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三味線
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さみせん
ふりがな文庫
“
三味線
(
さみせん
)” の例文
さうして
座敷
(
ざしき
)
の
隅
(
すみ
)
に
居
(
ゐ
)
た
瞽女
(
ごぜ
)
が
代
(
かは
)
つて
三味線
(
さみせん
)
の
袋
(
ふくろ
)
をすつと
扱
(
こ
)
きおろした
時
(
とき
)
巫女
(
くちよせ
)
は
荷物
(
にもつ
)
の
箱
(
はこ
)
を
脊負
(
しよ
)
つて
自分
(
じぶん
)
の
泊
(
とま
)
つた
宿
(
やど
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
行
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其の晩源次郎がまいり
酒宴
(
さかもり
)
が始まり、お國が長唄の
地
(
じ
)
で
春雨
(
はるさめ
)
かなにか
三味線
(
さみせん
)
を掻きならし、当時の九時過まで興を添えて居りましたが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ククと吹く、カタカタ、ククと吹く、カタカタ、蝶々の羽で
三味線
(
さみせん
)
の胴をうつかと思われつつ、静かに
長
(
た
)
くる春の日や、お蔦の袖に二三寸。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と『疑雨集』中の
律詩
(
りっし
)
なぞを思い出して、
僅
(
わずか
)
に
愁
(
うれい
)
を
遣
(
や
)
る事もあった。かくては手ずから
三味線
(
さみせん
)
とって、
浄瑠璃
(
じょうるり
)
かたる興も起ろうはずはない。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
煙草
(
たばこ
)
の煙のもつれ方や
三味線
(
さみせん
)
の音響学的研究をしたのでは、金を儲ける方とはどうにも関係のつけようがないと思って
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
▼ もっと見る
黒猫はさう言つたかと思ふと、すぐどこへか行つて、長い
外套
(
ぐわいたう
)
と、
長靴
(
ながぐつ
)
と、
三味線
(
さみせん
)
の
竿
(
さを
)
の短かいのとをもつて来ました。
幸坊の猫と鶏
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
三味線
(
さみせん
)
は「
宵
(
よい
)
は待ち」を
弾
(
ひ
)
く時、早く既に自ら調子を合せることが出来、めりやす「黒髪」位に至ると、師匠に連れられて、
所々
(
しょしょ
)
の
大浚
(
おおざらえ
)
に往った。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
三味線
(
さみせん
)
を
彈
(
ひ
)
いてゐた女であらう、
二十歳
(
はたち
)
ぐらゐの首筋に
白粉
(
おしろい
)
の殘つたのが、皿に入れた
鷄肉
(
けいにく
)
や
葱
(
ねぎ
)
や
鋤燒鍋
(
すきやきなべ
)
なぞを、長方形の
脇取盆
(
わきとりぼん
)
に載せて持つて來た。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その灯がさゞめいてるのかと思はれる樣な遠い
三味線
(
さみせん
)
の響きが、二人の胸をそはつかした。みのるは不圖、久し振りな柔らかい着物の裾の重みの事を思つて戀ひしかつた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
何
(
なに
)
ね、いくら
言
(
い
)
つたつて
無益
(
だめ
)
でせうよ、
琴
(
こと
)
とか
三味線
(
さみせん
)
とか
私共
(
わたくしども
)
は
見
(
み
)
た
事
(
こと
)
もない
野蠻的
(
やばんてき
)
な
樂器
(
がくき
)
の
他
(
ほか
)
は
手
(
て
)
にした
事
(
こと
)
も
無
(
な
)
い
日本人
(
につぽんじん
)
などに、
如何
(
どう
)
して
西洋
(
せいやう
)
の
高尚
(
かうしよう
)
な
歌
(
うた
)
が
唱
(
うた
)
はれませう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
町の中ほどには
紅勘
(
べにかん
)
(小間物屋)があってこれも有名でした。紅勘で思い出すが、その頃、
鉦
(
かね
)
と
三味線
(
さみせん
)
で
長唄
(
ながうた
)
を歌って流して歩いた紅勘というものがあって評判でありました。
幕末維新懐古談:12 名高かった店などの印象
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
例
(
れい
)
になき
子細
(
しさい
)
らしきお
客
(
きやく
)
を
呼入
(
よびい
)
れて二
階
(
かい
)
の六
疊
(
ぢよう
)
に
三味線
(
さみせん
)
なしのしめやかなる
物語
(
ものがたり
)
、
年
(
とし
)
を
問
(
と
)
はれて
名
(
な
)
を
問
(
と
)
はれて
其次
(
そのつぎ
)
は
親
(
おや
)
もとの
調
(
しら
)
べ、
士族
(
しぞく
)
かといへば
夫
(
そ
)
れは
言
(
い
)
