気持きも)” の例文
旧字:氣持
長吉ちょうきちおもいきってそとてゆきました。けれど、みんなといつものようにいっしょになって、愉快ゆかいあそ気持きもちになれませんでした。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
大人おとな大人おとなしかりとばされるというのは、なさけないことだろうと、人力曳じんりきひきの海蔵かいぞうさんは、利助りすけさんの気持きもちをくんでやりました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
旅人たびびとたちはしずかにせきもどり、二人ふたりむねいっぱいのかなしみにた新しい気持きもちを、何気なくちがったことばで、そっとはなし合ったのです。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
とおどろきましたが、そういわれて、おチエのかおをみると、なるほど、おかあさんのいうことがわかるような気持きもちがしました。
がさめてのちきさきは、のどの中になにかたくしこるような、たまでもくくんでいるような、みょうなお気持きもちでしたが、やがてお身重みおもにおなりになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いろいろ言葉ことばつくしてすすめられたのでありますが、わたくしとしては今更いまさら親元おやもとへもどる気持きもちにはドーあってもなれないのでした。わたくしはきっぱりとことわりました。——
おれァ、一半蔵松葉はんぞうまつばよそおいという花魁おいらんを、小梅こうめりょうまでせたことがあったっけが、入山形いりやまがたに一つぼしの、全盛ぜんせい太夫たゆうせたときだって、こんないい気持きもはしなかったぜ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
私はふと、私のぼんやりしたその空虚くうきよな心のなかから、きふに、かうしてゐてもはじまらない、今日ぢゆうに家をつけなければ、と思ふあわたゞしい気持きもちが、あわのやうにぽつかりと浮き上つて来た。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
かれは、このつめたいかぜが、かえって、かなしい自分じぶんむねにしみるように、いつまでもここにいて、かぜかれていたい気持きもちがしました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
するとジョバンニも、なんだかどこかに、何かわすれたものがあるというような、おかしな気持きもちがしてだまってしまいました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そのころ、中津藩なかつはん空気くうきだい西洋せいようぎらいでしたから、諭吉ゆきち気持きもちなどさっしてくれるものがないのも、むりはありません。
と、海蔵かいぞうさんはだれでも、とっつかまえていいたい気持きもちでした。しかし、そんなことはいわないで、ただにこにこしながら、まちほうさかをのぼってきました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
『これならむすめ婿むことしてはずかしくない……。』両親りょうしんほうでははやくもそれに目星めぼしをつけ、それとなく言葉ことばをかけたりしました。むすめほうでも、まんざらわる気持きももしないのでした。
なんでもわたしがの中をあるいていると、いつのにかあたまの上にくさえて、背中せなかにはゆきもった。どうしたのかとおもって、気持きもちがわるいから、ゆきはらおうとすると、ゆめめた。
夢占 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これをたとき、さすがに、ぼくは、世間せけんには、こんな生活せいかつもあるのかとかんがえられて、なんとなくいたたまらない気持きもちがしました。
緑色の時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「来るよ、きっと。大ていむこぎしのあの草の中から出て来ます。兵隊だってだれだって気持きもちのいい所へは来たいんだ。」
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それが、諭吉ゆきちにはくやしくてくやしくてたまりません。すると、おとうさんが、自分じぶんをおぼうさんにしようとした気持きもちがわかってくるようでした。
にん少女おとめたちはややしばらくみずの中で、のびのびとさも気持きもちよさそうに、おさかなのようにおよかたちをしたり、小鳥ことりのようにかたちをしたりして、余念よねんなくあそたわむれていましたが
白い鳥 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
宝石商ほうせきしょうは、ゆめるような気持きもちがしたのです。そして、そこをとおりかかったひとに、このまちはどうなったのかといってたずねました。
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくしたちでなくたって、折角せっかく川の岸までやって来ながらその気持きもちのいいところに行かない人はありません。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
もううすれかけたあき夕日ゆうひの中に、白いきくはながほのかなかおりをたてていました。くずなんとなくうるんださびしい気持きもちになって、われわすれてうっかりとたましいしたようになっていました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
わたしには、まだそんな気持きもちはありません。」と、まんは、かしらをふりました。それには、はやいからという意味いみばかりではありません。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あれとうもろこしだねえ」とジョバンニにいましたけれども、ジョバンニはどうしても気持きもちがなおりませんでしたから、ただぶっきらぼうに野原を見たまま
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ももさんは、なんだかうれしいような、かなしいような気持きもちがして、ぼんやりとがほこほことたる、ぬのをながめていました。
夕雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくらも何だかどくなような、おかしながらんとした気持きもちになった。そこで、一人ずつ木からはね下りて、河原かわらおよぎついて、魚を手拭てぬぐいにつつんだり、手にもったりして、家に帰った。
