トップ
>
下
>
さが
ふりがな文庫
“
下
(
さが
)” の例文
私より女だけに、
家
(
うち
)
の暮し向きを、こまごまと気にしている姉は、自分から母に相談して学校を
下
(
さが
)
って、
煙草
(
たばこ
)
専売局の女工になった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
丸多の
暖簾
(
のれん
)
は丸の中に多の字を出してあるんですが、これには丸多の店のしるしが無く、家の
定紋
(
じょうもん
)
の
下
(
さが
)
り藤が小さく染め出してある。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
で、またとぼとぼと杖に
縋
(
すが
)
って、向う
下
(
さが
)
りに、この姿が、階子段に隠れましたを、
熟
(
じっ
)
と
視
(
み
)
ると、老人思わず知らず、べたりと坐った。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
本堂は
傍
(
そば
)
に五重の塔を控えて、普通ありふれた仏閣よりも
寂
(
さび
)
があった。
廂
(
ひさし
)
の
最中
(
まんなか
)
から
下
(
さが
)
っている白い
紐
(
ひも
)
などはいかにも閑静に見えた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小指は
家中
(
うちぢゆう
)
の
祕藏兒
(
ひざうつこ
)
、泣蟲の小僧だが、始終母親の腰巾著になつて引摺られてゐるから、まるで
啖人鬼女
(
ひとくひをんな
)
の口にぶら
下
(
さが
)
る
稚兒
(
ちご
)
のやうだ。
五本の指
(旧字旧仮名)
/
ルイ・ベルトラン
(著)
▼ もっと見る
駒平の足場は次第に下へと
下
(
さが
)
り、もはや手は上までは屆かなかつた。そこでかねての用意の畚を滑車の仕掛で引き上げることになつた。
生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
他の一隊は、今や帝都の上に
垂
(
た
)
れ
下
(
さが
)
ろうとする毒瓦斯の
煙幕
(
えんまく
)
よりは、更に風上に、
薄紅
(
うすあか
)
い
虹
(
にじ
)
のような瓦斯を
物凄
(
ものすご
)
くまきちらして行った。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
月の暈は、土地では「月の
上
(
あが
)
りに日の
下
(
さが
)
り」と言って、これが降る前兆とされるが、——今夜は「月の下り」だから降らぬ、とYが言う。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
(文華殿の瀑布図ではない。
陳宝琛
(
ちんはうしん
)
氏蔵の瀑布図である)が、
気稟
(
きひん
)
の然らしむる所か頭の
下
(
さが
)
つた事を云へば、雲林の松に及ぶものはない。
支那の画
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おふさの沈んだ
頸足
(
えりあし
)
に髮の
解
(
ほつ
)
れの
下
(
さが
)
つてゐるのをかこつけに、ものゝたしなみのない、自墮落な女だと言つて八釜しく叱りつけたりした。
金魚
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
地震直後
(
ぢしんちよくご
)
から
大正
(
たいしやう
)
十三四
年
(
ねん
)
頃
(
ごろ
)
までの
樣
(
やう
)
に十
弗
(
ドル
)
以上
(
いじやう
)
も
下
(
さが
)
つたこともあるけれども、
平均
(
へいきん
)
して
先
(
ま
)
づ四
分
(
ぶ
)
乃至
(
ないし
)
六
分
(
ぶ
)
下
(
さが
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
状況
(
じやうきやう
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
毎年の元旦に玄関で
平突張
(
へいつくば
)
らせられた
忌々
(
いまいま
)
しさの
腹慰
(
はらい
)
せが
漸
(
やっ
)
とこさと出来て、
溜飲
(
りゅういん
)
が
下
(
さが
)
ったようなイイ気持がしたと
嬉
(
うれ
)
しがった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
權藏
(
ごんざう
)
は
其居間
(
そのゐま
)
の
床
(
とこ
)
に
大島老先生
(
おほしまらうせんせい
)
の
肖像
(
せうざう
)
をかゝげ、
其横
(
そのよこ
)
に
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
圖
(
づ
)
が
下
(
さが
)
つて
居
(
ゐ
)
ます。これは
伸一先生
(
しんいちせんせい
)
に
求
(
もと
)
めて
畫
(
か
)
いて
貰
(
もら
)
つたのださうです。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
尤
(
もつと
)
も
道路
(
どうろ
)
或
(
あるひ
)
は
堤防
(
ていぼう
)
が
搖
(
ゆ
)
り
下
(
さが
)
りに
因
(
よ
)
つて
地割
(
ぢわ
)
れを
起
(
おこ
)
すこともあるが、それは
單
(
たん
)
に
開
(
ひら
)
いたまゝであつて、
開閉
(
かいへい
)
を
繰返
(
くりかへ
)
すものではない。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
力草
(
ちからぐさ
)
漸々
(
やう/\
)
と山へ
這上
(
はひあが
)
りて見ば此は
何
(
いか
)
に山上は
大雪
(
おほゆき
)
にて一面の
銀世界
(
ぎんせかい
)
なり
方角
(
はうがく
)
はます/\見分がたく
衣類
(
いるゐ
)
には
氷柱
(
つらゝ
)
下
(
さが
)
り
汐
(
しほ
)
に
濡
(
ぬれ
)
し上を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
