ぶり)” の例文
それが好い加減にけましたらば別に玉子の白身四つぶりを本式に泡立ててやっぱり少しずつメリケン粉を振りかけながらその中へ三
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
その時の彼の心では、久しぶりで父と一緒に成ったことをよろこばないではなかったが、矢張やはり郷里の山村の方に父を置いて考えたいと思った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
背負せおひ歩行あるく辨慶がのそ/\と出きたりモシ/\文さん今日は雨降あめふりで御互に骨休ほねやすみ久しぶりなれば一くちのむべし夫に今さんまの生々なま/\としたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
相手がたがひ巴里パリイツ子同士、流行はやり同士であり、其れが右様みぎやうの事情のもとに行ふ決闘であり、その上当日の決闘ぶりが非常に壮烈であつたので
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
氏は大方の場合には、田園の長者ぶりの持主であるが、遇々たまたま相手を瞶められる時、博士の威厳が眉宇びうに現われ、寄っ付けない程に鋭くなると。
小酒井不木氏スケッチ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それだけの罪でもろくなことの無いのは当然あたりまえです。二十年ぶりで現在の子に邂逅めぐりあいながら、その手にかかって殺されると云うのも自然の因縁でしょう。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
僕は、貧乏な家に生れ、学生時代をずつと苦労したゞけに、世に出てからの生活ぶりは堅実そのものであつたと思つてゐる。
世に出る前後 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
しまつた、りものだ、とひやりとすると、ざつ、ざぶり、ばしやツ。よわつた。が、落着おちついた。緑蝶夫人ろくてふふじんぶりおもへ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一つは、どの様な変人であろうが、気むずかし屋さんであろうが、今申す水際立った殿御ぶりに、私はすっかり魅せられていたのでもございましょう。
人でなしの恋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
と声を掛けたのを初めに、英也とすゑの叔父のきよしとは四五年ぶり身体からだをひたひたと寄せてなつかしげに語るのであつた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
宗助そうすけ着流きながしのまゝ麥藁帽むぎわらばうつた友達ともだち姿すがたひさぶりながめたとき夏休なつやすまへかれかほうへに、あたらしい何物なにものかゞさらくはへられたやうがした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ひさぶりでおにかゝつてなにまをしたいこと澤山たんとあるやうなれどくちませぬはさつしてくだされ、ではわたし御別おわかれにいたします、隨分ずいぶんからだをいとふてわづらはぬやう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
蟠「そうか、此処こちらへ通せ、おゝ婆アか、久しぶりだな、何時いつも達者で結構々々、うだ近頃は金儲かねもうけでも有るかな」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
西園寺陶庵侯の雨声会がひさぶりに近日開かれるといふ事だ。招かれる文士のなかには例年通り今から、即吟の下拵したごしらへに取蒐とりかゝつてゐるむきもあるらしいと聞いてゐる。
変な形をしたへさきに、槍を持った『海の荒神あらがみ』の像がほりつけてある。檣には星の軍艦旗が、青く、美しくひらひらとひるがえり、敵ながらも勇ましい出征ぶりである。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
「昨日からばかに具合がいんだ。足台クッションも片付けさせたし、久しぶりに一杯味わってみようと思う」
海浜荘の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
全体磯吉は無口の男で又た口のきようも下手へただがどうかすると啖火交たんかまじりで今のように威勢の可い物の言いぶりをすることもある、お源にはこれがすこぶうれしかったのである。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
たいわたしは、このころりう行のいはゆる藝術寫眞げいじゆつしやしんには、何の感興かんけうも持たない。あのへん氣取きとつた、いかにもおもはせぶりな、しかも一しゆかたにはまつた印畫いんぐわのとこがいゝといふのであらう?
