希望きぼう)” の例文
みつは、いつもおとうと元気げんきでいるのをうれしくおもいました。そして、たえず希望きぼうにもえているのをなんとなくいじらしくおもいました。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
武村兵曹たけむらへいそう相變あひかはらず淡白たんぱくで、慓輕へうきんで、其他そのほか三十有餘名いうよめい水兵等すいへいら一同いちどう元氣げんきよく、だいなる希望きぼう待望まちのぞみつゝ、勤勉きんべんはたらいてる。
当時とうじわたくしりましては、んだ良人おっとうのがこのける、ほとんど唯一ゆいいつ慰安いあんほとんど唯一ゆいいつ希望きぼうだったのでございます。
で、武田伊那丸たけだいなまるは、いやがうえにも、希望きぼうをもった。武者むしゃぶるいとでもいうような、全霊ぜんれいの血とにくとのおどりたつのがじぶんでもわかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれは自分の希望きぼうを表すために苦しい声をしばり出したり、顔をしかめたり、からだを曲げたりするよりいいことはなかった。
いくときの、希望きぼうにみちた心持ちにひきかえ、帰りの、なんという、まのぬけた、はぐらかされたような心持ちでしょう。
いぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
繪葉書えはがきよりおほきな寫眞しやしん必要ひつようひとには、その希望きぼうにまかせてそれ/″\の寫眞しやしんるようにもなつてゐるのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
著者ちよしやむしろかような場合ばあひ利用りようして、地震ぢしんたいする實驗的じつけんてき知識ちしき修養しゆうようまれるよう希望きぼうするものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それは、前途ぜんとにおおくの希望きぼうを持った、わか時代じだいには、ずいぶんいやにすました人だといわれたこともあった。実際じっさい気位きぐらい高くふるまっていたこともあった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
みなさんの希望きぼう、みなさんのかくごを、この新時代しんじだい新年拝賀式しんねんはいがしきにりっぱにいいあらわしてもらうには、どの友人を立たせたらよいか。まじめに投票とうひょうしてほしいと思う。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
諭吉ゆきちはあかるくかがやき、希望きぼうにみちたかおは、とてもわかわかしくみえました。ですから
さっきまでは、とにかくにげられそうな希望きぼうがあった。まどへ両手りょうてをかけてさえしまえば、飛越台とびこしだい要領ようりょうででも、どうにか制動室へからだをはこぶことができると思っていた。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
よし僕等の生涯しようがいは、勞働者と比較ひかくして何等なんら相違さうゐがないとしても、僕等はつねに勞働者的生涯からだつして、もう少し意味ある、もう少し價値あるライフにりたいと希望きぼうしてゐる。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ところが木曜日になると、この希望きぼうえてしまいました。木曜日も、まえの日と同じようにはじまったのです。ガンたちは広いはたけでごはんをたべ、ニールスはたべものをさがしに公園へいきました。
希望きぼうおか
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ひとたびは、覚悟かくごしたものが、こうして毎日まいにち、おだやかなうみるうちに、どうかしてきたいという希望きぼうえたのでした。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かんがへると、じつ愉快ゆくわいで/\たまらぬ、いま吾等われらまなこには、たゞ希望きぼうひかりかゞやくのみで、たれ人間にんげん幸福さひはひねた惡魔あくま
それは一同の希望きぼうで、ゆうべも月ノ宮の垢離堂こりどうで、血気けっき面々めんめんがみな口をそろえていうには、自分たちも闘士として出場しゅつじょう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしに勇気ゆうきがあれば、マチアに向かって、わたしがひじょうに大きな希望きぼうを持っていることを打ち明けたかもしれない。
またわたくしがこちらで愛馬あいばったはなしをすると、『あのときは、そなたの希望きぼうれないで、勝手かって名前なまえをつけさせてたいへんにまなかった。』と良人おっと丁寧ていねいびました。
そこでまた、希望きぼうがわきました。ふたりは、あがりはなに、目白めじろおしにならんで、こしをかけました。
いぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
糟谷かすやは三十になったばかり、若手わかて高等官こうとうかんとして、周囲しゅういから多大ただい希望きぼうせられていた。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
一日いちにちはやくかういふふうな民俗博物館みんぞくはくぶつかんまうけられることを希望きぼうするものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しかしながら、それがありふれた小地震しようぢしんだと判斷はんだんされたならば、泰然自若たいぜんじじやくとしてゐるのも一法いつぽうであらうけれども、これはあまりに消極的しようきよくてき動作どうさであつて、著者ちよしや地震國ぢしんこく小國民しようこくみんむかつて希望きぼうするところでない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
こうして光吉こうきちはついにその希望きぼうをたっすることができた。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
