)” の例文
物騒なの富家大家は、家の内に上り下りを多くしたものであるが、それは勝手知らぬ者の潜入闖入ちんにゅうを不利ならしむる設けであった。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
我若しヴィルジリオとを同じうするをえたらんには、わが流罪るざいとき滿つること一年ひととせおくるゝともいとはざらんに。 一〇〇—一〇二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
いつのからか幽霊藻とか幽霊草とかいういやな名を付けられたのだろうと想像されるが、それについては又こういう伝説がある。
水鬼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この薬師如来は明治のとなってから守田宝丹もりたほうたんが護持していたそうである。また六方印は中井敬所の有に帰していたそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
何よりもまず中世のからを脱ぎ捨てよと教えたあの本居翁あたりが開こうとしたものこそ、まことのちかであると信ずる彼なぞにとっては
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
読み返しくに、はづかしきことのみ多き心の跡なれば、あきらかにやはらぎたるあら御光みひかりもとには、ひときはだしぐるしき心地ぞする。晶子
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
日の若い単純たんじゅんも、複雑な今日も、根本こんぽんの人情に差違はない。唯真故新ただしんゆえにしん、古い芸術も新しい耳によく解せられるのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そもそも五一永治えいぢの昔、をかせるつみもなきに、五二みかどみことかしこみて、三歳の五三体仁としひとゆづりし心、人慾深きといふべからず。
伝へ聞く……文政ぶんせい初年の事である。将軍家の栄耀えよう其極そのきょくに達して、武家のは、まさに一転機をかくせんとした時期だと言ふ。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
親も逝き子も逝きて、新しきにただ一人取り残されて、命長きわれを恨み顔なる年寄の如く見ゆるが、岡の上なるシャロットの女の住居すまいである。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いらざること。このわしこそ、勝頼公かつよりこうのみから当山に寄進きしんされてあるものだ! どうしようとこなたのかってだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
親のに至りて家道かどうにわかおとろえ、婦人は当地の慣習とて、ある紳士の外妾となりしに、その紳士は太く短こう世を渡らんと心掛くる強盗の兇漢きょうかんなりしかば
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
身代較べはいつのでも税務署の役人か、さもなければ馬鹿者かのする事で、賢い人はそんな事には頓着とんぢやくしない。
暫時ざんじ室内しつないはシンとなると、此時このとき何處いづくともれず「きみ」の唱歌せうかしづかなる海濱かいひんかぜにつれてかすかにきこえる。
そんな小な事件が起って、注意を促してすら、そこに、かつうるわしい福田と、寺のはじめられたを、思い出す者もなかった程、それはそれは、微かな遠い昔であった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
ですから後のからもながくおしたい申しあげてそのご一代いちだい聖帝せいてい御代みよとおび申しております。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
さきを過ぎて塩竈の杉の稍が遙かに見えて籬が島が舳にあらはれた時には船体の動搖は止んだ。さうして平らな蒼い水を蹴つて行く汽船の舷に近く白い泡が碎けて消える。
旅の日記 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
A ウン、あれはおれのぢやないけれど、ういふんだ。『きみ社頭しやとうまつくびくくり』さ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
丈夫ますらををしつべしのちひとかたぐがね 〔巻十九・四一六五〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
平家のでも源氏の代でも、同じようにいもを食うては、同じように子を生んでいる。天下の役人は役人がいぬと、天下も亡ぶように思っているが、それは役人のうぬれだけじゃ。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
くらゐ人臣を極め、一門の榮華は何れの國、何れのにもためしなく、齡六十に越え給へば、出離生死しゆつりしやうじ御營おんいとなみ、無上菩提の願ひの外、何御不足なにごふそくのあれば、煩惱劫苦ぼんなうごふくの浮世に非道の權勢を貧り給ふ淺ましさ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
たいらかな水田みずたもことしがよくてふねのほにほがさくかとぞみる
わがいへとほにひとり美しき娘ありしといふ雨夜あまよ夜ざくら
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
一 この如何いかな大工は御しあた、四つかどて宝遊ばし〻
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