右作、「狂夫之言」あるいは「時勢論」と題号し、主家または右京家等へ差出し、こと墨夷ぼくい仮条約御渡し相成り御老中方御上京これ有る趣き承り、右は外夷がいい御処置ぶりの儀と相察し
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
お糸さんも細いすきとほつた声で、中音に都々逸どどいつ端唄はうたを歌ふ。素人しろうとばなれのした立派な歌ひぶりであつた。さう云ふ中で私も負けぬ気でうろおぼえの御所車ごしよぐるまなどを歌ふのである。ある晩お糸さんが
二黒の巳 (新字旧仮名) / 平出修(著)
今度も私の江戸勤番に付て家来一人ぶりの金を渡して呉れた。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
保嗣の公達ぶりにうたれてもの思いに耽けるようになった。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
しさぶり裏門うらもんいたとおもつたら
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
義雄は時刻をたがえず夕飯前に帰って来た。何年ぶりにあの碓氷川の水音が聞けることか、そんな話が義雄の方からも岸本の方からも出た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
冷した珈琲はやっぱり平日いつもの通り小匙二杯の珈琲へホンのすこしの水と玉子のからを二つぶり細かく砕いて入れて火の上でき廻しながらせんじます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ちやう程行つてエスカウト河へ出たが、大小の汽船が煙を吐いて荷揚人足や荷車の行交ゆきかせはしい港街の光景に久しぶりに接する心地も悪くない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
小泉係長の探索ぶりはソーンダイクを想わせると云っても、大して不当ではなさそうである。汽車に関する知識も深く地理も充分に調べてあるらしい。
日本探偵小説界寸評 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
夫人は久しぶりに逢つた弟をでも、愛撫するやうに、耳近く口を寄せて囁いたり、軽く叱するやうに言つたりした。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
あにの云ふところによると、佐川の娘は、今度ひさぶり叔父おぢれられて、見物かた/″\上京したので、叔父の商用が済み次第又れられてくにへ帰るのださうである。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
長庵と改めてあさからばんまであては無れどいそがぶり歩行あるき廻りければ相應に病家びやうかも出來たるにぞ長庵今は己れ名醫めいいにでも成し心にて辯舌べんぜつ奸計かんけいを以て富家ふうかより金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
が、これも相互たがいに顔を見識みしらなかったので、二十年ぶりで初めて邂逅めぐりあった現在の父と子が、ここたちまち敵となった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
如何いかにつらからぬことひさぶりにて御目おめにかゝりし我身わがみねがれ一なりかなへさせたまはゞうれしかるべきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
といううちに、朝直し……遊蕩あそびが二度ぶりになって、また、前勘定、このつけを出されると、金が足りない、足りないどころですか、まるで始末が出来ないのです。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この秋の大阪府の洪水おほみづも、色々の事を吾々に教へてくれた。平常ふだんつたかぶりをしてゐる土木の技師が実は何にも知つてゐない事を教へて呉れたのも洪水の力だ。
「無論お供するよ。北園という女の顔も見たいし、久しぶりで宗像君にも会いたいからね」
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いやこれ若林先生わかばやしせんせい、さア此方こちらへお這入はいんなさい。どうもひさぶりでおかゝりました。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
何故久しぶりで東京を見る彼の足がそれほど進まないのか、何故一切の人の出迎えなぞを受けずにひとりで寂しく東京へ入ろうとしているのか
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それを火からおろして玉子の白身二つぶりよく泡立たせて混てレモン油でも少しらして型へ入れますが型がなければブリキの鉢でも何でも出来ます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
何処どこか病身らしい歩みぶりをして昇つて来たが、僕達に軽い会釈を無言でして物静かにとびらの奥へはひつて行つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
まさしくその人と思うのが、近々ちかぢかと顔を会わせながら、すっと外らして窓から雨の空をた、取っても附けない、赤の他人らしい処置ぶりに、一驚をきっしたのである。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
近来飛騨に銀山がひらかれて、坑夫を募集しているという噂を聞込ききこんだので、彼は同じ仲間の熊吉くまきちと云う老坑夫をさそって、殆ど三十年ぶり故郷ふるさとの土を踏んだのである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
送しにおもせも文右衞門が男ぶりいうやさしく甲府の中にも多く有まじき樣子やうすまよつひに人知ず返書へんしよを取りかはし二世のちかひを立たりけり然るにおもせの親五郎右衞門は此こと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
が、父は久しぶりに、旧知の尋ねて来たことを欣んだ。溺るゝ者は、藁をでも掴むやうに、窮し切つてゐる父は、何処かに救ひの光を見付けようと、焦つてゐるのだつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
新年ねんあたまこしらえやうといふになつて、宗助そうすけひさぶり髮結床かみゆひどこ敷居しきゐまたいだ。くれ所爲せゐきやく大分だいぶんでゐるので、はさみおとが二三ヶしよで、同時どうじにちよき/\つた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
お陰で美満寿屋も繁昌しお寿賀さんの女将ぶりが自然に精彩を加えるようになった。
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
言つて、気にへて貰つては困りますが、先刻さつきの婦人に対するあなたの応対ぶりは、まだ十分とは言へなかつたやうですね、あの方は此方こつちの出やうによつては、もつとおもとめになつたかも知れませんよ。
箪笥の上の抽出ひきだしからは保雄のにもはれにも一着しか無い脊広が引出された。去年の暮、保雄が郷里の講習会にへいせられて行つた時、十二年ぶりに初めて新調したものだ。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
が、父は久しぶりに、旧知の尋ねて来たことをよろこんだ。おぼるゝ者は、わらをでもつかむように、窮し切っている父は、何処どこかに救いの光を見付けようと、あせっているのだった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
四半斤しはんぎん位皮の固い処を切捨てて真中まんなかの柔い処ばかり水に漬けてしぼってそれへ大きな玉葱の細かく切ったもの二つぶりとパセリの細かく刻んだもの大匙一杯と玉子の黄身二つと塩胡椒とを
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
肉叉フォーク小刀ナイフの扱いぶりで、チキンを切って皿へ取分けてやる、盛装した貴婦人があった。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)