五百の本丸を
下
(
さが
)
ったのは
何時
(
いつ
)
だかわからぬが、十五歳の時にはもう
藤堂家
(
とうどうけ
)
に奉公していた。五百が十五歳になったのは、天保元年である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お客の帰った跡の取片付けを下役に申付けまして、自分は御前を
下
(
さが
)
り、小梅のお屋敷を出ますと、
浅草寺
(
あさくさ
)
の
亥刻
(
よつ
)
の鐘が聞えます。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
惜しい夜も
更
(
ふ
)
けた。手を
浄
(
きよ
)
めに出て見ると、樺の
焚火
(
たきび
)
は
燃
(
も
)
え
下
(
さが
)
って、ほの白い
煙
(
けむり
)
を
颺
(
あ
)
げ、真黒な
立木
(
たちき
)
の上には霜夜の星
爛々
(
らんらん
)
と光って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
この南嶺から東に
降
(
くだ
)
れば、
穴太村
(
あなふとむら
)
白鳥坂に出るし、西に
降
(
くだ
)
ればまっすぐに修学院白河村——あの
雲母坂
(
きららざか
)
や
下
(
さが
)
り
松
(
まつ
)
の辻につながる。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四条通りを西へ幾筋目かの辻を
上
(
あが
)
つてとか
下
(
さが
)
つてとかと、道はくはしく教へられたが、もとより充分呑込めもせず、見当もつかぬ位だつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
御寝間係はその
埃
(
ごみ
)
を見ると、顔を真赤にしてそのまゝ御前を
下
(
さが
)
つて行つたが、一時間程経つと国王附の御寝間係を連れてまたはいつて来た。
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
だがそれは、大裾野を忘れているからだ。裾野は富士の物だ、富士のものを富士に返して、東海の浜にまで引き
下
(
さが
)
り、さて仰いで見たまえ。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
楢
(
なら
)
の枯枝にからみつく青々とした夕顔の
蔓
(
つる
)
の下には、二尺ばかりもあろうかと思われるのがいくつか
生
(
な
)
り
下
(
さが
)
って、白い花も咲き残っている。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
仲冬のすゑ此人
居間
(
ゐま
)
の二階にて
書案
(
つくゑ
)
によりて物を
書
(
かき
)
てをられしが、
窓
(
まど
)
の
庇
(
ひさし
)
に
下
(
さが
)
りたる
垂氷
(
つらゝ
)
の五六尺なるが
明
(
あか
)
りに
障
(
さは
)
りて
机
(
つくゑ
)
のほとり
暗
(
くら
)
きゆゑ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「これはあり合せ、そなたの年頃に似合うか似合わぬか、それは知らぬ、
下
(
さが
)
り
藤
(
ふじ
)
になっているはずだが、それでも
差料
(
さしりょう
)
にさわりはあるまい」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「は、は、は、は、人間も
下
(
さが
)
ると怖いものだのう——同業切っての凄腕と言われた長崎屋、あの血迷い方は何としたものじゃ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「そないにやにこい普請やない。裏の
地形
(
ぢぎやう
)
が
下
(
さが
)
つて、柱が開きよつた。……直ツきに元の通り出ける。何んでもない/\。」
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
併
(
しか
)
し着実な
其道
(
そのみち
)
の人の批判では
仮
(
たと
)
ひ一円に
下
(
さが
)
つても会社経営では四五割、個人経営では六七割の利益は確かだと云つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
たとえば「たけに草」などもその一つで、一本の茎から幾つも
下
(
さが
)
っている形を、鈴のようだと思ってそう名づけたのである。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
もとより往来
繁
(
しげ
)
き
表通
(
おもてどおり
)
の事わけても雨もよひの折からとて唯両三日中には鑑札が
下
(
さが
)
りませうからとのみ
如何
(
いか
)
なる
訳合
(
わけあい
)
にや
一向
(
いっこう
)
合点
(
がてん
)
が行き申さず。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
全体は痩せて居て、縞目も判らぬ
素綿入
(
すわたいれ
)
を着た肩は長い襟筋から両方に分れてだらりと
下
(
さが
)
つた見すぼらしいものである。
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
仕立やの隣りには
此辺
(
このほとり
)
にて余り見ぬほど立派な西洋小間物を商ふ家があり
升
(
まし
)
たが、例のシヤツ、
靴足袋
(
くつたび
)
、
襟捲
(
えりまき
)
などが華やかにブラ
下
(
さが
)
つて居る
中
(
うち
)
に
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
なさらないから、いろんなものに引っかけて破れるんです。いずれお
下
(
さが
)
りはわたしのところへ来るんだから、できるだけ傷ものにしまいと思ってね
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
二年三年と学級が上るにつれて、席次が
下
(
さが
)
