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手桶
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てをけ
ふりがな文庫
“
手桶
(
てをけ
)” の例文
お
品
(
しな
)
は
復
(
ま
)
た
天秤
(
てんびん
)
を
卸
(
おろ
)
した。お
品
(
しな
)
は
竹
(
たけ
)
の
短
(
みじか
)
い
天秤
(
てんびん
)
の
先
(
さき
)
へ
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
で
拵
(
こしら
)
へた
小
(
ちひ
)
さな
鍵
(
かぎ
)
の
手
(
て
)
をぶらさげてそれで
手桶
(
てをけ
)
の
柄
(
え
)
を
引
(
ひ
)
つ
懸
(
か
)
けて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そこも
父
(
とう
)
さんの
好
(
す
)
きなところで、
家
(
うち
)
の
人
(
ひと
)
が
手桶
(
てをけ
)
をかついで
來
(
き
)
たり、
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んだりする
側
(
そば
)
に
立
(
た
)
つて、それを見
る
(
み
)
のを
樂
(
たのし
)
く
思
(
おも
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「うゝん、
誰
(
だれ
)
だか
知
(
し
)
らない。
手桶
(
てをけ
)
の
中
(
なか
)
に
充滿
(
いつぱい
)
になつて、のたくつてるから、それだから、
遁
(
に
)
げると
不可
(
いけな
)
いから
蓋
(
ふた
)
をしたんだ。」
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
勝手から持出した
手桶
(
てをけ
)
、井戸端へ行つて二た
釣瓶
(
つるべ
)
まで汲み入れ、滿々と水を
湛
(
たゝ
)
へたのを持つて、東作の枕元に突つ立ちました。
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
にある
亞鉛
(
とたん
)
の
落
(
おと
)
しの
付
(
つ
)
いた
四角
(
しかく
)
な
火鉢
(
ひばち
)
や、
黄
(
き
)
な
安
(
やす
)
つぽい
色
(
いろ
)
をした
眞鍮
(
しんちゆう
)
の
藥鑵
(
やくわん
)
や、
古
(
ふる
)
びた
流
(
なが
)
しの
傍
(
そば
)
に
置
(
お
)
かれた
新
(
あた
)
らし
過
(
す
)
ぎる
手桶
(
てをけ
)
を
眺
(
なが
)
めて、
門
(
かど
)
へ
出
(
で
)
た。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
棚の上には、こはれかゝった
植木鉢
(
うゑきばち
)
や、古い朱塗りの
手桶
(
てをけ
)
や、そんながらくたが一杯でした。そして鳥箱先生のすぐうしろに、まっくらな小さな穴がありました。
鳥箱先生とフウねずみ
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
身のまはりのすべては、自分自身も竈の炎も二疋の犬も猫も、眼を上げるとお
櫃
(
ひつ
)
も
手桶
(
てをけ
)
もランプも流しもとも悉くが、今、ふいと掻き消えはしないかと危ぶまれる。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
妻
(
つま
)
や
待
(
まつ
)
らん
夕烏
(
ゆふがらす
)
の
聲
(
こゑ
)
に
二人
(
ふたり
)
とり
膳
(
ぜん
)
の
菜
(
さい
)
の
物
(
もの
)
を
買
(
か
)
ふて
來
(
く
)
るやら、
朝
(
あさ
)
の
出
(
で
)
がけに
水瓶
(
みづがめ
)
の
底
(
そこ
)
を
掃除
(
さうぢ
)
して、一日
手桶
(
てをけ
)
を
持
(
も
)
たせぬほどの
汲込
(
くみこ
)
み、
貴郎
(
あなた
)
お
晝
(
ひる
)
だきで
御座
(
ござ
)
いますと
言
(
い
)
へば
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
次が
臺所
(
だいどころ
)
で、
水瓶
(
みづがめ
)
でも
手桶
(
てをけ
)
でも
金盥
(
かなだらい
)
でも何でも好く使込むであツて、板の間にしろ
竈
(
かまど
)
にしろ
釜
(
かま
)
にしろお
飯櫃
(
はち
)
にしろ、都て
拭
(
ふき
)
つやが出てテラ/\光ツてゐた。雖然外は
汚
(
きた
)
ない。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
大勢がどや/″\驅け寄つて、口々に荒い言葉で指圖し合つて、燃え付いてゐる障子を屋根から外へ抛り出したり、バケツや
