よつ)” の例文
聲止みしづまれるとき我見しによつの大いなる魂ありて我等のかたに來れり、その姿には悲しみもまた喜びもみえざりき 八二—八四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
まだまつたてないけむり便宜よすがに、あからめもしないでぢつときをんな二人ふたりそろつて、みはつて、よつツのをぱつちりとまたゝきした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
去年こぞの夏凡兆が宅にふしたるに、二畳の蚊屋に四国の人ふしたり。おもふことよつにして夢も又四くさと書捨たる事どもなど云出いいいだして笑ひぬ」
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
下女げぢよちやはこぶためにふすまけると、ふすまかげからおほきなよつほどすで宗助そうすけのぞいてゐた。火鉢ひばちつてると、其後そのあとからまたちがつたかほえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは金太で、柱と柱の組み合った下でよついになってい、水をよけるため横に捻った顔の半分が水につかっていた。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
目から火でもだしたような声で、勢いよくよつンばいにつんのめった。あとからきた才蔵も、あやうくその上へ折りかさなるところをみとどまって
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男はシャツのわきの裂けたるも知らで胴衣ちよつきばかりになれるあり、羽織を脱ぎて帯の解けたる尻を突出すもあり、十の指をばよつまで紙にてひたるもあり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
馬はぱくつとそれをみ、大きな息を一つして、ぺたんとよつつ脚を折り、今度はごうごういびきをかいて、首を落してねむつてしまふ。ソン将軍はまごついた。
北守将軍と三人兄弟の医者 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
海岸かいがんから三四丁はなれたやまふもとたつ此小學校このせうがくかうところけつして立派りつぱなものではありません。ことぼくはひつたころ粗末そまつ平屋ひらやで、教室けうしつかずよついつゝしかかつたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ポンと寅を川ん中へほうり込んだ時にゃア、おらあフーッてって這ッちまった、あのなげ永代橋えいてえよつべえに這って向うまで渡って、箱崎のてつ爺さんの屋台店やてえみせへ飛び込んで
それをわけると、一、『𤍠帶林ねつたいりん』二、「暖帶林だんたいりん」三、『温帶林おんたいりん』四、『寒帶林かんたいりん』のよつつになります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
與吉よきちよつつにつた。惡戯いたづらつててそれだけおつぎのはぶかれた。それでも與吉よきち衣物きものはおつぎのには始末しまつ出來できないので、近所きんじよ女房にようばうたのんではどうにかしてもらつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その死に絶えたような静寂の中で、黒い怪物は、屋根の上を、よつん這いになって、ソロソロとひさしの端の方へ乗り出して来る。不気味な無声映画でも見ているような感じであった。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
朝鮮ちようせんきたほうは、いまから千九百年せんくひやくねんほどまへ滿洲まんしゆうほうからかけて、かん武帝ぶていといふつよ天子てんしめててそこを占領せんりようし、樂浪郡らくろうぐんなどゝいふ支那しなぐんよつつもまうけたところであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
唯乳母が居て、地獄、極楽、つるぎの山、三途さんずの川、さい河原かわらや地蔵様の話を始終聞かしてくれた。よつ五歳いつつの彼は身にしみて其話を聞いた。而して子供心にやるせない悲哀かなしみを感じた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
さて、その長屋門をはひると、だだぴろい中庭の右側に、長屋のやうに見える六畳ぐらゐの部屋がよつつほど並んでゐて、その外側に、四つの部屋に共通する、長い広い縁側がついてゐた。
よついに這っているのであった。膝頭に草鞋わらじしばりつけてあった。両手に草履ぞうりが繋り付けてあった。膝と手とで歩いていた。彼はヒョイと顔を上げた。その顔を火の光がカッと射た。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
よついになった子供も、突発した非常の空気を感じて泣くことも出来なかった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
そうでございまいます。よつ入り青梅おうめの片袖で、潮水にぬれては居りますが、色合いも縞柄も確かに相違ございません。おかみさんもそれに相違ないと申しまして、品川の人には相当の礼を
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
切迫つまつた俺の感覚がよつん匍ひになつて剃刀を拾ひかける、ハツと霊魂たましひが後から呼び返すと意久地もなくパタリと身体が平べつたくなる、苦しい涙がポトリポトリと額を抑えた手の甲に零れる……
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
俗務をおッつくねて、課長の顔色をけて、しいて笑ッたり諛言ゆげんを呈したり、よつばいに這廻わッたり、乞食こつじきにも劣る真似をしてようやくの事で三十五円の慈恵金じえきんに有附いた……それが何処どこが栄誉になる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「さあ、よつんばいになるんだ。」とガヴローシュは言った。
お村はよついになって飛出しました。
曙覧の歌、よつになる女の子を失いて
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
重げに見ゆるよつはね
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
よつかぜうたへり
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
よつつある
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)
すると三尺ばかり前にいる初さんが急によついになった。おや、すべって転んだ。と思って、うしろから突っ掛かりそうなところを、ぐっと足を踏ん張った。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
謂いつつともしをふっと消す、後は真暗まっくら、美人はつまを引合せて身を擦抜けんとすきうかがい、三吉は捕えんと大手を広げておよび腰、老婆は抜かしてよつばい、いずれもだんまり
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わが目の前にはよつ燈火ともしび燃えゐたり、しかして第一に來れるものいよ/\あざやかになり 一〇—一二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そのひとふるあな調しらべることに興味きようみをもち、ある七八歳しちはつさいをんなれてこの洞穴ほらあななかへはひつたのです。あなぐちは、いまよりせまくやう/\よつひになつてなかにはひつてくと、をんな
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
よつそ。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
むくむくと持上って、𤏋ぱっと消えて、下の根太板ねだいたが、凸凹でこぼこになったと思うと、きゃッという声がして、がらがらごう、ぐわッと、早や、耳がつぶれて、よついの例の一件。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
聖なるよつの星の光その顏を飾れるため、我彼をみしに日輪前にあるごとくなりき 三七—三九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
さくらる時分には、夕暮ゆふぐれかぜかれて、よつつのはし此方こちらからむかふわたり、むかふから又此方こちらわたり返して、長いどてふ様にあるいた。が其さくらはとくにちつて仕舞つて、いまは緑蔭の時節になつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
みつよつつのがつけてあるのが普通ふつうです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
よつツのはしやはらかにむすんだなかから、大輪おほりん杜若かきつばたはなのぞくも風情ふぜいで、緋牡丹ひぼたんも、白百合しらゆりも、きつるいろきそうてうつる。……盛花もりばなかごらしい。いづれ病院びやうゐん見舞みまひしなであらう。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これだけを心遣こゝろやりに、女房にようばうは、小兒こどもたちに、まだばん御飯ごはんにもしなかつたので、さかあがるやうにして、いそいで行願寺内ぎやうぐわんじないかへると、路地口ろぢぐちに、よつつになるをんなと、いつつのをとこ
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)