたゝ
)
び
冷水浴
(
れいすゐよく
)
を
行
(
おこな
)
ひ、
春夏
(
しゆんか
)
の
候
(
こう
)
は
能
(
よ
)
く
繼續
(
けいぞく
)
するを
得
(
え
)
しも、
寒冷
(
かんれい
)
の
頃
(
ころ
)
となりては
何時
(
いつ
)
となく
怠
(
おこた
)
るに
至
(
いた
)
り
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
街道の並木の松さすがに昔の名残を止むれども道脇の茶店いたずらにあれて
鳥毛挟箱
(
とりげはさみばこ
)
の行列見るに
由
(
よし
)
なく
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
われはかく
由
(
よし
)
なき妄想を懷きてしばしあたりを忘れ居たるに、ふと心づきて畫工の方を見やれば、あな
訝
(
いぶ
)
かし、畫工は大息つきて一つところを馳せめぐりたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
あまり
源
(
げん
)
さんと
由
(
よし
)
さんが
落
(
お
)
としてばかりいると、「よし、おれがひとつやって
見
(
み
)
せてやろかい。」といって
出
(
で
)
たくなるのでしたが、それをがまんしていました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
“由”の意味
《名詞》
(よし)(古語・雅語)理由。
(よし)(古語・雅語)手段。
(よし)(古語・雅語・文書語)伝聞した内容。
(出典:Wiktionary)
由
常用漢字
小3
部首:⽥
5画
“由”を含む語句
理由
自由
由緒
由縁
不自由
由来
所由
因由
事由
由々
由井
御不自由
縁由
養由基
由々敷
来由
由旬
由井正雪
何不自由
由謂
...