手桶
(
てをけ
)
で
水甕
(
みづかめ
)
の水を
抄
(
すく
)
つて來たりした。父の目も血走つた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
聞
(
き
)
き
馴
(
な
)
れぬ
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
きつけ、
又
(
また
)
もや
窓
(
まど
)
から
首
(
くび
)
を
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
ると、
日本髪
(
にほんがみ
)
に
日本服
(
にほんふく
)
を
着
(
き
)
た
奥
(
おく
)
さまらしい
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
と、その
母親
(
はゝおや
)
かとも
思
(
おも
)
はれる
老婆
(
らうば
)
の
二人
(
ふたり
)
が、
手桶
(
てをけ
)
をさげた
寺男
(
てらをとこ
)
に
案内
(
あんない
)
されて
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
おやお
帰
(
かへ
)
りかい、
帰
(
かへ
)
つたばかりで
疲
(
つか
)
れて
居
(
ゐ
)
やうが、
後生
(
ごしやう
)
お
願
(
ねがひ
)
だから、
井戸端
(
ゐどばた
)
へ
行
(
い
)
つて水を
汲
(
く
)
んで
来
(
き
)
てお
呉
(
く
)
れな、
夫
(
それ
)
から
序
(
ついで
)
にお気の毒だけれど、お
隣
(
となり
)
で二
杯
(
はい
)
借
(
かり
)
たんだから
手桶
(
てをけ
)
に二
杯
(
はい
)
返
(
かへ
)
してお
呉
(
く
)
れな。
八百屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「おゝ
厭
(
や
)
なこつた、
要
(
え
)
らねえよ」おつぎは
少
(
すこ
)
し
身
(
み
)
を
屈
(
かが
)
めて
手桶
(
てをけ
)
の
柄
(
え
)
を
攫
(
つか
)
んで
其
(
そ
)
の
儘
(
まゝ
)
身
(
み
)
を
延
(
のば
)
すと
手桶
(
てをけ
)
の
底
(
そこ
)
が三
寸
(
ずん
)
ばかり
地
(
ち
)
を
離
(
はな
)
れた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「お靜、八が水を欲しいとよ。そんな小さい茶碗で間に合ふものか、
手桶
(
てをけ
)
ごと持つて來るが宜い。——さア、一體何が大變なんだ、話して見るが宜い」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
細
(
ほそ
)
く
竹
(
たけ
)
の
割
(
わ
)
つたのまで
呉
(
く
)
れてよこしました。その
細
(
ほそ
)
い
竹
(
たけ
)
を
削
(
けづ
)
りまして、
竹
(
たけ
)
の
子
(
こ
)
の
手桶
(
てをけ
)
に
差
(
さ
)
しますと、それで
提
(
さ
)
げられるやうに
成
(
な
)
るのです。
水
(
みづ
)
も
汲
(
く
)
めます。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
……
何
(
ど
)
うして
小兒
(
こども
)
の
手
(
て
)
で、と
疑
(
うたが
)
ふばかり、
大
(
おほ
)
きな
澤庵石
(
たくあんいし
)
が
手桶
(
てをけ
)
の
上
(
うへ
)
に、づしんと
乘
(
の
)
つて、あだ
黒
(
ぐろ
)
く、
一
(
ひと
)
つくびれて、ばうと
浮
(
う
)
いて、
可厭
(
いや
)
なものの
形
(
かたち
)
に
見
(
み
)
えた。
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
二つの
手桶
(
てをけ
)
に
溢
(
あふ
)
るゝほど
汲
(
く
)
みて、十三は
入
(
い
)
れねば
成
(
な
)
らず、
大汗
(
おほあせ
)
に
成
(
な
)
りて
運
(
はこ
)
びけるうち、
輪寳
(
りんぽう
)
のすがりし
曲
(
ゆが
)
み
齒
(
ば
)
の
水
(
みづ
)
ばき
下駄
(
げた
)
、
前鼻緒
(
まへばなを
)
のゆる/\に
成
(
な
)
りて、
指
(
ゆび
)
を
浮
(
う
)
かさねば
他愛
(
たわい
)
の
無
(
な
)
きやう
成
(
なり
)
し
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
風呂桶
(
ふろをけ
)
の
傍
(
そば
)
では四十五十に
成
(
な
)
る
百姓
(
ひやくしやう
)
も
居
(
ゐ
)
て
一同
(
みんな
)
が
愉快相
(
ゆくわいさう
)
にどよめいた。おつぎが
手桶
(
てをけ
)
を
持
(
も
)
つた
時
(
とき
)
勘次
(
かんじ
)