るばかりだった。三年から四年へ上る時はビリから勘定する方が早くなった。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そしてもう何カ月とかの間我慢していると、補助金が
下
(
さが
)
るという話で、皆がそれを待っていた。結局ここも一家族残して全部が引き揚げてしまった。
琵琶湖の水
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
姉は
梁
(
はり
)
の端に
吊
(
つ
)
り
下
(
さが
)
っている梯子を昇りかけた。すると吉は
跣足
(
はだし
)
のまま庭へ飛び降りて梯子を下から
揺
(
ゆ
)
すぶり出した。
笑われた子
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
今わたくしの作る火は大空高くカムムスビの命の富み榮える新しい宮居の
煤
(
すす
)
の長く
垂
(
た
)
れ
下
(
さが
)
るように
燒
(
た
)
き
上
(
あ
)
げ、地の下は底の巖に堅く燒き固まらして
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
垣根
(
かきね
)
の
胡瓜
(
きうり
)
は
季節
(
きせつ
)
の
南
(
みなみ
)
が
吹
(
ふ
)
いて、
朝
(
あさ
)
の
靄
(
もや
)
がしつとりと
乾
(
かわ
)
いた
庭
(
には
)
の
土
(
つち
)
を
濕
(
しめ
)
しておりると
何
(
なに
)
を
僻
(
ひが
)
んでか
葉
(
は
)
の
陰
(
かげ
)
に
下
(
さが
)
る
瓜
(
うり
)
が
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
いにしえこれらの賤職者を総称して
下
(
さが
)
り者ともいったのは、けだし成り下り者の義で、普通民の落伍者となって、成り下った者だとのことであります。
融和問題に関する歴史的考察
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
一
時
(
じ
)
は
天井
(
てんぜう
)
から
骨
(
ほね
)
がぶら
下
(
さが
)
つて
居
(
ゐ
)
るの、セメントで
内部
(
ないぶ
)
が
塗
(
ぬ
)
つて
有
(
あ
)
るのと、
高等野次馬
(
かうとうやじうま
)
の
騷
(
さは
)
ぎと
云
(
い
)
つたら
無
(
な
)
かつた。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
その前にかけ寄ってあわただしくベルを押していると、一方のエレベーターがスーッと
下
(
さが
)
って来て、鉄の
扉
(
ドア
)
がガラガラと
開
(
あ
)
き、中から一人の男が出た。
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いったん控え室へ
下
(
さが
)
って稽古の終るのを待ち再び迎えに行くのであるが待っている間ももう済む頃かと油断なく耳を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
宗右衛門町から通って来る娘で、紺地に白ぬきの
上
(
あが
)
リ
藤
(
ふじ
)
下
(
さが
)
リ
藤
(
ふじ
)
の大がらの
浴衣
(
ゆかた
)
を着たのが私を
恍惚
(
こうこつ
)
とさせたものだ。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
川を
渡
(
わた
)
って
東岸
(
ひがしぎし
)
に出たところが、やはり川下へ
下
(
さが
)
るか、
川浦
(
かわうら
)
という村から無理に東の方へ一ト山越して甲州
裏街道
(
うらかいどう
)
へと出るかの外には
路
(
みち
)
も無いのだから
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
搗
(
か
)
てて加えて、朝の薄曇りが昼少し
下
(
さが
)
る頃より雨となッて、びしょびしょと降り出したので、気も消えるばかり。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「人間一人救ふた心持は何ともいはれまへんな。これも天子樣の
赤子
(
せきし
)
の一人やさかい、おかみから御ほうびが
下
(
さが
)
つてもよからうと思ふけれど、まだ下らん。」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
女房のお徳は良い女だが、こいつはもと藤屋の奉公人だつたさうで、いづれ彌太郎のお
下
(
さが
)
りか何んかでせう
銭形平次捕物控:177 生き葬ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私等は十五の
歳
(
とし
)
に女学校を卒業しましたが、南さんはそのまゝお
下
(
さが
)
りになり、私は補習科に残りましたから、淋しく物足らない思ひをすることも
屡
(
しば/\
)
ありました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
芝生
(
しばふ
)
の
端
(
はし
)
が
垂
(
た
)
れ
下
(
さが
)
っている崖の上の広壮な
邸園
(
ていえん
)
の
一端
(
いったん
)
にロマネスクの半円
祠堂
(
しどう
)
があって、一本一本の円柱は六月の
陽
(
ひ
)
を受けて
鮮
(
あざや
)
かに紫
薔薇色
(
ばらいろ
)
の
陰
(
かげ
)
をくっきりつけ
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
三つ輪に結つて
総
(
ふさ
)
の
下
(
さが
)
つた
被布
(
ひふ
)
を着るお
妾
(
めかけ
)
さまに相違は無い、どうしてあの顔で仕事やが通せる物かとこんな事をいつてゐた、己れはそんな事は無いと思ふから
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“下”を含む語句
上下
下手
下婢
足下
目下
下女
下袴
地下
放下
直下
下流
下々
下男
垂下
閣下
樹下
天下
下僕
御下
見下
...