はれませぬといふ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
すると、余り遠くでない、
去迚
(
さりとて
)
近くでもない何処かで、ポツンポツンと意気な
音
(
ね
)
がする。隣の
家
(
うち
)
で
能
(
よ
)
く琴を
浚
(
さら
)
っているが、
三味線
(
さみせん
)
を
弾
(
ひ
)
いてた事はない。それに隣にしては近過ぎる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
女太夫とか
鳥追
(
とりお
)
ひの
三味線
(
さみせん
)
にめでたき哥をうたひ、娘の
児
(
こ
)
のやり
羽子
(
はご
)
、男の
児
(
こ
)
の
帋鳶
(
いかのぼり
)
、見るもの
聞
(
きく
)
ものめでたきなかに、
初日
(
はつひ
)
影
(
かげ
)
花やかにさし
昇
(
のぼり
)
たる、
実
(
げ
)
に
新玉
(
あらたま
)
の春とこそいふべけれ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
蹴鞠
(
けまり
)
・茶道・あるいは
連歌
(
れんが
)
・
俳諧
(
はいかい
)
・碁・
将棋
(
しょうぎ
)
等の遊び業これあるところ、今にては御旗本に似合わざる
三味線
(
さみせん
)
・
浄瑠璃
(
じょうるり
)
をかたりこうじては川原ものの真似を致す
族
(
やから
)
も間々これある由
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
壁には
三味線
(
さみせん
)
も
三棹
(
みさほ
)
かゝツてゐる、其の下には
桐
(
きり
)
の
本箱
(
ほんばこ
)
も二つと並べてある。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
ですから
物
(
もの
)
を
打
(
う
)
ち
切
(
き
)
るためには
餘
(
あま
)
り
良
(
よ
)
く
切
(
き
)
れるものとは
思
(
おも
)
はれません。また
刃先
(
はさき
)
が
少
(
すこ
)
し
廣
(
ひろ
)
がつて
三味線
(
さみせん
)
の
撥
(
ばち
)
のようになつてゐるのもあり、
刃
(
やいば
)
を
一方
(
いつぽう
)
からつけた
鑿
(
のみ
)
のような
形
(
かたち
)
をしてゐるのもあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
三味線
(
さみせん
)
なんぞがチャント揃ってたのには驚きましたよ。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
三味線
(
さみせん
)
の
絃
(
いと
)
のきれしを
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
する物と見えたり成程
此宿
(
このしゆく
)
は
繁花
(
はんくわ
)
にて家數も多く作りて立派なり晝前なるに料理屋に
三味線
(
さみせん
)
の音ありさだめて木曾の歌の古雅なるならんと立寄れば意氣がりて
爪彈
(
つめびき
)
で春雨いらぬ事ながら何やら憎く思はれぬ道中筋の繁花な所といふと得て生意氣な風が吹て
可厭
(
いや
)
な臭がしたがる者なり賢くも
昨夜
(
ゆふべ
)
の宿を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
この
汐
(
しお
)
に、そこら中の人声を
浚
(
さら
)
えて
退
(
の
)
いて、
果
(
はて
)
は
遥
(
はるか
)
な
戸外
(
おもて
)
二階の
突外
(
とっぱず
)
れの角あたりと覚しかった、
三味線
(
さみせん
)
の
音
(
ね
)
がハタと
留
(
や
)
んだ。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時節がらとて船宿の
桟橋
(
さんばし
)
には屋根船空しく
繋
(
つな
)
がれ芝居茶屋の二階には
三味線
(
さみせん
)
の
音
(
ね
)
も絶えて
彼方
(
かなた
)
なる
御浜御殿
(
おはまごてん
)
の森に群れ騒ぐ
烏
(
からす
)
の声が耳立つばかりである。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
幸坊
(
かうばう
)
は
黒猫
(
くろねこ
)
について、
狐
(
きつね
)
の巣へ行きました。穴の口もとに来ると、黒猫は
三味線
(
さみせん
)
をひいてうたひ出しました。
幸坊の猫と鶏
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
三味線
(
さみせん
)
の
撥
(
ばち
)
が一
度
(
ど
)
絃
(
いと
)
に
觸
(
ふ
)
れるとしんみりとした
座敷
(
ざしき
)
が
急
(
きふ
)
に
勢
(
いきほ
)
ひづいてランプの
光
(
ひかり
)
が
俄
(
にはか
)
に
明
(
あか
)
るいやうに
成
(
な
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
こゝな
宅
(
うち
)
ではハア
堅
(
かと
)
うごぜえやすから、どんな馴染のお客でも泊めましねえから
三味線
(
さみせん
)
や芸はいりやしねえよ、
私
(
わし
)
どもは
堅
(
かて
)
え
家
(
うち
)
でなくっちゃア勤まりましねえ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
隣り座敷では
三味線
(
さみせん
)
の