むかし、おまえのちちは、あかぼうのおまえをおぶって、このように、あてもなくあるいたものだ。おまえも希望きぼうてずにあるくがいい。」
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ひょうは所どころまばらに落ちるものだそうですよ」と、わたしはまだそれでも無理むり希望きぼうをかけようとして言った。
しかし、昨夜さくや海嘯つなみは、吾等われら一同いちどう希望きぼう天上てんじやうより、絶望ぜつぼう谷底たにそこ蹴落けおとしたとおもはれます。』
とかく無理むり希望きぼうってると、自分のすることにも無理むりができるから、無理とくるしみを求めるようになるなどと話されて、細君もひたすら西田にしだ好意こういに感じて胸がひらいた。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
秀吉ひでよしの目がほそくなる。わかわかしい希望きぼう権化ごんげのような顔にいッぱいな満足まんぞくがかがやく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遊び相手がなくてひとりさびしくいるとき、常夜燈じょうやとうの下にツルのかくしたその花があるという思いは私を元気づけた。そこへかけつけ、さがしまわるあいだの希望きぼうは何にもかえがたかった。
花をうめる (新字新仮名) / 新美南吉(著)
しかしみなさんはこんひまがあれば博物館はくぶつかんて、いままで品物しなものさらくはしくて、わからぬことがあれば先生せんせい博物館はくぶつかんひとにおたづねになることを希望きぼういたします。それではさようなら。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
金持かねもちは、金色こんじきうおべれば、この病気びょうきがなおるということをきますと、絶望ぜつぼうのうちにかすかな希望きぼうみとめたのであります。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それにわたしは、どれほどかれをあいしているかを語りたいえるような希望きぼうを、いや少なくとも、なにかかれのためにしてやりたい希望を持っていた。
「わたしは、かなしい。しかし、いまはどうすることもできません。すべての希望きぼうててしまいます。」と、おんななみだながらにいいました。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もうこれでは親方も承知しょうちしてくれるだろう。そうしてこれはわたしにとって大きな希望きぼう目標もくひょうになった。
バナナのかわとつえとは、それからも、まだ河水かわみずについてながされていったのです。しかし、かれらは、まだ希望きぼうてませんでした。
河水の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでわたしはもうミリガン夫人ふじんに二度と会う希望きぼうてなければならなかった。
こうして、希望きぼうって無理むり仕事しごとをつづけるうちに、金持かねもちは支払しはらいができなくなって、どこへか姿すがたかくしてしまいました。
ひとり自然しぜんうつくしいばかりでなかった。こうして、かんがえ、よろこび、希望きぼうをもつ、人間にんげんがまた偉大いだいであり、とうと存在そんざいであるのをりました。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もし、おまえさんが、ただ一で、そのふくろなかまめかずをまちがえずにかぞえることができたら、希望きぼうがかなうとおもっていい。
幸福の鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
松蔵まつぞうは、青年せいねんとなったのです。けれど、かれは、どうかして一うみわたって、あちらにあるくににいってみたいという希望きぼうてませんでした。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこには、やはりりょう一とおなじような境遇きょうぐう少年しょうねんが、おな意志いし希望きぼうえて、熱心ねっしんふだにさらしていたのです。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
「こんどは、いい時計とけいが、はやくほしいな。」と、ぜいたくとりながら、いもうとにむかって、わたしは、希望きぼうはなしたのでした。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わか易者えきしゃは、かれ先生せんせいから、いかなるばあいでも、相手あいて希望きぼうたせることをわすれてはならぬといましめられた、そのおしえを実行じっこうしたまでです。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
秀吉ひできちは、かけるとき、むねえがいた、桃色ももいろ希望きぼうかげは、どこかへえて、うちへもどるときは、失望しつぼうそこあるくように、はこあしおもかったのでした。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なかよくらすことを希望きぼうしていましたけれど、どうしても、このことばかりはできなかったというのは、あるひとがたくさんかねがもうかったときには
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、あのバイオリンは、きっと、いつか自分じぶんにもどってくるにちがいないとしんじますと、また、かれひとみは、希望きぼうひかりかがやいたのであります。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふだんから、平和へいわあいするあにであるのをっていたけれど、こうした場合ばあいに、希望きぼうや、空想くうそうが、どんなかたちであらわされるだろうかとおもったからです。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どうか、そのお人形にんぎょうれずにいるように、わたし、いのっているわ。」と、むすめは、希望きぼうにかがやいたげて、まどからえるあおそらあおいだのです。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)