細長ほそなが)” の例文
神楽坂かぐらざかへかゝると、ひつそりとしたみちが左右の二階家にかいやはさまれて、細長ほそながまへふさいでゐた。中途迄のぼつてたら、それが急に鳴りした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はなれさうではなれないつばめむれは、細長ほそながかたちになつたり、まるかたちになつたりして、むらそらたかいところをそろつてつてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そのうちに、黄色きいろの、ちいさなはなきました。そのはなのしぼんだあとには、あおあおい、細長ほそなががなったのであります。
遠くで鳴る雷 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはたちまち器械の中で、きれいな黄色の穀粒こくりゅうと白い細長ほそながしんとにわかれて、器械の両側りょうがわちて来るのでした。
耕耘部の時計 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
おとうさんはやっとすわって、おちゃを一ぱいのむひまもないうちに、つつみの中から細長ほそながはこして、にこにこしながら
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
工場こうじょうの東にあたる、じつにすばらしい場所ばしょに、エンチェーピング市があります、細長ほそながいヴェッテルンの東がわと西がわには、高くてけわしい砂丘さきゅうがあります。
磨製石斧 磨製石斧とは細長ほそながくして其端そのはしを付けたる石器の稱へなり。大小不定だいせうふていなれど長さ五六寸ばかりをつねとす。刄は殆と悉皆一端のみにりと云つて可なり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
聞くに従て一寸々々ちょいちょいう云うように(この時先生細長ほそながくして古々ふるぶるしき一小冊子を示す)記しておい
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
わかりやすくへば、地球上ちきゆうじよう部分ぶぶん部分ぶぶんが、赤道せきどう沿うておびのように細長ほそながくわかれてをり、そのひとつ/\に、それ/″\ちがつた植物しよくぶつがそだつてゐることをいふのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
爾時そのとき何事なにごとともれずほのかにあかりがさし、いけへだてた、堤防どてうへの、まつまつとのあひだに、すつとつたのが婦人をんなかたち、トおもふと細長ほそながし、此方こなたきしだるげに指招さしまねく。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
束帶のいかめしい殿上人てんじやうびと、五つぎぬのなまめかしい青女房、珠數をかけた念佛僧、高足駄を穿いた侍學生、細長ほそながを着たわらはみてぐらをかざした陰陽師おんみやうじ——一々數へ立てゝ居りましたら
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
軌道レール直角ちよくかく細長ほそなが茅葺くさぶき農家のうかが一けんあるうらやまはたけつゞいてるらしい。いへまへ廣庭ひろにはむぎなどをところだらう、廣庭ひろにはきあたりに物置ものおきらしい屋根やねひく茅屋くさやがある。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それからまた石斧せきふうちに、みがいてつくらずして、たゞいしちわつてつくつたごくあら粗末そまつをのがあります。それには細長ほそなが短册型たんざくがたのものもありますが、ときには分銅型ふんどうがたのものもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
あれは密柑みかんだ。梅「あの色はなんふんです。近「黄色きいろいてえのだ。梅「へえゝ……密柑みかんにはちがつたのがりますなア、かう細長ほそながいやうな。近「フヽヽあれは乾柿ころがきだ。梅「乾柿ころがき、へえゝあれは。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ふたゝあいちやんは細長ほそなが大廣間おほびろまなかの、あのちひさな硝子ガラス洋卓テーブル眞近まぢかました。『まア、今度こんどうまくやらう』と獨語ひとりごとひながら、そのちひさな黄金こがねかぎつて、花園はなぞのつうずるひらきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
梯子はしごやう細長ほそながわくかみつたり、ペンキぬりの一枚板まいいた模樣畫もやうぐわやう色彩しきさいほどこしたりしてある。宗助そうすけはそれを一々いち/\んだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「おや、へんなものがあるよ」カムパネルラが、不思議ふしぎそうに立ちどまって、いわから黒い細長ほそながいさきのとがったくるみののようなものをひろいました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
御承知ごしようちのように日本につぽんは、きた北緯五十度三十分ほくいごじゆうどさんじつぷん千島ちしまてから、みなみ二十二度にじゆうにど臺灣たいわんにわたる細長ほそなが島國しまぐにで、地理上ちりじよう臺灣たいわん南部なんぶ𤍠帶ねつたいに、本州ほんしゆう北海道ほつかいどう温帶おんたいに、千島ちしま
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
このチョウの場合ばあいも、やっぱりおんなじで、バルト海にねころんでいるうちに、そのまま、細長ほそながい岩になってしまったと、わしは思うんだ。おまえさんは、そうは思わんかね?
徳蔵とくぞうさんは、細長ほそながかおをしていましたが、その兵士へいしは、角張かくばったかおつきをしていました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
障子しやうじかして、たゝみおよ半疊はんでふばかりの細長ほそなが七輪しちりんに、いつつづゝした眞白まつしろ串團子くしだんごを、大福帳だいふくちやう權化ごんげした算盤そろばんごとくずらりとならべて、眞赤まつかを、四角しかく團扇うちはで、ばた/\ばた
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
束帯のいかめしい殿上人てんじやうびと、五つぎぬのなまめかしい青女房、珠数をかけた念仏僧、高足駄を穿いた侍学生さむらひがくしやう細長ほそながを着たわらはみてぐらをかざした陰陽師おんみやうじ——一々数へ立てゝ居りましたら
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
宗助そうすけしもんで、この記念きねんおほ横手よこてときかれ細長ほそなが路次ろじ一點いつてんちた。さうしてかれかよはないさむさのなかにはたとまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それはたしかになにか黒いつるつるした細長ほそながいもので、あの見えない天の川の水の上にび出してちょっとゆみのようなかたちにすすんで、また水の中にかくれたようでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
淺葱あさぎくらい、クツシヨンもまた細長ほそながい。しつ悠々いう/\とすいてた。が、なんとなく落着おちつかない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかおな針葉樹しんようじゆなかにもまつとひのきの大變たいへんちがつてゐますし、濶葉樹かつようじゆなかにもあをぎりのようなひろおほきい、もみぢののように掌状しようじようかれた、やなぎのように細長ほそなががあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
宗助そうすけはそれを洋服やうふく内懷うちぶところんで汽車きしやつた。約束やくそく興津おきつたときかれ一人ひとりでプラツトフオームへりて、細長ほそなが一筋町ひとすぢまち清見寺せいけんじはうあるいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それが五、六人ただ半日の仕事しごとなのだ。塩水選をする間は父はそこらの冬の間のごみをあつめていた。もみができると父は細長ほそながくきれいにわらを通してんだたわらにつめて中へつめた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
糸崎行いとざきゆき列車れつしやは、不思議ふしぎいとのやうに細長ほそながい。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
細長ほそなが南北みなみきたに延びたゆかうへは、画家らしく、取り乱れてゐる。先づ一部分には絨氈じうたんが敷いてある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)