音
(
ね
)
がいよ/\
劇
(
はげ
)
しくなつて、
濁聲
(
だみごゑ
)
で
唄
(
うた
)
ふ男の聲も聞えた。唄ひ終ると、男も女も
哄
(
どつ
)
と一時に笑ひ
囃
(
はや
)
すのが、何かの
崩
(
くづ
)
れ落ちるやうな勢ひであつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
例になき子細らしきお客を呼入れて二階の六畳に
三味線
(
さみせん
)
なしのしめやかなる物語、年を問はれて名を問はれてその次は親もとの調べ、士族かといへばそれは言はれませぬといふ
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
女太夫とか
鳥追
(
とりお
)
ひの
三味線
(
さみせん
)
にめでたき哥をうたひ、娘の
児
(
こ
)
のやり
羽子
(
はご
)
、男の
児
(
こ
)
の
帋鳶
(
いかのぼり
)
、見るもの
聞
(
きく
)
ものめでたきなかに、
初日
(
はつひ
)
影
(
かげ
)
花やかにさし
昇
(
のぼり
)
たる、
実
(
げ
)
に
新玉
(
あらたま
)
の春とこそいふべけれ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
あとはヴァイオリンや
三味線
(
さみせん
)
の話が出たり、幽霊や海坊主の話になったりした。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
こっちで見るのは好いが、向うから見られるのは
厭
(
いや
)
だと思って、君は部屋に
這入
(
はい
)
った。向側の騒ぎは夜遅くなるまで続いた。君は床に這入って、
三味線
(
さみせん
)
の声をやかましく思いつつ
寐入
(
ねい
)
った。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
私は一度何かで学校が早く終った時、
態々
(
わざわざ
)
廻道
(
まわりみち
)
をして其前を通って見た事がある。
三味線
(
さみせん
)
のお師匠さんと違って、琴のお師匠さんの
家
(
うち
)
は格子戸作りでも、
履脱
(
くつぬぎ
)
に石もあって、何処か上品だ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
見ろ! 野郎は、
素袷
(
すあわせ
)
のすッとこ
被
(
かぶり
)
よ。
婦
(
おんな
)
は編笠を着て
三味線
(
さみせん
)
を持った、その
門附
(
かどつけ
)
の絵のある処が、お前たちの相性だ。はじめから承知だろう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかしわたしは
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に置き捨てた
三味線
(
さみせん
)
のふと心付けば不思議にもその皮の裂けずにいたのを見ると共に、わが
病躯
(
びょうく
)
もその時はまた
幸
(
さいわい
)
例の腹痛を催さぬ
嬉
(
うれ
)
しさ。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
当家には
三味線
(
さみせん
)
がないから持参で夫婦揃って来て、客の
待遇
(
あしらい
)
を頼むと云うから、友之助は余儀なく女房自慢でお村を立派に着飾らせ、自分も共々行ってお客の待遇を為し
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小店
(
こみせ
)
の
座敷
(
ざしき
)
には
瞽女
(
ごぜ
)
の
大
(
おほ
)
きな
荷物
(
にもつ
)
と
袋
(
ふくろ
)
へ
入
(
い
)
れた
三味線
(
さみせん
)
とが
置
(
お
)
いてあつて
淋
(
さび
)
しく
見
(
み
)
えて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
やんや/\と
喜
(
よろこ
)
ばれる
中
(
なか
)
から、
我戀
(
わがこひ
)
は
細谷川
(
ほそだにがは
)
の
丸木橋
(
まるきばし
)
わたるにや
怕
(
こわ
)
し
渡
(
わた
)
らねばと
謳
(
うた
)
ひかけしが、
何
(
なに
)
をか
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
したやうにあゝ
私
(
わたし
)
は
一寸
(
ちよツと
)
無禮
(
しつれい
)
をします、
御免
(
ごめん
)
なさいよとて
三味線
(
さみせん
)
を
置
(
お
)
いて
立
(
た
)
つに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
小池が其の障子を開けて入ると、お光も默つて
後
(
あと
)
から入つた。割合ひに廣い土間には、駒下駄が二三足
揃
(
そろ
)
へてあつて、
煑物
(
にもの
)
の
臭
(
にほ
)
ひがプンと鼻を
衝
(
つ
)
いた。奧の方からは
三味線
(
さみせん
)
の
音
(
ね
)
が響いて來た。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
廊下へ出て耳を澄して見たが、
三味線
(
さみせん
)
は聞えても、
矢張
(
やっぱり
)
歌が能く聞えない。が、
愈
(
いよいよ
)
例のに違いないから、私は意を決して
裏梯子
(
うらばしご
)
を降りて、大廻りをして、
窃
(
こっ
)
そり台所近くへ来て見ると、
誰
(
たれ
)