みちのくの岩手の孝子ふみに書き歌にもよみてよろづまでに
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
おそるるひまに聞きわきぬ、過去遠々をんをんをここに。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
風雅みやびの絵すがたか、杉の深みの
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
はてなくさかえてくらんみ
横浜市歌 (新字新仮名) / 森林太郎(著)
ジウスのさへあやふきを
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
とゝさま二の御懇意ごこんいとてはづかしき手前てまへ薄茶うすちやぷくまゐらせそめしが中々なか/\物思ものおもひにて帛紗ふくささばきのしづこゝろなくりぬるなりさてもお姿すがたものがたき御氣象ごきしようとやいま若者わかものめづらしとて父樣とゝさまのおあそばすごとわがことならねどおもあかみて其坐そのざにも得堪えたへねどしたはしさのかずまさりぬりながら和女そなたにすらふははじめてはぬこゝろ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一切異議申間敷もおすまじく候と抑えられていたであったから、定基の妻は中々納まっては居なかった、瞋恚しんいむらで焼いたことであったろう。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いざねがはくは汝の誰なりしやを我にしらしめ、また何故にこゝに伏してかく多くのを經たるやを汝の詞にて我にあらはせ。 七九—八一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
漢といえば殆んど二千年の昔である。そんな古い物がいつのに渡って来て、こんなところにどうして埋められていたのか、勿論わからない。
鴛鴦鏡 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
新茶屋に、馬籠の宿の一番西のはずれのところに、その路傍みちばた芭蕉ばしょう句塚くづかの建てられたころは、なんと言っても徳川のはまだ平和であった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「伯父さん将軍家もありがたいかも知れませんが、明治のも結構ですぜ。昔は赤十字なんてものもなかったでしょう」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
芸の威厳は争われず、この捻平を誰とかする、七十八歳のおきな、辺見秀之進。近頃孫にを譲って、雪叟せっそうとて隠居した、小鼓取って、本朝無双の名人である。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「時とはいいながら、信玄公しんげんこうのみまで、てきに一歩も領土りょうどをふませなかったこの甲斐かいの国もほろびたか……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とうには道教が盛であった。それは道士等どうしらが王室の姓であるのを奇貨として、老子を先祖だと言いし、老君に仕うること宗廟そうびょうに仕うるがごとくならしめたためである。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
人のわたくしをもて奪ふともべからぬことわりなるを、たとへ重仁王しげひとぎみ即位みくらゐは民の仰ぎ望む所なりとも、徳をくわほどこし給はで、道ならぬみわざをもてを乱し給ふとき
「たまきはる」はいのちうち等にかかる枕詞であるが諸説があって未詳である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
天皇の高いお徳は、後のからも、いついつまでもながくおほめ申しあげました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
劍舞けんぶするのもある。なか一團いちだん七八にん水兵等すいへいらは、なみ突出つきだされたるいそうへむつましくをなして、はるかに故國こゝくてんのぞみつゝ、ふしおもしろくきみ千代八千代ちよやちよさかえ謳歌おうかしてるのであつた。
梅雨中とは云いながら、此十日余思わしい日の目も見ず、たたみを拭くと新しい雑巾ぞうきんかびで真黒になった。今日はからりと霽れて、よろこばしい日光のになった。待ちかねた様にせみ高音たかねをあげる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
A ウン、あれはうさ。『きみ電車でんしやまる今朝けさはる』さ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
されど立の字の如く書くも古きよりの事なるべし。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
そのかみ、(くに風流男みやびをにかもあらめ。)
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
うつり行く々の勝利。我は既にいくたびか
今の日いやしめるにしのさま。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
跣足はだしで歩いた粗樸なの人が
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いにしへ黄金こがねとそのさち多きさまを詩となせる人々、恐らくはパルナーゾにて夢にこの處を見しならむ 一三九—一四一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)