は
裏戸
(
うらど
)
の
垣根口
(
かきねぐち
)
にひよつこりと
出
(
で
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
裏
(
うら
)
の
竹籔
(
たけやぶ
)
の
竹
(
たけ
)
は
父
(
とう
)
さんに
竹
(
たけ
)
の
子
(
こ
)
を
呉
(
く
)
れました。それで
竹
(
たけ
)
の
子
(
こ
)
の
手桶
(
てをけ
)
を
造
(
つく
)
れ、と
言
(
い
)
つて呉
れ
(
く
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
手桶
(
てをけ
)
と
云
(
い
)
ふのまで
結
(
むす
)
びつけた、
小兒衆
(
こどもしう
)
がお
馴染
(
なじみ
)
の、
當
(
あて
)
ものの
臺紙
(
だいがみ
)
で
山
(
やま
)
を
包
(
つゝ
)
んだ
體
(
てい
)
もある。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二つの
手桶
(
てをけ
)
に
溢
(
あふ
)
るるほど
汲
(
く
)
みて、十三は入れねば成らず、大汗に成りて運びけるうち、
輪宝
(
りんぽう
)
のすがりし
曲
(
ゆが
)
み歯の水ばき
下駄
(
げた
)
、前鼻緒のゆるゆるに成りて、指を浮かさねば
他愛
(
たわい
)
の無きやう
成
(
なり
)
し
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「八、其邊に
手桶
(
てをけ
)
があるだらう、搜して見な」
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
屠手のあるものは残物の臓腑を取片付ける、あるものは
手桶
(
てをけ
)
に足を突込んで牛の血潮を洗ひ落す、種牛の片股は
未
(
ま
)
だ釣るされた儘で、黄な
膏
(
あぶら
)
と白い脂肪とが日の光を帯びて居た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
床几
(
しやうぎ
)
の
前
(
まへ
)
には
冷
(
つめ
)
たさうな
小流
(
こながれ
)
があつたから
手桶
(
てをけ
)
の
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
まうとして
一寸
(
ちよいと
)
気
(
き
)
がついた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手桶
(
てをけ
)
をも
其處
(
そこ
)
に
投出
(
なげいだ
)
して一つは
滿足
(
まんぞく
)
成
(
なり
)
しが一つは
底
(
そこ
)
ぬけに
成
(
な
)
りけり、
此桶
(
これ
)
の
價
(
あたゑ
)
なにほどか
知
(
し
)
らねど、
身代
(
しんだい
)
これが
爲
(
ため
)
につぶれるかの
樣
(
やう
)
に
御新造
(
ごしんぞ
)
の
額際
(
ひたへぎは
)
に
青筋
(
あをすぢ
)
おそろしく、
朝飯
(
あさはん
)
のお
給仕
(
きうじ
)
より
睨
(
にら
)
まれて
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
最
(
も
)
う、
角
(
かど
)
の
其
(
そ
)
の
酒屋
(
さかや
)
に
隔
(
へだ
)
てられて、
此處
(
こゝ
)
からは
見
(
み
)
えないが、
山
(
やま
)
へ
昇
(
のぼ
)
る
坂下
(
さかした
)
に、
崖
(
がけ
)
を
絞
(
しぼ
)
る
清水
(
しみづ
)
があつて、
手桶
(
てをけ
)
に
受
(
う
)
けて、
眞桑
(
まくは
)
、
西瓜
(
すゐくわ
)
などを
冷
(
ひや
)
す
水茶屋
(
みづぢやや
)
が二
軒
(
けん
)
ばかりあつた……
其
(
それ
)
も十
年
(
ねん
)
一昔
(
ひとむかし
)
に
成
(
な
)
る。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蓋
(
ふた
)
を
向
(
むか
)
うへはづすと、
水
(
みづ
)
も
溢
(
あふ
)
れるまで、
手桶
(
てをけ
)
の
中
(
なか
)
に
輪
(
わ
)
をぬめらせた、
鰻
(
うなぎ
)
が
一條
(
ひとすぢ
)
、
唯
(
たゞ
)
一條
(
ひとすぢ
)
であつた、のろ/\と
畝
(
うね
)
つて、
尖
(
とが
)
つた
頭
(
あたま
)
を
恁
(
か
)
うあげて、
女房
(
にようばう
)
の
蒼白
(
あおじろ
)
い
顏
(
かほ
)
を、
凝
(
じつ
)
と
視
(
み
)
た。——と
言
(
い
)
ふのである。
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
桶
漢検準1級
部首:⽊
11画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