も居ない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一言簡潔にして更に妙で、座客ぐうの音も出ず
愕然
(
がくぜん
)
としてこれを見れば、
蓋
(
けだ
)
し
三味線
(
さみせん
)
が、割前の一座を笑ったのである。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
竜子は十七になった今日でも母の乳を飲んでいた
頃
(
ころ
)
と同じように土蔵につづいた八畳の
間
(
ま
)
に母と
寝起
(
ねおき
)
を共にしている。
琴
(
こと
)
三味線
(
さみせん
)
も
生花
(
いけばな
)
茶の湯の
稽古
(
けいこ
)
も長年母と一緒である。
寐顔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
友之助の留守には芸者や
幇間
(
たいこもち
)
が遊びに来るのをよいことゝし、酒を飲んで
三味線
(
さみせん
)
などを弾いて遊んでいると云うことだが、それは
廃
(
よ
)
せよ、
商人
(
あきんど
)
の女房になって
其様
(
そん
)
なことをしては宜しくない
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
やんややんやと喜ばれる中から、我恋は
細谷川
(
ほそだにがは
)
の丸木橋わたるにや
怕
(
こわ
)
し渡らねばと
謳
(
うた
)
ひかけしが、何をか思ひ出したやうにああ私は
一寸
(
ちよツと
)
無礼
(
しつれい
)
をします、御免なさいよとて
三味線
(
さみせん
)
を置いて立つに
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
三味線
(
さみせん
)
弾きて折々わが
門
(
かど
)
に
来
(
きた
)
るもの、溝川に
鰌
(
どじょう
)
を捕うるもの、
附木
(
つけぎ
)
、草履など
鬻
(
ひさ
)
ぎに来るものだちは、皆この児どもが母なり、父なり、祖母などなり。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
又は女どもと
打
(
うち
)
つどいて
三味線
(
さみせん
)
引きならいたる夜々のたのしみも、亦おのずから思返されて、かえらぬわかき日のなつかしさに堪えもやらねば、今はさすがに棄てがたき心地せらるるものを
択
(
えら
)
みて
自選 荷風百句
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
己が詰らねえ馬子唄アやったり
麦搗唄
(
むぎつきうた
)
は
斯
(
こ
)
う云うもんだって唄って相手をすると、面白がって、それえ己がに教えてくれろなどと云ってなア、妙に
馬士唄
(
まごうた
)
を覚えるだ、
三味線
(
さみせん
)
弾いて踊りを踊るなア
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三味線
(
さみせん
)
弾
(
ひ
)
きて
折々
(
おりおり
)
わが
門
(
かど
)
に
来
(
きた
)
るもの、
溝川
(
みぞかわ
)
に
鰌
(
どじよう
)
を捕ふるもの、
附木
(
つけぎ
)
、
草履
(
ぞうり
)
など
鬻
(
ひさ
)
ぎに来るものだちは、皆この
児
(
こ
)
どもが母なり、父なり、祖母などなり。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
や、
老人
(
としより
)
の早打肩。危いと思った時、幕あきの鳴ものが、チャンと入って、
下座
(
げざ
)
の
三味線
(
さみせん
)
が、ト手首を口へ取って、
湿
(
しめり
)
をくれたのが、ちらりと見える。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの、
前刻
(
さっき
)
も申しましたように、不器用も通越した、調子はずれ、その上覚えが悪うござんして、長唄の宵や待ちの
三味線
(
さみせん
)
のテンもツンも分りません。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
惡
(
わる
)
いことは
申
(
まを
)
さぬ。これに
御同感
(
ごどうかん
)
の
方々
(
かた/″\
)
は、
三味線
(
さみせん
)
でお
聞
(
き
)
きになるより、
字
(
じ
)
でお
讀
(
よ
)
みになる
方
(
はう
)
が
無事
(
ぶじ
)
である。——
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼方
(
あなた
)
は黒塀がひしひしと、
遥
(
はるか
)
に一
並
(
ならび
)
、一ツ折れてまた一並、三階の部屋々々、棟の数は多いけれど、まだいずくにも灯が入らず、
森
(
しん
)
として
三味線
(
さみせん
)
の
音
(
ね
)
もしない。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“三味線”の解説
三味線(しゃみせん)は、日本の有棹弦楽器。もっぱらいて演奏される撥弦楽器である。四角状の扁平な木製の胴の両面に猫や犬の革を張り、胴を貫通して伸びる棹に張られた弦を、通常、イチョウの葉の形をしたで弾き演奏する。
(出典:Wikipedia)
三
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
味
常用漢字
小3
部首:⼝
8画
線
常用漢字
小2
部首:⽷
15画
“三味線”で始まる語句
三味線堀
三味線弾
三味線草
三味線箱
三味線包
三味線屋
三味線引
三味線彈
三味線棹
三味線糸