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
これなら、どんな神経質しんけいしつ子供こどもかせても、また、気持きもちのつねに滅入めい病人びょうにんいても、さしつかえないということになりました。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
面倒めんどうくさい靴下はポケットへめ、ポケットがふくれて気持きもちがいいぞ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「なにしろたのみとするせがれでしたので、量見りょうけんがせまいようですが、当分とうぶん他人たにんさまのためにどうこうする気持きもちもこりません。」
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
すぐにかわをわたるでもなく、いかにもわらじや脚絆きゃはんきたなくなったのを、そのまま洗うというふうに、もう何べんも行ったり来たりするもんだから、ぼくらはいよいよ、気持きもちがわるくなってきた。
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
この土地とちのものではありませんが、みんなの気持きもちは、よくわかっています。お役人やくにんや、金持かねもちや、学者がくしゃは、自分じぶんらの仲間なかまでない。
托児所のある村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくは、からだが上流かみの方へうごいているような気持きもちになるのがいやなので、水を見ないで、むこうの雲の峰の上を通る黒い鳥を見ていた。ところがそれからよほどたっても、魚は浮いて来なかった。
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
おつのほうでも、こうのほうの時計とけいこわれたといて、いまさら、まちへいってあたらしい時計とけいもとめるという気持きもちがこりませんでした。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくはけれども気持きもちがさっぱりした。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
若者わかものたちは老人ろうじん言葉ことばおもし、またあのふね無理むりいたてたことなどをおもして、さすがにいい気持きもちはしませんでした。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いい気持きもちだ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いつしかこころよ気持きもちになって、はなねむりますと、ふいに、夜中よなかに、ひやりとなにかかんじたので、おどろいてをさましたのであります。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
下界げかいのどんなものでも、太陽たいようのこの機嫌きげんのいいかおたものは、みんな、気持きもちがはればれとしてよろこばないものはなかったのであります。
煙突と柳 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そばでこれをたときは、いかに、おとなしいむすめでも、さすがにそこにいたたまらず、むねかれるような気持きもちがしたのです。
海のまぼろし (新字新仮名) / 小川未明(著)
おじいさんのくバイオリンのは、くようにかなしいおとをたてるかとおもうと、またわらうようにいきいきとした気持きもちにさせるのでした。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのまちしずかな、なんとなく、なつかしいまちでありました。気候きこうもよく、んでいる人々ひとびと気持きもちも平和へいわでいるように見受みうけられました。
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるがた二人ふたりまちはいりました。このまちはいままでたほかのどのまちよりも、なんとなく気持きもちのいいまちでありました。
けしの圃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
賢二けんじくんは、これをつのはなんでもなかったが、ねずみのこの健気けなげ冒険ぼうけんたいして、じゃまをする気持きもちになれませんでした。
ねずみの冒険 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「だが、学問がくもんがなくては、まだほんとうのことは、わからぬのだろうか。」と、かれは、きゅう元気げんきがなくなり、気持きもちがおもくなるのでした。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、かわいそうなものをたな。」と、ただ、気持きもちをくらくして、かわいそうとはおもいながらも、そのまま、おとこはいってしまいました。
犬と古洋傘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くまは、ザブリとおどんでひたりました。ひたったかとおもうと、またおどがりました。ちょっと、その瞬間しゅんかんだけいい気持きもちがしたのでした。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
しょうは、れかかるし、みちとおいのに、ゆきっては、あるけなくなってしまう心配しんぱいから、気持きもちがいらいらしていました。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああおかげで、気持きもちよくねむった。こんどここをとおるときまで無事ぶじでいてくれよ。」と、かれは、まつをなでたのであります。
曠野 (新字新仮名) / 小川未明(著)
真吉しんきちは、これをきくと、安心あんしんして、いままで、りつめた気持きもちがなくなりました。そして、おかあさんの、真心まごころからのおしえが
真吉とお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「とまれ、とまれ、とまれ!」と、汽車きしゃはしってくるのをながめながら、ぜんぜん子供こども気持きもちになって、汽車きしゃかっていったのでした。
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どんなにか手袋てぶくろは、うちかえりたいとおもっているだろう。」とかんがえると、政雄まさおは、どうかしてさがしてきてやりたい気持きもちがしたのであります。
赤い手袋 (新字新仮名) / 小川未明(著)