二度にど)” の例文
氏神うぢがみ祭禮さいれいは、四五月頃しごぐわつごろと、九十月頃くじふぐわつごろと、春秋しゆんじう二度にどづゝあり、小兒こども大喜おほよろこびなり。あきまつりはうにぎはし。祇園囃子ぎをんばやし獅子ししなどづるはみなあきまつりなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三四郎が「具合でもくないのか」と尋ねると、与次郎は鹿しかの様な二度にど程ぱちつかせて、かう答へた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
りしも二度にど三度さんど車夫しやふまたみちくはしからずやあらんいま此職このしよくれざるにやあらんおなみち行返ゆきかへりてかうてもしたらんにつよくいひてもしもせずしめすがまゝみちりぬ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのかはり、一度いちどりたことは、めつたにそれを二度にどするにならなかつたのは、あのなししたたせられたばんのことをよく/\わすれずにたからでありませう。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ながむれば一せき海賊船かいぞくせん轟然ごうぜんたるひゞき諸共もろともに、船底せんてい微塵みぢんくだけ、潮煙てうゑんんで千尋ちひろ波底はていしづつた、つゞいておこ大紛擾だいふんじやう一艘いつそう船尾せんび逆立さかだ船頭せんとうしづんで、惡魔印あくまじるし海賊旗かいぞくきは、二度にど三度さんど
いい機会きかいというものは、二度にどあるものでない。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さして二度にど大望たいもう
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひたさにようなきかど二度にど三度さんど、と心意氣こゝろいきにて、ソツと白壁しろかべ黒塀くろべいについてとほるものを、「あいつ板附いたつきはべん」と洒落しやれあり、ふる洒落しやれなるべし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三日みつかそとないと、町幅まちはゞ何時いつにかひろげられてゐたり、一日いちにち新聞しんぶんまないと、電車でんしや開通かいつうらずにすごしたりするいまに、ねん二度にど東京とうきやうながら
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一日いちにちとこいてふせつてこと一度いちど二度にどでは御座ござりませぬ、わたし泣虫なきむし御座ございますから、その強情がうじやう割合わりあひ腑甲斐ふがひないほど掻卷かいまきえりくひついてきました、唯々たゞ/\口惜くやなみだなので
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
好事魔こうじまおほしとはよくひとところで、わたくしその理屈りくつらぬではないが、人間にんげん一生いつせう此樣こん旅行りよかうは、二度にど三度さんどもあることでない、其上そのうへ大佐たいさ約束やくそく五日目いつかめまでは、三日みつかひまがある、そこで
ところを、君達きみたち、それ春家はるいへ。と、そでこと一尺いつしやくばかり。春家はるいへかほいろくちあゐのやうにつて、一聲ひとこゑあつとさけびもあへず、たんとするほどに二度にどたふれた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
障子しやうじそと野中のなかさん、野中のなかさんとこゑ二度にどほどきこえた。宗助そうすけ半睡はんすゐうちにはいとこたへたつもりであつたが、返事へんじ仕切しきらないさきに、はや知覺ちかくうしなつて、また正體しやうたいなく寐入ねいつてしまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたしもおあとからまゐりまするとてのうちには看護まもりひまをうかゞひていだすこと二度にど三度さんどもあり、井戸ゐどにはふたき、きれものとてははさみ一挺いつちやうにかゝらぬやうとの心配こゝろくばりも、あやふきはやまひのさするわざかも
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
回想くわいさうすればいまから四ねんまへわたくし日出雄少年ひでをせうねんいだいて、弦月丸げんげつまる沈沒ちんぼつともに、海中かいちう飛込とびこんだとき二度にど三度さんど貴女あなたのおをおもうしたが、きこゆるものは、かぜおとと、なみひゞきばかり、イヤ、たゞ一度いちど
ヒイとかすかに、こゑれた、とおもふと、あめがひたりとんで、また二度にどめのこゑきこえた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きみ、いつそ、よし子さんをもらはないか」と云ひながら、三四郎を引つ張つて、池の方へれてつた。あるきながら、あれならい、あれならいと、二度にど程繰り返した。其内そのうち号鐘ベルが鳴つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さききてもるかきかれませねばなににてもよしくるまたのみなされてよとにはか足元あしもとおもげになりぬあの此樣こんくるまにおしなさるとかあの此樣こんくるまにと二度にど三度さんどたかかろ點頭うなづきてことばなしれも雪中せつちゆう隨行ずゐかう難儀なんぎをりとてもとむるまゝに言附いひつくるくだんくるまさりとては不似合ふにあひなりにしき上着うはぎにつゞれのはかまつぎあはしたやうなとこゝろ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……つてゐるのは、あきまたふゆのはじめだが、二度にど三度さんどわたしとほつたかずよりも、さつとむらさめ數多かずおほく、くもひとよりもしげ往來ゆききした。尾花をばななゝめそよぎ、はかさなつてちた。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御米およね二度にどばかういふなぐさかたをした。三度目さんどめには
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なんのつけ、二度にどことではない、とふつ/\つてかへりましけえ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
衝突しかけたこと一度いちど二度にどではない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
……二度にどいたゞく。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)